沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律


公布:平成7年5月26日法律第102号
施行:平成7年6月20日
改正:平成14年3月31日法律第14号
施行:平成14年4月1日
改正:平成23年5月2日法律第35号
施行:平成23年8月1日

(目的)
第一条 この法律は、駐留軍用地及び駐留軍用地跡地が広範かつ大規模に存在する沖縄県の特殊事情にかんがみ、駐留軍用地の返還に伴う特別の措置を講じ、もって沖縄県の均衡ある発展並びに住民の生活の安定及び福祉の向上に資することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 駐留軍用地 沖縄県の区域内において、駐留軍(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊をいう。以下同じ。)が日米安保条約第六条の規定に基づき使用することを許されている施設及び区域に係る土地をいう。
 二 駐留軍用地跡地 日本国との平和条約の効力発生の日から琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日の前日までの間においてアメリカ合衆国が沖縄県の区域内において使用していた土地で当該土地の所有者若しくは賃借権その他政令で定める権利を有する者に返還されているもの又は同協定の効力発生の日以後沖縄県の区域内において駐留軍が日米安保条約第六条の規定に基づき使用することを許されていた施設及び区域に係る土地で当該土地の所有者若しくは賃借権その他政令で定める権利を有する者に返還されているものをいう。
 三 関係市町村 駐留軍用地又は駐留軍用地跡地が所在する市町村をいう。

(国、沖縄県及び関係市町村の協力)
第三条 国、沖縄県及び関係市町村は、この法律の目的を達成するため、相協力しなければならない。

(駐留軍用地の所有者等の協力)
第四条 駐留軍用地又は駐留軍用地跡地の所有者(これらの土地の上に賃借権その他政令で定める権利を有する者を含む。)は、国、沖縄県又は関係市町村が実施する施策に協力するとともに、これらの土地が第十条の市町村総合整備計画及び第十一条の県総合整備計画(以下単に「総合整備計画」という。)に即して有効かつ合理的に利用されるよう努めるものとする。

(駐留軍用地の返還についての見通しの通知)
第五条 国は、駐留軍用地について、返還の見通しがたった場合には、速やかに、その旨を当該土地の所有者又は賃借権その他政令で定める権利を有する者(以下「所有者等」という。)に通知するよう努めるものとする。

(返還実施計画)
第六条 国は、合同委員会(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(以下「日米地位協定」という。)第二十五条に規定する合同委員会をいう。以下同じ。)において返還が合意された駐留軍用地について、速やかに、当該駐留軍用地の返還に関する実施計画(以下「返還実施計画」という。)を定めなければならない。ただし、駐留軍用地の所有者等が、自ら当該土地を使用する目的で行った申請に係る返還については、この限りでない。
2 返還実施計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 返還に係る区域
 二 返還の予定時期
 三 その他政令で定める事項
3 国は、返還実施計画を定めようとするときは、あらかじめ、沖縄県知事及び関係市町村の長の意見を聴かなければならない。
4 関係市町村の長は、返還実施計画について、国に対し意見を申し出るときは、あらかじめ、駐留軍用地の所有者(当該土地の上に賃借権その他政令で定める権利を有する者を含む。次項において同じ。)の意見を聴かなければならない。
5 前二項の規定により意見を聴かれた者が意見を申し出ようとする場合には、沖縄県知事及び駐留軍用地の所有者にあっては意見を聴かれた日から三十日以内に、関係市町村の長にあっては意見を聴かれた日から六十日以内に、それぞれ意見書を提出しなければならない。
6 国は、返還実施計画を定めたときは、遅滞なく、これを沖縄県知事及び関係市町村の長に通知するものとする。
7 前四項の規定は、返還実施計画の変更について準用する。

(駐留軍用地を返還する場合の措置)
第七条 国は、駐留軍用地の所有者等に当該土地を返還する場合においては、その者の請求により、当該土地の所在する周囲の土地利用の状況に応じた有効かつ合理的な土地利用が図られるよう、当該土地を原状に回復する措置その他政令で定める措置を講ずるものとする。

第八条 国は、アメリカ合衆国から駐留軍用地(琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日の前日においてアメリカ合衆国が使用していたもので、引き続き駐留軍の使用に供されているものに限り、国有地を除く。)の返還を受けた場合において、所有者等が引き続き当該土地を使用せず、かつ、収益していないときは、当該所有者等に対し、当該返還を受けた日(以下この条において「返還日」という。)の翌日から三年を超えない期間内で、当該所有者等の申請に基づき、政令で定めるところにより、給付金を支給するものとする。
2 前項の給付金の額は、返還日の属する年度に国が当該土地について支払った賃借料(当該土地が日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(昭和二十七年法律第百四十号)により使用されたものであるときは、同法第十四条の規定により適用する土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第七十二条に規定する補償金)の一日当たりの額に、返還日の翌日から当該土地の所有者等が当該土地を使用し、収益し、又は処分した日の前日までの期間(返還日の翌日から三年以上、当該土地を使用し、収益し、又は処分しなかった場合にあっては、三年間)の日数を乗じて得た額から返還日の翌日以後当該土地を使用できないことを理由として国から支払を受けた補償金(次項において「補償金」という。)の額を減じて得た額とする。
3 前項の規定にかかわらず、一の所有者等について支給する給付金の額は、三千万円から当該所有者等が支払を受けた補償金の総額を減じて得た額を限度とし、かつ、一の所有者等について一年間に支給する給付金の額は、千万円から当該期間について当該所有者等が支払を受けた補償金の総額を減じて得た額を限度とする。
4 共有の土地について前項の規定を適用する場合には、共有者全員を一の所有者等とみなす。

