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第一編 総則 第二編 物権 第三編 債権 第四編 親族 第五編 相続

民法 第二編 物権

(失効)

この条文は,平成16年法律第147号による一部改正前のものです。

目次

 第二編 物権
  第一章 総則(第百七十五条−第百七十九条)
  第二章 占有権
   第一節 占有権ノ取得(第百八十条−第百八十七条)
   第二節 占有権ノ効力(第百八十八条−第二百二条)
   第三節 占有権ノ消滅(第二百三条・第二百四条)
   第四節 準占有(第二百五条)
  第三章 所有権
   第一節 所有権ノ限界(第二百六条−第二百三十八条)
   第二節 所有権ノ取得(第二百三十九条−第二百四十八条)
   第三節 共有(第二百四十九条−第二百六十四条)
  第四章 地上権(第二百六十五条−第二百六十九条ノ二)
  第五章 永小作権(第二百七十条−第二百七十九条)
  第六章 地役権(第二百八十条−第二百九十四条)
  第七章 留置権(第二百九十五条−第三百二条)
  第八章 先取特権
   第一節 総則(第三百三条−第三百五条)
   第二節 先取特権ノ種類
    第一款 一般ノ先取特権(第三百六条−第三百十条)
    第二款 動産ノ先取特権(第三百十一条−第三百二十四条)
    第三款 不動産ノ先取特権(第三百二十五条−第三百二十八条)
   第三節 先取特権ノ順位(第三百二十九条−第三百三十二条)
   第四節 先取特権ノ効力(第三百三十三条−第三百四十一条)
  第九章 質権
   第一節 総則(第三百四十二条−第三百五十一条)
   第二節 動産質(第三百五十二条−第三百五十五条)
   第三節 不動産質(第三百五十六条−第三百六十一条)
   第四節 権利質(第三百六十二条−第三百六十八条)
  第十章 抵当権
   第一節 総則(第三百六十九条−第三百七十二条)
   第二節 抵当権ノ効力(第三百七十三条−第三百九十五条)
   第三節 抵当権ノ消滅(第三百九十六条−第三百九十八条)
   第四節 根抵当(第三百九十八条ノ二−第三百九十八条ノ二十二)

第一章 総則

第百七十五条 物権ハ本法其他ノ法律ニ定ムルモノノ外之ヲ創設スルコトヲ得ス

第百七十六条 物権ノ設定及ヒ移転ハ当事者ノ意思表示ノミニ因リテ其効力ヲ生ス

第百七十七条 不動産ニ関スル物権ノ得喪及ヒ変更ハ登記法ノ定ムル所ニ従ヒ其登記ヲ為スニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス

第百七十八条 動産ニ関スル物権ノ譲渡ハ其動産ノ引渡アルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス

第百七十九条 同一物ニ付キ所有権及ヒ他ノ物権カ同一人ニ帰シタルトキハ其物権ハ消滅ス但其物又ハ其物権カ第三者ノ権利ノ目的タルトキハ此限ニ在ラス
2 所有権以外ノ物権及ヒ之ヲ目的トスル他ノ権利カ同一人ニ帰シタルトキハ其権利ハ消滅ス此場合ニ於テハ前項但書ノ規定ヲ準用ス
3 前二項ノ規定ハ占有権ニハ之ヲ適用セス

第二章 占有権

第一節 占有権ノ取得

第百八十条 占有権ハ自己ノ為メニスル意思ヲ以テ物ヲ所持スルニ因リテ之ヲ取得ス

第百八十一条 占有権ハ代理人ニ依リテ之ヲ取得スルコトヲ得

第百八十二条 占有権ノ譲渡ハ占有物ノ引渡ニ依リテ之ヲ為ス
2 譲受人又ハ其代理人カ現ニ占有物ヲ所持スル場合ニ於テハ占有権ノ譲渡ハ当事者ノ意思表示ノミニ依リテ之ヲ為スコトヲ得

