第一編 総則・第二編 商行為  第三編 海商
商法 第三編 海商

目次

 第一編 総則
  第一章 通則(第一条−第三条)
  第二章 商人(第四条−第七条)
  第三章 商業登記(第八条−第十条)
  第四章 商号(第十一条−第十八条)
  第五章 商業帳簿(第十九条)
  第六章 商業使用人(第二十条−第二十六条)
  第七章 代理商(第二十七条−第三十一条)
  第八章 雑則(第三十二条−第五百条)
 第二編 商行為
  第一章 総則(第五百一条−第五百二十三条)
  第二章 売買(第五百二十四条−第五百二十八条)
  第三章 交互計算(第五百二十九条−第五百三十四条)
  第四章 匿名組合(第五百三十五条−第五百四十二条)
  第五章 仲立営業(第五百四十三条−第五百五十条)
  第六章 問屋営業(第五百五十一条−第五百五十八条)
  第七章 運送取扱営業(第五百五十九条−第五百六十八条)
  第八章 運送営業
   第一節 総則(第五百六十九条)
   第二節 物品運送(第五百七十条−第五百八十九条)
   第三節 旅客運送(第五百九十条−第五百九十二条)
  第九章 寄託
   第一節 総則(第五百九十三条−第五百九十六条)
   第二節 倉庫営業(第五百九十七条−第六百八十三条)
 第三編 海商
  第一章 船舶及ビ船舶所有者(第六百八十四条−第七百四条)
  第二章 船長(第七百五条−第七百三十六条)
  第三章 運送
   第一節 物品運送
    第一款 総則(第七百三十七条−第七百六十六条)
    第二款 船荷証券(第七百六十七条−第七百七十六条)
   第二節 旅客運送(第七百七十七条−第七百八十七条)
  第四章 海損(第七百八十八条−第七百九十九条)
  第五章 海難救助(第八百条−第八百十四条)
  第六章 保険(第八百十五条−第八百四十一条ノ二)
  第七章 船舶債権者(第八百四十二条−第八百五十一条)

第一章 船舶及ヒ船舶所有者

第六百八十四条 本法ニ於テ船舶トハ商行為ヲ為ス目的ヲ以テ航海ノ用ニ供スルモノヲ謂フ
2 本編ノ規定ハ端舟其他櫓櫂ノミヲ以テ運転シ又ハ主トシテ櫓櫂ヲ以テ運転スル舟ニハ之ヲ適用セス

第六百八十五条 船舶ノ属具目録ニ記載シタル物ハ其従物ト推定ス

第六百八十六条 船舶所有者ハ特別法ノ定ムル所ニ従ヒ登記ヲ為シ且船舶国籍証書ヲ請受クルコトヲ要ス
2 前項ノ規定ハ総噸数二十噸未満ノ船舶ニハ之ヲ適用セス

第六百八十七条 船舶所有権ノ移転ハ其登記ヲ為シ且船舶国籍証書ニ之ヲ記載スルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス

第六百八十八条 航海中ニ在ル船舶ノ所有権ヲ譲渡シタル場合ニ於テ特約ナキトキハ其航海ニ因リテ生スル損益ハ譲受人ニ帰スヘキモノトス

第六百八十九条 差押及ヒ仮差押ノ執行(仮差押ノ登記ヲ為ス方法ニ依ルモノヲ除ク)ハ発航ノ準備ヲ終ハリタル船舶ニ対シテハ之ヲ為スコトヲ得ス但其船舶カ発航ヲ為ス為メニ生シタル債務ニ付テハ此限ニ在ラス

第六百九十条 船舶所有者ハ船長其他ノ船員ガ其職務ヲ行フニ当タリ故意又ハ過失ニ因リテ他人ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ズ

第六百九十一条及ビ第六百九十二条 削除

第六百九十三条 船舶共有者ノ間ニ在リテハ船舶ノ利用ニ関スル事項ハ各共有者ノ持分ノ価格ニ従ヒ其過半数ヲ以テ之ヲ決ス

第六百九十四条 船舶共有者ハ其持分ノ価格ニ応シ船舶ノ利用ニ関スル費用ヲ負担スルコトヲ要ス

第六百九十五条 船舶共有者カ新ニ航海ヲ為シ又ハ船舶ノ大修繕ヲ為スヘキコトヲ決議シタルトキハ其決議ニ対シテ異議アル者ハ他ノ共有者ニ対シ相当代価ヲ以テ自己ノ持分ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得
2 前項ノ請求ヲ為サント欲スル者ハ決議ノ日ヨリ三日内ニ他ノ共有者又ハ船舶管理人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス但此期間ハ決議ニ加ハラサリシ者ニ付テハ其決議ノ通知ヲ受ケタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス

第六百九十六条 船舶共有者ハ其持分ノ価格ニ応シ船舶ノ利用ニ付テ生シタル債務ヲ弁済スル責ニ任ス

第六百九十七条 損益ノ分配ハ毎航海ノ終ニ於テ船舶共有者ノ持分ノ価格ニ応シテ之ヲ為ス

第六百九十八条 船舶共有者間ニ組合関係アルトキト雖モ各共有者ハ他ノ共有者ノ承諾ヲ得スシテ其持分ノ全部又ハ一部ヲ他人ニ譲渡スコトヲ得但船舶管理人ハ此限ニ在ラス

第六百九十九条 船舶共有者ハ船舶管理人ヲ選出スルコトヲ要ス
2 船舶共有者ニ非サル者ヲ船舶管理人ト為スニハ共有者全員ノ同意アルコトヲ要ス
3 船舶管理人ノ選任及ヒ其代理権ノ消滅ハ之ヲ登記スルコトヲ要ス

第七百条 船舶管理人ハ左ニ掲ケタル行為ヲ除ク外船舶共有者ニ代ハリテ船舶ノ利用ニ関スル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
 一 船舶ノ譲渡若クハ賃貸ヲ為シ又ハ之ヲ抵当ト為スコト
 二 船舶ヲ保険ニ付スルコト
 三 新ニ航海ヲ為スコト
 四 船舶ノ大修繕ヲ為スコト
 五 借財ヲ為スコト
2 船舶管理人ノ代理権ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス

第七百一条 船舶管理人ハ特ニ帳簿ヲ備ヘ之ニ船舶ノ利用ニ関スル一切ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
2 船舶管理人ハ毎航海ノ終ニ於テ遅滞ナク其航海ニ関スル計算ヲ為シテ各船舶共有者ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス

第七百二条 船舶共有者ノ持分ノ移転又ハ其国籍喪失ニ因リテ船舶カ日本ノ国籍ヲ喪失スヘキトキハ他ノ共有者ハ相当代価ヲ以テ其持分ヲ買取リ又ハ其競売ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
2 社員ノ持分ノ移転ニ因リ会社ノ所有ニ属スル船舶カ日本ノ国籍ヲ喪失スヘキトキハ合名会社ニ在テハ他ノ社員、合資会社ニ在テハ他ノ無限責任社員ハ相当代価ヲ以テ其持分ヲ買取ルコトヲ得

第七百三条 船舶ノ賃貸借ハ之ヲ登記シタルトキハ爾後其船舶ニ付キ物権ヲ取得シタル者ニ対シテモ其効力ヲ生ス

第七百四条 船舶ノ賃借人カ商行為ヲ為ス目的ヲ以テ其船舶ヲ航海ノ用ニ供シタルトキハ其利用ニ関スル事項ニ付テハ第三者ニ対シテ船舶所有者ト同一ノ権利義務ヲ有ス
2 前項ノ場合ニ於テ船舶ノ利用ニ付キ生シタル先取特権ハ船舶所有者ニ対シテモ其効力ヲ生ス但先取特権者カ其利用ノ契約ニ反スルコトヲ知レルトキハ此限ニ在ラス

第二章 船長

第七百五条 船長ハ其職務ヲ行フニ付キ注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ船舶所有者、傭船者、荷送人其他ノ利害関係人ニ対シテ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス
2 船長ハ船舶所有者ノ指図ニ従ヒタルトキト雖モ船舶所有者以外ノ者ニ対シテハ前項ニ定メタル責任ヲ免ルルコトヲ得ス

第七百六条 海員カ其職務ヲ行フニ当タリ他人ニ損害ヲ加ヘタル場合ニ於テ船長ハ監督ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス

第七百七条 船長カ已ムコトヲ得サル事由ニ因リテ自ラ船舶ヲ指揮スルコト能ハサルトキハ法令ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外他人ヲ選任シテ自己ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得此場合ニ於テハ船長ハ其選任ニ付キ船舶所有者ニ対シテ其責ニ任ス

第七百八条 削除

第七百九条 船長ハ属具目録及ヒ運送契約ニ関スル書類ヲ船中ニ備ヘ置クコトヲ要ス
2 前項ノ属具目録ハ外国ニ航行セサル船舶ニ限リ国土交通省令ヲ以テ之ヲ備フルコトヲ要セサルモノト定ムルコトヲ得

第七百十条 削除

第七百十一条 削除

第七百十二条 船長ハ航海中最モ利害関係人ノ利益ニ適スヘキ方法ニ依リテ積荷ノ処分ヲ為スコトヲ要ス
2 利害関係人ハ船長ノ行為ニ因リ其積荷ニ付テ生シタル債権ノ為メ之ヲ債権者ニ委付シテ其責ヲ免ルルコトヲ得但利害関係人ニ過失アリタルトキハ此限ニ在ラス

第七百十三条 船籍港外ニ於テハ船長ハ航海ノ為メニ必要ナル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
2 船籍港ニ於テハ船長ハ特ニ委任ヲ受ケタル場合ヲ除ク外海員ノ雇入及ヒ雇止ヲ為ス権限ノミヲ有ス

第七百十四条 船長ノ代理権ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス

第七百十五条 船長ハ船舶ノ修繕費、救助料其他航海ヲ継続スルニ必要ナル費用ヲ支弁スル為メニ非サレハ左ニ掲ケタル行為ヲ為スコトヲ得ス
 一 船舶ヲ抵当ト為スコト
 二 借財ヲ為スコト
 三 積荷ノ全部又ハ一部ヲ売却又ハ質入スルコト但第七百十二条第一項ノ場合ハ此限ニ在ラス
2 船長カ積荷ヲ売却又ハ質入シタル場合ニ於ケル損害賠償ノ額ハ其積荷ノ到達スヘカリシ時ニ於ケル陸揚港ノ価格ニ依リテ之ヲ定ム但其価格中ヨリ支払フコトヲ要セサリシ費用ヲ控除スルコトヲ要ス

第七百十六条 削除

第七百十七条 船籍港外ニ於テ船舶カ修繕スルコト能ハサルニ至リタルトキハ船長ハ管海官庁ノ認可ヲ得テ之ヲ競売スルコトヲ得

第七百十八条 左ノ場合ニ於テハ船舶ハ修繕スルコト能ハサルニ至リタルモノト看做ス
 一 船舶カ其現在地ニ於テ修繕ヲ受クルコト能ハス且其修繕ヲ為スヘキ地ニ到ルコト能ハサルトキ
 二 修繕費カ船舶ノ価額ノ四分ノ三ニ超ユルトキ
2 前項第二号ノ価額ハ船舶カ航海中毀損シタル場合ニ於テハ其発航ノ時ニ於ケル価額トシ其他ノ場合ニ於テハ其毀損前ニ有セシ価額トス

第七百十九条 船長ハ航海ヲ継続スル為ノ必要ナルトキハ積荷ヲ航海ノ用ニ供スルコトヲ得此場合ニ於テハ第七百十五条第二項ノ規定ヲ準用ス

第七百二十条 船長ハ遅滞ナク航海ニ関スル重要ナル事項ヲ船舶所有者ニ報告スルコトヲ要ス
2 船長ハ毎航海ノ終ニ於テ遅滞ナク其航海ニ関スル計算ヲ為シテ船舶所有者ノ承認ヲ求メ又船舶所有者ノ請求アルトキハ何時ニテモ計算ノ報告ヲ為スコトヲ要ス

第七百二十一条 船舶所有者ハ何時ニテモ船長ヲ解任スルコトヲ得但正当ノ理由ナクシテ之ヲ解任シタルトキハ船長ハ船舶所有者ニ対シ解任ニ因リテ生シタル損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得
2 船長カ船舶共有者ナル場合ニ於テ其意ニ反シテ解任セラレタルトキハ他ノ共有者ニ対シ相当代価ヲ以テ自己ノ持分ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得
3 船長カ前項ノ請求ヲ為サント欲スルトキハ遅滞ナク他ノ共有者又ハ船舶管理人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス

第七百二十二条乃至第七百三十六条 削除

第三章 運送

第一節 物品運送

第一款 総則

第七百三十七条 船舶ノ全部又ハ一部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタルトキハ各当事者ハ相手方ノ請求ニ因リ運送契約書ヲ交付スルコトヲ要ス

第七百三十八条 船舶所有者ハ傭船者又ハ荷送人ニ対シ発航ノ当時船舶カ安全ニ航海ヲ為スニ堪フルコトヲ担保ス

第七百三十九条 船舶所有者ハ特約ヲ為シタルトキト雖モ自己ノ過失、船員其他ノ使用人ノ悪意若クハ重大ナル過失又ハ船舶カ航海ニ堪ヘサルニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ヲ免ルルコトヲ得ス

第七百四十条 法令ニ違反シ又ハ契約ニ依ラスシテ船積シタル運送品ハ船長ニ於テ何時ニテモ之ヲ陸揚シ、若シ船舶又ハ積荷ニ危害ヲ及ホス虞アルトキハ之ヲ放棄スルコトヲ得但船長カ之ヲ運送スルトキハ其船積ノ地及ヒ時ニ於ケル同種ノ運送品ノ最高ノ運送賃ヲ請求スルコトヲ得
2 前項ノ規定ハ船舶所有者其他ノ利害関係人カ損害賠償ノ請求ヲ為スコトヲ妨ケス

