死体解剖保存法


公布:昭和24年6月10日法律第204号
施行:昭和24年12月10日
改正:昭和26年6月6日法律第201号
施行:昭和27年1月1日
改正:昭和28年8月15日法律第213号
施行:昭和28年9月1日
改正:昭和29年6月1日法律第136号
施行:昭和29年6月1日
改正:昭和31年4月11日法律第66号
施行:昭和31年7月1日
改正:昭和37年5月15日法律第133号
施行:昭和37年5月15日
改正:昭和41年6月30日法律第98号
施行:昭和41年7月1日
改正:昭和45年4月1日法律第12号
施行:昭和45年4月1日
改正:昭和61年12月26日法律第109号
施行:昭和62年4月1日
改正:平成9年12月17日法律第125号
施行:平成10年4月1日
改正:平成11年7月16日法律第87号
施行:平成12年4月1日
改正:平成11年12月22日法律第160号
施行:平成13年1月6日
改正:平成15年5月30日法律第55号
施行:平成16年2月27日
改正:平成17年7月15日法律第83号
施行:平成19年4月1日

第一条 この法律は、死体(妊娠四月以上の死胎を含む。以下同じ。)の解剖及び保存並びに死因調査の適正を期することによつて公衆衛生の向上を図るとともに、医学(歯学を含む。以下同じ。)の教育又は研究に資することを目的とする。

第二条 死体の解剖をしようとする者は、あらかじめ、解剖をしようとする地の保健所長の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
 一 死体の解剖に関し相当の学識技能を有する医師、歯科医師その他の者であつて、厚生労働大臣が適当と認定したものが解剖する場合
 二 医学に関する大学(大学の学部を含む。以下同じ。)の解剖学、病理学又は法医学の教授又は准教授が解剖する場合
 三 第八条の規定により解剖する場合
 四 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第百二十九条(第二百二十二条第一項において準用する場合を含む。)、第百六十八条第一項又は第二百二十五条第一項の規定により解剖する場合
 五 食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第五十九条第一項又は第二項の規定により解剖する場合
 六 検疫法(昭和二十六年法律第二百一号)第十三条第二項の規定により解剖する場合
2 保健所長は、公衆衛生の向上又は医学の教育若しくは研究のため特に必要があると認められる場合でなければ、前項の規定による許可を与えてはならない。
3 第一項の規定による許可に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第三条 厚生労働大臣は、前条第一項第一号の認定を受けた者が左の各号の一に該当するときは、その認定を取り消すことができる。
 一 医師又は歯科医師がその免許を取り消され、又は医業若しくは歯科医業の停止を命ぜられたとき。
 二 この法律の規定又はこの法律の規定に基く厚生労働省令の規定に違反したとき
 三 罰金以上の刑に処せられたとき。
 四 認定を受けた日から五年を経過したとき。

第四条 厚生労働大臣は、第二条第一項第一号の認定又はその認定の取消を行うに当つては、あらかじめ、医道審議会の意見を聞かなければならない。
2 厚生労働大臣は、第二条第一項第一号の認定をしたときは、認定証明書を交付する。
3 第二条第一項第一号の認定及びその認定の取消に関して必要な事項は、政令で定める。

第五条及び第六条 削除

第七条 死体の解剖をしようとする者は、その遺族の承諾を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この限りでない。
 一 死亡確認後三十日を経過しても、なおその死体について引取者のない場合
 二 二人以上の医師(うち一人は歯科医師であつてもよい。)が診療中であつた患者が死亡した場合において、主治の医師を含む二人以上の診療中の医師又は歯科医師がその死因を明らかにするため特にその解剖の必要を認め、且つ、その遺族の所在が不明であり、又は遺族が遠隔の地に居住する等の事由により遺族の諾否の判明するのを待つていてはその解剖の目的がほとんど達せられないことが明らかな場合
 三 第二条第一項第三号又は第四号に該当する場合
 四 食品衛生法第五十九条第二項の規定により解剖する場合
 五 検疫法第十三条第二項後段の規定に該当する場合

第八条 政令で定める地を管轄する都道府県知事は、その地域内における伝染病、中毒又は災害により死亡した疑のある死体その他死因の明らかでない死体について、その死因を明らかにするため監察医を置き、これに検案をさせ、又は検案によつても死因の判明しない場合には解剖させることができる。但し、変死体又は変死の疑がある死体については、刑事訴訟法第二百二十九条の規定による検視があつた後でなければ、検案又は解剖させることができない。
2 前項の規定による検案又は解剖は、刑事訴訟法の規定による検証又は鑑定のための解剖を妨げるものではない。

第九条 死体の解剖は、特に設けた解剖室においてしなければならない。但し、特別の事情がある場合において解剖をしようとする地の保健所長の許可を受けた場合及び第二条第一項第四号に掲げる場合は、この限りでない。