第百八十三条 代理人カ自己ノ占有物ヲ爾後本人ノ為メニ占有スヘキ意思ヲ表示シタルトキハ本人ハ之ニ因リテ占有権ヲ取得ス

第百八十四条 代理人ニ依リテ占有ヲ為ス場合ニ於テ本人カ其代理人ニ対シ爾後第三者ノ為メニ其物ヲ占有スヘキ旨ヲ命シ第三者之ヲ承諾シタルトキハ其第三者ハ占有権ヲ取得ス

第百八十五条 権原ノ性質上占有者ニ所有ノ意思ナキモノトスル場合ニ於テハ其占有者カ自己ニ占有ヲ為サシメタル者ニ対シ所有ノ意思アルコトヲ表示シ又ハ新権原ニ因リ更ニ所有ノ意思ヲ以テ占有ヲ始ムルニ非サレハ占有ハ其性質ヲ変セス

第百八十六条 占有者ハ所有ノ意思ヲ以テ善意、平穏且公然ニ占有ヲ為スモノト推定ス
2 前後両時ニ於テ占有ヲ為シタル証拠アルトキハ占有ハ其間継続シタルモノト推定ス

第百八十七条 占有者ノ承継人ハ其選択ニ従ヒ自己ノ占有ノミヲ主張シ又ハ自己ノ占有ニ前主ノ占有ヲ併セテ之ヲ主張スルコトヲ得
2 前主ノ占有ヲ併セテ主張スル場合ニ於テハ其瑕疵モ亦之ヲ承継ス

第二節 占有権ノ効力

第百八十八条 占有者カ占有物ノ上ニ行使スル権利ハ之ヲ適法ニ有スルモノト推定ス

第百八十九条 善意ノ占有者ハ占有物ヨリ生スル果実ヲ取得ス
2 善意ノ占有者カ本権ノ訴ニ於テ敗訴シタルトキハ其起訴ノ時ヨリ悪意ノ占有者ト看做ス

第百九十条 悪意ノ占有者ハ果実ヲ返還シ且其既ニ消費シ、過失ニ因リテ毀損シ又ハ収取ヲ怠リタル果実ノ代価ヲ償還スル義務ヲ負フ
2 前項ノ規定ハ強暴又ハ隠秘ニ因ル占有者ニ之ヲ準用ス

第百九十一条 占有物カ占有者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リテ滅失又ハ毀損シタルトキハ悪意ノ占有者ハ其回復者ニ対シ其損害ノ全部ヲ賠償スル義務ヲ負ヒ善意ノ占有者ハ其滅失又ハ毀損ニ因リテ現ニ利益ヲ受クル限度ニ於テ賠償ヲ為ス義務ヲ負フ但所有ノ意思ナキ占有者ハ其善意ナルトキト雖モ全部ノ賠償ヲ為スコトヲ要ス

第百九十二条 平穏且公然ニ動産ノ占有ヲ始メタル者カ善意ニシテ且過失ナキトキハ即時ニ其動産ノ上ニ行使スル権利ヲ取得ス

第百九十三条 前条ノ場合ニ於テ占有物カ盗品又ハ遺失物ナルトキハ被害者又ハ遺失主ハ盗難又ハ遺失ノ時ヨリ二年間占有者ニ対シテ其物ノ回復ヲ請求スルコトヲ得

第百九十四条 占有者カ盗品又ハ遺失物ヲ競売若クハ公ノ市場ニ於テ又ハ其物ト同種ノ物ヲ販売スル商人ヨリ善意ニテ買受ケタルトキハ被害者又ハ遺失主ハ占有者カ払ヒタル代価ヲ弁償スルニ非サレハ其物ヲ回復スルコトヲ得ス

第百九十五条 他人カ飼養セシ家畜外ノ動物ヲ占有スル者ハ其占有ノ始善意ニシテ且逃失ノ時ヨリ一个月内ニ飼養主ヨリ回復ノ請求ヲ受ケサルトキハ其動物ノ上ニ行使スル権利ヲ取得ス

