司法試験法


公布:昭和24年5月31日法律第140号
施行:昭和24年5月32日

改正:平成11年7月16日法律第102号
施行:平成13年1月6日
改正:平成11年12月22日法律第160号
施行:平成13年1月6日
改正:平成14年12月6日法律第138号
施行:平成16年1月1日(附則第1条第1号:平成17年12月1日)
改正:平成19年6月27日法律第96号
施行:平成19年12月26日

目次

 第一章 司法試験等(第一条−第十一条)
 第二章 司法試験委員会(第十二条−第十六条)
 第三章 補則(第十七条)
 附則

第一章 司法試験等

(司法試験の目的等)
第一条 司法試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験とする。
2 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第六十六条の試験は、この法律により行う。
3 司法試験は、第四条第一項第一号に規定する法科大学院課程における教育及び司法修習生の修習との有機的連携の下に行うものとする。

(司法試験の方法等)
第二条 司法試験は、短答式(択一式を含む。以下同じ。)及び論文式による筆記の方法により行う。
2 司法試験の合格者の判定は、短答式による筆記試験の合格に必要な成績を得た者につき、短答式による筆記試験及び論文式による筆記試験の成績を総合して行うものとする。

(司法試験の試験科目等)
第三条 短答式による筆記試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な専門的な法律知識及び法的な推論の能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる科目について行う。
 一 公法系科目(憲法及び行政法に関する分野の科目をいう。次項において同じ。)
 二 民事系科目(民法、商法及び民事訴訟法に関する分野の科目をいう。次項において同じ。)
 三 刑事系科目(刑法及び刑事訴訟法に関する分野の科目をいう。次項において同じ。)
2 論文式による筆記試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な専門的な学識並びに法的な分析、構成及び論述の能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる科目について行う。
 一 公法系科目
 二 民事系科目
 三 刑事系科目
 四 専門的な法律の分野に関する科目として法務省令で定める科目のうち受験者のあらかじめ選択する一科目
3 前二項に掲げる試験科目については、法務省令により、その全部又は一部について範囲を定めることができる。
4 司法試験においては、その受験者が裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を備えているかどうかを適確に評価するため、知識を有するかどうかの判定に偏することなく、法律に関する理論的かつ実践的な理解力、思考力、判断力等の判定に意を用いなければならない。

(司法試験の受験資格等)
第四条 司法試験は、次の各号に掲げる者が、それぞれ当該各号に定める期間において、三回の範囲内で受けることができる。
 一 法科大学院(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十九条第二項に規定する専門職大学院であつて、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とするものをいう。)の課程(次項において「法科大学院課程」という。)を修了した者 その修了の日後の最初の四月一日から五年を経過するまでの期間
 二 司法試験予備試験に合格した者 その合格の発表の日後の最初の四月一日から五年を経過するまでの期間
2 前項の規定により司法試験を受けた者は、その受験に係る受験資格(同項各号に規定する法科大学院課程の修了又は司法試験予備試験の合格をいう。以下この項において同じ。)に対応する受験期間(前項各号に定める期間をいう。以下この項において同じ。)においては、他の受験資格に基づいて司法試験を受けることはできない。前項の規定により最後に司法試験を受けた日後の最初の四月一日から二年を経過するまでの期間については、その受験に係る受験資格に対応する受験期間が経過した後であつても、同様とする。

(司法試験予備試験)
第五条 司法試験予備試験(以下「予備試験」という。)は、司法試験を受けようとする者が前条第一項第一号に掲げる者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とし、短答式及び論文式による筆記並びに口述の方法により行う。
2 短答式による筆記試験は、次に掲げる科目について行う。
 一 憲法
 二 行政法
 三 民法
 四 商法
 五 民事訴訟法
 六 刑法
 七 刑事訴訟法
 八 一般教養科目
3 論文式による筆記試験は、短答式による筆記試験に合格した者につき、次に掲げる科目について行う。
 一 前項各号に掲げる科目
 二 法律実務基礎科目(法律に関する実務の基礎的素養(実務の経験により修得されるものを含む。)についての科目をいう。次項において同じ。)
4 口述試験は、筆記試験に合格した者につき、法的な推論、分析及び構成に基づいて弁論をする能力を有するかどうかの判定に意を用い、法律実務基礎科目について行う。
5 前三項に規定する試験科目については、法務省令により、その全部又は一部について範囲を定めることができる。