第七百四十一条 船舶ノ全部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ於テ運送品ヲ船積スルニ必要ナル準備カ整頓シタルトキハ船舶所有者ハ遅滞ナク傭船者ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
2 傭船者カ運送品ヲ船積スヘキ期間ノ定アル場合ニ於テハ其期間ハ前項ノ通知アリタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス其期間経過ノ後運送品ヲ船積シタルトキハ船舶所有者ハ特約ナキトキト雖モ相当ノ報酬ヲ請求スルコトヲ得
3 前項ノ期間中ニハ不可抗力ニ因リテ船積ヲ為スコト能ハサル日ヲ算入セス

第七百四十二条 船長カ第三者ヨリ運送品ヲ受取ルヘキ場合ニ於テ其者ヲ確知スルコト能ハサルトキ又ハ其者カ運送品ヲ船積セサルトキハ船長ハ直チニ傭船者ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス此場合ニ於テハ船積期間内ニ限リ傭船者ニ於テ運送品ヲ船積スルコトヲ得

第七百四十三条 傭船者ハ運送品ノ全部ヲ船積セサルトキト雖モ船長ニ対シテ発航ノ請求ヲ為スコトヲ得
2 傭船者カ前項ノ請求ヲ為シタルトキハ運送賃ノ全額ノ外運送品ノ全部ヲ船積セサルニ因リテ生シタル費用ヲ支払ヒ尚ホ船舶所有者ノ請求アルトキハ相当ノ担保ヲ供スルコトヲ要ス

第七百四十四条 船積期間経過ノ後ハ傭船者カ運送品ノ全部ヲ船積セサルトキト雖モ船長ハ直チニ発航ヲ為スコトヲ得
2 前条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

第七百四十五条 発航前ニ於テハ傭船者ハ運送賃ノ半額ヲ支払ヒテ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得
2 往復航海ヲ為スヘキ場合ニ於テ傭船者カ其帰航ノ発航前ニ契約ノ解除ヲ為シタルトキハ運送賃ノ三分ノ二ヲ支払フコトヲ要ス他港ヨリ船積港ニ航行スヘキ場合ニ於テ傭船者カ其船積港ヲ発スル前ニ契約ノ解除ヲ為シタルトキ亦向シ
3 運送品ノ全部又ハ一部ヲ船積シタル後前二項ノ規定ニ従ヒテ契約ノ解除ヲ為シタルトキハ其船積及ヒ陸揚ノ費用ハ傭船者之ヲ負担ス
4 傭船者カ船積期間内ニ運送品ノ船積ヲ為ササリシトキハ契約ノ解除ヲ為シタルモノト看做ス

第七百四十六条 傭船者カ前条ノ規定ニ従ヒテ契約ノ解除ヲ為シタルトキト雖モ附随ノ費用及ヒ立替金ヲ支払フ責ヲ免ルルコトヲ得ス
2 前条第二項ノ場合ニ於テハ傭船者ハ前項ニ掲ケタルモノノ外運送品ノ価格ニ応シ共同海損又ハ救助ノ為メ負担スヘキ金額ヲ支払フコトヲ要ス

第七百四十七条 発航後ニ於テハ傭船者ハ運送賃ノ全額ヲ支払フ外第七百五十三条第一項ニ定メタル債務ヲ弁済シ且陸揚ノ為メニ生スヘキ損害ヲ賠償シ又ハ相当ノ担保ヲ供スルニ非サレハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得ス

第七百四十八条 船舶ノ一部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ於テ傭船者カ他ノ傭船者及ヒ荷送人ト共同セスシテ発航前ニ契約ノ解除ヲ為シタルトキハ運送賃ノ全額ヲ支払フコトヲ要ス但船舶所有者カ他ノ運送品ヨリ得タル運送賃ハ之ヲ控除ス
2 発航前ト雖モ傭船者カ既ニ運送品ノ全部又ハ一部ヲ船積シタルトキハ他ノ傭船者及ヒ荷送人ノ同意ヲ得ルニ非サレハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得ス
3 前七条ノ規定ハ船舶ノ一部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ之ヲ準用ス

第七百四十九条 箇箇ノ運送品ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタルトキハ荷送人ハ船長ノ指図ニ従ヒ遅滞ナク運送品ヲ船積スルコトヲ要ス
2 荷送人カ運送品ノ船積ヲ怠リタルトキハ船長ハ直チニ発航ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ荷送人ハ運送賃ノ全額ヲ支払フコトヲ要ス但船舶所有者カ他ノ運送品ヨリ得タル運送賃ハ之ヲ控除ス

第七百五十条 第七百四十八条ノ規定ハ荷送人カ契約ノ解除ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス

第七百五十一条 傭船者又ハ荷送人ハ船積期間内ニ運送ニ必要ナル書類ヲ船長ニ交付スルコトヲ要ス

第七百五十二条 船舶ノ全部又ハ一部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ於テ運送品ヲ陸揚スルニ必要ナル準備カ整頓シタルトキハ船長ハ遅滞ナク荷受人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
2 運送品ヲ陸揚スヘキ期間ノ定アル場合ニ於テハ其期間ハ前項ノ通知アリタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス其期間経過ノ後運送品ヲ陸揚シタルトキハ船舶所有者ハ特約ナキトキト雖モ相当ノ報酬ヲ請求スルコトヲ得
3 前項ノ期間中ニハ不可抗力ニ因リテ陸揚ヲ為スコト能ハサル日ヲ算入セス
4 箇箇ノ運送品ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタルトキハ荷受人ハ船長ノ指図ニ従ヒ遅滞ナク運送品ヲ陸揚スルコトヲ要ス

第七百五十三条 荷受人カ運送品ヲ受取リタルトキハ運送契約又ハ船荷証券ノ趣旨ニ従ヒ運送賃、附随ノ費用、立替金、碇泊料及ヒ運送品ノ価格ニ応シ共同海損又ハ救助ノ為メ負担スヘキ金額ヲ支払フ義務ヲ負フ
2 船長ハ前項ニ定メタル金額ノ支払ト引換ニ非サレハ運送品ヲ引渡スコトヲ要セス

第七百五十四条 荷受人カ運送品ヲ受取ルコトヲ怠リタルトキハ船長ハ之ヲ供託スルコトヲ得此場合ニ於テハ遅滞ナク荷受人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
2 荷受人ヲ確知スルコト能ハサルトキ又ハ荷受人カ運送品ヲ受取ルコトヲ拒ミタルトキハ船長ハ運送品ヲ供託スルコトヲ要ス此場合ニ於テハ遅滞ナク傭船者又ハ荷送人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス

第七百五十五条 運送品ノ重量又ハ容積ヲ以テ運送賃ヲ定メタルトキハ其額ハ運送品引渡ノ当時ニ於ケル重量又ハ容積ニ依リテ之ヲ定ム

第七百五十六条 期間ヲ以テ運送賃ヲ定メタルトキハ其額ハ運送品ノ船積著手ノ日ヨリ其陸揚終了ノ日マテノ期間ニ依リテ之ヲ定ム但船舶カ不可抗力ニ因リ発航港若クハ航海ノ途中ニ於テ碇泊ヲ為スヘキトキ又ハ航海ノ途中ニ於テ船舶ヲ修繕スヘキトキハ其期間ハ之ヲ算入セス第七百四十一条第二項又ハ第七百五十二条第二項ノ場合ニ於テ船積期間又ハ陸揚期間経過ノ後運送品ノ船積又ハ陸揚ヲ為シタル日数亦同シ

第七百五十七条 船舶所有者ハ第七百五十三条第一項ニ定メタル金額ノ支払ヲ受クル為ノ裁判所ノ許可ヲ得テ運送品ヲ競売スルコトヲ得
2 船長カ荷受人ニ運送品ヲ引渡シタル後ト雖モ船舶所有者ハ其運送品ノ上ニ権利ヲ行使スルコトヲ得但引渡ノ日ヨリ二週間ヲ経過シタルトキ又ハ第三者カ其占有ヲ取得シタルトキハ此限ニ在ラス
3 前項ノ許可ニ係ル事件ハ同項ノ運送品ノ所在地ノ地方裁判所之ヲ管轄ス

第七百五十八条 船舶所有者カ前条ニ定メタル権利ヲ行ハサルトキハ傭船者又ハ荷送人ニ対スル請求権ヲ失フ但傭船者又ハ荷送人ハ其受ケタル利益ノ限度ニ於テ償還ヲ為スコトヲ要ス

第七百五十九条 船舶ノ全部又ハ一部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ於テ傭船者カ更ニ第三者ト運送契約ヲ為シタルトキハ其契約ノ履行カ船長ノ職務ニ属スル範囲内ニ於テハ船舶所有者ノミ其第三者ニ対シテ履行ノ責ニ任ス

第七百六十条 船舶ノ全部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ於テハ其契約ハ左ノ事由ニ因リテ終了ス
 一 船舶ガ沈没シタルコト
 二 船舶ガ修繕スルコト能ハザルニ至リタルコト
 三 船舶ガ捕獲セラレタルコト
 四 運送品カ不可抗力ニ因リテ滅失シタルコト
2 前項第一号乃至第三号ニ掲ケタル事由カ航海中ニ生シタルトキハ傭船者ハ運送ノ割合ニ応シ運送品ノ価格ヲ超エサル限度ニ於テ運送賃ヲ支払フコトヲ要ス

第七百六十一条 航海又ハ運送カ法令ニ反スルニ至リタルトキ其他不可抗力ニ因リテ契約ヲ為シタル目的ヲ達スルコト能ハサルニ至リタルトキハ各当事者ハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得
2 前項ニ掲ケタル事由カ発航後ニ生シタル場合ニ於テ契約ノ解除ヲ為シタルトキハ傭船者ハ運送ノ割合ニ応シテ運送賃ヲ支払フコトヲ要ス

第七百六十二条 第七百六十条第一項第四号及ヒ前条第一項ニ掲ケタル事由カ運送品ノ一部ニ付テ生シタルトキハ傭船者ハ船舶所有者ノ負担ヲ重カラシメサル範囲内ニ於テ他ノ運送品ヲ船積スルコトヲ得
2 傭船者カ前項ニ定メタル権利ヲ行ハント欲スルトキハ遅滞ナク運送品ノ陸揚又ハ船積ヲ為スコトヲ要ス若シ其陸揚又ハ船積ヲ怠リタルトキハ運送賃ノ全額ヲ支払フコトヲ要ス

第七百六十三条 第七百六十条及ヒ第七百六十一条ノ規定ハ船舶ノ一部又ハ箇箇ノ運送品ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ之ヲ準用ス
2 第七百六十条第一項第四号及ヒ第七百六十一条第一項ニ掲ケタル事由カ運送品ノ一部ニ付テ生シタルトキト雖モ傭船者又ハ荷送人ハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得但運送賃ノ全額ヲ支払フコトヲ要ス

第七百六十四条 船舶所有者ハ左ノ場合ニ於テハ運送賃ノ全額ヲ請求スルコトヲ得
 一 船長カ第七百十五条第一項ノ規定ニ従ヒテ積荷ヲ売却又ハ質入シタルトキ
 二 船長カ第七百十九条ノ規定ニ従ヒテ積荷ヲ航海ノ用ニ供シタルトキ
 三 船長カ第七百八十八条ノ規定ニ従ヒテ積荷ヲ処分シタルトキ

第七百六十五条 船舶所有者ノ傭船者、荷送人又ハ荷受人ニ対スル債権ハ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス

第七百六十六条 第五百六十六条、第五百七十六条乃至第五百八十一条及ヒ第五百八十八条ノ規定ハ船舶所有者ニ之ヲ準用ス

第二款 船荷証券

第七百六十七条 船長ハ傭船者又ハ荷送人ノ請求ニ因リ運送品ノ船積後遅滞ナク一通又ハ数通ノ船荷証券ヲ交付スルコトヲ要ス

第七百六十八条 船舶所有者ハ船長以外ノ者ニ船長ニ代ハリテ船荷証券ヲ交付スルコトヲ委任スルコトヲ得

第七百六十九条 船荷証券ニハ左ノ事項ヲ記載シ船長又ハ之ニ代ハル者署名スルコトヲ要ス
 一 船舶ノ名称及ヒ国籍
 二 船長カ船荷証券ヲ作ラサルトキハ船長ノ氏名
 三 運送品ノ種類、重量若クハ容積及ヒ其荷造ノ種類、箇数並ニ記号
 四 傭船者又ハ荷送人ノ氏名又ハ商号
 五 荷受人ノ氏名若クハ商号
 六 船積港
 七 陸揚港但発航後傭船者又ハ荷送人カ陸揚港ヲ指定スヘキトキハ其之ヲ指定スヘキ港
 八 運送賃
 九 数通ノ船荷証券ヲ作リタルトキハ其員数
 十 船荷証券ノ作成地及ヒ其作成ノ年月日

第七百七十条 傭船者又ハ荷送人ハ船長又ハ之ニ代ハル者ノ請求ニ因リ船荷証券ノ謄本ニ署名シテ之ヲ交付スルコトヲ要ス

第七百七十一条 陸揚港ニ於テハ船長ハ数通ノ船荷証券中ノ一通ノ所持人カ運送品ノ引渡ヲ請求シタルトキト雖モ其引渡ヲ拒ムコトヲ得ス

第七百七十二条 陸揚港外ニ於テハ船長ハ船荷証券ノ各通ノ返還ヲ受クルニ非サレハ運送品ヲ引渡スコトヲ得ス

第七百七十三条 二人以上ノ船荷証券所持人カ運送品ノ引渡ヲ請求シタルトキハ船長ハ遅滞ナク運送品ヲ供託シ且請求ヲ為シタル各所持人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス船長カ第七百七十一条ノ規定ニ依リテ運送品ノ一部ヲ引渡シタル後他ノ所持人カ運送品ノ引渡ヲ請求シタル場合ニ於テ其残部ニ付キ亦同シ

第七百七十四条 二人以上ノ船荷証券所持人アル場合ニ於テ其一人カ他ノ所持人ニ先チテ船長ヨリ運送品ノ引渡ヲ受ケタルトキハ他ノ所持人ノ船荷証券ハ其効力ヲ失フ

第七百七十五条 二人以上ノ船荷証券所持人アル場合ニ於テ船長カ未タ運送品ノ引渡ヲ為ササルトキハ原所持人カ最モ先ニ発送シ又ハ引渡シタル証券ヲ所持スル者他ノ所持人ニ先チテ其権利ヲ行フ