第十条 身体の正常な構造を明らかにするための解剖は、医学に関する大学において行うものとする。

第十一条 死体を解剖した者は、その死体について犯罪と関係のある異状があると認めたときは、二十四時間以内に、解剖をした地の警察署長に届け出なければならない。

第十二条 引取者のない死体については、その所在地の市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては区長とする。以下同じ。)は、医学に関する大学の長(以下学校長という。)から医学の教育又は研究のため交付の要求があつたときは、その死亡確認後、これを交付することができる。

第十三条 市町村長は、前条の規定により死体の交付をしたときは、学校長に死体交付証明書を交付しなければならない。
2 前項の規定による死体交付証明書の交付があつたときは、学校長の行う埋葬又は火葬については、墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)第五条第一項の規定による許可があつたものとみなし、死体交付証明書は、同法第八条の規定による埋葬許可証又は火葬許可証とみなす。

第十四条 第十二条の規定により死体の交付を受けた学校長は、死亡の確認後三十日以内に引取者から引渡の要求があつたときは、その死体を引き渡さなければならない。

第十五条 前条に規定する期間を経過した後においても、死者の相続人その他死者と相当の関係のある引取者から引渡の要求があつたときは、その死体の全部又は一部を引き渡さなければならない。但し、その死体が特に得がたいものである場合において、医学の教育又は研究のためその保存を必要とするときは、この限りでない。

第十六条 第十二条の規定により交付する死体についても、行旅病人及行旅死亡人取扱法(明治三十二年法律第九十三号)に規定する市町村は、遅滞なく、同法所定の手続(第七条の規定による埋火葬を除く。)を行わなければならない。

第十七条 医学に関する大学又は医療法(昭和二十三年法律第二百五号)の規定による地域医療支援病院若しくは特定機能病院の長は、医学の教育又は研究のため特に必要があるときは、遺族の承諾を得て、死体の全部又は一部を標本として保存することができる。
2 遺族の所在が不明のとき、及び第十五条但書に該当するときは、前項の承諾を得ることを要しない。

第十八条 第二条の規定により死体の解剖をすることができる者は、医学の教育又は研究のため特に必要があるときは、解剖をした後その死体(第十二条の規定により市町村長から交付を受けた死体を除く。)の一部を標本として保存することができる。但し、その遺族から引渡の要求があつたときは、この限りでない。

第十九条 前二条の規定により保存する場合を除き、死体の全部又は一部を保存しようとする者は、遺族の承諾を得、かつ、保存しようとする地の都道府県知事(地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第五条第一項の政令で定める市又は特別区にあつては、市長又は区長。)の許可を受けなければならない。
2 遺族の所在が不明のときは、前項の承諾を得ることを要しない。

第二十条 死体の解剖を行い、又はその全部若しくは一部を保存する者は、死体の取扱に当つては、特に礼意を失わないように注意しなければならない。

第二十一条 学校長は、第十二条の規定により交付を受けた死体については、行旅病人及行旅死亡人取扱法第十一条及び第十三条の規定にかかわらず、その運搬に関する諸費、埋火葬に関する諸費及び墓標費であつて、死体の交付を受ける際及びその後に要したものを負担しなければならない。

第二十二条 第二条第一項、第十四条又は第十五条の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。

第二十三条 第九条又は第十九条の規定に違反した者は、二万円以下の罰金に処する。

   附 則 [抄]

1 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。但し、第二条第一項第一号の認定及び審査会に関する部分は、公布の日から施行する。
2 大学等へ死体交付に関する法律(昭和二十二年法律第百十号。以下旧法という。)及び死因不明死体の死因調査に関する件(昭和二十二年厚生省令第一号。以下旧令という。)は、廃止する。
3 旧令第二条第一項の規定による監察医は、第八条の規定による監察医とみなす。
7 この法律施行の際現に標本として保存されている死体については、第十九条の規定を適用しない。
8 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十八条の規定により大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学又は専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校として、その存続を認められた大学又は専門学校は、第二条第一項第二号、第六条第一項、第十条又は第十二条の規定による大学とみなす。

   附 則 [昭和26年6月6日法律第201号] [抄]

(施行期日)
1 この法律は、昭和二十七年一月一日から施行する。

   附 則 [昭和28年8月15日法律第213号] [抄]

1 この法律は、昭和二十八年九月一日から施行する。
2 この法律施行前従前の法令の規定によりなされた許可、認可その他の処分又は申請、届出その他の手続は、それぞれ改正後の相当規定に基いてなされた処分又は手続とみなす。

   附 則 [昭和29年6月1日法律第136号] [抄]

(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(罰則に関する経過規定)
4 この法律の施行前になした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

   附 則 [昭和31年4月11日法律第66号] [抄]

(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して九十日をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 [昭和37年5月15日法律第133号] [抄]

(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。

   附 則 [昭和41年6月30日法律第98号] [抄]

