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第一編 総則 第二編 第一審 第三編 上訴 第四編 再審
第五編 非常上告 第六編 略式手続 第七編 裁判の執行


刑事訴訟法 第一編 総則

公布:昭和23年7月10日法律第131号
施行:昭和24年1月1日

改正:平成11年12月7日法律第147号
施行:平成11年12月27日
改正:平成11年12月8日法律第151号
施行:平成12年4月1日
改正:平成12年5月19日法律第74号
施行:平成12年11月1日(附則第1項第1号:平成12年6月8日,同項第2号:平成13年6月1日)
改正:平成12年12月6日法律第142号
施行:平成13年4月1日
改正:平成13年6月8日法律第41号
施行:平成14年4月1日
改正:平成13年12月5日法律第139号
施行:平成13年12月25日
改正:平成13年12月5日法律第140号
施行:平成14年10月1日
改正:平成13年12月12日法律第153号
施行:平成14年3月1日
改正:平成14年7月31日法律第98号
施行:平成15年4月1日
改正:平成14年7月31日法律第100号
施行:平成15年4月1日
改正:平成15年5月30日法律第61号
施行:平成17年4月1日
改正:平成16年5月28日法律第62号
施行:平成17年11月1日(附則第1条第1号:平成18年10月2日,同条第2号:平成21年5月21日,同条第3号:平成21年5月21日)
改正:平成16年12月8日法律第156号
施行:平成17年1月1日
改正:平成17年5月25日法律第50号
施行:平成18年5月24日
改正:平成17年6月22日法律第66号
施行:平成17年7月12日
改正:平成18年5月8日法律第36号
施行:平成18年5月28日
改正:平成19年5月23日法律第54号
施行:平成20年12月1日
改正:平成19年5月30日法律第60号
施行:平成21年5月21日
改正:平成19年6月27日法律第95号
施行:平成20年12月1日(附則第1条第1号:平成19年7月17日,同条第2号:平成19年12月26日)
改正:平成20年6月18日法律第71号
施行:平成20年12月25日
改正:平成21年7月1日法律第66号
施行:平成23年4月1日
改正:平成22年4月27日法律第26号
施行:平成22年4月27日(附則第1条ただし書:平成22年10月25日)
改正:平成23年6月3日法律第61号
施行:平成24年4月1日
目次

 第一編 総則(第一条)
  第一章 裁判所の管轄(第二条−第十九条)
  第二章 裁判所職員の除斥及び忌避(第二十条−第二十六条)
  第三章 訴訟能力(第二十七条−第二十九条)
  第四章 弁護及び補佐(第三十条−第四十二条)
  第五章 裁判(第四十三条−第四十六条)
  第六章 書類及び送達(第四十七条−第五十四条)
  第七章 期間(第五十五条・第五十六条)
  第八章 被告人の召喚、勾引及び勾留(第五十七条−第九十八条)
  第九章 押収及び捜索(第九十九条−第百二十七条)
  第十章 検証(第百二十八条−第百四十二条)
  第十一章 証人尋問(第百四十三条−第百六十四条)
  第十二章 鑑定(第百六十五条−第百七十四条)
  第十三章 通訳及び翻訳(第百七十五条−第百七十八条)
  第十四章 証拠保全(第百七十九条・第百八十条)
  第十五章 訴訟費用(第百八十一条−第百八十八条)
  第十六章 費用の補償(第百八十八条の二−第百八十八条の七)
 第二編 第一審
  第一章 捜査(第百八十九条−第二百四十六条)
  第二章 公訴(第二百四十七条−第二百七十条)
  第三章 公判
   第一節 公判準備及び公判手続(第二百七十一条−第三百十六条)
   第二節 争点及び証拠の整理手続
    第一款 公判前整理手続
     第一目 通則(第三百十六条の二−第三百十六条の十二)
     第二目 争点及び証拠の整理(第三百十六条の十三−第三百十六条の二十四)
     第三目 証拠開示に関する裁定(第三百十六条の二十五−第三百十六条の二十七)
    第二款 期日間整理手続(第三百十六条の二十八)
    第三款 公判手続の特例(第三百十六条の二十九−第三百十六条の三十二)
  第三節 被害者参加(第三百十六条の三十三−第三百十六条の三十九)
   第四節 証拠(第三百十七条−第三百二十八条)
   第五節 公判の裁判(第三百二十九条−第三百五十条)
  第四章 即決裁判手続
   第一節 即決裁判手続の申立て(第三百五十条の二・第三百五十条の三)
   第二節 公判準備及び公判手続の特例(第三百五十条の四−第三百五十条の十一)
   第三節 証拠の特例(第三百五十条の十二)
   第四節 公判の裁判の特例(第三百五十条の十三・第三百五十条の十四)  第三編 上訴
  第一章 通則(第三百五十一条−第三百七十一条)
  第二章 控訴(第三百七十二条−第四百四条)
  第三章 上告(第四百五条−第四百十八条)
  第四章 抗告(第四百十九条−第四百三十四条)
 第四編 再審(第四百三十五条−第四百五十三条)
 第五編 非常上告(第四百五十四条−第四百六十条)
 第六編 略式手続(第四百六十一条−第四百七十条)
 第七編 裁判の執行(第四百七十一条−第五百七条)
 附則

第一編 総則

第一条 この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。

第一章 裁判所の管轄

第二条 裁判所の土地管轄は、犯罪地又は被告人の住所、居所若しくは現在地による。
2 国外に在る日本船舶内で犯した罪については、前項に規定する地の外、その船舶の所在地又は犯罪後その船舶の寄泊した地による。
3 国外に在る日本航空機内で犯した罪については、第一項に規定する地の外、犯罪後その航空機の着陸(着水を含む。)した地による。

第三条 事物管轄を異にする数個の事件が関連するときは、上級の裁判所は、併せてこれを管轄することができる。
2 高等裁判所の特別権限に属する事件と他の事件とが関連するときは、高等裁判所は、併せてこれを管轄することができる。

第四条 事物管轄を異にする数個の関連事件が上級の裁判所に係属する場合において、併せて審判することを必要としないものがあるときは、上級の裁判所は、決定で管轄権を有する下級の裁判所にこれを移送することができる。

第五条 数個の関連事件が各別に上級の裁判所及び下級の裁判所に係属するときは、事物管轄にかかわらず、上級の裁判所は、決定で下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判することができる。
2 高等裁判所の特別権限に属する事件が高等裁判所に係属し、これと関連する事件が下級の裁判所に係属するときは、高等裁判所は、決定で下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判することができる。

第六条 土地管轄を異にする数個の事件が関連するときは、一個の事件につき管轄権を有する裁判所は、併せて他の事件を管轄することができる。但し、他の法律の規定により特定の裁判所の管轄に属する事件は、これを管轄することができない。

第七条 土地管轄を異にする数個の関連事件が同一裁判所に係属する場合において、併せて審判することを必要としないものがあるときは、その裁判所は、決定で管轄権を有する他の裁判所にこれを移送することができる。

第八条 数個の関連事件が各別に事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属するときは、各裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定でこれを一の裁判所に併合することができる。
2 前項の場合において各裁判所の決定が一致しないときは、各裁判所に共通する直近上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で事件を一の裁判所に併合することができる。

第九条 数個の事件は、左の場合に関連するものとする。
 一 一人が数罪を犯したとき。
 二 数人が共に同一又は別個の罪を犯したとき。
 三 数人が通謀して各別に罪を犯したとき。
2 犯人蔵匿の罪、証憑湮滅の罪、偽証の罪、虚偽の鑑定通訳の罪及び贓物に関する罪とその本犯の罪とは、共に犯したものとみなす。

第十条 同一事件が事物管轄を異にする数個の裁判所に係属するときは、上級の裁判所が、これを審判する。
2 上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で管轄権を有する下級の裁判所にその事件を審判させることができる。