第七百七十六条 第五百七十二条乃至第五百七十五条及ヒ第五百八十四条ノ規定ハ船荷証券ニ之ヲ準用ス

第二節 旅客運送

第七百七十七条 記名ノ乗船切符ハ之ヲ他人ニ譲渡スコトヲ得ス

第七百七十八条 旅客ノ航海中ノ食料ハ船舶所有者ノ負担トス

第七百七十九条 旅客カ契約ニ依リ船中ニ携帯スルコトヲ得ル手荷物ニ付テハ船舶所有者ハ特約アルニ非サレハ別ニ運送賃ヲ請求スルコトヲ得ス

第七百八十条 旅客カ乗船時期マテニ船舶ニ乗込マサルトキハ船長ハ発航ヲ為シ又ハ航海ヲ継続スルコトヲ得此場合ニ於テハ旅客ハ運送賃ノ全額ヲ支払フコトヲ要ス

第七百八十一条 発航前ニ於テハ旅客ハ運送賃ノ半額ヲ支払ヒテ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得
2 発航後ニ於テハ旅客ハ運送賃ノ全額ヲ支払フニ非サレハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得ス

第七百八十二条 旅客カ発航前ニ死亡、疾病其他一身ニ関スル不可抗力ニ因リテ航海ヲ為スコト能ハサルニ至リタルトキハ船舶所有者ハ運送賃ノ四分ノ一ヲ請求スルコトヲ得
2 前項ニ掲ケタル事由カ発航後ニ生シタルトキハ船舶所有者ハ其選択ニ従ヒ運送賃ノ四分ノ一ヲ請求シ又ハ運送ノ割合ニ応シテ運送賃ヲ請求スルコトヲ得

第七百八十三条 航海ノ途中ニ於テ船舶ヲ修繕スヘキトキハ船舶所有者ハ其修繕中旅客ニ相当ノ住居及ヒ食料ヲ供スルコトヲ要ス但旅客ノ権利ヲ害セサル範囲内ニ於テ他ノ船舶ヲ以テ上陸港マテ旅客ヲ運送スルコトヲ提供シタルトキハ此限ニ在ラス

第七百八十四条 旅客運送契約ハ第七百六十条第一項第一号乃至第三号ニ掲ケタル事由ニ因リテ終了ス若シ其事由カ航海中ニ生シタルトキハ旅客ハ運送ノ割合ニ応シテ運送賃ヲ支払フコトヲ要ス

第七百八十五条 旅客カ死亡シタルトキハ船長ハ最モ其相続人ノ利益ニ適スヘキ方法ニ依リテ其船中ニ在ル手荷物ノ処分ヲ為スコトヲ要ス

第七百八十六条 第五百九十条、第五百九十一条第一項、第五百九十二条、第七百三十八条、第七百三十九条、第七百六十一条及ヒ第七百六十五条ノ規定ハ海上ノ旅客運送ニ之ヲ準用ス
2 第七百四十条及ヒ第七百六十四条ノ規定ハ旅客ノ手荷物ニ之ヲ準用ス

第七百八十七条 旅客運送ヲ為ス為メ船舶ノ全部又ハ一部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ於テハ船舶所有者ト傭船者トノ関係ニ付テハ前節第一款ノ規定ヲ準用ス

第四章 海損

第七百八十八条 船長カ船舶及ヒ積荷ヲシテ共同ノ危険ヲ免レシムル為メ船舶又ハ積荷ニ付キ為シタル処分ニ因リテ生シタル損害及ヒ費用ハ之ヲ共同海損トス
2 前項ノ規定ハ危険カ過失ニ因リテ生シタル場合ニ於テ利害関係人ノ過失者ニ対スル求償ヲ妨ケス

第七百八十九条 共同海損ハ之ニ因リテ保存スルコトヲ得タル船舶又ハ積荷ノ価格ト運送賃ノ半額ト共同海損タル損害ノ額トノ割合ニ応シテ各利害関係人之ヲ分担ス

第七百九十条 共同海損ノ分担額ニ付テハ船舶ノ価格ハ到達ノ地及ヒ時ニ於ケル価格トシ積荷ノ価格ハ陸揚ノ地及ヒ時ニ於ケル価格トス但積荷ニ付テハ其価格中ヨリ滅失ノ場合ニ於テ支払フコトヲ要セサル運送賃其他ノ費用ヲ控除スルコトヲ要ス

第七百九十一条 前二条ノ規定ニ依リ共同海損ヲ分担スヘキ者ハ船舶ノ到達又ハ積荷ノ引渡ノ時ニ於テ現存スル価額ノ限度ニ於テノミ其責ニ任ス

第七百九十二条 船舶ニ備附ケタル武器、船員ノ給料、船員及ヒ旅客ノ食料並ニ衣類ハ共同海損ノ分担ニ付キ其価額ヲ算入セス但此等ノ物ニ加ヘタル損害ハ他ノ利害関係人之ヲ分担ス

第七百九十三条 船荷証券其他積荷ノ価格ヲ評定スルニ足ルヘキ書類ナクシテ船積シタル荷物又ハ属具目録ニ記載セサル属具ニ加ヘタル損害ハ利害関係人ニ於テ之ヲ分担スルコトヲ要セス
2 甲板ニ積込ミタル荷物ニ加ヘタル損害亦同シ但沿岸ノ小航海ニ在リテハ此限ニ在ラス
3 前二項ニ掲ケタル積荷ノ利害関係人ト雖モ共同海損ヲ分担スル責ヲ免ルルコトヲ得ス

第七百九十四条 共同海損タル損害ノ額ハ到達ノ地及ヒ時ニ於ケル船舶ノ価格又ハ陸揚ノ地及ヒ時ニ於ケル積荷ノ価格ニ依リテ之ヲ定ム但積荷ニ付テハ其滅失又ハ毀損ノ為メ支払フコトヲ要セサリシ一切ノ費用ヲ控除スルコトヲ要ス
2 第五百七十八条ノ規定ハ共同海損ノ場合ニ之ヲ準用ス

第七百九十五条 船荷証券其他積荷ノ価格ヲ評定スルニ足ルヘキ書類ニ積荷ノ実価ヨリ低キ価額ヲ記載シタルトキハ其積荷ニ加ヘタル損害ノ額ハ其記載シタル価額ニ依リテ之ヲ定ム
2 積荷ノ実価ヨリ高キ価額ヲ記載シタルトキハ其積荷ノ利害関係人ハ其記載シタル価額ニ応シテ共同海損ヲ分担ス
3 前二項ノ規定ハ積荷ノ価格ニ影響ヲ及ホスヘキ事項ニ付キ虚偽ノ記載ヲ為シタル場合ニ之ヲ準用ス

第七百九十六条 第七百八十九条ノ規定ニ依リテ利害関係人カ共同海損ヲ分担シタル後船舶、其属具若クハ積荷ノ全部又ハ一部カ其所有者ニ復シタルトキハ其所有者ハ償金中ヨリ救助科及ヒ一部滅失又ハ毀損ニ因リテ生シタル損害ノ額ヲ控除シタルモノヲ返還スルコトヲ要ス

第七百九十七条 船舶カ双方ノ船員ノ過失ニ因リテ衝突シタル場合ニ於テ双方ノ過失ノ軽重ヲ判定スルコト能ハサルトキハ其衝突ニ因リテ生シタル損害ハ各船舶ノ所有者平分シテ之ヲ負担ス

第七百九十八条 共同海損又ハ船舶ノ衝突ニ因リテ生シタル債権ハ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
2 前項ノ期間ハ共同海損ニ付テハ其計算終了ノ時ヨリ之ヲ起算ス

第七百九十九条 本章ノ規定ハ船舶カ不可抗力ニ因リ発航港又ハ航海ノ途中ニ於テ碇泊ヲ為ス為メニ要スル費用ニ之ヲ準用ス

第五章 海難救助

第八百条 船舶又ハ積荷ノ全部又ハ一部カ海難ニ遭遇セル場合ニ於テ義務ナクシテ之ヲ救助シタル者ハ其結果ニ対シテ相当ノ救助料ヲ請求スルコトヲ得

第八百一条 救助料ニ付キ特約ナキ場合ニ於テ其額ニ付キ争アルトキハ危険ノ程度、救助ノ結果、救助ノ為メニ要シタル労力及ヒ費用其他一切ノ事情ヲ斟酌シテ裁判所之ヲ定ム

第八百二条 海難ニ際シ契約ヲ以テ救助料ヲ定メタル場合ニ於テ其額カ著シク不相当ナルトキハ当事者ハ其増加又ハ減少ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ前条ノ規定ヲ準用ス

第八百三条 救助料ノ額ハ特約ナキトキハ救助セラレタル物ノ価額ニ超ユルコトヲ得ス
2 先順位ノ先取特権アルトキハ救助料ノ額ハ先取特権者ノ債権額ヲ控除シタル残額ニ超ユルコトヲ得ス

第八百四条 数人カ共同シテ救助ヲ為シタル場合ニ於テ救助料分配ノ割合ニ付テハ第八百一条ノ規定ヲ準用ス
2 人命ノ救助ニ従事シタル者モ亦前項ノ規定ニ従ヒテ救助料ノ分配ヲ受クルコトヲ得

第八百五条 救助ニ従事シタル船舶カ汽船ナルトキハ救助料ノ三分ノ二、帆船ナルトキハ其二分ノ一ヲ船舶所有者ニ支払ヒ其残額ハ折半シテ之ヲ船長及ヒ海員ニ支払フコトヲ要ス
2 前項ノ規定ニ依リテ会員ニ支払フヘキ金額ノ分配ハ船長之ヲ行フ此場合ニ於テハ前条ノ規定ヲ準用ス
3 前二項ノ規定ニ反スル契約ハ無効トス

第八百六条 船長カ前条第二項ノ規定ニ依リ救助料ノ分配ヲ為スニハ航海ヲ終ハルマテニ分配案ヲ作リ之ヲ海員ニ告示スルコトヲ要ス

第八百七条 海員カ前条ノ分配案ニ対シテ異議ノ申立ヲ為サントスルトキハ其告示アリタル後異議ノ申立ヲ為スコトヲ得ル最初ノ港ノ管海官庁ニ之ヲ為スコトヲ要ス
2 管海官庁ハ異議ヲ理由アリトスルトキハ分配案ヲ更正スルコトヲ得
3 船長ハ異議ノ落著前ニハ救助料ノ支払ヲ為スコトヲ得ス

第八百八条 船長カ分配案ノ作成ヲ怠リタルトキハ管海官庁ハ海員ノ請求ニ因リ船長ニ対シテ分配案ノ作成ヲ命スルコトヲ得
2 船長カ前項ノ命令ニ従ハサルトキハ管海官庁ハ分配案ヲ作ルコトヲ得

第八百九条 左ノ場合ニ於テハ救助者ハ救助料ヲ請求スルコトヲ得ス
 一 故意又ハ過失ニ因リテ海難ヲ惹起シタルトキ
 二 正当ノ事由ニ因リテ救助ヲ拒マレタルニ拘ハラス強ヒテ之ニ従事シタルトキ
 三 救助シタル物品ヲ隠匿シ又ハ濫ニ之ヲ処分シタルトキ

第八百十条 救助者ハ其債権ニ付キ救助シタル積荷ノ上ニ先取特権ヲ有ス
2 前項ノ先取特権ニハ船舶債権者ノ先取特権ニ関スル規定ヲ準用ス

第八百十一条 船長ハ救助料ノ債務者ニ代ハリテ其支払ニ関スル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
2 救助料ニ関スル訴ニ於テハ船長ハ自ラ原告又ハ被告ト為ルコトヲ得但其訴ニ付キ言渡シタル判決ハ救助料ノ債務者ニ対シテモ其効力ヲ有ス

第八百十二条 積荷ノ所有者ハ救助セラレタル物ヲ以テ救助料ヲ支払フ義務ヲ負フ

第八百十三条 積荷ノ上ニ存スル先取特権ハ債務者カ其積荷ヲ第三取得者ニ引渡シタル後ハ其積荷ニ付キ之ヲ行フコトヲ得ス

第八百十四条 救助料ノ請求権ハ救助ヲ為シタル時ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス

第六章 保険

第八百十五条 海上保険契約ハ航海ニ関スル事故ニ因リテ生スルコトアルヘキ損害ノ填補ヲ以テ其目的トス
2 海上保険契約ニハ本章ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外保険法(平成二十年法律第五十六号)第二章第一節乃至第四節及ビ第六節並ニ第五章ノ規定ヲ適用ス

第八百十六条 保険者ハ本章又ハ保険契約ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外保険期間中保険ノ目的ニ付キ航海ニ関スル事故ニ因リテ生シタル一切ノ損害ヲ填補スル責ニ任ス

第八百十七条 保険者ハ被保険者カ支払フヘキ共同海損ノ分担額ヲ填補スル責ニ任ス但保険価額ノ一部ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ保険者ノ負担ハ保険金額ノ保険価額ニ対スル割合ニ依リテ之ヲ定ム

第八百十八条 船舶ノ保険ニ付テハ保険者ノ責任カ始マル時ニ於ケル其価額ヲ以テ保険価額トス

第八百十九条 積荷ノ保険ニ付テハ其船積ノ地及ヒ時ニ於ケル其価額及ヒ船積並ニ保険ニ関スル費用ヲ以テ保険価額トス

第八百二十条 積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益又ハ報酬ノ保険ニ付テハ契約ヲ以テ保険価額ヲ定メサリシトキハ保険金額ヲ以テ保険価額トシタルモノト推定ス

第八百二十一条 一航海ニ付キ船舶ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ保険者ノ責任ハ荷物又ハ底荷ノ船積ニ著手シタル時ヲ以テ始マル
2 荷物又ハ底荷ノ船積ヲ為シタル後船舶ヲ保険ニ付シタルトキハ保険者ノ責任ハ契約成立ノ時ヲ以テ始マル
3 前二項ノ場合ニ於テ保険者ノ責任ハ到達港ニ於テ荷物又ハ底荷ノ陸揚カ終了シタル時ヲ以テ終ハル但其陸揚カ不可抗力ニ因ラスシテ遅延シタルトキハ其終了スヘカリシ時ヲ以テ終ハル

