株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律(廃止)


公布:平成9年5月21日法律第55号
施行:平成9年6月1日
改正:平成10年3月30日法律第11号
施行:平成10年3月30日
改正:平成11年8月13日法律第125号
施行:平成11年10月1日
改正:平成11年12月22日法律第160号
施行:平成13年1月6日
改正:平成12年3月31日法律第28号
施行:平成12年3月31日
改正:平成12年5月31日法律第96号
施行:平成12年12月1日

廃止:平成13年6月29日法律第79号
施行:平成13年10月1日

(目的)
第一条 この法律は、公開会社について株式を消却する手続に関する商法(明治三十二年法律第四十八号)の特例を定めることにより、資本市場の効率化と活性化を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一 証券取引所 証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十四項に規定する証券取引所をいう。
 二 証券業協会 証券取引法第二条第十一項に規定する証券業協会をいう。
 三 上場株式証券 取引所に上場されている株式をいう。
 四 店頭売買株式 証券業協会に備える証券取引法第七十五条第一項に規定する店頭売買有価証券登録原簿に登録されている株式をいう。
 五 公開会社 上場株式の発行者である会社又は店頭売買株式の発行者である会社をいう。
 六 証券会社 証券取引法第二条第九項に規定する証券会社をいう。
 七 外国証券会社 外国証券業者に関する法律(昭和四十六年法律第五号)第二条第二号に規定する外国証券会社をいう。
 八 公開買付け 証券取引法第二十七条の二第六項に規定する公開買付けをいう。

(株式の消却に関する商法の特例)
第三条 公開会社は、定款をもって、経済情勢、当該会社の業務又は財産の状況その他の事情を勘案して特に必要があると認めるときは取締役会の決議によりその株式を買い受けて消却することができる旨を定めることができる。
2 前項の場合においては、定款をもって、その定めをした日後において取締役会の決議により買い受けて消却することができる株式の総数を定めなければならない。
3 前項の株式の総数から次条第二項の株式の総数を控除した数は、発行済株式の総数の十分の一を超えることができない。
4 第一項の決議においては、買い受けるべき株式の種類、数及び取得価額の総額を定めなければならない。
5 第一項の決議によりその決議後最初の決算期に関する定時総会の終結の時までに買い受けることができる株式(次条第五項の株式を除く。)の取得価額の総額は、最終の貸借対照表上の純資産額から商法第二百九十三条の五第三項各号の金額及び同条第一項の規定により分配した金銭の額の合計額を控除した額の二分の一を超えることができない。
6 第一項の決議による株式の買受けは、前項の定時総会の終結の後においては、することができない。

第三条の二 前条第一項の場合においては、定款をもって、資本準備金をもって株式を買い受けて消却することができる旨を定めることができる。
2 前項の場合においては、定款をもって、その定めをした日後において取締役会の決議により資本準備金をもって買い受けて消却することができる株式の総数及び取得価額の総額を定めなければならない。
3 前項の株式の取得価額の総額は、資本準備金及び利益準備金の合計額から資本の四分の一に相当する額を控除した額を超えることができない。
4 第一項の定款の定めに基づく前条第一項の決議においては、資本準備金をもって買い受けて消却すべき株式の種類、数及び取得価額の総額を定めなければならない。
5 前項の決議により買い受けることができる株式の取得価額の総額は、資本準備金及び利益準備金の合計額から資本の四分の一に相当する額を控除した額を超えることができない。
6 第四項の決議による株式の買受けは、最終の貸借対照表上の純資産額が商法第二百九十三条ノ五第三項各号の金額及び同条第一項の規定により分配した金銭の額の合計額を下回るときは、することができない。

(株式の買受けの方法)
第四条 第三条第一項の規定による株式の買受けは、その株式が上場株式であるときは証券取引所においてする取引に、店頭売買株式であるときは証券業協会の協会員である証券会社(外国証券会社を含む。)が自己又は他人の計算においてする取引で主務省令で定めるものによらなければならない。ただし、公開買付けによるときは、この限りでない。