第十一条 同一事件が事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属するときは、最初に公訴を受けた裁判所が、これを審判する。
2 各裁判所に共通する直近上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で後に公訴を受けた裁判所にその事件を審判させることができる。

第十二条 裁判所は、事実発見のため必要があるときは、管轄区域外で職務を行うことができる。
2 前項の規定は、受命裁判官にこれを準用する。

第十三条 訴訟手続は、管轄違の理由によつては、その効力を失わない。

第十四条 裁判所は、管轄権を有しないときでも、急速を要する場合には、事実発見のため必要な処分をすることができる。
2 前項の規定は、受命裁判官にこれを準用する。

第十五条 検察官は、左の場合には、関係のある第一審裁判所に共通する直近上級の裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。
 一 裁判所の管轄区域が明らかでないため管轄裁判所が定まらないとき。
 二 管轄違を言い渡した裁判が確定した事件について他に管轄裁判所がないとき。

第十六条 法律による管轄裁判所がないとき、又はこれを知ることができないときは、検事総長は、最高裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。

第十七条 検察官は、左の場合には、直近上級の裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。
 一 管轄裁判所が法律上の理由又は特別の事情により裁判権を行うことができないとき。
 二 地方の民心、訴訟の状況その他の事情により裁判の公平を維持することができない虞があるとき。
2 前項各号の場合には、被告人も管轄移転の請求をすることができる。

第十八条 犯罪の性質、地方の民心その他の事情により管轄裁判所が審判をするときは公安を害する虞があると認める場合には、検事総長は、最高裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。

第十九条 裁判所は、適当と認めるときは、検察官若しくは被告人の請求により又は職権で、決定を以て、その管轄に属する事件を事物管轄を同じくする他の管轄裁判所に移送することができる。
2 移送の決定は、被告事件につき証拠調を開始した後は、これをすることができない。
3 移送の決定又は移送の請求を却下する決定に対しては、その決定により著しく利益を害される場合に限り、その事由を疎明して、即時抗告をすることができる。

第二章 裁判所職員の除斥及び忌避

第二十条 裁判官は、次に掲げる場合には、職務の執行から除斥される。
 一 裁判官が被害者であるとき。
 二 裁判官が被告人又は被害者の親族であるとき、又はあつたとき。
 三 裁判官が被告人又は被害者の法定代理人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。
 四 裁判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。
 五 裁判官が事件について被告人の代理人、弁護人又は補佐人となつたとき。
 六 裁判官が事件について検察官又は司法警察員の職務を行つたとき。
 七 裁判官が事件について第二百六十六条第二号の決定、略式命令、前審の裁判、第三百九十八条乃至第四百条、第四百十二条若しくは第四百十三条の規定により差し戻し、若しくは移送された場合における原判決又はこれらの裁判の基礎となつた取調べに関与したとき。ただし、受託裁判官として関与した場合は、この限りでない。

第二十一条 裁判官が職務の執行から除斥されるべきとき、又は不公平な裁判をする虞があるときは、検察官又は被告人は、これを忌避することができる。
2 弁護人は、被告人のため忌避の申立をすることができる。但し、被告人の明示した意思に反することはできない。

第二十二条 事件について請求又は陳述をした後には、不公平な裁判をする虞があることを理由として裁判官を忌避することはできない。但し、忌避の原因があることを知らなかつたとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。

第二十三条 合議体の構成員である裁判官が忌避されたときは、その裁判官所属の裁判所が、決定をしなければならない。この場合において、その裁判所が地方裁判所であるときは、合議体で決定をしなければならない。
2 地方裁判所の一人の裁判官又は家庭裁判所の裁判官が忌避されたときはその裁判官所属の裁判所が、簡易裁判所の裁判官が忌避されたときは管轄地方裁判所が、合議体で決定をしなければならない。ただし、忌避された裁判官が忌避の申立てを理由があるものとするときは、その決定があつたものとみなす。
3 忌避された裁判官は、前二項の決定に関与することができない。
4 裁判所が忌避された裁判官の退去により決定をすることができないときは、直近上級の裁判所が、決定をしなければならない。

第二十四条 訴訟を遅延させる目的のみでされたことの明らかな忌避の申立は、決定でこれを却下しなければならない。この場合には、前条第三項の規定を適用しない。第二十二条の規定に違反し、又は裁判所の規則で定める手続に違反してされた忌避の申立を却下する場合も、同様である。
2 前項の場合には、忌避された受命裁判官、地方裁判所の一人の裁判官又は家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官は、忌避の申立てを却下する裁判をすることができる。

第二十五条 忌避の申立を却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第二十六条 この章の規定は、第二十条第七号の規定を除いて、裁判所書記にこれを準用する。
2 決定は、裁判所書記所属の裁判所がこれをしなければならない。但し、第二十四条第一項の場合には、裁判所書記の附属する受命裁判官が、忌避の申立を却下する裁判をすることができる。

第三章 訴訟能力

第二十七条 被告人又は被疑者が法人であるときは、その代表者が、訴訟行為についてこれを代表する。
2 数人が共同して法人を代表する場合にも、訴訟行為については、各自が、これを代表する。

第二十八条 刑法(明治四十年法律第四十五条)第三十九条又は第四十一条の規定を適用しない罪に当たる事件について、被告人又は被疑者が意思能力を有しないときは、その法定代理人(二人以上あるときは、各自。以下同じ。)が、訴訟行為についてこれを代理する。

第二十九条 前二条の規定により被告人を代表し、又は代理する者がないときは、検察官の請求により又は職権で、特別代理人を選任しなければならない。
2 前二条の規定により被疑者を代表し、又は代理する者がない場合において、検察官、司法警察員又は利害関係人の請求があつたときも、前項と同様である。
3 特別代理人は、被告人又は被疑者を代表し又は代理して訴訟行為をする者ができるまで、その任務を行う。

第四章 弁護及び補佐

第三十条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
2 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。

第三十一条 弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。
2 簡易裁判所又は地方裁判所においては、裁判所の許可を得たときは、弁護士でない者を弁護人に選任することができる。ただし、地方裁判所においては、他に弁護士の中から選任された弁護人がある場合に限る。

第三十一条の二 弁護人を選任しようとする被告人又は被疑者は、弁護士会に対し、弁護人の選任の申出をすることができる。
2 弁護士会は、前項の申出を受けた場合は、速やかに、所属する弁護士の中から弁護人となろうとする者を紹介しなければならない。
3 弁護士会は、前項の弁護人となろうとする者がないときは、当該申出をした者に対し、速やかに、その旨を通知しなければならない。同項の規定により紹介した弁護士が被告人又は被疑者がした弁護人の選任の申込みを拒んだときも、同様とする。

第三十二条 公訴の提起前にした弁護人の選任は、第一審においてもその効力を有する。
2 公訴の提起後における弁護人の選任は、審級ごとにこれをしなければならない。

第三十三条 被告人に数人の弁護人があるときは、裁判所の規則で、主任弁護人を定めなければならない。

第三十四条 前条の規定による主任弁護人の権限については、裁判所の規則の定めるところによる。

第三十五条 裁判所は、裁判所の規則の定めるところにより、被告人又は被疑者の弁護人の数を制限することができる。但し、被告人の弁護人については、特別の事情のあるときに限る。

第三十六条 被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。但し、被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。

第三十六条の二 この法律により弁護人を要する場合を除いて、被告人が前条の請求をするには、資力申告書(その者に属する現金、預金その他政令で定めるこれらに準ずる資産の合計額(以下「資力」という。)及びその内訳を申告する書面をいう。以下同じ。)を提出しなければならない。

第三十六条の三 この法律により弁護人を要する場合を除いて、その資力が基準額(標準的な必要生計費を勘案して一般に弁護人の報酬及び費用を賄うに足りる額として政令で定める額をいう。以下同じ。)以上である被告人が第三十六条の請求をするには、あらかじめ、その請求をする裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に第三十一条の二第一項の申出をしていなければならない。
2 前項の規定により第三十一条の二第一項の申出を受けた弁護士会は、同条第三項の規定による通知をしたときは、前項の地方裁判所又は当該被告事件が係属する裁判所に対し、その旨を通知しなければならない。

