国有林野事業の改革のための特別措置法


公布:平成10年10月19日法律第134号
施行:平成10年10月19日
改正:平成14年7月31日法律第98号
施行:平成15年4月1日
改正:平成18年3月31日法律第9号
施行:平成18年4月1日
改正:平成19年3月31日法律第23号
施行:平成19年4月1日
改正:平成20年12月26日法律第95号
施行:平成21年4月1日

目次

 第一章 総則(第一条−第四条)
 第二章 業務運営の方針(第五条−第九条)
 第三章 実施体制の効率化
  第一節 基本的な方針(第十条・第十一条)
  第二節 特別給付金(第十二条−第十四条)
 第四章 財務の健全化
  第一節 債務の処理(第十五条−第十七条)
  第二節 特別会計に関する法律の特例(第十八条−第二十条)
 附則

第一章 総則

(目的)
第一条 この法律は、国有林野事業(特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)第百五十八条第二項に規定する国有林野事業をいう。以下同じ。)の危機的な財務状況に対処するため、その抜本的な改革の趣旨及び全体像を明らかにすることにより、国有林野事業の改革についての国民の理解を深めるとともに、あわせて、特定の債務の一般会計への帰属その他国有林野事業の改革のために必要な特別措置について定めることを目的とする。

(国有林野事業の改革の趣旨)
第二条 国有林野事業の改革は、林業をめぐる諸情勢の著しい変化による収入の減少、債務の累増等による国有林野事業の危機的な財務状況に対処して、その財政の健全性を回復し、及び国民共通の財産である国有林野(国有林野事業の対象とする国有林野をいう。以下同じ。)を将来にわたって適切かつ効率的に管理経営する体制を確立することにより、国土の保全その他公益的機能の維持増進、林産物の持続的かつ計画的な供給、地域における産業の振興その他の国有林野事業の使命を十全に果たし、もって国民経済の発展及び国民生活の安定に資するために行われるものとする。

(国の責務)
第三条 国は、この法律に定める方針に従い必要な施策を総合的かつ計画的に実施し、国有林野事業の改革を確実かつ円滑に遂行しなければならない。

(集中改革期間)
第四条 国有林野事業の改革は、平成十五年度までの期間を集中改革期間として実施するものとする。

第二章 業務運営の方針

(公益的機能の維持増進を旨とする管理経営への転換)
第五条 政府は、国土の保全その他国有林野の有する公益的機能の重要性にかんがみ、国有林野の管理経営の方針について、林産物の供給に重点を置いたものから公益的機能の維持増進を旨とするものへと転換することとする。
2 政府は、前項の方針に従い、複層林施業、長伐期施業その他の森林の公益的機能の維持増進を図るための森林施業を積極的に推進するものとする。

(国民の意見を反映した管理経営の実施)
第六条 政府は、国有林野事業を適切に実施するため、あらかじめ広く国民の意見を聴いて、国及び地域の段階で、それぞれ国有林野の管理経営に関する計画を策定し、これらを公表するものとする。
2 政府は、前項の計画において、前条第一項の方針に従った管理経営の内容を明らかにするものとする。

(民間事業者への業務委託の推進)
第七条 政府は、民間事業者の能力を活用しつつ国有林野事業を効率的に実施するものとし、このため、集中改革期間において、伐採、造林並びに林道の開設及び改良の実施行為を民間事業者に委託して行うことを緊急に推進し、集中改革期間終了後できるだけ早い時期に、当該実施行為のすべてを民間事業者に委託して行うものとする。

(国民による国有林野の利用の推進)
第八条 政府は、国民共通の財産である国有林野について、その有する公益的機能の維持増進との調和を図りつつ、公衆の保健のための利用、自主的な森林整備のための利用その他の国民による利用に積極的に供するものとする。

(国有林野事業の実施状況の公表)
第九条 政府は、国有林野の管理経営が適切に実施されていることを国民に対し明らかにするため、毎年度、国有林野事業の実施状況を公表するものとする。