第八百二十二条 積荷ヲ保険ニ付シ又ハ積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益若クハ報酬ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ保険者ノ責任ハ其積荷カ陸地ヲ離レタル時ヲ以テ始マリ陸揚港ニ於テ其陸掲カ終了シタル時ヲ以テ終ハル
2 前条第三項但書ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

第八百二十三条 海上保険証券ニハ保険法第六条第一項ニ掲ケタル事項ノ外左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
 一 船舶ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ其船舶ノ名称、国籍並ニ種類、船長ノ氏名及ヒ発航港、到達港又ハ寄航港ノ定アルトキハ其港名
 二 積荷ヲ保険ニ付シ又ハ積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益若クハ報酬ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ船舶ノ名称、国籍並ニ種類、船積港及ヒ陸揚港

第八百二十四条 保険者ノ責任カ始マル前ニ於テ航海ヲ変更シタルトキハ保険契約ハ其効力ヲ失フ
2 保険者ノ責任カ始マリタル後航海ヲ変更シタルトキハ保険者ハ其変更後ノ事故ニ付キ責任ヲ負フコトナシ但其変更カ保険契約者又ハ被保険者ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因リタルトキハ此限ニ在ラス
3 到達港ヲ変更シ其実行ニ著手シタルトキハ保険シタル航路ヲ離レサルトキト雖モ航海ヲ変更シタルモノト看做ス

第八百二十五条 被保険者カ発航ヲ為シ若クハ航海ヲ継続スルコトヲ怠リ又ハ航路ヲ変更シ其他著シク危険ヲ変更若クハ増加シタルトキハ保険者ハ其変更又ハ増加以後ノ事故ニ付キ責任ヲ負フコトナシ但其変更又ハ増加カ事故ノ発生ニ影響ヲ及ホササリシトキ又ハ保険者ノ負担ニ帰スヘキ不可抗力若クハ正当ノ理由ニ因リテ生シタルトキハ此限ニ在ラス

第八百二十六条 保険契約中ニ船長ヲ指定シタルトキト雖モ船長ノ変更ハ契約ノ効力ニ影響ヲ及ホサス

第八百二十七条 積荷ヲ保険ニ付シ又ハ積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益若クハ報酬ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テ船舶ヲ変更シタルトキハ保険者ハ其変更以後ノ事故ニ付キ責任ヲ負フコトナシ但其変更カ保険契約者又ハ被保険者ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因リタルトキハ此限ニ在ラス

第八百二十八条 保険契約ヲ為スニ当タリ荷物ヲ積込ムヘキ船舶ヲ定メサリシ場合ニ於テ保険契約者又ハ被保険者カ其荷物ヲ船積シタルコトヲ知リタルトキハ遅滞ナク保険者ニ対シテ船舶ノ名称及ヒ国籍ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス
2 保険契約者又ハ被保険者カ前項ノ通知ヲ怠リタルトキハ保険契約ハ其効力ヲ失フ

第八百二十九条 保険者ハ左ニ掲ケタル損害又ハ費用ヲ填補スル責ニ任セス
 一 保険ノ目的ノ性質若クハ瑕疵、其自然ノ消耗又ハ保険契約者若クハ被保険者ノ悪意若クハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル損害
 二 船舶又ハ運送賃ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テ発航ノ当時安全ニ航海ヲ為スニ必要ナル準備ヲ為サス又ハ必要ナル書類ヲ備ヘサルニ因リテ生シタル損害
 三 積荷ヲ保険ニ付シ又ハ積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益若クハ報酬ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テ傭船者、荷送人又ハ荷受人ノ悪意若クハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル損害
 四 水先案内料、入港料、灯台料、検疫料其他船舶又ハ積荷ニ付キ航海ノ為メニ出タシタル通常ノ費用

第八百三十条 共同海損ニ非サル損害又ハ費用カ其計算ニ関スル費用ヲ算入セスシテ保険価額ノ百分ノ二ヲ超エサルトキハ保険者ハ之ヲ填補スル責ニ任セス
2 右ノ損害又ハ費用カ保険価額ノ百分ノ二ヲ超エタルトキハ保険者ハ其全額ヲ支払フコトヲ要ス
3 前二項ノ規定ハ当事者カ契約ヲ以テ保険者ノ負担セサル損害又ハ費用ノ割合ヲ定メタル場合ニ之ヲ準用ス
4 前三項ニ定メタル割合ハ各航海ニ付キ之ヲ計算ス

第八百三十一条 保険ノ目的タル積荷カ毀損シテ陸揚港ニ到達シタルトキハ保険者ハ其積荷カ毀損シタル状況ニ於ケル価額ノ毀損セサル状況ニ於テ有スヘカリシ価額ニ対スル割合ヲ以テ保険価額ノ一部ヲ填補スル責ニ任ス

第八百三十二条 航海ノ途中ニ於テ不可抗力ニ因リ保険ノ目的タル積荷ヲ売却シタルトキハ其売却ニ依リテ得タル代価ノ中ヨリ運送賃其他ノ費用ヲ控除シタルモノト保険価額トノ差ヲ以テ保険者ノ負担トス但保険価額ノ一部ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テ保険法第十九条ノ適用ヲ妨ケス
2 前項ノ場合ニ於テ買主カ代価ヲ支払ハサルトキハ保険者ハ其支払ヲ為スコトヲ要ス但其支払ヲ為シタルトキハ被保険者ノ買主ニ対シテ有セル権利ヲ取得ス

第八百三十三条 左ノ場合ニ於テハ被保険者ハ保険ノ目的ヲ保険者ニ委付シテ保険金額ノ全部ヲ請求スルコトヲ得
 一 船舶カ沈没シタルトキ
 二 船舶ノ行方カ知レサルトキ
 三 船舶カ修繕スルコト能ハサルニ至リタルトキ
 四 船舶又ハ積荷カ捕獲セラレタルトキ
 五 船舶又ハ積荷カ官ノ処分ニ依リテ押収セラレ六个月間解放セラレサルトキ

第八百三十四条 船舶ノ存否カ六个月間分明ナラサルトキハ其船舶ハ行方ノ知レサルモノトス
2 保険期間ノ定アル場合ニ於テ其期間カ前項ノ期間内ニ経過シタルトキト雖モ被保険者ハ委付ヲ為スコトヲ得但船舶カ保険期間内ニ滅失セサリンコトノ証明アリタルトキハ其委付ハ無効トス

第八百三十五条 第八百三十三条第三号ノ場合ニ於テ船長カ遅滞ナク他ノ船舶ヲ以テ積荷ノ運送ヲ継続シタルトキハ被保険者ハ其積荷ヲ委付スルコトヲ得ス

第八百三十六条 被保険者カ委付ヲ為サント欲スルトキハ三个月内ニ保険者ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
2 前項ノ期間ハ第八百三十三条第一号、第三号及ヒ第四号ノ場合ニ於テハ被保険者カ其事由ヲ知リタル時ヨリ之ヲ起算ス
3 再保険ノ場合ニ於テハ第一項ノ期間ハ其被保険者カ自己ノ被保険者ヨリ委付ノ通知ヲ受ケタル時ヨリ之ヲ起算ス

第八百三十七条 委付ハ単純ナルコトヲ要ス
2 委付ハ保険ノ目的ノ全部ニ付テ之ヲ為スコトヲ要ス但委付ノ原因カ其一部ニ付テ生シタルトキハ其部分ニ付テノミ之ヲ為スコトヲ得
3 保険価額ノ一部ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ委付ハ保険金額ノ保険価額ニ対スル割合ニ応シテ之ヲ為スコトヲ得

第八百三十八条 保険者カ委付ヲ承認シタルトキハ後日其委付ニ対シテ異議ヲ述フルコトヲ得ス

第八百三十九条 保険者ハ委付ニ因リ被保険者カ保険ノ目的ニ付キ有セル一切ノ権利ヲ取得ス
2 被保険者カ委付ヲ為シタルトキハ保険ノ目的ニ関スル証書ヲ保険者ニ交付スルコトヲ要ス

第八百四十条 被保険者ハ委付ヲ為スニ当タリ保険者ニ対シ保険ノ目的ニ関スル他ノ保険契約並ニ其負担ニ属スル債務ノ有無及ヒ其種類ヲ通知スルコトヲ要ス
2 保険者ハ前項ノ通知ヲ受クルマテハ保険金額ノ支払ヲ為スコトヲ要セス
3 保険金額ノ支払ニ付キ期間ノ定アルトキハ其期間ハ保険者カ第一項ノ通知ヲ受ケタル時ヨリ之ヲ起算ス

第八百四十一条 保険者カ委付ヲ承認セサルトキハ被保険者ハ委付ノ原因ヲ証明シタル後ニ非サレハ保険金額ノ支払ヲ請求スルコトヲ得ス

第八百四十一条ノ二 本章ノ規定ハ相互保険ニ之ヲ準用ス但其性質ガ之ヲ許サザルトキハ此限ニ在ラズ

第七章 船舶債権者

第八百四十二条 左ニ掲ケタル債権ヲ有スル者ハ船舶、其属具及ヒ未タ受取ラサル運送賃ノ上ニ先取特権ヲ有ス
 一 船舶並ニ其属具ノ競売ニ関スル費用及ヒ競売手続開始後ノ保存費
 二 最後ノ港ニ於ケル船舶及ヒ其属具ノ保存費
 三 航海ニ関シ船舶ニ課シタル諸税
 四 水先案内料及ヒ挽船料
 五 救助料及ヒ船舶ノ負担ニ属スル共同海損
 六 航海継続ノ必要ニ因リテ生シタル債権
 七 雇傭契約ニ因リテ生シタル船長其他ノ船員ノ債権
 八 船舶カ其売買又ハ製造ノ後未タ航海ヲ為ササル場合ニ於テ其売買又ハ製造並ニ艤装ニ因リテ生シタル債権及ヒ最後ノ航海ノ為メニスル船舶ノ艤装、食料並ニ燃料ニ関スル債権

第八百四十三条 船舶債権者ノ先取特権ハ運送賃ニ付テハ其先取特権ノ生シタル航海ニ於ケル運送賃ノ上ニノミ存在ス

第八百四十四条 船舶債権者ノ先取特権カ互ニ競合スル場合ニ於テハ其優先権ノ順位ハ第八百四十二条ニ掲ケタル順序ニ従フ但同条第四号乃至第六号ノ債権間ニ在リテハ後ニ生シタルモノ前ニ生シタルモノニ先ツ
2 同一順位ノ先取特権者数人アルトキハ各其債権額ノ割合ニ応シテ弁済ヲ受ク但第八百四十二条第四号乃至第六号ノ債権カ同時ニ生セサリシ場合ニ於テハ後ニ生シタルモノ前ニ生シタルモノニ先ツ
3 先取特権カ数回ノ航海ニ付テ生シタル場合ニ於テハ前二項ノ規定ニ拘ハラス後ノ航海ニ付テ生シタルモノ前ノ航海ニ付テ生シタルモノニ先ツ

第八百四十五条 船舶債権者ノ先取特権ト他ノ先取特権ト競合スル場合ニ於テハ船舶債権者ノ先取特権ハ他ノ先取特権ニ先ツ

第八百四十六条 船舶所有者カ其船舶ヲ譲渡シタル場合ニ於テハ譲受人ハ其譲渡ヲ登記シタル後先取持権者ニ対シ一定ノ期間内ニ其債権ノ申出ヲ為スヘキ旨ヲ公告スルコトヲ要ス但其期間ハ一个月ヲ下ルコトヲ得ス
2 先取特権者カ前項ノ期間内ニ其債権ノ申出ヲ為ササリシトキハ其先取特権ハ消滅ス

第八百四十七条 船舶債権者ノ先取特権ハ其発生後一年ヲ経過シタルトキハ消滅ス
2 第八百四十二条第八号ノ先取特権ハ船舶ノ発航ニ因リテ消滅ス

第八百四十八条 登記シタル船舶ハ之ヲ以テ抵当権ノ目的ト為スコトヲ得
2 船舶ノ抵当権ハ其属具ニ及フ
3 船舶ノ抵当権ニハ不動産ノ抵当権ニ関スル規定ヲ準用ス此場合ニ於テハ民法第三百八十四条第一号中「抵当権を実行して競売の申立てをしないとき」トアルハ「抵当権の実行としての競売の申立て若しくはその提供を承諾しない旨の第三取得者に対する通知をせず、又はその通知をした債権者が抵当権の実行としての競売の申立てをすることができるに至った後一週間以内にこれをしないとき」ト読替フルモノトス

第八百四十九条 船舶ノ先取特権ハ抵当権ニ先チテ之ヲ行フコトヲ得

第八百五十条 登記シタル船舶ハ之ヲ以テ質権ノ目的ト為スコトヲ得ス

第八百五十一条 本章ノ規定ハ製造中ノ船舶ニ之ヲ準用ス

   附 則 [平成11年12月8日法律第151号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。[後略]

   附 則 [平成11年12月22日法律第160号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。[後略]

   附 則 [平成11年12月22日法律第225号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(罰則の適用に関する経過措置)
第二十六条 この法律の施行前にした行為及びこの法律の附則において従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

   附 則 [平成12年5月31日法律第90号]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(罰則の適用に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(労働契約の取扱いに関する措置)
第五条 会社法(平成十七年法律第八十六号)の規定に基づく会社分割に伴う労働契約の承継に関しては、会社分割をする会社は、会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(平成十二年法律第百三号)第二条第一項の規定による通知をすべき日までに、労働者と協議するものとする。
2 前項に規定するもののほか、同項の労働契約の承継に関連して必要となる労働者の保護に関しては、別に法律で定める。

   附 則 [平成13年6月8日法律第41号]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十四年四月一日から施行する。