第三十七条 左の場合に被告人に弁護人がないときは、裁判所は、職権で弁護人を附することができる。
 一 被告人が未成年者であるとき。
 二 被告人が年齢七十年以上の者であるとき。
 三 被告人が耳の聞えない者又は口のきけない者であるとき。
 四 被告人が心神喪失者又は心神耗弱者である疑があるとき。
 五 その他必要と認めるとき。

第三十七条の二 死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件について被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りでない。
2 前項の請求は、同項に規定する事件について勾留を請求された被疑者も、これをすることができる。

第三十七条の三 前条第一項の請求をするには、資力申告書を提出しなければならない。
2 その資力が基準額以上である被疑者が前条第一項の請求をするには、あらかじめ、その勾留の請求を受けた裁判官の所属する裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に第三十一条の二第一項の申出をしていなければならない。
3 前項の規定により第三十一条の二第一項の申出を受けた弁護士会は、同条第三項の規定による通知をしたときは、前項の地方裁判所に対し、その旨を通知しなければならない。

第三十七条の四 裁判官は、第三十七条の二第一項に規定する事件について被疑者に対して勾留状が発せられ、かつ、これに弁護人がない場合において、精神上の障害その他の事由により弁護人を必要とするかどうかを判断することが困難である疑いがある被疑者について必要があると認めるときは、職権で弁護人を付することができる。ただし、被疑者が釈放された場合は、この限りでない。

第三十七条の五 裁判官は、死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる事件について第三十七条の二第一項又は前条の規定により弁護人を付する場合又は付した場合において、特に必要があると認めるときは、職権で更に弁護人一人を付することができる。ただし、被疑者が釈放された場合は、この限りでない。

第三十八条 この法律の規定に基づいて裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付すべき弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。
2 前項の規定により選任された弁護人は、旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求することができる。

第三十八条の二 裁判官による弁護人の選任は、被疑者がその選任に係る事件について釈放されたときは、その効力を失う。ただし、その釈放が勾留の執行停止によるときは、この限りでない。

第三十八条の三 裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付した弁護人を解任することができる。
 一 第三十条の規定により弁護人が選任されたことその他の事由により弁護人を付する必要がなくなつたとき。
 二 被告人と弁護人との利益が相反する状況にあり弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。
 三 心身の故障その他の事由により、弁護人が職務を行うことができず、又は職務を行うことが困難となつたとき。
 四 弁護人がその任務に著しく反したことによりその職務を継続させることが相当でないとき。
 五 弁護人に対する暴行、脅迫その他の被告人の責めに帰すべき事由により弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。
2 弁護人を解任するには、あらかじめ、その意見を聴かなければならない。
3 弁護人を解任するに当たつては、被告人の権利を不当に制限することがないようにしなければならない。
4 公訴の提起前は、裁判官が付した弁護人の解任は、裁判官がこれを行う。この場合においては、前三項の規定を準用する。

第三十八条の四 裁判所又は裁判官の判断を誤らせる目的で、その資力について虚偽の記載のある資力申告書を提出した者は、十万円以下の過料に処する。

第三十九条 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
2 前項の接見又は授受については、法令(裁判所の規則を含む。以下同じ。)で、被告人又は被疑者の逃亡、罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要な措置を規定することができる。
3 検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。

第四十条 弁護人は、公訴の提起後は、裁判所において、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。但し、証拠物を謄写するについては、裁判長の許可を受けなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、第百五十七条の四第三項に規定する記録媒体は、謄写することができない。

第四十一条 弁護人は、この法律に特別の定のある場合に限り、独立して訴訟行為をすることができる。

第四十二条 被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、何時でも補佐人となることができる。
2 補佐人となるには、審級ごとにその旨を届け出なければならない。
3 補佐人は、被告人の明示した意思に反しない限り、被告人がすることのできる訴訟行為をすることができる。但し、この法律に特別の定のある場合は、この限りでない。

第五章 裁判

第四十三条 判決は、この法律に特別の定のある場合を除いては、口頭弁論に基いてこれをしなければならない。
2 決定又は命令は、口頭弁論に基いてこれをすることを要しない。
3 決定又は命令をするについて必要がある場合には、事実の取調をすることができる。
4 前項の取調は、合議体の構成員にこれをさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。

第四十四条 裁判には、理由を附しなければならない。
2 上訴を許さない決定又は命令には、理由を附することを要しない。但し、第四百二十八条第二項の規定により異議の申立をすることができる決定については、この限りでない。

第四十五条 判決以外の裁判は、判事補が一人でこれをすることができる。

第四十六条 被告人その他訴訟関係人は、自己の費用で、裁判書又は裁判を記載した調書の謄本又は抄本の交付を請求することができる。

第六章 書類及び送達

第四十七条 訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。

第四十八条 公判期日における訴訟手続については、公判調書を作成しなければならない。
2 公判調書には、裁判所の規則の定めるところにより、公判期日における審判に関する重要な事項を記載しなければならない。
3 公判調書は、各公判期日後速かに、遅くとも判決を宣告するまでにこれを整理しなければならない。ただし、判決を宣告する公判期日の調書は当該公判期日後七日以内に、公判期日から判決を宣告する日までの期間が十日に満たない場合における当該公判期日の調書は当該公判期日後十日以内(判決を宣告する日までの期間が三日に満たないときは、当該判決を宣告する公判期日後七日以内)に、整理すれば足りる。

第四十九条 被告人に弁護人がないときは、公判調書は、裁判所の規則の定めるところにより、被告人も、これを閲覧することができる。被告人は、読むことができないとき、又は目の見えないときは、公判調書の朗読を求めることができる。

第五十条 公判調書が次回の公判期日までに整理されなかつたときは、裁判所書記は、検察官、被告人又は弁護人の請求により、次回の公判期日において又はその期日までに、前回の公判期日における証人の供述の要旨を告げなければならない。この場合において、請求をした検察官、被告人又は弁護人が証人の供述の要旨の正確性につき異議を申し立てたときは、その旨を調書に記載しなければならない。
2 被告人及び弁護人の出頭なくして開廷した公判期日の公判調書が、次回の公判期日までに整理されなかつたときは、裁判所書記は、次回の公判期日において又はその期日までに、出頭した被告人又は弁護人に前回の公判期日における審理に関する重要な事項を告げなければならない。

第五十一条 検察官、被告人又は弁護人は、公判調書の記載の正確性につき異議を申し立てることができる。異議の申立があつたときは、その旨を調書に記載しなければならない。
2 前項の異議の申立ては、遅くとも当該審級における最終の公判期日後十四日以内にこれをしなければならない。ただし、第四十八条第三項ただし書の規定により判決を宣告する公判期日後に整理された調書については、整理ができた日から十四日以内にこれをすることができる。

第五十二条 公判期日における訴訟手続で公判調書に記載されたものは、公判調書のみによつてこれを証明することができる。

第五十三条 何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧することができる。但し、訴訟記録の保存又は裁判所若しくは検察庁の事務に支障のあるときは、この限りでない。
2 弁論の公開を禁止した事件の訴訟記録又は一般の閲覧に適しないものとしてその閲覧が禁止された訴訟記録は、前項の規定にかかわらず、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があつて特に訴訟記録の保管者の許可を受けた者でなければ、これを閲覧することができない。
3 日本国憲法第八十二条第二項但書に掲げる事件については、閲覧を禁止することはできない。
4 訴訟記録の保管及びその閲覧の手数料については、別に法律でこれを定める。