第三章 実施体制の効率化

第一節 基本的な方針

(職員数の適正化)
第十条 政府は、国有林野事業(特別会計に関する法律第百五十八条第三項第一号に規定する直轄治山事業を含む。以下この節において同じ。)の効率的な実施体制を整備するため、集中改革期間において、国有林野事業に係る職員数の適正化を緊急に推進し、集中改革期間終了後できるだけ早い時期に、その職員数を業務に応じた必要かつ最小限のものとする。
2 農林水産大臣は、集中改革期間の開始後一月以内に、国有林野事業に係る職員数の適正化の目標、その達成のために講じようとする施策その他国有林野事業に係る職員数の適正化に関する基本的な事項につき、閣議の決定を求めなければならない。

(組織の再編)
第十一条 政府は、国有林野事業に係る組織を簡素かつ効率的なものに再編するものとする。

第二節 特別給付金

(特別給付金の支給)
第十二条 農林水産大臣は、集中改革期間において国有林野事業に係る職員数の適正化を緊急に推進するため、集中改革期間中の毎年度、退職を希望する国有林野事業職員(国有林野事業を行う国の経営する企業に勤務する一般職の国家公務員をいう。以下同じ。)の募集を行う場合において、国有林野事業職員がこれに応じて退職を申し出たときは、その者が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その者について退職を希望する国有林野事業職員である旨の認定を行うことができる。
 一 当該退職を申し出た年度の末日までに六十歳(農林水産省令で定める要件に該当する者にあっては、六十三歳。次条第一項において同じ。)となる者
 二 国有林野事業を行う国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法(昭和二十九年法律第百四十一号)第二条第二項の政令で定める官職にある者又は同法第五条に規定する常勤の職員
 三 前二号に掲げるもののほか、常時勤務に服することを要しない者で農林水産省令で定める要件に該当するもの
2 政府は、前項の認定を受けた国有林野事業職員が退職したときは、その者が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その者に対し、特別の給付金(以下「特別給付金」という。)を支給するものとする。
 一 国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第三条、第四条第一項及び第五条第一項の規定の適用を受けないで退職した者
 二 傷病又は死亡により退職した者
3 特別給付金は、第一項の認定を受けた年度の末日までに退職した者に対し支給するものとする。

(特別給付金の額)
第十三条 特別給付金の額は、退職の日におけるその者の給与のうち一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)に規定する俸給、扶養手当及び調整手当に相当するものの月額の合計額(その者の勤続期間が五年以上の場合にあっては、その額に一・四を乗じて得た額)に、その者が六十歳に達する日の属する年度とその者が前条第一項の認定を受けた日の属する年度との差に相当する年数(十五年を超える場合にあっては、十五年)を乗じて得た金額とする。
2 前項の特別給付金の額の算定の基礎となる勤続期間の計算については、国家公務員退職手当法第七条第一項から第五項までの規定を準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(特別給付金の返還等)
第十四条 特別給付金の支給を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなった場合には、その者は、農林水産省令で定めるところにより、その支給を受けた特別給付金に相当する金額を政府に返還しなければならない。
 一 その支給に係る退職をした日から起算して一年以内に農林水産省の職員(常時勤務に服することを要しない者で農林水産省令で定めるものを除く。)として採用されたとき。
 二 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律(平成二十年法律第九十五号)附則第二条の規定によりなお従前の例によることとされる場合における同法第一条の規定による改正前の国家公務員退職手当法第十二条の三第一項の規定により支給を受けた一般の退職手当等の全部又は一部を返納させられることとなったとき。
2 政府は、特別給付金の支給を受けることができることとなった者であってその支給を受けていないものが前項各号のいずれかに該当することとなった場合には、第十二条第二項の規定にかかわらず、その者に対し、特別給付金を支給しない。
3 政府は、特別給付金の支給を受けることができることとなった者であってその支給を受けていないものが国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律(平成二十年法律第九十五号)附則第二条の規定によりなお従前の例によることとされる場合における同法第一条の規定による改正前の国家公務員退職手当法第十二条の二第一項の規定による一般の退職手当等の支給を一時差し止める処分を受けた場合には、第十二条第二項の規定にかかわらず、その者に対し、特別給付金を支給しない。ただし、当該処分が取り消された場合は、この限りでない。