(司法試験委員会の意見の聴取)
第六条 法務大臣は、「第三条第二項第四号若しくは第三項又は前条第五項の法務省令を制定し、又は改廃しようとするときは、司法試験委員会の意見を聴かなければならない。

(司法試験等の実施)
第七条 司法試験及び予備試験は、それぞれ、司法試験委員会が毎年一回以上行うものとし、その期日及び場所は、あらかじめ官報をもつて公告する。

(合格者の決定方法)
第八条 司法試験の合格者は司法試験考査委員の合議による判定に基づき、予備試験の合格者は司法試験予備試験考査委員の合議による判定に基づき、それぞれ司法試験委員会が決定する。

(合格証書)
第九条 司法試験又は予備試験に合格した者には、それぞれ当該試験に合格したことを証する証書を授与する。

(合格の取消し等)
第十条 司法試験委員会は、不正の手段によつて司法試験若しくは予備試験を受け、若しくは受けようとした者又はこの法律若しくはこの法律に基づく法務省令に違反した者に対しては、その試験を受けることを禁止し、合格の決定を取り消し、又は情状により五年以内の期間を定めて司法試験若しくは予備試験を受けることができないものとすることができる。

(受験手数料)
第十一条 司法試験又は予備試験を受けようとする者は、それぞれ実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を納付しなければならない。
2 前項の規定により納付した受験手数料は、当該試験を受けなかつた場合においても返還しない。

第二章 司法試験委員会

(司法試験委員会の設置及び所掌事務)
第十二条 法務省に、司法試験委員会(以下この章において「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 司法試験及び予備試験を行うこと。
 二 法務大臣の諮問に応じ、司法試験及び予備試験の実施に関する重要事項について調査審議すること。
 三 司法試験及び予備試験の実施に関する重要事項に関し、法務大臣に意見を述べること。
 四 その他法律によりその権限に属させられた事項を処理すること。
3 委員会は、その所掌事務を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関又は関係のある公私の団体に対し、必要な資料の提供その他の協力を求めることができる。

(委員)
第十三条 委員会は、委員七人をもつて組織する。
2 委員は、裁判官、検察官、弁護士及び学識経験を有する者のうちから、法務大臣が任命する。
3 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることができる。
5 委員は、非常勤とする。

(委員長)
第十四条 委員長は、委員の互選に基づき、法務大臣が任命する。
2 委員長は、委員会の会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員会は、あらかじめ、委員のうちから、委員長に故障のある場合に委員長を代理する者を定めておかなければならない。

(司法試験考査委員等)
第十五条 委員会に、司法試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験考査委員を置き、予備試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験予備試験考査委員(以下この条及び次条において「予備試験考査委員」という。)を置く。
2 司法試験考査委員及び予備試験考査委員は、委員会の推薦に基づき、当該試験を行うについて必要な学識経験を有する者のうちから、法務大臣が試験ごとに任命する。
3 司法試験考査委員及び予備試験考査委員は、非常勤とする。

(政令への委任)
第十六条 第十二条から前条までに定めるもののほか、委員会の委員、司法試験考査委員及び予備試験考査委員に関する事項その他委員会に関し必要な事項は、政令で定める。

第三章 補則

(法務省令への委任)
第十七条 この法律に定めるもののほか、司法試験及び予備試験の実施に関し必要な事項は、法務省令で定める。

   附 則 [抄]

1 この法律は、公布の日から施行する。
2 旧高等試験令(昭和四年勅令第十五号)による高等試験司法科試験に合格した者は、この法律による司法試験に合格した者とみなす。

   附 則 [平成10年5月6日法律第48号]