第五十三条の二 訴訟に関する書類及び押収物については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)及び独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)の規定は、適用しない。
2 訴訟に関する書類及び押収物に記録されている個人情報については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)第四章及び独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)第四章の規定は、適用しない。
3 訴訟に関する書類については、公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)第二章の規定は、適用しない。この場合において、訴訟に関する書類についての同法第四章の規定の適用については、同法第十四条第一項中「国の機関(行政機関を除く。以下この条において同じ。)」とあり、及び同法第十六条第一項第三号中「国の機関(行政機関を除く。)」とあるのは、「国の機関」とする。
4 押収物については、公文書等の管理に関する法律の規定は、適用しない。

第五十四条 書類の送達については、裁判所の規則に特別の定のある場合を除いては、民事訴訟に関する法令の規定(公示送達に関する規定を除く。)を準用する。

第七章 期間

第五十五条 期間の計算については、時で計算するものは、即時からこれを起算し、日、月又は年で計算するものは、初日を算入しない。但し、時効期間の初日は、時間を論じないで一日としてこれを計算する。
2 月及び年は、暦に従つてこれを計算する。
3 期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日、一月二日、一月三日又は十二月二十九日から十二月三十一日までの日に当たるときは、これを期間に算入しない。ただし、時効期間については、この限りでない。

第五十六条 法定の期間は、裁判所の規則の定めるところにより、訴訟行為をすべき者の住居又は事務所の所在地と裁判所又は検察庁の所在地との距離及び交通通信の便否に従い、これを延長することができる。
2 前項の規定は、宣告した裁判に対する上訴の提起期間には、これを適用しない。

第八章 被告人の召喚、勾引及び勾留

第五十七条 裁判所は、裁判所の規則で定める相当の猶予期間を置いて、被告人を召喚することができる。

第五十八条 裁判所は、次の場合には、被告人を勾引することができる。
 一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
 二 被告人が、正当な理由がなく、召喚に応じないとき、又は応じないおそれがあるとき。

第五十九条 勾引した被告人は、裁判所に引致した時から二十四時間以内にこれを釈放しなければならない。但し、その時間内に勾留状が発せられたときは、この限りでない。

第六十条 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
 一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
 二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
2 勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第八十九条第一号、第三号、第四号又は第六号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。
3 三十万円(刑法暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)及び経済関係罰則の整備に関する法律(昭和十九年法律第四号)の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる事件については、被告人が定まつた住居を有しない場合に限り、第一項の規定を適用する。

第六十一条 被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。但し、被告人が逃亡した場合は、この限りでない。

第六十二条 被告人の召喚、勾引又は勾留は、召喚状、勾引状又は勾留状を発してこれをしなければならない。

第六十三条 召喚状には、被告人の氏名及び住居、罪名、出頭すべき年月日時及び場所並びに正当な理由がなく出頭しないときは勾引状を発することがある旨その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。

第六十四条 勾引状又は勾留状には、被告人の氏名及び住居、罪名、公訴事実の要旨、引致すべき場所又は勾留すべき刑事施設、有効期間及びその期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。
2 被告人の氏名が明らかでないときは、人相、体格その他被告人を特定するに足りる事項で被告人を指示することができる。
3 被告人の住居が明らかでないときは、これを記載することを要しない。

第六十五条 召喚状は、これを送達する。
2 被告人から期日に出頭する旨を記載した書面を差し出し、又は出頭した被告人に対し口頭で次回の出頭を命じたときは、召喚状を送達した場合と同一の効力を有する。口頭で出頭を命じた場合には、その旨を調書に記載しなければならない。
3 裁判所に近接する刑事施設にいる被告人に対しては、刑事施設職員(刑事施設の長又はその指名する刑事施設の職員をいう。以下同じ。)に通知してこれを召喚することができる。この場合には、被告人が刑事施設職員から通知を受けた時に召喚状の送達があつたものとみなす。

第六十六条 裁判所は、被告人の現在地の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に被告人の勾引を嘱託することができる。
2 受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に転嘱することができる。
3 受託裁判官は、受託事項に付いて権限を有しないときは、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送することができる。
4 嘱託又は移送を受けた裁判官は、勾引状を発しなければならない。
5 第六十四条の規定は、前項の勾引状についてこれを準用する。この場合においては、勾引状に嘱託によつてこれを発する旨を記載しなければならない。

第六十七条 前条の場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人を引致した時から二十四時間以内にその人違でないかどうかを取り調べなければならない。
2 被告人が人違でないときは、速やかに且つ直接これを指定された裁判所に送致しなければならない。この場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人が指定された裁判所に到着すべき期間を定めなければならない。
3 前項の場合には、第五十九条の期間は、被告人が指定された裁判所に到着した時からこれを起算する。

第六十八条 裁判所は、必要があるときは、指定の場所に被告人の出頭又は同行を命ずることができる。被告人が正当な理由がなくこれに応じないときは、その場所に勾引することができる。この場合には、第五十九条の期間は、被告人をその場所に引致した時からこれを起算する。

第六十九条 裁判長は、急速を要する場合には、第五十七条乃至第六十二条、第六十五条、第六十六条及び前条に規定する処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

第七十条 勾引状又は勾留状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。但し、急速を要する場合には、裁判長、受命裁判官又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官は、その執行を指揮することができる。
2 刑事施設にいる被告人に対して発せられた勾留状は、検察官の指揮によつて、刑事施設職員がこれを執行する。

第七十一条 検察事務官又は司法警察職員は、必要があるときは、管轄区域外で、勾引状若しくは勾留状を執行し、又はその地の検察事務官若しくは司法警察職員にその執行を求めることができる。

第七十二条 被告人の現在地が判らないときは、裁判長は、検事長にその捜査及び勾引状又は勾留状の執行を嘱託することができる。
2 嘱託を受けた検事長は、その管内の検察官に捜査及び勾引状又は勾留状の執行の手続をさせなければならない。

第七十三条 勾引状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに且つ直接、指定された裁判所その他の場所に引致しなければならない。第六十六条第四項の勾引状については、これを発した裁判官に引致しなければならない。
2 勾留状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに、かつ、直接、指定された刑事施設に引致しなければならない。
3 勾引状又は勾留状を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、前二項の規定にかかわらず、被告人に対し公訴事実の要旨及び令状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。但し、令状は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。

第七十四条 勾引状又は勾留状の執行を受けた被告人を護送する場合において必要があるときは、仮に最寄りの刑事施設にこれを留置することができる。

第七十五条 勾引状の執行を受けた被告人を引致した場合において必要があるときは、これを刑事施設に留置することができる。

第七十六条 被告人を勾引したときは、直ちに被告人に対し、公訴事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨並びに貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。但し、被告人に弁護人があるときは、公訴事実の要旨を告げれば足りる。
2 前項の告知は、合議体の構成員又は裁判所書記にこれをさせることができる。
3 第六十六条第四項の規定により勾引状を発した場合には、第一項の告知は、その勾引状を発した裁判官がこれをしなければならない。但し、裁判所書記にその告知をさせることができる。

第七十七条 逮捕又は勾引に引き続き勾留する場合を除いて被告人を勾留するには、被告人に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。但し、被告人に弁護人があるときは、この限りでない。
2 第六十一条但書の場合には、被告人を勾留した後直ちに、前項に規定する事項の外、公訴事実の要旨を告げなければならない。但し、被告人に弁護人があるときは、公訴事実の要旨を告げれば足りる。
3 前条第二項の規定は、前二項の告知についてこれを準用する。

第七十八条 勾引又は勾留された被告人は、裁判所又は刑事施設の長若しくはその代理者に弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる。ただし、被告人に弁護人があるときは、この限りでない。
2 前項の申出を受けた裁判所又は監獄の長若しくはその代理者は、直ちに被告人の指定した弁護士、弁護士法人又は弁護士会にその旨を通知しなければならない。被告人が二人以上の弁護士又は二以上の弁護士法人若しくは弁護士会を指定して前項の申出をしたときは、そのうちの一人の弁護士又は一の弁護士法人若しくは弁護士会にこれを通知すれば足りる。