第百九十六条 占有者カ占有物ヲ返還スル場合ニ於テハ其物ノ保存ノ為メニ費シタル金額其他ノ必要費ヲ回復者ヨリ償還セシムルコトヲ得但占有者カ果実ヲ取得シタル場合ニ於テハ通常ノ必要費ハ其負担ニ帰ス
2 占有者カ占有物ノ改良ノ為メニ費シタル金額其他ノ有益費ニ付テハ其価格ノ増加カ現存スル場合ニ限リ回復者ノ選択ニ従ヒ其費シタル金額又ハ増価額ヲ償還セシムルコトヲ得但悪意ノ占有者ニ対シテハ裁判所ハ回復者ノ請求ニ因リ之ニ相当ノ期限ヲ許与スルコトヲ得

第百九十七条 占有者ハ後五条ノ規定ニ従ヒ占有ノ訴ヲ提起スルコトヲ得他人ノ為メニ占有ヲ為ス者亦同シ

第百九十八条 占有者カ其占有ヲ妨害セラレタルトキハ占有保持ノ訴ニ依リ其妨害ノ停止及ヒ損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得

第百九十九条 占有者カ其占有ヲ妨害セラルル虞アルトキハ占有保全ノ訴ニ依リ其妨害ノ予防又ハ損害賠償ノ担保ヲ請求スルコトヲ得

第二百条 占有者カ其占有ヲ奪ハレタルトキハ占有回収ノ訴ニ依リ其物ノ返還及ヒ損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得
2 占有回収ノ訴ハ侵奪者ノ特定承継人ニ対シテ之ヲ提起スルコトヲ得ス但其承継人カ侵奪ノ事実ヲ知リタルトキハ此限ニ在ラス

第二百一条 占有保持ノ訴ハ妨害ノ存スル間又ハ其止ミタル後一年内ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス但工事ニ因リ占有物ニ損害ヲ生シタル場合ニ於テ其工事著手ノ時ヨリ一年ヲ経過シ又ハ其工事ノ竣成シタルトキハ之ヲ提起スルコトヲ得ス
2 占有保全ノ訴ハ妨害ノ危険ノ存スル間ハ之ヲ提起スルコトヲ得但工事ニ因リ占有物ニ損害ヲ生スル虞アルトキハ前項但書ノ規定ヲ準用ス
3 占有回収ノ訴ハ侵奪ノ時ヨリ一年内ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス

第二百二条 占有ノ訴ハ本権ノ訴ト互ニ相妨クルコトナシ
2 占有ノ訴ハ本権ニ関スル理由ニ基キテ之ヲ裁判スルコトヲ得ス

第三節 占有権ノ消滅

第二百三条 占有権ハ占有者カ占有ノ意思ヲ抛棄シ又ハ占有物ノ所持ヲ失フニ因リテ消滅ス但占有者カ占有回収ノ訴ヲ提起シタルトキハ此限ニ在ラス

第二百四条 代理人ニ依リテ占有ヲ為ス場合ニ於テハ占有権ハ左ノ事由ニ因リテ消滅ス
 一 本人カ代理人ヲシテ占有ヲ為サシムル意思ヲ抛棄シタルコト
 二 代理人カ本人ニ対シ爾後自己又ハ第三者ノ為メニ占有物ヲ所持スヘキ意思ヲ表示シタルコト
 三 代理人カ占有物ノ所持ヲ失ヒタルコト
2 占有権ハ代理権ノ消滅ノミニ因リテ消滅セス

第四節 準占有

第二百五条 本章ノ規定ハ自己ノ為メニスル意思ヲ以テ財産権ノ行使ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス

第三章 所有権

第一節 所有権ノ限界

第二百六条 所有者ハ法令ノ制限内ニ於テ自由ニ其所有物ノ使用、収益及ヒ処分ヲ為ス権利ヲ有ス

第二百七条 土地ノ所有権ハ法令ノ制限内ニ於テ其土地ノ上下ニ及フ

第二百八条 削除

第二百九条 土地ノ所有者ハ疆界又ハ其近傍ニ於テ牆壁若クハ建物ヲ築造シ又ハ之ヲ修繕スル為メ必要ナル範囲内ニ於テ隣地ノ使用ヲ請求スルコトヲ得但隣人ノ承諾アルニ非サレハ其住家ニ立入ルコトヲ得ス
2 前項ノ場合ニ於テ隣人カ損害ヲ受ケタルトキハ其償金ヲ請求スルコトヲ得