 この法律は、平成十二年一月一日から施行する。

   附 則 [平成11年7月16日法律第102号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。[後略]

   附 則 [平成11年12月22日法律第160号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。[後略]

   附 則 [平成14年12月6日法律第138号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十六年一月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
 一 第二条並びに附則第七条第一項及び第二項、第八条から第十条まで並びに第十九条から第二十八条までの規定 平成十七年十二月一日
 二 第三条及び附則第十一条の規定 平成十八年四月一日

(司法試験管理委員会規則に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に効力を有する司法試験管理委員会規則であって第一条の規定による改正前の司法試験法第四条第一項第四号及び第六条第四項の規定に基づくものは、この法律の施行後は、第一条の規定による改正後の司法試験法の相当規定に基づく法務省令としての効力を有するものとする。

(司法試験管理委員会の行為等に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前に、第一条の規定による改正前の司法試験法の規定に基づいて司法試験管理委員会がした処分その他の行為は、この法律の施行後は、同条の規定による改正後の司法試験法の相当規定に基づいて司法試験委員会がした処分その他の行為とみなす。
2 前項に定めるもののほか、この法律の施行前に、法令の規定により司法試験管理委員会又はその委員長がした処分その他の行為は、この法律の施行後は、当該法令の相当規定により法務大臣がした処分その他の行為とみなす。
3 この法律の施行の際現に第一条の規定による改正前の司法試験法の規定に基づいて司法試験管理委員会に対してされている出願その他の行為は、この法律の施行後は、同条の規定による改正後の司法試験法の相当規定に基づいて司法試験委員会に対してされた出願その他の行為とみなす。
4 前項に定めるもののほか、この法律の施行の際現に法令の規定により司法試験管理委員会又はその委員長に対してされている請求その他の行為は、この法律の施行後は、当該法令の相当規定により法務大臣に対してされた請求その他の行為とみなす。
5 この法律の施行の際現に司法試験考査委員である者は、この法律の施行の日に、第一条の規定による改正後の司法試験法第十五条の規定により、司法試験考査委員として任命されたものとみなす。

(不正受験者に対する措置に関する経過措置)
第四条 司法試験委員会は、この法律の施行前に行われた司法試験を不正の手段によって受けた者又は第一条の規定による改正前の司法試験法若しくは同法に基づく司法試験管理委員会規則に違反した者に対しては、司法試験管理委員会がした合格の決定を取り消すことができる。

(沖縄の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法の規定の読替え)
第五条 この法律の施行後に行われる沖縄の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法(昭和四十五年法律第三十三号)第四条第三項の規定による合格の決定の取消しについては、同項中「司法試験管理委員会」とあるのは、「司法試験委員会」とする。

(新司法試験の実施のために必要な行為に関する経過措置)
第六条 法務大臣は、第二条の規定による改正後の司法試験法(以下「新法」という。)第三条第二項第四号又は第三項の法務省令を制定しようとするときは、第二条の規定の施行の日前においても、司法試験委員会の意見を聴くことができる。
2 法務大臣は、第二条の規定の施行の日前においても、新法第十五条の規定の例により、新法の規定による司法試験(以下「新司法試験」という。)に係る司法試験考査委員を任命することができる。
3 新司法試験の実施に必要な公告その他の準備行為は、第二条の規定の施行の日前においても、行うことができる。