第七十九条 被告人を勾留したときは、直ちに弁護人にその旨を通知しなければならない。被告人に弁護人がないときは、被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹のうち被告人の指定する者一人にその旨を通知しなければならない。

第八十条 勾留されている被告人は、第三十九条第一項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。

第八十一条 裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。

第八十二条 勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。
2 勾留されている被告人の弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も、前項の請求をすることができる。
3 前二項の請求は、保釈、勾留の執行停止若しくは勾留の取消があつたとき、又は勾留状の効力が消滅したときは、その効力を失う。

第八十三条 勾留の理由の開示は、公開の法廷でこれをしなければならない。
2 法廷は、裁判官及び裁判所書記が列席してこれを開く。
3 被告人及びその弁護人が出頭しないときは、開廷することはできない。但し、被告人の出頭については、被告人が病気その他やむを得ない事由によつて出頭することができず且つ被告人に異議がないとき、弁護人の出頭については、被告人に異議がないときは、この限りでない。

第八十四条 法廷においては、裁判長は、勾留の理由を告げなければならない。
2 検察官又は被告人及び弁護人並びにこれらの者以外の請求者は、意見を述べることができる。但し、裁判長は、相当と認めるときは、意見の陳述に代え意見を記載した書面を差し出すべきことを命ずることができる。

第八十五条 勾留の理由の開示は、合議体の構成員にこれをさせることができる。

第八十六条 同一の勾留について第八十二条の請求が二以上ある場合には、勾留の理由の開示は、最初の請求についてこれを行う。その他の請求は、勾留の理由の開示が終つた後、決定でこれを却下しなければならない。

第八十七条 勾留の理由又は勾留の必要がなくなつたときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。
2 第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

第八十八条 勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。
2 第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

第八十九条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
 一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
 二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
 三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
 四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

第九十条 裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

第九十一条 勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。
2 第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

第九十二条 裁判所は、保釈を許す決定又は保釈の請求を却下する決定をするには、検察官の意見を聴かなければならない。
2 検察官の請求による場合を除いて、勾留を取り消す決定をするときも、前項と同様である。但し、急速を要する場合は、この限りでない。

第九十三条 保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。
2 保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。
3 保釈を許す場合には、被告人の住居を制限しその他適当と認める条件を附することができる。

第九十四条 保釈を許す決定は、保証金の納付があつた後でなければ、これを執行することができない。
2 裁判所は、保釈請求者でない者に保証金を納めることを許すことができる。
3 裁判所は、有価証券又は裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に代えることを許すことができる。

第九十五条 裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族、保護団体その他の者に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる。

第九十六条 裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
 一 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
 二 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 三 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 四 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
 五 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。 2 保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。
3 保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。

第九十七条 上訴の提起期間内の事件でまだ上訴の提起がないものについて、勾留の期間を更新し、勾留を取り消し、又は保釈若しくは勾留の執行停止をし、若しくはこれを取り消すべき場合には、原裁判所が、その決定をしなければならない。
2 上訴中の事件で訴訟記録が上訴裁判所に到達していないものについて前項の決定をすべき裁判所は、裁判所の規則の定めるところによる。
3 前二項の規定は、勾留の理由の開示をすべき場合にこれを準用する。

第九十八条 保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定があつたとき、又は勾留の執行停止の期間が満了したときは、検察事務官、司法警察職員又は刑事施設職員は、検察官の指揮により、勾留状の謄本及び保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定の謄本又は期間を指定した勾留の執行停止の決定の謄本を被告人に示してこれを刑事施設に収容しなければならない。
2 前項の書面を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、同項の規定にかかわらず、検察官の指揮により、被告人に対し保釈若しくは勾留の執行停止が取り消された旨を告げて、これを刑事施設に収容することができる。ただし、その書面は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。
3 第七十一条の規定は、前二項の規定による収容についてこれを準用する。

第九章 押収及び捜索

第九十九条 裁判所は、必要があるときは、証拠物又は没収すべき物と思料するものを差し押えることができる。但し、特別の定のある場合は、この限りでない。
2 裁判所は差し押えるべき物を指定し、所有者、所持者又は保管者にその物の提出を命ずることができる。

第百条 裁判所は、被告人から発し、又は被告人に対して発した郵便物、信書便物又は電信に関する書類で法令の規定に基づき通信事務を取り扱う者が保管し、又は所持するものを差し押え、又は提出させることができる。
2 前項の規定に該当しない郵便物、信書便物又は電信に関する書類で法令の規定に基づき通信事務を取り扱う者が保管し、又は所持するものは、被告事件に関係があると認めるに足りる状況のあるものに限り、これを差し押え、又は提出させることができる。
3 前二項の規定による処分をしたときは、その旨を発信人又は受信人に通知しなければならない。但し、通知によつて審理が妨げられる虞がある場合は、この限りでない。

第百一条 被告人その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。

第百二条 裁判所は、必要があるときは、被告人の身体、物又は住居その他の場所に就き、捜索をすることができる。
2 被告人以外の者の身体、物又は住居その他の場所については、押収すべき物の存在を認めるに足りる状況のある場合に限り、捜索をすることができる。

第百三条 公務員又は公務員であつた者が保管し、又は所持する物について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該監督官庁の承諾がなければ、押収をすることはできない。但し、当該監督官庁は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。

第百四条 左に掲げる者が前条の申立をしたときは、第一号に掲げる者についてはその院、第二号に掲げる者については内閣の承諾がなければ、押収をすることはできない。
 一 衆議院若しくは参議院の議員又はその職に在つた者
 二 内閣総理大臣その他の国務大臣又はその職に在つた者
2 前項の場合において、衆議院、参議院又は内閣は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。

第百五条 医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けたため、保管し、又は所持する物で他人の秘密に関するものについては、押収を拒むことができる。但し、本人が承諾した場合、押収の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く。)その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りでない。

第百六条 公判廷外における差押又は捜索は、差押状又は捜索状を発してこれをしなければならない。

第百七条 差押状又は捜索状には、被告人の氏名、罪名、差し押えるべき物又は捜索すべき場所、身体若しくは物、有効期間及びその期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発布の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長が、これに記名押印しなければならない。
2 第六十四条第二項の規定は、前項の差押状又は捜索状についてこれを準用する。

第百八条 差押状又は捜索状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。但し、裁判所が被告人の保護のため必要があると認めるときは、裁判長は、裁判所書記又は司法警察職員にその執行を命ずることができる。
2 裁判所は、差押状又は捜索状の執行に関し、その執行をする者に対し書面で適当と認める指示をすることができる。
3 前項の指示は、合議体の構成員にこれをさせることができる。
4 第七十一条の規定は、差押状又は捜索状の執行についてこれを準用する。

第百九条 検察事務官又は裁判所書記は、差押状又は捜索状の執行について必要があるときは、司法警察職員に補助を求めることができる。

第百十条 差押状又は捜索状は、処分を受ける者にこれを示さなければならない。

第百十一条 差押状又は捜索状の執行については、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる。公判廷で差押又は捜索をする場合も、同様である。
2 前項の処分は、押収物についても、これをすることができる。

第百十二条 差押状又は捜索状の執行中は、何人に対しても、許可を得ないでその場所に出入することを禁止することができる。
2 前項の禁止に従わない者は、これを退去させ、又は執行が終るまでこれに看守者を附することができる。

第百十三条 検察官、被告人又は弁護人は、差押状又は捜索状の執行に立ち会うことができる。但し、身体の拘束を受けている被告人は、この限りでない。
2 差押状又は捜索状の執行をする者は、あらかじめ、執行の日時及び場所を前項の規定により立ち会うことができる者に通知しなければならない。但し、これらの者があらかじめ裁判所に立ち会わない意思を明示した場合及び急速を要する場合は、この限りでない。
3 裁判所は、差押状又は捜索状の執行について必要があるときは、被告人をこれに立ち会わせることができる。