(株式を買い受けた場合の措置)
第五条 第三条第一項の規定により株式を買い受けたときは、会社は、遅滞なく(第七条第一項において準用する商法第四百十二条の手続をした場合には、その手続の終了後遅滞なく)、その株式について失効の手続をしなければならない。
2 第三条第一項の規定により株式を買い受けたときは、取締役は、その買受けに係る決議後最初の決算期に関する定時総会において、買受けをした理由、買い受けた株式の種類、総数及び取得価額の総額並びに失効の手続をした旨を報告しなければならない。

(取締役の責任)
第六条 第三条第五項又は第三条の二第五項の規定に違反して第三条第一項の規定による株式の買受けをしたときは、その買受けをした取締役は、会社に対し連帯して、違法に買い受けた株式の取得価額につき賠償の責めに任ずる。
2 商法第二百六十六条第二項、第三項及び第五項の規定は、前項の取締役の責任について準用する。

(商法の準用等)
第七条 商法第二百十二条の二第五項から第七項までの規定は第三条第一項の規定による株式の買受けについて、同法第三百七十六条第三項及び第四百十二条の規定は第三条の二第四項の決議があった場合について準用する。
2 第三条第一項の場合における商法第二百九十三条ノ五第三項第六号の規定の適用については、同号中「又は第二百十二条の二第一項」とあるのは「、第二百十二条の二第一項又は株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律第三条第一項」と、「決議」とあるのは「決議(同法第三条の二第四項ノ決議ヲ除ク)」とする。

(資本準備金をもってする株式の消却による変更の登記の添付書類)
第七条の二 第三条の二第四項の決議による株式の消却による変更の登記の申請書には、次の書類を添付しなければならない。
 一 前条第一項において準用する商法第四百十二条第一項の規定による公告及び催告(公告を官報のほか時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載してした場合には、これらの公告)をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、その者に対し弁済し、若しくは担保を供し、若しくは信託したこと又は株式の消却をしてもその者を害するおそれがないことを証する書面
 二 資本準備金の存在を証する書面

(証券取引法の適用)
第七条の三 第三条の二第一項の場合における証券取引法第百六十六条の規定の適用については、同条中「株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律第三条の規定」とあるのは、「株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律第三条若しくは第三条の二の規定」とする。

(主務省令)
第八条 この法律において、主務省令は、内閣府令・法務省令とする。

(過料)
第九条 取締役、商法第百八十八条第三項において準用する同法第六十七条の二の職務代行者又は同法第二百五十八条第二項の職務代行者が、第五条第一項の規定に違反して株式の失効の手続をせず、又は第七条第一項において準用する同法第四百十二条の規定に違反して株式を消却したときは、百万円以下の過料に処する。

   附 則 [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成九年六月一日から施行する。

(罰則の適用に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

   附 則 [平成10年3月30日法律第11号]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第八条の規定は、平成十一年四月一日から施行する。

(罰則の適用に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(最初に招集される株主総会までの特例)
第三条 この法律の施行後最初に招集手続が開始される株主総会の終結の時までは、会社は、定款にこの法律による改正後の株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律(以下「新法」という。)第三条の二第一項の定めがなくても、同条第四項の決議をすることができる。
2 前項の決議により株式を買い受けたときは、取締役は、その株式の消却の承認に関する議案を同項の株主総会に提出しなければならない。
3 前項の承認は、商法第三百四十三条に定める決議によらなければならない。
4 第一項の決議により株式を買い受けたときは、会社は、新法第五条第一項の規定にかかわらず、第二項の承認があるまでは、その株式について失効の手続をしてはならない。
5 第一項の決議により株式を買い受けた場合において、第二項の承認がなかったときは、会社は、相当の時期にその株式を処分しなければならない。

(過料)
第四条 取締役、商法第百八十八条第三項において準用する同法第六十七条ノ二の職務代行者又は同法第二百五十八条第二項の職務代行者が、前条第四項の規定に違反して株式の失効の手続をし、又は同条第五項の規定に違反して株式の処分をしなかったときは、百万円以下の過料に処する。

(失効)
第五条 新法第三条の二の規定並びに新法第三条第三項及び第五項、第五条第一項、第六条第一項、第七条から第七条の三まで並びに第九条の規定(新法第三条の二に係る部分に限る。)は、平成十四年三月三十一日限り、その効力を失う。ただし、その時までに新法第三条の二第四項の決議があった場合におけるその決議による株式の買受けについては、なお従前の例による。
2 前項の時までにした行為及び同項ただし書の規定により従前の例によることとされる場合におけるその時以後にした行為に対する罰則の適用については、同項に規定する規定は、その時以後も、なおその効力を有する。