   附 則 [平成13年6月15日法律第49号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 [平成13年6月29日法律第79号]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(この法律の施行前に買い受けた自己の株式等に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にこの法律による改正前の商法(以下「旧商法」という。)第二百十二条第一項(この法律による改正前の有限会社法(以下「旧有限会社法」という。)第二十四条第一項において準用する場合を含む。)若しくは第二百十二条ノ二第一項(旧有限会社法第二十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定により買い受けた株式若しくは持分又はこの法律による廃止前の株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律(以下「旧消却特例法」という。)第三条第一項の規定により買い受けた株式(資本準備金をもって買い受けたものを除く。)であって失効の手続を終了していないものに関しては、なお従前の例による。

(次期決算期に関する定時総会の終結の時までの自己の株式の買受けに関する経過措置)
第三条 この法律の施行前に到来した最終の決算期(以下「直前決算期」という。)に関する定時総会において、旧商法第二百十条ノ二第二項(次項の規定によりなおその効力を有するものとされる場合を含む。以下この項並びに附則第五条第二項及び第十三条において同じ。)及び第二百十二条ノ二第一項(次項の規定によりなおその効力を有するものとされる場合を含む。以下この項において同じ。)の決議をした株式会社は、この法律による改正後の商法(以下「新商法」という。)第二百十条第一項の規定にかかわらず、その決議において定めた買い受けるべき株式の種類、総数及び取得価額の総額の範囲内で、この法律の施行後最初に到来する決算期(以下「次期決算期」という。)に関する定時総会の終結の時までの間、自己の株式を買い受けることができる。
2 この法律の施行前に招集の手続が開始された直前決算期に関する定時総会においてこの法律の施行後にする自己の株式の買受けに関する決議については、旧商法第二百十条ノ二(第十項を除く。)並びに第二百十二条ノ二第一項から第三項まで及び第四項(旧商法第二百十条ノ二第十項を準用する部分を除く。)の規定は、なおその効力を有する。この場合においては、その定時総会の終結の時までは、新商法第二百十条第一項から第七項までの規定は、適用しない。
3 株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨の定款の定めがある会社が、この法律の施行前に開始した相続に係る株主の相続人からその相続によって得た株式を買い受ける場合については、旧商法第二百十条ノ三(第一項ただし書を除く。)の規定は、次期決算期に関する定時総会の終結の時までは、なおその効力を有する。
4 この法律の施行の際現に旧消却特例法第三条第一項の定款の定めがある株式会社は、新商法第二百十条第一項の規定にかかわらず、次期決算期に関する定時総会の終結の時までの間、旧消却特例法第三条第二項の規定によりその定款で定められていた株式の総数から旧消却特例法第三条の二第二項の規定によりその定款で定められていた株式の総数を控除した数の範囲内で、取締役会において買い受けるべき株式の種類、数及び取得価額の総額について決議することにより、株主に配当すべき利益をもって自己の株式を買い受けることができる。この場合において、次期決算期に関する定時総会の終結の時までに買い受けることができる株式の取得価額の総額及び取締役の責任については、旧消却特例法第三条第五項及び第六条の規定の例による。
5 この法律の施行後に第一項又は前項の規定により株式を買い受ける場合については、新商法第二百十条第八項中「第二項第二号ニ掲グル事項ニ付」とあるのは、「市場価格ナキ株式ノ売主ニ付」として、同項の規定を適用する。
6 この法律の施行後に第一項若しくは第四項の規定、第三項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧商法第二百十条ノ三第一項本文の規定又は附則第二十四条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる旧消却特例法第三条第一項の規定(以下この条及び次条第二項において「施行後買受規定」という。)により株式を買い受ける場合における新商法第二百十条ノ二第一項の規定の適用については、同項中「又ハ第二百十一条ノ三第一項」とあるのは、「、第二百十一条ノ三第一項又ハ商法等の一部を改正する等の法律(平成十三年法律第七十九号)附則第三条第六項ニ規定スル施行後買受規定」とする。

(この法律の施行日を含む営業年度以前に自己の株式を買い受けた取締役の責任に関する経過措置)
第四条 この法律の施行前に終了した営業年度における自己の株式の買受けに係る取締役の責任に関しては、なお従前の例による。
2 この法律の施行の日を含む営業年度内に商法第二百四条ノ三第一項(第二百四条ノ五において準用する場合を含む。)の規定、旧商法第二百十条ノ二第一項、第二百十条ノ三第一項本文若しくは第二百十二条ノ二第一項の規定、新商法第二百十条第一項若しくは第二百十一条ノ三第一項の規定、旧消却特例法第三条第一項の規定又は施行後買受規定により株式を買い受けた場合における取締役の責任についての新商法第二百十条ノ二第二項の規定の適用については、同項中「ニ於テ前項」とあるのは「ニ於テ商法等の一部を改正する等の法律(平成十三年法律第七十九号)附則第三条第六項ノ規定ニ依リ読替テ適用スル前項」と、「純資産額」とあるのは「純資産額ニ其ノ有スル自己ノ株式ニ付会計帳簿ニ記載シタル額ノ総額ヲ加ヘタル額」と、「同項ノ合計額」とあるのは「同項ノ合計額ニ同項ニ規定スル規定又ハ同法第一条ノ規定ニ依ル改正前ノ第二百十条ノ二第一項、第二百十条ノ三第一項本文若ハ第二百十二条ノ二第一項ノ規定若ハ同法第四条ノ規定ニ依ル廃止前ノ株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律(平成九年法律第五十五号)第三条第一項ノ規定(以下本項ニ於テ任意買受規定ト称ス)ニ依リ取得シテ有スル株式ニ付会計帳簿ニ記載シタル額ヲ加ヘタル額ヨリ其ノ株式ノ時価ノ合計額ヲ控除シタル額」と、「同項ニ規定スル規定」とあるのは「任意買受規定」と、「株式ノ価額ノ総額」とあるのは「株式ノ価額ノ総額及其ノ取得シテ有スル株式ノ時価ノ合計額」と、「前項ノ虞」とあるのは「本項本文ニ規定スル場合ニ当ル虞」とする。

(自己の株式の処分の制限等)
第五条 株式会社は、平成十四年三月三十一日までの間、新商法第三百五十六条、第三百七十四条ノ十九及び第四百九条ノ二並びに次項に規定する場合を除き、その有する自己の株式を処分してはならない。
2 旧商法第二百十条ノ二第二項の決議に基づいて株式を買い受けた会社は、その株式をその決議の範囲内で譲渡することができる。この場合においては、会社法(平成十七年法律第八十六号)第二編第二章第八節の規定は、適用しない。

(株式分割に関する経過措置)
第六条 この法律の施行前に決議をした株式の分割に関しては、なお従前の例による。

(端株主の権利に関する経過措置)
第七条 この法律の施行の際旧商法第二百三十条ノ五前段の規定による定款の定めがない株式会社(この法律の施行前に定款の認証を受け、この法律の施行後に成立するものを含む。)については、この法律の施行の日において、新商法第二百二十条ノ三第二項の規定により端株主に対して同条第一項第一号又は第四号の権利を与えない旨の定款の変更の決議があったものとみなす。
2 この法律の施行の際現に存する株式会社(この法律の施行前に定款の認証を受け、この法律の施行後に成立するものを含む。)については、この法律の施行の日において、新商法第二百二十条ノ三第二項の規定により端株主に対して同条第一項第三号の権利を与えない旨の定款の変更の決議があったものとみなす。
3 この法律の施行の際旧商法第二百三十条ノ五後段の規定による定款の定めがある株式会社の端株主であって株主でないものの配当若しくは金銭の分配又は引受権を受ける権利に関しては、なお従前の例による。

(端株券に関する経過措置)
第八条 この法律の施行前に旧商法第二百三十条ノ八ノ二第一項の規定により、定款を変更して、端株券を発行しない旨の定めをした株式会社の端株券に関しては、平成十五年三月三十一日までは、なお従前の例による。
2 前項の規定によりなお従前の例によることとされる場合については、旧商法第三百五十一条第一項中「一定ノ期間内」とあるのは、「平成十五年三月三十一日以前ノ日ヲ終期トスル一定ノ期間内」とし、この法律の施行前に同項の規定により平成十五年四月一日以後の日を同項の一定の期間の終期としてされた公告については、平成十五年三月三十一日をその一定の期間の終期としてされたものとみなす。
3 端株券(第一項の株式会社が発行しているものを除く。以下この項から第七項までにおいて同じ。)であって、平成十五年三月三十一日までに次項ただし書の規定による提出がなかったものについては、同日限り無効とする。ただし、株式会社は、取締役会の決議により、その発行している端株券を、同日以前の一定の日において無効とすることができる。
4 この法律の施行前に発行されている端株券に関しては、平成十五年三月三十一日(前項ただし書の決議をした場合にあっては、その決議により定められた一定の日)までは、なお従前の例による。ただし、端株券を有する者がその端株券を会社に提出して新商法第二百二十条ノ二第一項第一号、第二号及び第四号に掲げる事項を端株原簿に記載すべき旨の請求をすること又は新商法第二百二十条ノ六第一項の規定による請求をすることを妨げない。
5 第三項ただし書の決議をしたときは、株式会社は、同項ただし書の一定の日までに端株券を当該株式会社に提出すべき旨及びその日までに提出されなかった端株券はその日において無効となる旨をその日の一月前に公告しなければならない。
6 第四項ただし書及び前項の場合において、株式会社は、端株券が提出されたときは、新商法第二百二十条ノ二第一項第一号、第二号及び第四号に掲げる事項を端株原簿に記載しなければならない。
7 第四項ただし書及び第五項の場合において端株券を提出することができない者がいるときは、株式会社は、その者の請求により、利害関係人に対し異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、その期間経過後において前項の記載をすることができる。
8 この法律の施行前に端株券を発行している株式会社は、第一項から第三項までの規定により提出されなかった端株券が無効とされる日後でなければ、新商法第二百二十条ノ二第二項及び第二百二十一条第一項の規定による定款の定めをしてはならない。
9 新商法第四百九十八条第一項第二号の規定は第五項の規定に違反して公告を怠り又は不正の公告をした場合について、新商法第二百十六条第一項ただし書及び第二項の規定は第七項の公告をする場合について、それぞれ準用する。

(単元株式等に関する経過措置)
第九条 数種の株式を発行する会社が、平成十四年三月三十一日までの間に、一単元の株式の数を定める場合については、株式の種類ごとに定める一単元の株式の数は、同一の数としなければならない。
2 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の商法等の一部を改正する法律(以下「旧商法等改正法」という。)附則第十六条第一項の規定により五万円を額面株式一株の金額で除して得た数を一単位の株式の数としている株式会社又は定款で一単位の株式の数を定めている株式会社は、この法律の施行の日において、その一単位の株式の数を株式の種類ごとに新商法第二百二十一条第一項の一単元の株式の数として定める旨の定款の変更の決議をしたものとみなす。この場合において、この法律の施行の際に千を超える数を一単位の株式の数としている株式会社についての同項ただし書の規定の適用については、同項ただし書中「千」とあるのは、「商法等の一部を改正する等の法律(平成十三年法律第七十九号)附則第九条第二項前段ノ規定ニ依リ定メタルモノト看做サレタ数」とする。
3 この法律の施行前に旧商法等改正法附則第十六条第一項の一単位の株式の数を定め又は変更する旨の定款の変更の決議をした場合であって、この法律による改正がなかったとしたならばその効力を発生したであろう日がこの法律の施行の日後の日であるときは、その効力を発生したであろう日において、当該決議に係る一単位の株式の数を株式の種類ごとの一単元の株式の数として定める旨の定款の変更がされたものとみなす。ただし、当該決議に係る一単位の株式の数が千又は発行済株式の総数の二百分の一に当たる数を超えるときは、この限りでない。
4 第二項の株式会社は、この法律の施行の日において、新商法第二百二十一条第五項本文の規定により一単元の株式の数に満たない株式に係る株券を発行しない旨の定款の変更の決議をしたものとみなす。
5 この法律の施行の際現に存する株式会社(第二項の株式会社を除き、この法律の施行前に定款の認証を受け、この法律の施行後に成立するものを含む。)であって一単元の株式の数を定めたことがないものが株式の分割を行うことをその効力の発生の条件とする会社法第百八十八条第一項の一単元の株式の数を定める旨の定款の変更の決議をした場合において、その条件を満たすため株式の分割を行うときは、当該株式会社は、同法第百八十三条第二項の決議において、現に発行している株券の提出を要する旨を定めることができる。
6 この法律の施行前に旧商法等改正法附則第十九条第一項の規定によりなされた単位未満株式に係る買取りの請求に関しては、なお従前の例による。
7 この法律の施行の際現に旧商法等改正法附則第六条第一項の規定により旧商法第二百三十条ノ二第一項の規定を適用しないこととされている株式会社(第二項の株式会社を除く。)については、この法律の施行の日において、新商法第二百二十条ノ二第二項の規定により一株に満たない端数を端株として端株原簿に記載しない旨の定款の変更の決議をしたものとみなす。
8 会社法第二百十九条及び第二百二十条の規定は第五項の株券の提出を要する旨の定めをした場合について、同法第九百七十六条第二号の規定はこの項において準用する同法第二百十九条第一項の規定に違反して公告若しくは通知を怠り又は不正の公告若しくは通知をした場合について、それぞれ準用する。

(議決権の数等に関する経過措置)
第十条 この法律の施行前に招集の手続が開始された創立総会における議決権の数又はこの法律の施行前に招集の手続が開始された株主総会若しくは旧商法第三百四十五条第一項(第三百四十六条において準用する場合を含む。)の規定によるある種類の株主の総会における議決権の数及び定足数に関しては、なお従前の例による。

(簡易合併等に対する反対の意思の通知に関する経過措置)
第十一条 この法律の施行前二週間以内に旧商法第二百四十五条ノ五第二項、第三百五十八条第四項、第三百七十四条ノ二十三第四項又は第四百十三条ノ三第四項に規定する公告又は通知がされた営業全部の譲受け、株式交換又は会社の分割若しくは合併については、旧商法第二百四十五条ノ五第六項、第三百五十八条第八項、第三百七十四条ノ二十三第八項又は第四百十三条ノ三第八項の規定は、なおその効力を有する。