第百十四条 公務所内で差押状又は捜索状の執行をするときは、その長又はこれに代るべき者に通知してその処分に立ち会わせなければならない。
2 前項の規定による場合を除いて、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内で差押状又は捜索状の執行をするときは、住居主若しくは看守者又はこれらの者に代るべき者をこれに立ち会わせなければならない。これらの者を立ち会わせることができないときは、隣人又は地方公共団体の職員を立ち会わせなければならない。

第百十五条 女子の身体について捜索状の執行をする場合には、成年の女子をこれに立ち会わせなければならない。但し、急速を要する場合は、この限りでない。

第百十六条 日出前、日没後には、令状に夜間でも執行することができる旨の記載がなければ、差押状又は捜索状の執行のため、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることはできない。
2 日没前に差押状又は捜索状の執行に着手したときは、日没後でも、その処分を継続することができる。

第百十七条 左の場所で差押状又は捜索状の執行をするについては、前条第一項に規定する制限によることを要しない。
 一 賭博、富くじ又は風俗を害する行為に常用されるものと認められる場所
 二 旅館、飲食店その他夜間でも公衆が出入することができる場所。但し、公開した時間内に限る。

第百十八条 差押状又は捜索状の執行を中止する場合において必要があるときは、執行が終わるまでその場所を閉鎖し、又は看守者を置くことができる。

第百十九条 捜索をした場合において証拠物又は没収すべきものがないときは、捜索を受けた者の請求により、その旨の証明書を交付しなければならない。

第百二十条 押収をした場合には、その目録を作り、所有者、所持者若しくは保管者又はこれらの者に代るべき者に、これを交付しなければならない。

第百二十一条 運搬又は保管に不便な押収物については、看守者を置き、又は所有者その他の者に、その承諾を得て、これを保管させることができる。
2 危険を生ずる虞がある押収物は、これを廃棄することができる。
3 前二項の処分は、裁判所が特別の指示をした場合を除いては、差押状の執行をした者も、これをすることができる。

第百二十二条 没収することができる押収物で滅失若しくは破損の虞があるもの又は保管に不便なものについては、これを売却してその代価を保管することができる。

第百二十三条 押収物で留置の必要がないものは、被告事件の終結を待たないで、決定でこれを還付しなければならない。
2 押収物は、所有者、所持者、保管者又は差出人の請求により、決定で仮にこれを還付することができる。
3 前二項の決定をするについては、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。

第百二十四条 押収した贓物で留置の必要がないものは、被害者に還付すべき理由が明らかなときに限り、被告事件の終結を待たないで、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、決定でこれを被害者に還付しなければならない。
2 前項の規定は、民事訴訟の手続に従い、利害関係人がその権利を主張することを妨げない。

第百二十五条 押収又は捜索は、合議体の構成員にこれをさせ、又はこれをすべき地の地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。
2 受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に転嘱することができる。
3 受託裁判官は、受託事項について権限を有しないときは、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送することができる。
4 受命裁判官又は受託裁判官がする押収又は捜索については、裁判所がする押収又は捜索に関する規定を準用する。但し、第百条第三項の通知は、裁判所がこれをしなければならない。

第百二十六条 検察事務官又は司法警察職員は、勾引状又は勾留状を執行する場合において必要があるときは、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り、被告人の捜索をすることができる。この場合には、捜索状は、これを必要としない。

第百二十七条 第百十一条、第百十二条、第百十四条及び第百十八条の規定は、前条の規定により検察事務官又は司法警察職員がする捜索についてこれを準用する。但し、急速を要する場合は、第百十四条第二項の規定によることを要しない。

第十章 検証

第百二十八条 裁判所は、事実発見のため必要があるときは、検証することができる。

第百二十九条 検証については、身体の検査、死体の解剖、墳墓の発掘、物の破壊その他必要な処分をすることができる。

第百三十条 日出前、日没後には、住居主若しくは看守者又はこれらの者に代るべき者の承諾がなければ、検証のため、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることはできない。但し、日出後では検証の目的を達することができない虞がある場合は、この限りでない。
2 日没前検証に着手したときは、日没後でもその処分を継続することができる。
3 第百十七条に規定する場所については、第一項に規定する制限によることを要しない。

第百三十一条 身体の検査については、これを受ける者の性別、健康状態その他の事情を考慮した上、特にその方法に注意し、その者の名誉を害しないように注意しなければならない。
2 女子の身体を検査する場合には、医師又は成年の女子をこれに立ち会わせなければならない。

第百三十二条 裁判所は、身体の検査のため、被告人以外の者を裁判所又は指定の場所に召喚することができる。

第百三十三条 前条の規定により召喚を受けた者が正当な理由がなく出頭しないときは、決定で、十万円以下の過料に処し、かつ、出頭しないために生じた費用の賠償を命ずることができる。
2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第百三十四条 第百三十二条の規定により召喚を受け正当な理由がなく出頭しない者は、十万円以下の罰金又は拘留に処する。
2 前項の罪を犯した者には、情状により、罰金及び拘留を併科することができる。

第百三十五条 第百三十二条の規定による召喚に応じない者は、更にこれを召喚し、又はこれを勾引することができる。

第百三十六条 第六十二条、第六十三条及び第六十五条の規定は、第百三十二条及び前条の規定による召喚について、第六十二条、第六十四条、第六十六条、第六十七条、第七十条、第七十一条及び第七十三条第一項の規定は、前条の規定による勾引についてこれを準用する。

第百三十七条 被告人又は被告人以外の者が正当な理由がなく身体の検査を拒んだときは、決定で、十万円以下の過料に処し、かつ、その拒絶により生じた費用の賠償を命ずることができる。
2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第百三十八条 正当な理由がなく身体の検査を拒んだ者は、十万円以下の罰金又は拘留に処する。
2 前項の罪を犯した者には、情状により、罰金及び拘留を併科することができる。

第百三十九条 裁判所は、身体の検査を拒む者を過料に処し、又はこれに刑を科しても、その効果がないと認めるときは、そのまま、身体の検査を行うことができる。

第百四十条 裁判所は、第百三十七条の規定により過料を科し、又は、前条の規定により身体の検査をするにあたつては、あらかじめ、検察官の意見を聴き、且つ、身体の検査を受ける者の異議の理由を知るため適当な努力をしなければならない。

第百四十一条 検証をするについて必要があるときは、司法警察職員に補助をさせることができる。

第百四十二条 第百十二条乃至第百十四条、第百十八条及び第百二十五条の規定は、検証についてこれを準用する。

第十一章 証人尋問

第百四十三条 裁判所は、この法律に特別の定のある場合を除いては、何人でも証人としてこれを尋問することができる。

第百四十四条 公務員又は公務員であつた者が知り得た事実について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該監督官庁の承諾がなければ証人としてこれを尋問することはできない。但し、当該監督官庁は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。

第百四十五条 左に掲げる者が前条の申立をしたときは、第一号に掲げる者についてはその院、第二号に掲げる者については内閣の承諾がなければ、証人としてこれを尋問することはできない。
 一 衆議院若しくは参議院の議員又はその職に在つた者
 二 内閣総理大臣その他の国務大臣又はその職にあつた者
2 前項の場合において、衆議院、参議院又は内閣は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。

第百四十六条 何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。

第百四十七条 何人も、左に掲げる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。
 一 自己の配偶者、三親等内の血族若しくは二親等内の姻族又は自己とこれらの親族関係があつた者
 二 自己の後見人、後見監督人又は保佐人
 三 自己を後見人、後見監督人又は保佐人とする者

第百四十八条 共犯又は共同被告人の一人又は数人に対し前条の関係がある者でも、他の共犯又は共同被告人のみに関する事項については、証言を拒むことはできない。

第百四十九条 医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、証言を拒むことができる。但し、本人が承諾した場合、証言の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く。)その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りでない。