(租税特別措置法の一部改正)
第六条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
 目次中「第九条の七」を「第九条の八」に改める。
 第九条の五第一項中「及び次条第一項」を「、次条第一項及び第九条の七第一項」に改め、「規定する公開買付け」の下に「(以下この項及び第九条の七において「公開買付け」という。)」を加える。
 第二章第一節中第九条の七を第九条の八とし、第九条の六の次に次の一条を加える。
 (上場会社等の資本準備金をもつてする株式の消却の場合のみなし配当等の課税の特例)
 第九条の七 上場会社等が、株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律(平成九年法律第五十五号)第三条の二第四項の決議に基づき、公開買付けにより資本準備金をもつてする株式の消却を行つた場合における所得税法第二十五条第一項の規定の適用については、同項第一号中「株式の消却」とあるのは、「株式の消却(株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律(平成九年法律第五十五号)第三条の二第四項(株式の消却に関する商法の特例)の決議に基づき、資本準備金をもつてされるものを除く。)」とする。
 2 前項の規定の適用がある場合における第三十七条の十第四項(第三十七条の十二第四項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、第三十七条の十第四項中「の金額」とあるのは、「の金額(第九条の七第一項の規定の適用を受ける金額を除く。)」とする。
 3 個人が、株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律第三条の二第四項の決議による株式の買受けに係る公開買付けに応じて株式を譲渡した場合における第三十七条の十一の規定の適用については、同条第一項第二号中「証券業者の営業所において行う当該証券業者に対する当該株式等」とあるのは「当該株式等を発行した法人(以下この条において「発行法人」という。)に対して証券取引法第二十七条の二十二の二第一項に規定する公開買付けに応じて行う株式」と、「当該営業所」とあるのは「当該発行法人」と、同項第三号中「当該株式等を発行した法人(以下この条において「発行法人」という。)」とあるのは「発行法人」とする。

(附則第三条第二項の承認があった場合のみなし配当の課税の特例)
第七条 附則第三条第二項の承認があった場合における所得税法(昭和四十年法律第三十三号)、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)及び租税特別措置法の規定の適用については、次に定めるところによる。
 一 所得税法第二十五条第一項第一号中「株式の消却」とあるのは、「株式の消却(株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律(平成十年法律第十一号)附則第三条第二項(最初に招集される株主総会までの特例)の承認に係るものを除く。)」とする。
 二 法人税法第二十四条第一項第一号中「株式の消却」とあるのは、「株式の消却(株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律(平成十年法律第十一号)附則第三条第二項(最初に招集される株主総会までの特例)の承認に係るものを除く。)」とする。
 三 租税特別措置法第九条の七第一項中「決議に基づき、公開買付け」とあるのは、「決議(株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律(平成十年法律第十一号)附則第三条第一項の規定に基づくものを除く。)に基づき、公開買付け」とする。

(地方税法の一部改正)
第八条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
 附則第三十五条の二第一項中「第六項第三号」を「第七項第三号」に改め、同条第七項を同条第八項とし、同条第六項を同条第七項とし、同条第五項中「前三項」を「第二項から前項まで」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項の次に次の一項を加える。
 5 租税特別措置法第九条の七第一項の規定の適用がある場合における第三項の規定の適用については、同項中「の金額」とあるのは、「の金額(租税特別措置法第九条の七第一項の規定の適用を受ける金額を除く。)」とする。
 附則第三十五条の三第一項中「前条第一項から第六項まで」を「前条第一項から第七項まで」に改め、同条第五項中「前条第一項から第五項まで」を「前条第一項から第六項まで」に改め、同条第九項中「前条第一項から第六項まで」を「前条第一項から第七項まで」に、「前条第七項」を「前条第八項」に、「同条第一項から第六項まで」を「同条第一項から第七項まで」に、「前条第一項から第五項まで」を「前条第一項から第六項まで」に、「同条第一項から第五項まで」を「同条第一項から第六項まで」に改める。

   附 則 [平成11年8月13日法律第125号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。[後略]

   附 則 [平成12年3月31日法律第28号]

 この法律は、公布の日から施行する。

   附 則 [平成11年12月22日法律第160号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。[後略]

以上

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