(抱合せ増資に関する経過措置)
第十二条 この法律の施行前に旧商法第二百八十条ノ二第一項第九号に掲げる事項について決議のあった新株の発行に関しては、なお従前の例による。

(新株の引受権の付与に関する経過措置)
第十三条 旧商法第二百十条ノ二第二項の決議(同項第三号に掲げる事項に関するものに限る。)をした株式会社についての新商法第二百八十条ノ十九第三項の適用については、同項中「ノ数ト併セテ」とあるのは、「及商法等の一部を改正する等の法律(平成十三年法律第七十九号)第一条ノ規定ニ依ル改正前ノ第二百十条ノ二(同法附則第三条第二項ノ規定ニ依リ仍其ノ効力ヲ有スルモノトサレタル場合ヲ含ム)第二項第三号ニ定ムル場合ニ於ケル同項ノ決議ニ係ル譲渡スベキ株式ニシテ未ダ取締役又ハ使用人ニ譲渡サザルモノノ数ト併セテ」とする。

(利益準備金の積立てに関する経過措置)
第十四条 直前決算期以前の決算期に株式会社又は有限会社が利益準備金として積み立てるべき金額に関しては、なお従前の例による。

(利益の配当の限度に関する経過措置)
第十五条 直前決算期以前の決算期に係る株式会社又は有限会社の利益の配当の限度に関しては、なお従前の例による。

(中間配当に関する経過措置)
第十六条 この法律の施行前に旧商法第二百九十三条ノ五第一項の決議があった場合におけるその決議による金銭の分配に関しては、なお従前の例による。
2 この法律の施行後(この法律の施行の日の属する営業年度内に限る。)に新商法第二百九十三条ノ五第一項の決議があった場合における同条第三項の適用については、同項各号列記以外の部分中「純資産額」とあるのは、「純資産額ヨリ其ノ有スル自己ノ株式ニ付会計帳簿ニ記載シタル額ノ総額ヲ控除シタル額」とする。

(会社分割に伴う株式又は持分の消却及び株式の併合に関する経過措置)
第十七条 この法律の施行前に分割計画書又は分割契約書が作成された会社の分割(分割計画書に旧商法第三百七十四条第二項第七号(旧有限会社法第六十三条ノ六第一項において準用する場合を含む。)に掲げる事項の記載がある新設分割又は分割契約書に旧商法第三百七十四条ノ十七第二項第七号(旧有限会社法第六十三条ノ九第一項において準用する場合を含む。)に掲げる事項の記載がある吸収分割に限る。)については、旧商法第二百十二条第一項本文(旧有限会社法第二十四条第一項において準用する場合を含む。)及び第二項、第三百七十四条ノ七第一項(第三百七十四条ノ三十一第五項において準用する場合を含む。)、第三百七十四条ノ十五第二項並びに第三百七十四条ノ三十一第二項の規定並びにこれらの規定によって準用される旧商法第二百十四条第二項及び第二百十五条から第二百十七条までの規定は、なおその効力を有する。

(資本の減少に関する経過措置)
第十八条 この法律の施行前に旧商法第三百七十五条第一項又は旧有限会社法第四十七条の決議があった資本の減少に関しては、なお従前の例による。

(合併による株式併合に関する経過措置)
第十九条 この法律の施行前に合併契約書が作成された合併(旧商法第四百十六条第三項に規定する合併による株式併合をするものに限る。)については、旧商法第四百十六条第三項及び第四項の規定並びにこれらの規定において準用する旧商法第二百八条、第二百九条第三項、第二百十四条第二項及び第二百十五条から第二百十七条までの規定は、なおその効力を有する。

(額面株式の株券の無効手続及び新株券の交付)
第二十条 株式会社は、取締役会の決議により、この法律の施行前に発行されている一株の金額の記載のある株券を無効として新たな株券を発行することができる。
2 会社法第二百十九条及び第二百二十条の規定は前項の場合について、同法第九百七十六条第二号の規定はこの項において準用する同法第二百十九条第一項の規定に違反して公告若しくは通知を怠り又は不正の公告若しくは通知をした場合について、それぞれ準用する。

(自己の持分の処分の制限)
第二十一条 有限会社は、平成十四年三月三十一日までの間、この法律による改正後の有限会社法(以下「新有限会社法」という。)第六十三条第一項において準用する新商法第四百九条ノ二及び新有限会社法第六十三条ノ九第一項において準用する新商法第三百七十四条ノ十九に規定する場合を除き、その有する自己の持分を処分してはならない。

(次期決算期に関する社員総会の終結の時までの自己の持分の買受けに関する経過措置)
第二十二条 直前決算期に関する社員総会において、旧有限会社法第二十四条第一項において準用する旧商法第二百十二条ノ二第一項(次項の規定によりなおその効力を有するものとされる場合を含む。以下この項及び次条第二項において同じ。)の決議をした有限会社は、新有限会社法第二十四条第一項において準用する新商法第二百十条第一項の規定にかかわらず、その決議において定めた買い受けるべき自己の持分の総数及び取得価額の総額の範囲内で、次期決算期に関する社員総会の終結の時までの間、自己の持分を買い受けることができる。
2 この法律の施行前に招集の手続が開始された直前決算期に関する社員総会においてこの法律の施行後にする自己の持分の買受けに関する決議については、旧有限会社法第二十四条第一項において準用する旧商法第二百十二条ノ二第一項及び第三項並びに旧有限会社法第二十四条第三項の規定は、なおその効力を有する。この場合においては、その社員総会の終結の時までは、新有限会社法第二十四条第一項において準用する新商法第二百十条第一項から第三項までの規定は、適用しない。
3 有限会社が、この法律の施行前に開始した相続に係る社員の相続人からその相続によって得た持分を買い受ける場合については、旧有限会社法第二十四条第一項において準用する旧商法第二百十条ノ三第一項本文及び第二項並びに旧有限会社法第二十四条第二項の規定は、次期決算期に関する社員総会の終結の時までは、なおその効力を有する。
4 この法律の施行後に第一項の規定若しくは前項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧有限会社法第二十四条第一項において準用する旧商法第二百十条ノ三第一項本文の規定(以下この項及び次条第二項において「施行後買受規定」という。)により持分を買い受ける場合における新有限会社法第二十四条第一項において準用する新商法第二百十条ノ二第一項の規定の適用については、同項中「第二百四条ノ三第一項若ハ第二百四条ノ五ニ於テ準用スル同項」とあるのは「有限会社法第十九条第五項後段(同条第七項後段ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ於テ準用スル第二百四条ノ三第一項」と、「前条第一項」とあるのは「同法第二十四条第一項ニ於テ準用スル前条第一項」と、「第二百十一条ノ三第一項」とあるのは「商法等の一部を改正する等の法律(平成十三年法律第七十九号)附則第二十二条第四項ニ規定スル施行後買受規定」とする。

(この法律の施行日を含む営業年度以前に自己の持分を買い受けた取締役の責任に関する経過措置)
第二十三条 この法律の施行前に終了した営業年度における自己の持分の買受けに係る取締役の責任に関しては、なお従前の例による。
2 この法律の施行の日を含む営業年度内に有限会社法第十九条第五項後段(同条第七項後段において準用する場合を含む。)において準用する商法第二百四条ノ三第一項の規定、旧有限会社法第二十四条第一項において準用する旧商法第二百十条ノ三第一項本文若しくは第二百十二条ノ二第一項の規定、新有限会社法第二十四条第一項において準用する新商法第二百十条第一項の規定又は施行後買受規定により持分を買い受けた場合における取締役の責任についての新有限会社法第二十四条第一項の規定の適用については、同項中「第二百十条ノ二第一項第二項」とあるのは「第二百十条ノ二第一項」と、「ノ規定ハ」とあるのは「ノ規定並ニ商法等の一部を改正する等の法律(平成十三年法律第七十九号)附則第四条第二項ノ規定ニ依リ読替テ適用サレル商法第二百十条ノ二第二項ノ規定ハ」とする。

(株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律の廃止に伴う経過措置)
第二十四条 この法律の施行の際現に旧消却特例法第三条の二第一項の定款の定めがある株式会社についての資本準備金をもってする株式の消却に関しては、この附則に別段の定めがある場合を除き、次期決算期に関する定時総会の終結の時までは、なお従前の例による。
2 土地の再評価に関する法律(平成十年法律第三十四号)第八条の二第三項の規定の適用については、旧消却特例法第三条の二第二項から第六項まで、第四条から第六条まで、第八条及び第九条の規定は、なおその効力を有する。

(罰則の適用に関する経過措置)
第二十五条 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

   附 則 [平成13年11月28日法律第128号]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十四年四月一日から施行する。ただし、附則第十一条中商法等の一部を改正する等の法律(平成十三年法律第七十九号)附則第九条第一項の改正規定は、公布の日から施行する。

(端株主の権利に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の際端株主に対してこの法律による改正前の商法(以下「旧商法」という。)第三百四十一条ノ二第二項第六号及び第三百四十一条ノ八第二項第八号の引受権を受ける権利を与えない旨の定款の定めがある株式会社(この法律の施行前に定款の認証を受け、この法律の施行後に成立するもの(以下この条において「設立中の会社」という。)を含む。)については、この法律の施行の日(設立中の会社にあっては、その成立の日)において、端株主に対してこの法律による改正後の商法(以下「新商法」という。)第二百八十条ノ二十第二項第十二号及び第三百四十一条ノ三第一項第九号の引受権を受ける権利を与えない旨の定款の変更の決議があったものとみなす。

(議決権なき株式に関する経過措置)
第三条 この法律の施行の際定款に旧商法第二百四十二条第一項の規定により議決権がないものとされた種類の株式についての定めがある場合は、当該種類の株式に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。ただし、同条第三項の規定は、適用しない。
2 前項の種類の株式は、新商法第二百二十二条第五項及び第六項の規定の適用については、同条第四項に規定する議決権制限株式とみなす。

(転換株式に関する経過措置)
第四条 新商法第二百二十四条ノ三第一項の期間がこの法律の施行前に進行を開始し、当該期間がこの法律の施行の日以後に満了する場合には、この法律の施行後も、当該期間の満了の時までは、当該期間を定めた株式会社の株主は、新商法第二百二十二条ノ五第一項の規定に基づく転換の請求をすることができない。

(新株発行決議の効力に関する経過措置)
第五条 この法律の施行前に旧商法第二百八十条ノ二第二項又は第二百八十条ノ五ノ二第一項ただし書の決議があった場合においては、当該決議の効力に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。

(取締役又は使用人に対する新株の引受権の付与に関する経過措置)
第六条 この法律の施行前に旧商法第二百八十条ノ十九第二項の決議があった場合においては、当該決議に基づき付与する新株の引受権に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
2 この法律の施行後に前項の新株の引受権が行使された場合においては、株式会社は、新株の発行に代えて、その有する自己の株式を当該新株の引受権を行使した者に移転することができる。この場合においては、会社法(平成十七年法律第八十六号)第二編第二章第八節の規定は、適用しない。

(転換社債、新株引受権付社債に関する経過措置)
第七条 この法律の施行前に転換社債(旧商法第三百四十一条ノ二第一項の規定に基づき発行する社債をいう。以下同じ。)又は新株引受権付社債(旧商法第三百四十一条ノ八第一項の規定に基づき発行する社債をいう。以下同じ。)の発行の決議があった場合においては、当該決議に基づき発行する転換社債又は新株引受権付社債に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。この法律の施行前に旧商法第三百四十一条ノ二第三項若しくは第三百四十一条ノ二ノ六第一項ただし書又は第三百四十一条ノ八第五項若しくは第三百四十一条ノ十一ノ二第一項ただし書の決議があった場合においては、当該決議に基づき発行する転換社債又は新株引受権付社債についても、同様とする。
2 前条第二項の規定は、この法律の施行後に前項の転換社債の転換の請求があった場合又は同項の新株引受権付社債に付された新株の引受権の行使があった場合に準用する。

(罰則の適用に関する経過措置)
第八条 この法律の施行前にした行為及びこの法律の附則において従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

[第九条 商法中改正法律施行法(昭和十三年法律第七十三号)の一部改正]

[第十条 商法の一部を改正する法律(平成九年法律第五十六号)の一部改正]

[第十一条 商法等の一部を改正する等の法律の一部改正]

   附 則 [平成13年12月12日法律第149号]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第二条中株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(以下「商法特例法」という。)第十八条第一項及び第三十条第一項第十六号の改正規定並びに附則第十条の規定はこの法律の施行の日から起算して三年を経過した日から、附則第十一条の規定は公布の日から施行する。

(社外取締役の登記に関する経過措置)
第二条 株式会社は、この法律の施行の際現に在任する取締役がこの法律による改正後の商法(以下「新商法」という。)第百八十八条第二項第七号ノ二に規定する社外取締役である場合には、この法律の施行の日を含む任期中に限り、当該取締役が社外取締役である旨の登記をすることを要しない。ただし、定款を変更して新商法第二百六十六条第十九項の契約をすることができる旨の定めを設けたときは、この限りでない。

(取締役の責任の免除に関する経過措置)
第三条 新商法第二百六十六条第七項から第二十三項までの規定は、この法律の施行前の行為に関する取締役の責任の免除については、適用しない。