第百五十条 召喚を受けた証人が正当な理由がなく出頭しないときは、決定で、十万円以下の過料に処し、かつ、出頭しないために生じた費用の賠償を命ずることができる。
2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第百五十一条 証人として召喚を受け正当な理由がなく出頭しない者は、十万円以下の罰金又は拘留に処する。
2 前項の罪を犯した者には、情状により、罰金及び拘留を併科することができる。

第百五十二条 召喚に応じない証人に対しては、更にこれを召喚し、又はこれを勾引することができる。

第百五十三条 第六十二条、第六十三条及び第六十五条の規定は、証人の召喚について、第六十二条、第六十四条、第六十六条、第六十七条、第七十条、第七十一条及び第七十三条第一項の規定は、証人の勾引についてこれを準用する。

第百五十三条の二 勾引状の執行を受けた証人を護送する場合又は引致した場合において必要があるときは、一時最寄の警察署その他の適当な場所にこれを留置することができる。

第百五十四条 証人には、この法律に特別の定のある場合を除いて、宣誓をさせなければならない。

第百五十五条 宣誓の趣旨を理解することができない者は、宣誓をさせないで、これを尋問しなければならない。
2 前項に掲げる者が宣誓をしたときでも、その供述は、証言としての効力を妨げられない。

第百五十六条 証人には、その実験した事実により推測した事項を供述させることができる。
2 前項の供述は、鑑定に属するものでも、証言としての効力を妨げられない。

第百五十七条 検察官、被告人又は弁護人は、証人の尋問に立ち会うことができる。
2 証人尋問の日時及び場所は、あらかじめ、前項の規定により尋問に立ち会うことができる者にこれを通知しなければならない。但し、これらの者があらかじめ裁判所に立ち会わない意思を明示したときは、この限りでない。
3 第一項に規定する者は、証人の尋問に立ち会つたときは、裁判長に告げて、その証人を尋問することができる。

第百五十七条の二 裁判所は、証人を尋問する場合において、証人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、証人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、その証人の供述中、証人に付き添わせることができる。
2 前項の規定により証人に付き添うこととされた者は、その証人の供述中、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。

第百五十七条の三 裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が被告人の面前(次条第一項に規定する方法による場合を含む。)において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、被告人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。ただし、被告人から証人の状態を認識することができないようにするための措置については、弁護人が出頭している場合に限り、採ることができる。
2 裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、名誉に対する影響その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、傍聴人とその証人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。

第百五十七条の四 裁判所は、次に掲げる者を証人として尋問する場合において、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所以外の場所(これらの者が在席する場所と同一の構内に限る。)にその証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、尋問することができる。
 一 刑法第百七十六条から第百七十八条の二まで若しくは第百八十一条の罪、同法第二百二十五条若しくは第二百二十六条の二第三項の罪(わいせつ又は結婚の目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、同法第二百二十七条第一項(第二百二十五条又は第二百二十六条の二第三項の罪を犯した者を 幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第三項(わいせつの目的に係る部分に限る。)若しくは第二百四十一条前段の罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者
 二 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六十条第一項の罪若しくは同法第三十四条第一項第九号に係る同法第六十条第二項の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第四条から第八条までの罪の被害者
 三 前二号に掲げる者のほか、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者
2 前項に規定する方法により証人尋問を行う場合において、裁判所は、その証人が後の刑事手続において同一の事実につき再び証人として供述を求められることがあると思料する場合であつて、証人の同意があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その証人の尋問及び供述並びにその状況を記録媒体(映像及び音声を同時に記録することができる物をいう。以下同じ。)に記録することができる。
3 前項の規定により証人の尋問及び供述並びにその状況を記録した記録媒体は、訴訟記録に添付して調書の一部とするものとする。

第百五十八条 裁判所は、証人の重要性、年齢、職業、健康状態その他の事情と事案の軽重とを考慮した上、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、必要と認めるときは、裁判所外にこれを召喚し、又はその現在場所でこれを尋問することができる。
2 前項の場合には、裁判所は、あらかじめ、検察官、被告人及び弁護人に尋問事項を知る機会を与えなければならない。
3 検察官、被告人又は弁護人は、前項の尋問事項に附加して、必要な事項の尋問を請求することができる。

第百五十九条 裁判所は、検察官、被告人又は弁護人が前条の証人尋問に立ち会わなかつたときは、立ち会わなかつた者に、証人の供述の内容を知る機会を与えなければならない。
2 前項の証人の供述が被告人に予期しなかつた著しい不利益なものである場合には、被告人又は弁護人は、更に必要な事項の尋問を請求することができる。
3 裁判所は、前項の請求を理由がないものと認めるときは、これを却下することができる。

第百六十条 証人が正当な理由がなく宣誓又は証言を拒んだときは、決定で、十万円以下の過料に処し、かつ、その拒絶により生じた費用の賠償を命ずることができる。
2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第百六十一条 正当な理由がなく宣誓又は証言を拒んだ者は、十万円以下の罰金又は拘留に処する。
2 前項の罪を犯した者には、情状により、罰金及び拘留を併科することができる。

第百六十二条 裁判所は、必要があるときは、決定で指定の場所に証人の同行を命ずることができる。証人が正当な理由がなく同行に応じないときは、これを勾引することができる。

第百六十三条 裁判所外で証人を尋問すべきときは、合議体の構成員にこれをさせ、又は証人の現在地の地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。
2 受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に転嘱することができる。
3 受託裁判官は、受託事項について権限を有しないときは、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送することができる。
4 受命裁判官又は受託裁判官は、証人の尋問に関し、裁判所又は裁判長に属する処分をすることができる。但し、第百五十条及び第百六十条の決定は、裁判所もこれをすることができる。
5 第百五十八条第二項及び第三項並びに第百五十九条に規定する手続は、前項の規定にかかわらず、裁判所がこれをしなければならない。

第百六十四条 証人は、旅費、日当及び宿泊料を請求することができる。但し、正当な理由がなく宣誓又は証言を拒んだ者は、この限りでない。
2 証人は、あらかじめ旅費、日当又は宿泊料の支給を受けた場合において、正当な理由がなく、出頭せず又は宣誓若しくは証言を拒んだときは、その支給を受けた費用を返納しなければならない。

第十二章 鑑定

第百六十五条 裁判所は、学識経験のある者に鑑定を命ずることができる。

第百六十六条 鑑定人には、宣誓をさせなければならない。

第百六十七条 被告人の心神又は身体に関する鑑定をさせるについて必要があるときは、裁判所は、期間を定め、病院その他の相当な場所に被告人を留置することができる。
2 前項の留置は、鑑定留置状を発してこれをしなければならない。
3 第一項の留置につき必要があるときは、裁判所は、被告人を収容すべき病院その他の場所の管理者の申出により、又は職権で、司法警察職員に被告人の看守を命ずることができる。
4 裁判所は、必要があるときは、留置の期間を延長し又は短縮することができる。
5 勾留に関する規定は、この法律に特別の定のある場合を除いては、第一項の留置についてこれを準用する。但し、保釈に関する規定は、この限りでない。
6 第一項の留置は、未決勾留日数の算入については、これを勾留とみなす。

第百六十七条の二 勾留中の被告人に対し鑑定留置状が執行されたときは、被告人が留置されている間、勾留は、その執行を停止されたものとする。
2 前項の場合において、前条第一項の処分が取り消され又は留置の期間が満了したときは、第九十八条の規定を準用する。

第百六十八条 鑑定人は、鑑定について必要がある場合には、裁判所の許可を受けて、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り、身体を検査し、死体を解剖し、墳墓を発掘し、又は物を破壊することができる。
2 裁判所は、前項の許可をするには、被告人の氏名、罪名及び立ち入るべき場所、検査すべき身体、解剖すべき死体、発掘すべき墳墓又は破壊すべき物並びに鑑定人の氏名その他裁判所の規則で定める事項を記載した許可状を発して、これをしなければならない。
3 裁判所は、身体の検査に関し、適当と認める条件を附することができる。
4 鑑定人は、第一項の処分を受ける者に許可状を示さなければならない。
5 前三項の規定は、鑑定人が公判廷でする第一項の処分については、これを適用しない。
6 第百三十一条、第百三十七条、第百三十八条及び第百四十条の規定は、鑑定人の第一項の規定によつてする身体の検査についてこれを準用する。