(施行期日)
1 この法律は、昭和四十一年七月一日から施行する。

   附 則 [昭和45年4月1日法律第12号] [抄]

(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。

   附 則 [昭和61年12月26日法律第109号] [抄]

 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
 五 第十四条の規定、第十五条の規定(身体障害者福祉法第十九条第四項及び第十九条の二の改正規定を除く。附則第七条第二項において同じ。)、第十六条の規定、第十七条の規定(児童福祉法第二十条第四項の改正規定を除く。附則第七条第二項において同じ。)、第十八条、第十九条、第二十六条及び第三十九条の規定並びに附則第七条第二項及び第十一条から第十三条までの規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日

   附 則 [平成9年12月17日法律第125号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条の四の改正規定及び第四十二条の改正規定(同条に二項を加える部分を除く。)並びに附則第三条、第九条及び第十四条の規定は、公布の日から施行する。

(死体解剖保存法の一部改正に伴う経過措置)
第五条 この法律の施行の際現に旧法第四条の規定による承認を受けている病院の長については、前条の規定による改正前の死体解剖保存法第十七条第一項の規定は、なおその効力を有する。ただし、当該病院が患者百人以上の収容施設を有しなくなったとき、又はその診療科名中に内科、外科、産婦人科、眼科若しくは耳鼻いんこう科のいずれかを含まなくなったときは、この限りでない。

(その他の経過措置の政令への委任)
第十四条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 [平成11年7月16日法律第87号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 第一条中地方自治法第二百五十条の次に五条、節名並びに二款及び款名を加える改正規定(同法第二百五十条の九第一項に係る部分(両議院の同意を得ることに係る部分に限る。)に限る。)、第四十条中自然公園法附則第九項及び第十項の改正規定(同法附則第十項に係る部分に限る。)、第二百四十四条の規定(農業改良助長法第十四条の三の改正規定に係る部分を除く。)並びに第四百七十二条の規定(市町村の合併の特例に関する法律第六条、第八条及び第十七条の改正規定に係る部分を除く。)並びに附則第七条、第十条、第十二条、第五十九条ただし書、第六十条第四項及び第五項、第七十三条、第七十七条、第百五十七条第四項から第六項まで、第百六十条、第百六十三条、第百六十四条並びに第二百二条の規定 公布の日

(国等の事務)
第百五十九条 この法律による改正前のそれぞれの法律に規定するもののほか、この法律の施行前において、地方公共団体の機関が法律又はこれに基づく政令により管理し又は執行する国、他の地方公共団体その他公共団体の事務(附則第百六十一条において「国等の事務」という。)は、この法律の施行後は、地方公共団体が法律又はこれに基づく政令により当該地方公共団体の事務として処理するものとする。

(処分、申請等に関する経過措置)
第百六十条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び附則第百六十三条において同じ。)の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この条において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現に改正前のそれぞれの法律の規定によりされている許可等の申請その他の行為(以下この条において「申請等の行為」という。)で、この法律の施行の日においてこれらの行為に係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは、附則第二条から前条までの規定又は改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるものを除き、この法律の施行の日以後における改正後のそれぞれの法律の適用については、改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請等の行為とみなす。
2 この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定により国又は地方公共団体の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行の日前にその手続がされていないものについては、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、これを、改正後のそれぞれの法律の相当規定により国又は地方公共団体の相当の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみなして、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定を適用する。

(不服申立てに関する経過措置)
第百六十一条 施行日前にされた国等の事務に係る処分であって、当該処分をした行政庁(以下この条において「処分庁」という。)に施行日前に行政不服審査法に規定する上級行政庁(以下この条において「上級行政庁」という。)があったものについての同法による不服申立てについては、施行日以後においても、当該処分庁に引き続き上級行政庁があるものとみなして、行政不服審査法の規定を適用する。この場合において、当該処分庁の上級行政庁とみなされる行政庁は、施行日前に当該処分庁の上級行政庁であった行政庁とする。
2 前項の場合において、上級行政庁とみなされる行政庁が地方公共団体の機関であるときは、当該機関が行政不服審査法の規定により処理することとされる事務は、新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

(手数料に関する経過措置)
第百六十二条 施行日前においてこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定により納付すべきであった手数料については、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、なお従前の例による。

(罰則に関する経過措置)
第百六十三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第百六十四条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

   附 則 [平成11年12月22日法律第160号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。[後略]

   附 則 [平成15年5月30日法律第55号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 三 第二条(次号に掲げる改正規定を除く。)、第六条(次号に掲げる改正規定を除く。)、第八条(次号に掲げる改正規定を除く。)及び第十条並びに附則第二条から第五条まで、第八条、第十六条から第十八条まで、第二十一条から第二十六条まで、第三十一条、第三十三条及び第三十五条の規定 公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日

   附 則 [平成17年7月15日法律第83号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十九年四月一日から施行する。[後略]

以上

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