第二百十条 或土地カ他ノ土地ニ囲繞セラレテ公路ニ通セサルトキハ其土地ノ所有者ハ公路ニ至ル為メ囲繞地ヲ通行スルコトヲ得
2 池沼、河渠若クハ海洋ニ由ルニ非サレハ他ニ通スルコト能ハス又ハ崖岸アリテ土地ト公路ト著シキ高低ヲ為ストキ亦同シ

第二百十一条 前条ノ場合ニ於テ通行ノ場所及ヒ方法ハ通行権ヲ有スル者ノ為メニ必要ニシテ且囲繞地ノ為メニ損害最モ少キモノヲ選フコトヲ要ス
2 通行権ヲ有スル者ハ必要アルトキハ通路ヲ開設スルコトヲ得

第二百十二条 通行権ヲ有スル者ハ通行地ノ損害ニ対シテ償金ヲ払フコトヲ要ス但通路開設ノ為メニ生シタル損害ニ対スルモノヲ除ク外一年毎ニ其償金ヲ払フコトヲ得

第二百十三条 分割ニ因リ公路ニ通セサル土地ヲ生シタルトキハ其土地ノ所有者ハ公路ニ至ル為メ他ノ分割者ノ所有地ノミヲ通行スルコトヲ得此場合ニ於テハ償金ヲ払フコトヲ要セス
2 前項ノ規定ハ土地ノ所有者カ其土地ノ一部ヲ譲渡シタル場合ニ之ヲ準用ス

第二百十四条 土地ノ所有者ハ隣地ヨリ水ノ自然ニ流レ来ルヲ妨クルコトヲ得ス

第二百十五条 水流カ事変ニ因リ低地ニ於テ阻塞シタルトキハ高地ノ所有者ハ自費ヲ以テ其疏通ニ必要ナル工事ヲ為スコトヲ得

第二百十六条 甲地ニ於テ貯水、排水又ハ引水ノ為メニ設ケタル工作物ノ破潰又ハ阻塞ニ因リテ乙地ニ損害ヲ及ホシ又ハ及ホス虞アルトキハ乙地ノ所有者ハ甲地ノ所有者ヲシテ修繕若クハ疏通ヲ為サシメ又必要アルトキハ予防工事ヲ為サシムルコトヲ得

第二百十七条 前二条ノ場合ニ於テ費用ノ負担ニ付キ別段ノ慣習アルトキハ其慣習ニ従フ

第二百十八条 土地ノ所有者ハ直チニ雨水ヲ隣地ニ注瀉セシムヘキ屋根其他ノ工作物ヲ設クルコトヲ得ス

第二百十九条 溝渠其他ノ水流地ノ所有者ハ対岸ノ土地カ他人ノ所有ニ属スルトキハ其水路又ハ幅員ヲ変スルコトヲ得ス
2 両岸ノ土地カ水流地ノ所有者ニ属スルトキハ其所有者ハ水路及ヒ幅員ヲ変スルコトヲ得但下口ニ於テ自然ノ水路ニ復スルコトヲ要ス
3 前二項ノ規定ニ異ナリタル慣習アルトキハ其慣習ニ従フ

第二百二十条 高地ノ所有者ハ浸水地ヲ乾カス為メ又ハ家用若クハ農工業用ノ余水ヲ排泄スル為メ公路、公流又ハ下水道ニ至ルマテ低地ニ水ヲ通過セシムルコトヲ得但低地ノ為メニ損害最モ少キ場所及ヒ方法ヲ選フコトヲ要ス