(調査及び測量)
第九条 沖縄県知事又は関係市町村の長は、総合整備計画の策定その他この法律に基づく施策を実施するため合同委員会において返還が合意された駐留軍用地において調査及び測量を行う必要があると認めるときは、国に対し当該駐留軍用地についての調査及び測量の実施に関してあっせんを申請することができる。

(市町村総合整備計画)
第十条 関係市町村の長は、合同委員会において返還が合意された駐留軍用地又は駐留軍用地跡地(これらの土地と一体的に整備すべき土地を含む。次条において同じ。)を総合的に整備する必要があると認めるときは、市町村総合整備計画を定めることができる。
2 市町村総合整備計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 地域の総合整備に関する基本的方針に関する事項
 二 交通通信体系の整備に関する事項
 三 生活環境の整備に関する事項
 四 農林水産業、商工業その他の産業の振興並びに観光及び保養地の開発に関する事項
 五 自然環境の保全及び回復に関する事項
 六 前各号に掲げるもののほか、地域の総合整備に関し必要と認める事項
3 関係市町村の長は、市町村総合整備計画を定めようとするときは、あらかじめ、市町村総合整備計画に係る土地の所有者(当該土地の上に賃借権その他政令で定める権利を有する者を含む。)の意見を聴かなければならない。
4 関係市町村の長は、市町村総合整備計画を定めたときは、遅滞なく、これを沖縄県知事に報告するとともに、公表しなければならない。
5 沖縄県知事は、前項の規定により市町村総合整備計画について報告を受けたときは、内閣総理大臣に報告するものとする。
6 前三項の規定は、市町村総合整備計画の変更について準用する。

(県総合整備計画)
第十一条 沖縄県知事は、合同委員会において返還が合意された駐留軍用地又は駐留軍用地跡地を広域の見地から特に総合的に整備する必要があると認めるときは、前条第二項各号に掲げる事項について県総合整備計画を定めることができる。
2 沖縄県知事は、県総合整備計画を定めようとするときは、あらかじめ、関係市町村の長の意見を聴かなければならない。この場合において、関係市町村の長は、意見を述べようとするときは、あらかじめ、県総合整備計画に係る土地の所有者(当該土地の上に賃借権その他政令で定める権利を有する者を含む。)の意見を聴かなければならない。
3 沖縄県知事は、県総合整備計画を定めたときは、遅滞なく、これを内閣総理大臣に報告するとともに、公表しなければならない。
4 前二項の規定は、県総合整備計画の変更について準用する。

(総合整備計画と他の計画との関係)
第十二条 総合整備計画は、沖縄振興特別措置法(平成十四年法律第十四号)による沖縄振興計画その他法令の規定による地域振興に関する計画との調和が保たれるとともに、沖縄県における国土の利用に関する計画及び土地利用に関する計画に適合するように定められなければならない。

(都市計画法等による処分についての配慮)
第十三条 国の行政機関の長又は沖縄県知事は、総合整備計画に基づく事業の実施のため都市計画法(昭和四十三年法律第百号)その他の法律の規定による許可その他の処分を求められたときは、合同委員会において返還が合意された駐留軍用地において当該事業が円滑に実施されるよう適切な配慮をするものとする。

(駐留軍用地跡地等の利用促進のための措置)
第十四条 国は、合同委員会において返還が合意された駐留軍用地又は駐留軍用地跡地において総合整備計画に基づく土地区画整理事業、土地改良事業その他の政令で定める事業が円滑に実施されるよう必要な措置を講ずるものとする。

(国有財産の活用)
第十五条 国は、総合整備計画に基づく事業の実施を促進するため、合同委員会において返還が合意された駐留軍用地又は駐留軍用地跡地の区域内に所在する国有林野その他の国有財産の活用について適切な配慮をするものとする。

(この法律の円滑な実施等)
第十六条 国は、駐留軍用地の整理縮小を求める沖縄県民の意向に留意しつつ、この法律の円滑な実施に努めるものとする。
2 この法律及びこの法律に基づく措置は、日米安保条約及び日米地位協定の円滑な実施を妨げるものではない。

(政令への委任)
第十七条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則 [抄]

(施行期日)
1 この法律は、平成七年六月二十日から施行する。
(この法律の失効)
2 この法律は、平成二十四年三月三十一日限り、その効力を失う。ただし、同日以前に支給が開始された第八条第一項に規定する給付金については、同条の規定は、この法律の失効後も、なおその効力を有する。

   附 則 [平成14年3月31日法律第14号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十四年四月一日から施行する。

   附 則 [平成23年5月2日法律第35号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。[後略]

以上

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