第四条 商法等の一部を改正する等の法律(平成十三年法律第七十九号)による改正前の商法第二百十条ノ二第二項第三号(商法等の一部を改正する等の法律附則第三条第二項の規定によりなおその効力を有するものとされる場合を含む。)又は商法等の一部を改正する法律(平成十三年法律第百二十八号)による改正前の商法第二百八十条ノ十九第一項(商法等の一部を改正する法律附則第六条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合を含む。)の権利を行使した取締役又は当該権利を有する取締役についての新商法第二百六十六条第七項第一号及び第三号、同条第十項及び第十一項(同条第十六項及び第二十三項において準用する場合を含む。)並びに同条第十二項、第十四項、第十九項第一号及び第三号並びに第二十二項第一号の規定の適用については、同条第七項第三号中「権利ノ数ヲ乗ジタル額」とあるのは、「権利ノ数ヲ乗ジタル額、商法等の一部を改正する等の法律(平成十三年法律第七十九号)ニ依ル改正前ノ第二百十条ノ二第二項第三号(同法附則第三条第二項ノ規定ニ依リ仍其ノ効力ヲ有スルモノトセラレタル場合ヲ含ム)ノ権利ヲ就任後ニ行使シタルトキハ行使ノ時ニ於ケル其ノ会社ノ株式ノ時価ヨリ譲渡ノ価額ヲ控除シタル額ニ譲受ケタル株式ノ数ヲ乗ジタル額、商法等の一部を改正する法律(平成十三年法律第百二十八号)ニ依ル改正前ノ第二百八十条ノ十九第一項(同法附則第六条第一項ノ規定ニ依リ仍従前ノ例ニ依ルコトトセラレタル場合ヲ含ム)ノ権利ヲ就任後ニ行使シタルトキハ行使ノ時ニ於ケル其ノ会社ノ株式ノ時価ヨリ発行価額又ハ移転ヲ受ケタル価額ヲ控除シタル額ニ発行ヲ受ケ又ハ之ニ代ヘテ移転ヲ受ケタル株式ノ数ヲ乗ジタル額」とする。

(株主代表訴訟の提起に関する経過措置)
第五条 新商法第二百六十七条第三項(新商法又は他の法律において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行前にこの法律による改正前の商法(以下「旧商法」という。)第二百六十七条第三項(旧商法又は他の法律において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)に規定する請求があった場合(当該請求をした者が同項の規定により訴えを提起した場合を除く。)についても適用する。

(取締役等の責任を追及する訴えに関する経過措置)
第六条 新商法第二百六十八条第四項から第七項まで(これらの規定を新商法又は他の法律において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行前に提起された旧商法第二百六十八条第一項(旧商法又は他の法律において準用する場合を含む。)の訴えについては、適用しない。

(監査役の任期に関する経過措置)
第七条 この法律の施行の際現に存する株式会社の監査役でこの法律の施行後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結前に在任するものの任期に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。

(辞任した監査役に対する株主総会の招集の通知に関する経過措置)
第八条 新商法第二百七十五条ノ三ノ二第二項の規定は、この法律の施行前に招集の手続が開始された株主総会については、適用しない。
2 前項の規定は、他の法律において新商法第二百七十五条ノ三ノ二第二項の規定を準用する場合について準用する。

(監査役の責任の免除に関する経過措置)
第九条 新商法第二百八十条第一項において準用する新商法第二百六十六条第十八項の規定により読み替えて適用する同条第七項、同条第八項、第十項及び第十一項、同条第十八項の規定により読み替えて適用する同条第十二項並びに同条第十四項から第十六項までの規定は、この法律の施行前の行為に関する監査役の責任の免除については、適用しない。

(大会社の監査役に関する経過措置)
第十条 附則第一条ただし書に掲げる改正規定の施行の際現に存する商法特例法第一条の二第一項に規定する大会社又は同条第三項第二号に規定するみなし大会社に係る監査役の員数等に関しては、当該改正規定の施行後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結の時までは、なお従前の例による。

[第十一条 商法等の一部を改正する法律の一部改正]

   附 則 [平成14年5月29日法律第44号]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(現物出資等の目的である不動産についての証明及び鑑定評価に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にこの法律による改正前の商法(以下「旧商法」という。)第百七十三条第三項(旧商法第百八十一条第二項、第二百四十六条第三項(この法律による改正前の有限会社法(以下「旧有限会社法」という。)第四十条第四項において準用する場合を含む。)及び第二百八十条ノ八第二項(旧有限会社法第五十二条ノ三第二項において準用する場合を含む。)並びに旧有限会社法第十二条ノ二第三項において準用する場合を含む。)に規定する弁護士又は弁護士法人の証明及び不動産鑑定士の鑑定評価を受けた場合における当該弁護士又は弁護士法人及び当該不動産鑑定士については、次に掲げる規定は、適用しない。
 一 この法律による改正後の商法(以下「新商法」という。)第百七十三条第三項(新商法第百八十一条第二項、第二百四十六条第三項(この法律による改正後の有限会社法(以下「新有限会社法」という。)第四十条第四項において準用する場合を含む。)及び第二百八十条ノ八第二項(新有限会社法第五十二条ノ三第二項において準用する場合を含む。)並びに新有限会社法第十二条ノ三において準用する場合を含む。)
 二 新商法第二百四十六条第四項(新商法第二百八十条ノ八第二項(新有限会社法第五十二条ノ三第二項において準用する場合を含む。)及び新有限会社法第四十条第四項において準用する場合を含む。)
2 前項に規定する場合における同項に規定する鑑定評価を記載し、又は記録した資料については、次に掲げる規定は、適用しない。
 一 新商法第百七十三条ノ二第一項(新有限会社法第十二条ノ三において準用する場合を含む。)
 二 新商法第百八十一条第三項及び第百八十四条第二項(これらの規定を新商法第二百四十六条第三項(新有限会社法第四十条第四項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)
3 第一項に規定する場合における同項に規定する証明をした弁護士又は弁護士法人及び同項に規定する鑑定評価をした不動産鑑定士の義務及び責任については、次に掲げる規定は、適用しない。
 一 新商法第百九十七条(新商法第二百四十六条第三項において準用する場合を含む。)
 二 新商法第二百八十条ノ十三ノ三
 三 新有限会社法第十五条ノ二(新有限会社法第四十条第四項において準用する場合を含む。)
 四 新有限会社法第五十五条ノ二

(株券に係る公示催告手続に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前に公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律(明治二十三年法律第二十九号)の規定により申し立てられた株券の無効宣言のためにする公示催告手続及び当該手続に係る株券に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
2 前項の株券については、新商法第二百三十条から第二百三十条ノ九ノ二までの規定は、適用しない。ただし、同項の公示催告手続が除権判決以外の事由により完結したときは、この限りでない。

(株主提案権等に関する経過措置)
第四条 会日より八週間前の日がこの法律の施行の日前である株主総会又はある種類の株主の総会に関する新商法第二百三十二条ノ二第一項及び第二項(新商法第二百二十二条第十項、第三百四十五条第三項(新商法第三百四十六条において準用する場合を含む。)及び第四百三十条第二項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、これらの規定中「八週間」とあるのは、「六週間」とする。

(総会招集請求権等に関する経過措置)
第五条 この法律の施行前に旧商法第二百三十七条第三項(旧商法第二百二十二条第八項、第三百二十条第五項、第三百四十五条第三項(旧商法第三百四十六条において準用する場合を含む。)及び第四百三十条第二項並びに旧有限会社法第三十七条第三項及び第七十五条第二項において準用する場合を含む。)の請求をした株主、社債権者又は社員が行う株主総会、ある種類の株主の総会、社債権者集会又は社員総会の招集に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。

(資本の減少等における公告及び債権者に対する催告に関する経過措置)
第六条 この法律の施行前に旧商法第二百八十九条第二項(旧有限会社法第四十六条第一項において準用する場合を含む。)、第三百七十四条第一項、第三百七十四条ノ十七第一項、第三百七十五条第一項又は第四百八条第一項の決議をした場合における公告及び債権者に対する催告に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
2 旧商法第三百七十四条ノ六第一項、第三百七十四条ノ二十二第一項、第三百七十四条ノ二十三第一項又は第四百十三条ノ三第一項に規定する場合であって、この法律の施行前に分割計画書、分割契約書又は合併契約書を作成したときにおける公告及び債権者に対する催告に関しても、前項と同様とする。
3 この法律の施行前に資本減少を内容とする定款の変更の決議をした場合における有限会社の公告及び債権者に対する催告に関しても、第一項と同様とする。

(外国会社に関する経過措置)
第七条 この法律の施行後最初に到来する決算期以前の決算期に係る外国会社(この法律の施行前に旧商法第四百七十九条第二項の登記がされているものに限る。)の貸借対照表には、新商法第四百八十三条ノ二の規定は、適用しない。
2 この法律の施行前にすべての日本における営業所を閉鎖した外国会社には、新商法第四百八十三条ノ三(新有限会社法第七十六条において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
3 この法律の施行前に外国会社が旧商法第四百七十九条第二項(旧有限会社法第七十六条において準用する場合を含む。)の規定により日本における営業所についてした登記は、新商法第四百七十九条第一項(新有限会社法第七十六条において準用する場合を含む。)の外国会社の登記とみなす。
4 この法律の施行前に旧商法第四百七十九条第二項(旧有限会社法第七十六条において準用する場合を含む。)の規定により日本における営業所について登記をした外国会社についての新商法第四百八十四条第一項第二号(新有限会社法第七十六条において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定の適用については、新商法第四百八十四条第一項第二号中「第四百七十九条第四項ノ」とあるのは、「商法等の一部を改正する法律(平成十四年法律第四十四号)第一条ノ規定ニ依ル改正前ノ本法第四百七十九条ニ定ムル」とする。

(連結計算書類に関する経過措置)
第八条 この法律による改正後の株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(以下「新商法特例法」という。)第一条の二第一項に規定する大会社(新商法特例法第二十条第一項、第二十一条の三十七第一項又は第二十一条の三十八第二項の規定により大会社連結特例規定(新商法特例法第二十条第二項に規定する大会社連結特例規定をいう。以下同じ。)又は委員会等設置会社連結特例規定(新商法特例法第二十一条の三十七第二項に規定する委員会等設置会社連結特例規定をいう。以下同じ。)の適用があるものを含み、新商法特例法第二十一条第一項から第四項まで又は第二十一条の三十九第一項前段若しくは第二項前段の規定により大会社連結特例規定の適用又は委員会等設置会社連結特例規定の適用がないものを除く。次条において「大会社」という。)については、この法律の施行後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結の時までは、次に掲げる規定は、適用しない。
 一 新商法特例法第四条第二項第二号、第七条第三項及び第五項、第二十一条の八第七項並びに第二十一条の十第二項(新商法特例法第一条の二第四項に規定する連結子会社に関する部分に限る。)
 二 新商法特例法第十八条第四項、第十九条の二、第十九条の三及び第二十一条の三十二

(有価証券報告書不提出会社の連結計算書類に関する経過措置)
第九条 証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二十四条第一項の規定による有価証券報告書を同項本文に定める期間内に内閣総理大臣に提出すべきものとされる会社(以下「有価証券報告書提出会社」という。)に該当しない大会社に関する前条各号に掲げる規定の適用については、当分の間、前条に定めるところによるほか、次項から第四項までに定めるところによる。
2 有価証券報告書提出会社に該当しない大会社については、前条各号に掲げる規定は、適用しない。
3 前項の大会社が有価証券報告書提出会社に該当することとなった場合においては、当該大会社については、その後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結の時までは、前条各号に掲げる規定は、適用しない。
4 決算期において有価証券報告書提出会社に該当する大会社であった株式会社(前条各号に掲げる規定の適用のあるものに限る。)が、当該決算期に関する定時総会の終結の時までに有価証券報告書提出会社に該当しないこととなった場合においては、当該大会社については、当該該当しないこととなった時から当該定時総会の終結の時までは、第二項の規定にかかわらず、前条各号に掲げる規定を適用する。

[第十条 商法中改正法律施行法(昭和十三年法律第七十三号)の一部改正]

[第十一条 商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律(平成十三年法律第百四十九号)の一部改正]

   附 則 [平成15年7月30日法律第132号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、保険業法の一部を改正する法律(平成十五年法律第三十九号)の施行の日がこの法律の施行の日後となる場合には、附則第五条中保険業法(平成七年法律第百五号)第五十二条の三第二項及び第三項並びに第六十五条の改正規定は、保険業法の一部を改正する法律の施行の日から施行する。

(罰則に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

   附 則 [平成15年8月1日法律第134号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(商法の一部改正に伴う経過措置)
第十九条 施行日前に生じた前条の規定による改正前の商法(以下「旧商法」という。)第二百九十五条第一項の雇用関係に基づいて生じた債権に係る先取特権については、なお従前の例による。
2 施行日前に旧商法第八百四十八条第三項において準用する旧民法第三百八十三条の書面が同条に規定する債権者の全員に到達した場合における当該抵当権の目的たる船舶についての同項において準用する旧民法第三百七十八条の規定による滌除及び同項において準用する旧民法第三百八十四条に規定する増価競売については、第一条の規定による改正後の民法、第三条の規定による改正後の民事執行法及び前条の規定による改正後の商法の規定にかかわらず、なお従前の例による。

   附 則 [平成15年8月1日法律第138号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 [平成16年6月2日法律第76号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、破産法(平成十六年法律第七十五号。次条第八項並びに附則第三条第八項、第五条第八項、第十六項及び第二十一項、第八条第三項並びに第十三条において「新破産法」という。)の施行の日から施行する。[後略]