第百六十九条 裁判所は、合議体の構成員に鑑定について必要な処分をさせることができる。但し、第百六十七条第一項に規定する処分については、この限りでない。

第百七十条 検察官及び弁護人は、鑑定に立ち会うことができる。この場合には、第百五十七条第二項の規定を準用する。

第百七十一条 前章の規定は、勾引に関する規定を除いて、鑑定についてこれを準用する。

第百七十二条 身体の検査を受ける者が、鑑定人の第百六十八条第一項の規定によつてする身体の検査を拒んだ場合には、鑑定人は、裁判官にその者の身体の検査を請求することができる。
2 前項の請求を受けた裁判官は、第十章の規定に準じ身体の検査をすることができる。

第百七十三条 鑑定人は、旅費、日当及び宿泊料の外、鑑定料を請求し、及び鑑定に必要な費用の支払い又は償還を受けることができる。
2 鑑定人は、あらかじめ鑑定に必要な費用の支払を受けた場合において、正当な理由がなく、出頭せず又は宣誓若しくは鑑定を拒んだときは、その支払を受けた費用を返納しなければならない。

第百七十四条 特別の知識によつて知り得た過去の事実に関する尋問については、この章の規定によらないで、前章の規定を準用する。

第十三章 通訳及び翻訳

第百七十五条 国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない。

第百七十六条 耳の聞こえない者又は口のきけない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせることができる。

第百七十七条 国語でない文字又は符号は、これを翻訳させることができる。

第百七十八条 前章の規定は、通訳及び翻訳についてこれを準用する。

第十四章 証拠保全

第百七十九条 被告人、被疑者又は弁護人は、あらかじめ証拠を保全しておかなければその証拠を使用することが困難な事情があるときは、第一回の公判期日前に限り、裁判官に押収、捜索、検証、証人の尋問又は鑑定の処分を請求することができる。
2 前項の請求を受けた裁判官は、その処分に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。

第百八十条 検察官及び弁護人は、裁判所において、前条第一項の処分に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。但し、弁護人が証拠物の謄写をするについては、裁判官の許可を受けなければならない。
2 被告人又は被疑者は、裁判官の許可を受け、裁判所において、第一項の書類及び証拠物を閲覧することができる。ただし、被告人又は被疑者に弁護人があるときは、この限りでない。
3 前項の規定にかかわらず、第百五十七条の四第三項に規定する記録媒体は、謄写することができない。

第十五章 訴訟費用

第百八十一条 刑の言渡をしたときは、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない。但し、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるときは、この限りでない。
2 被告人の責に帰すべき事由によつて生じた費用は、刑の言渡をしない場合にも、被告人にこれを負担させることができる。
3 検察官のみが上訴を申し立てた場合において、上訴が棄却されたとき、又は上訴の取下げがあつたときは、上訴に関する訴訟費用は、これを被告人に負担させることができない。ただし、被告人の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、この限りでない。
4 公訴が提起されなかつた場合において、被疑者の責めに帰すべき事由により生じた費用があるときは、被疑者にこれを負担させることができる。

第百八十二条 共犯の訴訟費用は、共犯人に、連帯して、これを負担させることができる。

第百八十三条 告訴、告発又は請求により公訴の提起があつた事件について被告人が無罪又は免訴の判決を受けた場合において、告訴人、告発人又は請求人に故意又は重大な過失があつたときは、その者に訴訟費用を負担させることができる。
2 告訴、告発又は請求があつた事件について公訴が提起されなかつた場合において、告訴人、告発人又は請求人に故意又は重大な過失があつたときも、前項と同様とする。

第百八十四条 検察官以外の者が上訴又は再審若しくは正式裁判の請求を取り下げた場合には、その者に上訴、再審又は正式裁判に関する費用を負担させることができる。

第百八十五条 裁判によつて訴訟手続が終了する場合において、被告人に訴訟費用を負担させるときは、職権でその裁判をしなければならない。この裁判に対しては、本案の裁判について上訴があつたときに限り、不服を申し立てることができる。

第百八十六条 裁判によつて訴訟手続が終了する場合において、被告人以外の者に訴訟費用を負担させるときは、職権で別にその決定をしなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第百八十七条 裁判によらないで訴訟手続が終了する場合において、訴訟費用を負担させるときは、最終に事件の継続した裁判所が、職権でその決定をしなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第百八十七条の二 公訴が提起されなかつた場合において、訴訟費用を負担させるときは、検察官の請求により、裁判所が決定をもつてこれを行う。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第百八十八条 訴訟費用の負担を命ずる裁判にその額を表示しないときは、執行の指揮をすべき検察官が、これを算定する。

第十六章 費用の補償

第百八十八条の二 無罪の判決が確定したときは、国は、当該事件の被告人であつた者に対し、その裁判に要した費用の補償をする。ただし、被告人であつた者の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、補償をしないことができる。
2 被告人であつた者が、捜査又は審判を誤らせる目的で、虚偽の自白をし、又は他の有罪の証拠を作ることにより、公訴の提起を受けるに至つたものと認められるときは、前項の補償の全部又は一部をしないことができる。
3 第百八十八条の五第一項の規定による補償の請求がされている場合には、第百八十八条の四の規定により補償される費用については、第一項の補償をしない。

第百八十八条の三 前条第一項の補償は、被告人であつた者の請求により、無罪の判決をした裁判所が、決定をもつてこれを行う。
2 前項の請求は、無罪の判決が確定した後六箇月以内にこれをしなければならない。
3 補償に関する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第百八十八条の四 検察官のみが上訴をした場合において、上訴が棄却され又は取り下げられて当該上訴に係る原裁判が確定したときは、これによつて無罪の判決が確定した場合を除き、国は、当該事件の被告人又は被告人であつた者に対し、上訴によりその審級において生じた費用の補償をする。ただし、被告人又は被告人であつた者の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、補償をしないことができる。

第百八十八条の五 前条の補償は、被告人又は被告人であつた者の請求により、当該上訴裁判所であつた最高裁判所又は高等裁判所が、決定をもつてこれを行う。
2 前項の請求は、当該上訴に係る原裁判が確定した後二箇月以内にこれをしなければならない。
3 補償に関する決定で高等裁判所がしたものに対しては、第四百二十八条第二項の異議の申立てをすることができる。この場合には、即時抗告に関する規定をも準用する。

第百八十八条の六 第百八十八条の二第一項又は第百八十八条の四の規定により補償される費用の範囲は、被告人若しくは被告人であつた者又はそれらの者の弁護人であつた者が公判準備及び公判期日に出頭するに要した旅費、日当及び宿泊料並びに弁護人であつた者に対する報酬に限るものとし、その額に関しては、刑事訴訟費用に関する法律の規定中、被告人又は被告人であつた者については証人、弁護人であつた者については弁護人に関する規定を準用する。
2 裁判所は、公判準備又は公判期日に出頭した弁護人が二人以上あつたときは、事件の性質、審理の状況その他の事情を考慮して、前項の弁護人であつた者の旅費、日当及び宿泊料を主任弁護人その他一部の弁護人に係るものに限ることができる。

第百八十八条の七 補償の請求その他補償に関する手続、補償と他の法律による損害賠償との関係、補償を受ける権利の譲渡又は差押え及び被告人又は被告人であつた者の相続人に対する補償については、この法律に特別の定めがある場合のほか、刑事補償法(昭和二十五年法律第一号)第一条に規定する補償の例による。

以上

第一編 総則 第二編 第一審 第三編 上訴 第四編 再審
第五編 非常上告 第六編 略式手続 第七編 裁判の執行

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