第四章 財務の健全化

第一節 債務の処理

(借入金の一般会計への帰属等)
第十五条 政府は、この法律の施行の時において、その時における事業勘定(国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律(平成十八年法律第九号)による改正前の国有林野事業特別会計法(昭和二十二年法律第三十八号)に基づく国有林野事業特別会計の国有林野事業勘定をいう。次条第一項において同じ。)の負担に属する次に掲げる債務を、一般会計に帰属させる。
 一 平成七年九月二十九日までに借り入れられた借入金に係る債務
 二 前号に掲げる債務に係る利子であって、この法律の施行の日以前に発生しており、かつ、同日以降に支払われることとされているものに係る債務
2 前項の規定により一般会計に帰属する債務のうち政府が貸し付けた資金に係るものの償還期限は、平成十一年三月三十一日までの間において政令で定める日とする。

(事業勘定における債務の処理)
第十六条 政府は、この法律の施行の時において事業勘定の負担に属する借入金に係る債務(前条第一項の規定により一般会計に帰属したものを除く。)について、その償還及び当該債務に係る利子の支払の確実かつ円滑な実施により、この法律の施行の日から五十年を経過した日の属する年度の末日までに着実に処理するものとする。
2 政府は、前項の債務の処理を推進するため、第十八条及び第十九条に規定する措置を講ずるものとする。

(国会への報告)
第十七条 政府は、国会に対し、毎年度、前二条の規定による国有林野事業に係る債務の処理に関する施策の実施の状況を報告しなければならない。

第二節 特別会計に関する法律の特例

(借入金の償還金に係る借入金)
第十八条 事業勘定においては、第十六条第一項に規定する年度までの間において、特別会計に関する法律の規定による借入金のほか、この勘定の負担に属する借入金の償還金の財源に不足を生ずると認められるときは、その財源に充てるため、この勘定の負担において、借入金をすることができる。

(借入金の利子に係る一般会計からの繰入れ)
第十九条 政府は、国有林野事業特別会計の負担に属する借入金(政令で定めるものを除く。)について、第十六条第一項に規定する年度までの期間中の毎年度、予算の範囲内において、当該年度において支払うべき利子に充てるべき金額(平成十年度にあっては、この法律の施行の日から平成十一年三月三十一日までの間において支払うべき利子に充てるべき金額)を、一般会計から同特別会計に繰り入れるものとする。

(損失の処理の特例)
第二十条 国有林野事業特別会計においては、第十六条第一項に規定する年度までの間において、特別会計に関する法律第百六十五条第二項の規定により繰り越した損失を、資本剰余金を減額して整理することができるものとする。

   附 則

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。

(国有林野事業改善特別措置法の廃止)
第二条 国有林野事業改善特別措置法は、廃止する。

(国有林野事業改善特別措置法の廃止に伴う経過措置)
第三条 前条の規定による廃止前の国有林野事業改善特別措置法第八条第二項に規定する特別給付金の支給を受けた者については、同法第十条第一項の規定は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。

    附 則 [平成14年7月31日法律第98号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公社法の施行の日から施行する。[後略]

   附 則 [平成18年3月31日法律第9号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十八年四月一日から施行する。

   附 則 [平成19年3月31日法律第23号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十九年四月一日から施行し、平成十九年度の予算から適用する。[後略]

   附 則 [平成20年12月26日法律第95号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。[後略]

以上

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