(旧司法試験の実施)
第七条 司法試験委員会は、平成十八年から平成二十三年までの間においては、新司法試験を行うほか、従前の司法試験(平成二十三年においては、平成二十二年の第二次試験の筆記試験に合格した者に対する口述試験に限る。)を行うものとする。この場合において、第二条の規定による改正前の司法試験法(以下「旧法」という。)第二条から第六条の二まで及び附則第二項の規定(これらの規定に基づく法務省令の規定を含む。)は、第二条の規定の施行後も、なおその効力を有する。
2 前項の規定により行われる司法試験(以下「旧司法試験」という。)については、新法第一条第一項及び第二項、第七条から第十一条まで並びに第二章及び第三章の規定を適用する。この場合において、新法第一条第一項中「司法試験」とあるのは「司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律(平成十四年法律第百三十八号)附則第七条第一項の規定により行われる司法試験(以下「旧司法試験」という。)」と、新法第七条中「司法試験及び予備試験は、それぞれ」とあるのは「旧司法試験は」と、新法第八条中「司法試験の」とあるのは「旧司法試験の」と、「予備試験の合格者は司法試験予備試験考査委員の合議による判定に基づき、それぞれ司法試験委員会」とあるのは「司法試験委員会」と、新法第九条及び第十一条第一項中「司法試験又は予備試験」とあるのは「旧司法試験の各試験」と、新法第十条中「司法試験若しくは」とあるのは「旧司法試験、司法試験若しくは」と、新法第十二条第二項第一号から第三号まで及び第十七条中「司法試験及び予備試験」とあるのは「旧司法試験」と、新法第十五条第一項中「司法試験に」とあるのは「旧司法試験に」と、「置き、予備試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験予備試験考査委員(以下この条及び次条において「予備試験考査委員」という。)を置く」とあるのは「置く」とする。
3 前条の規定は、旧司法試験について準用する。この場合において、同条第一項中「第二条の規定による改正後の司法試験法(以下「新法」という。)第三条第二項第四号又は第三項」とあるのは「次条第一項の規定によりなお効力を有するものとされる第二条の規定による改正前の司法試験法第四条第一項第四号又は第六条第四項」と、同条第二項中「新法第十五条」とあるのは「次条第二項の規定により読み替えて適用される第二条の規定による改正後の司法試験法第十五条」と読み替えるものとする。

(新司法試験及び旧司法試験の受験)
第八条 平成十八年から平成二十三年までの各年においては、法務省令で定める手続に従い、あらかじめ選択して出願するところにより、新司法試験又は旧司法試験のいずれか一方のみを受けることができる。
2 新法第四条第一項第一号の受験資格(同号に規定する法科大学院課程の修了をいう。以下この条において同じ。)に基づいて新司法試験を受けようとする者が、その受験前に旧法の規定による司法試験の第二次試験又は旧司法試験の第二次試験の受験(当該新司法試験の受験に係る受験資格を得る前の受験については、当該受験資格を得た日前二年間のものに限る。以下この条において「旧司法試験等の受験」という。)をしているときは、その旧司法試験等の受験(次項の規定により他の受験資格に基づく新司法試験の受験とみなされたものを除く。)を、当該受験資格に基づいて既にした新司法試験の受験とみなして、新法第四条第一項の規定を適用する。
3 前項に規定するもののほか、新法第四条第一項第一号の受験資格に基づいて新司法試験を受けた者については、当該新司法試験の受験前の旧司法試験等の受験及び当該新司法試験の受験後の旧司法試験の第二次試験の受験を、当該受験資格に基づく新司法試験の受験とみなして、同条の規定を適用する。

(予備試験の実施時期)
第九条 新法第五条に規定する予備試験は、新法第七条の規定にかかわらず、平成二十三年から行うものとする。

(旧法の規定による司法試験又は旧司法試験に合格した者に関する経過措置)
第十条 旧法の規定による司法試験の第二次試験又は旧司法試験の第二次試験に合格した者は、新司法試験に合格した者とみなす。

(司法修習生の修習期間等に関する経過措置)
第十一条 第三条の規定の施行前に採用され、その施行後も引き続き修習をする司法修習生の修習期間については、なお従前の例による。
2 新法附則第二項又は前条の規定により新司法試験に合格した者とみなされた者であって、第三条の規定の施行後に採用された司法修習生については、最高裁判所の定めるところにより、同条の規定による改正後の裁判所法第六十七条第一項の修習において裁判官、検察官又は弁護士としての実務に必要な能力を十全に修得させるため、必要な修習期間の伸長その他の措置を講ずることができる。

   附 則 [平成19年6月27日法律第96号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。[後略]

以上

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