(商法の一部改正に伴う経過措置)
第八条 施行日前にされた第九条の規定による改正前の商法(次項において「旧商法」という。)第三百八十一条第一項の規定による整理開始の申立て又は施行日前に職権でされた同条第二項の規定による整理開始の命令に係る会社の整理に関する事件については、なお従前の例による。
2 施行日前にされた旧商法第四百三十一条の規定による特別清算開始の申立て又は施行日前に職権でされた同条第三項において準用する旧商法第三百八十一条第二項の規定による特別清算開始の命令に係る特別清算に関する事件については、なお従前の例による。
3 施行日前に債権者につき会社に対する債務負担の原因が生じた場合における債権者による相殺の禁止及び施行日前に債務者に対して債務を負担する者につき会社に対する債権の取得の原因が生じた場合における当該者による相殺の禁止については、第九条の規定による改正後の商法第四百三条第一項又は第四百五十六条第一項において準用する新破産法第七十一条及び第七十二条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(罰則の適用等に関する経過措置)
第十二条 施行日前にした行為並びに附則第二条第一項、第三条第一項、第四条、第五条第一項、第九項、第十七項、第十九項及び第二十一項並びに第六条第一項及び第三項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。この場合において、旧民事再生法第二百四十六条及び第二百四十七条の規定の適用については第一号に掲げる再生手続開始の決定は同号に定める再生手続開始の決定と、旧会社更生法第二百五十五条及び第二百五十六条の規定の適用については第二号に掲げる更生手続開始の決定は同号に定める更生手続開始の決定と、旧更生特例法第五百三十九条及び第五百四十条の規定の適用については第三号に掲げる更生手続開始の決定は同号に定める更生手続開始の決定と、それぞれみなす。
 一 新民事再生法の規定によりされた再生手続開始の決定 旧民事再生法の規定によりされた再生手続開始の決定
 二 新会社更生法の規定によりされた更生手続開始の決定 旧会社更生法の規定によりされた更生手続開始の決定
 三 新更生特例法第三十一条又は第百九十六条において準用する新会社更生法第四十一条第一項に規定する更生手続開始の決定 旧更生特例法第三十一条又は第百九十六条において準用する旧会社更生法第四十一条第一項に規定する更生手続開始の決定
2 次の各号に掲げる場合における施行日前にした行為に対する旧破産法第三百七十四条から第三百七十六条まで及び第三百七十八条の規定の適用については、当該各号に定める破産手続開始の決定は、旧破産法の規定によりされた破産の宣告とみなす。
 一 附則第二条第三項の規定により新民事再生法第二百五十条の規定が適用される場合 新民事再生法第二百五十条の規定によりされた破産手続開始の決定
 二 附則第三条第三項の規定により新会社更生法第二百五十二条の規定が適用される場合 新会社更生法第二百五十二条の規定によりされた破産手続開始の決定
 三 附則第五条第三項又は第十一項の規定により新更生特例法第百五十八条の八又は第三百三十一条の八の規定が適用される場合 新更生特例法第百五十八条の八又は第三百三十一条の八の規定によりされた破産手続開始の決定
3 施行日前に破産の宣告、再生手続開始の決定、更生手続開始の決定、整理開始の命令、特別清算開始の命令又は外国倒産処理手続の承認の決定(以下この項において「手続開始決定」という。)を受けた者(当該手続開始決定に係る破産手続、再生手続、更生手続、整理手続、特別清算手続又は承認援助手続が終了している者を除く。)が有する第百二十条の規定による改正前の債権管理回収業に関する特別措置法第二条第一項第十六号に規定する金銭債権は、第百二十条の規定による改正後の債権管理回収業に関する特別措置法の規定及び当該規定に係る罰則の適用については、同法第二条第一項第十六号に規定する金銭債権とみなす。
4 施行日前にされた破産、再生手続開始又は更生手続開始の申立てに係る届出の義務に関するこの法律による改正前の証券取引法、外国証券業者に関する法律及び信託業法の規定並びにこれらの規定に係る罰則の適用については、なお従前の例による。
5 施行日前にされた破産の宣告、再生手続開始の決定、更生手続開始の決定又は外国倒産処理手続の承認の決定に係る届出、通知又は報告の義務に関するこの法律による改正前の証券取引法、測量法、国際観光ホテル整備法、建築士法、投資信託及び投資法人に関する法律、電気通信事業法、電気通信役務利用放送法、水洗炭業に関する法律、不動産の鑑定評価に関する法律、外国証券業者に関する法律、積立式宅地建物販売業法、銀行法、貸金業の規制等に関する法律、浄化槽法、有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律、抵当証券業の規制等に関する法律、金融先物取引法、遊漁船業の適正化に関する法律、前払式証票の規制等に関する法律、商品投資に係る事業の規制に関する法律、不動産特定共同事業法、保険業法、資産の流動化に関する法律、債権管理回収業に関する特別措置法、新事業創出促進法、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律、著作権等管理事業法、マンションの管理の適正化の推進に関する法律、確定給付企業年金法、特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律、社債等の振替に関する法律、確定拠出年金法、使用済自動車の再資源化等に関する法律、信託業法及び特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律附則第二条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第一条の規定による改正前の特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の規定並びにこれらの規定に係る罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第十四条 附則第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 [平成16年6月9日法律第87号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(公告等の廃止に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前に、第一条の規定による改正前の商法(以下この条において「旧商法」という。)第百四条第一項、第百三十六条第一項、第百四十条、第百四十一条、第二百四十七条第一項、第二百五十二条、第二百八十条ノ十五第一項、第三百六十三条第一項、第三百七十二条第一項、第三百七十四条ノ十二第一項、第三百七十四条ノ二十八第一項、第三百八十条第一項、第四百十五条第一項若しくは第四百二十八条第一項(これらの規定を旧商法又は他の法律において準用する場合を含む。)の訴えの提起があった場合、第六条の規定による改正前の農業協同組合法第七十三条の十四第一項の訴えの提起があった場合、第七条の規定による改正前の証券取引法第百一条の十五第一項の訴えの提起があった場合、第十三条の規定による改正前の投資信託及び投資法人に関する法律(次項において「旧投信法」という。)第九十四条第二項の訴えの提起があった場合、第十五条の規定による改正前の中小企業団体の組織に関する法律第百条の十六第一項の訴えの提起があった場合、第十八条の規定による改正前の金融先物取引法第三十四条の十八第一項の訴えの提起があった場合、第十九条の規定による改正前の保険業法第八十四条第一項の訴えの提起があった場合又は第二十三条の規定による改正前の中間法人法第二十二条第一項、第三十八条第二項若しくは第三項、第七十九条第一項、第九十五条第一項若しくは第百二十五条第一項の訴えの提起があった場合における公告については、なお従前の例による。
2 この法律の施行前に、旧商法第三百九条第一項(旧商法又は他の法律において準用する場合を含む。)の弁済がされた場合、第三条の規定による改正前の有限会社法第六十四条第一項若しくは第六十七条第一項の決議をした場合、第五条の規定による改正前の担保附社債信託法第八十二条第一項の規定により受託会社が担保権を実行した場合、旧投信法第百三十九条の五第一項の弁済がされた場合、第二十条の規定による改正前の資産の流動化に関する法律第百十一条第一項の弁済がされた場合、第二十一条の規定による改正前の新事業創出促進法第十条の十七第一項若しくは第七項の決議をした場合又は第二十四条の規定による改正前の特定目的社会による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律附則第二条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第一条の規定による改正前の特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十一条第一項の弁済がされた場合における公告及び通知については、なお従前の例による。

(罰則の適用に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前にした行為及び前条においてなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

   附 則 [平成16年6月9日法律第88号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。[後略]

(商法の一部改正に伴う経過措置)
第三十六条 会社が有する自己の株式の処分を無効とする判決が確定した場合において、当該会社が一部施行日前に第二条の規定による改正前の商法(以下「旧商法」という。)第二百十一条第三項において準用する旧商法第二百八十条ノ十七第二項の規定による公告又は通知をしたときは、新商法第二百十一条第三項において準用する新商法第二百八十条ノ十七第三項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 株式の消却をしようとする会社が一部施行日前に旧商法第二百十三条第二項において準用する旧商法第二百十五条第一項の規定による公告又は通知をした場合においては、新商法第二百十三条第四項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
3 株式の併合をしようとする会社が一部施行日前に旧商法第二百十五条第一項の規定による公告又は通知をした場合においては、新商法第二百十五条ノ二の規定にかかわらず、なお従前の例による。
4 旧商法第二百二十二条ノ九第一項に規定する強制転換条項付株式の転換をしようとする会社が一部施行日前に同条第二項の規定による公告又は通知をした場合においては、新商法第二百二十二条ノ九第五項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
5 会社の新株発行を無効とする判決が確定した場合において、当該会社が一部施行日前に旧商法第二百八十条ノ十七第二項の規定による公告又は通知をしたときは、新商法第二百八十条ノ十七第三項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
6 旧商法第二百八十条ノ三十六第一項後段の決議をした会社が一部施行日前に同条第二項の規定による公告又は通知をした場合においては、新商法第二百八十条ノ三十六第四項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
7 旧商法第三百四十八条第一項の決議をした会社が一部施行日前に旧商法第三百五十条第一項の規定による公告又は通知をした場合においては、新商法第三百五十条ノ二の規定にかかわらず、なお従前の例による。
8 株式交換により完全子会社となる会社が一部施行日前に旧商法第三百五十九条第一項の規定による公告又は通知をした場合においては、なお従前の例による。
9 株式交換により完全親会社となる会社が一部施行日前に旧商法第三百六十二条第二項において準用する旧商法第三百五十条第一項の規定による公告又は通知をした場合においては、新商法第三百六十二条第二項において準用する新商法第三百五十条ノ二の規定にかかわらず、なお従前の例による。
10 会社の株式交換を無効とする判決が確定した場合において、当該会社が一部施行日前に旧商法第三百六十三条第五項において準用する旧商法第二百八十条ノ十七第二項の規定による公告又は通知をした場合においては、新商法第三百六十三条第五項において準用する新商法第二百八十条ノ十七第三項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
11 株式移転により完全子会社となる会社が一部施行日前に旧商法第三百六十八条第一項の規定による公告又は通知をした場合においては、なお従前の例による。
12 吸収分割により営業を承継する会社が一部施行日前に旧商法第三百七十四条ノ三十一第二項において準用する旧商法第三百五十条第一項の規定による公告又は通知をした場合においては、新商法第三百七十四条ノ三十一第二項において準用する新商法第三百五十条ノ二の規定にかかわらず、なお従前の例による。
13 合併により消滅する会社が一部施行日前に旧商法第四百十三条ノ四第一項の規定による公告又は通知をした場合においては、なお従前の例による。
14 合併後存続する会社が一部施行日前に旧商法第四百十六条第四項において準用する旧商法第三百五十条第一項の規定による公告又は通知をした場合においては、新商法第四百十六条第四項において準用する新商法第三百五十条ノ二の規定にかかわらず、なお従前の例による。
15 旧商法第二百二十四条ノ三第一項に規定する一定期間(以下この条において「閉鎖期間」という。)が一部施行日前に進行を開始し、一部施行日以後に満了する場合には、一部施行日以後も、当該閉鎖期間の満了の時(以下この条において「閉鎖期間満了時」という。)までは、同項の会社は、株主名簿の記載又は記録の変更を行わないことができる。
16 前項に規定する場合において、閉鎖期間を定めた会社が新商法第二百十九条第一項(新商法第二百二十一条第六項において準用する場合を含む。)、第二百八十条ノ四第三項(新商法第二百八十条ノ二十五第三項及び第三百四十一条ノ十五第四項において準用する場合を含む。)及び第三百七十四条ノ七第一項(新商法第三百七十四条ノ三十一第三項において準用する場合を含む。)に規定する一定の日を定めようとするときは、その日は、閉鎖期間満了の日後の日でなければならない。
17 第十五項に規定する場合においては、閉鎖期間満了時までは、次に掲げる者の議決権については、なお従前の例による。
 一 当該閉鎖期間内に新商法第二百二十条ノ五第一項の規定により株主となった者
 二 当該閉鎖期間内に新商法第二百二十二条ノ三に規定する転換予約権付株式の転換の請求をした株主
 三 当該閉鎖期間内に新商法第二百二十二条ノ九第一項に規定する強制転換条項付株式の転換の効力が生じた場合における当該強制転換条項付株式の株主
 四 当該閉鎖期間内に新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを含む。)を行使した者
18 第十五項に規定する場合において、閉鎖期間満了時前に、新商法第二百三十条ノ四第六項の規定により株券喪失登録が抹消されたときは、第十五項の規定にかかわらず、同項の会社は、当該株券喪失登録について登録異議の申請をした者であって同条第三項の請求をしたものについて株主名簿の記載又は記録の変更を行わなければならない。
19 一部施行日において閉鎖期間を指定する旨の定款の定めがある会社(一部施行日前に定款の認証を受け、一部施行日後に成立するもの(以下この項において「設立中の会社」という。)を含む。)であって旧商法第二百二十四条ノ三第一項の一定の日を指定する旨の定款の定めがないものについては、一部施行日(設立中の会社にあっては、その成立の日)において、株主又は質権者として権利を行使すべき者を定めるため、当該閉鎖期間の初日の前日を同項の一定の日に指定する旨の定款の変更の決議があったものとみなす。この場合においては、取締役会の決議をもって、当該権利の内容を定めなければならない。
20 一部施行日前に旧商法第二百二十六条ノ二第二項の規定により寄託された株券については、なお従前の例による。
21 一部施行日の前日を払込期日として新株の発行又は自己株式の処分をした場合においては、当該新株又は自己株式の引受人は、一部施行日から株主となる。

(その他の経過措置の政令への委任)
第百三十五条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 [平成16年12月1日法律第147号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 [平成16年12月3日法律第152号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。[後略]

   附 則 [平成16年12月3日法律第154号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。[後略]

   附 則 [平成17年7月26日第87号] [抄]

 この法律は、会社法の施行の日から施行する。[後略]

   附 則 [平成18年12月15日法律第109号] [抄]

 この法律は、新信託法の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 第九条(商法第七条の改正規定に限る。)、第二十五条(投資信託及び投資法人に関する法律第二百五十一条第二十四号の改正規定に限る。)、第三十七条(金融機関の合併及び転換に関する法律第七十六条第七号の改正規定に限る。)、第四十九条(保険業法第十七条の六第一項第七号、第五十三条の十二第八項、第五十三条の十五、第五十三条の二十五第二項、第五十三条の二十七第三項、第五十三条の三十二、第百八十条の五第三項及び第四項並びに第百八十条の九第五項の改正規定に限る。)、第五十五条(資産の流動化に関する法律第七十六条第六項、第八十五条、第百六十八条第五項、第百七十一条第六項及び第三百十六条第一項第二十三号の改正規定に限る。)、第五十九条、第七十五条及び第七十七条(会社法目次の改正規定、同法第百三十二条に二項を加える改正規定、同法第二編第二章第三節中第百五十四条の次に一款を加える改正規定、同法第二編第三章第四節中第二百七十二条の次に一款を加える改正規定、同法第六百九十五条の次に一条を加える改正規定及び同法第九百四十三条第一号の改正規定を除く。)の規定 公布の日

   附 則 [平成20年6月6日法律第57号]

 この法律は、保険法の施行の日から施行する。

以上

第一編 総則・第二編 商行為  第三編 海商
誤植等を発見されましたら、お手数ですがこちらからお知らせ下さい。