第二百二十一条 土地ノ所有者ハ其所有地ノ水ヲ通過セシムル為メ高地又ハ低地ノ所有者カ設ケタル工作物ヲ使用スルコトヲ得
2 前項ノ場合ニ於テ他人ノ工作物ヲ使用スル者ハ其利益ヲ受クル割合ニ応シテ工作物ノ設置及ヒ保存ノ費用ヲ分担スルコトヲ要ス

第二百二十二条 水流地ノ所有者ハ堰ヲ設クル需要アルトキハ其堰ヲ対岸ニ附著セシムルコトヲ得但之ニ因リテ生シタル損害ニ対シテ償金ヲ払フコトヲ要ス
2 対岸ノ所有者ハ水流地ノ一部カ其所有ニ属スルトキハ右ノ堰ヲ使用スルコトヲ得但前条ノ規定ニ従ヒ費用ヲ分担スルコトヲ要ス

第二百二十三条 土地ノ所有者ハ隣地ノ所有者ト共同ノ費用ヲ以テ疆界ヲ標示スヘキ物ヲ設クルコトヲ得

第二百二十四条 界標ノ設置及ヒ保存ノ費用ハ相隣者平分シテ之ヲ負担ス但測量ノ費用ハ其土地ノ広狭ニ応シテ之ヲ分担ス

第二百二十五条 二棟ノ建物カ其所有者ヲ異ニシ且其間ニ空地アルトキハ各所有者ハ他ノ所有者ト共同ノ費用ヲ以テ其疆界ニ囲障ヲ設クルコトヲ得
2 当事者ノ協議調ハサルトキハ前項ノ囲障ハ板屏又ハ竹垣ニシテ高サ二メートルタルコトヲ要ス

第二百二十六条 囲障ノ設置及ヒ保存ノ費用ハ相隣者平分シテ之ヲ負担ス

第二百二十七条 相隣者ノ一人ハ第二百二十五条第二項ニ定メタル材料ヨリ良好ナルモノヲ用ヰ又ハ高サヲ増シテ囲障ヲ設クルコトヲ得但之ニ因リテ生スル費用ノ増額ヲ負担スルコトヲ要ス

第二百二十八条 前三条ノ規定ニ異ナリタル慣習アルトキハ其慣習ニ従フ

第二百二十九条 疆界線上ニ設ケタル界標、囲障、牆壁及ヒ溝渠ハ相隣者ノ共有ニ属スルモノト推定ス

第二百三十条 一棟ノ建物ノ部分ヲ成ス疆界線上ノ牆壁ニハ前条ノ規定ヲ適用セス
2 高サノ不同ナル二棟ノ建物ヲ隔ツル牆壁ノ低キ建物ヲ踰ユル部分亦同シ但防火牆壁ハ此限ニ在ラス

第二百三十一条 相隣者ノ一人ハ共有ノ牆壁ノ高サヲ増スコトヲ得但其牆壁カ此工事ニ耐ヘサルトキハ自費ヲ以テ工作ヲ加ヘ又ハ其牆壁ヲ改築スルコトヲ要ス
2 前項ノ規定ニ依リテ牆壁ノ高サヲ増シタル部分ハ其工事ヲ為シタル者ノ専有ニ属ス

第二百三十二条 前条ノ場合ニ於テ隣人カ損害ヲ受ケタルトキハ其償金ヲ請求スルコトヲ得

第二百三十三条 隣地ノ竹木ノ枝カ疆界線ヲ踰ユルトキハ其竹木ノ所有者ヲシテ其枝ヲ剪除セシムルコトヲ得
2 隣地ノ竹木ノ根カ疆界線ヲ踰ユルトキハ之ヲ截取スルコトヲ得

第二百三十四条 建物ヲ築造スルニハ疆界線ヨリ五十センチメートル以上ノ距離ヲ存スルコトヲ要ス
2 前項ノ規定ニ違ヒテ建築ヲ為サントスル者アルトキハ隣地ノ所有者ハ其建築ヲ廃止シ又ハ之ヲ変更セシムルコトヲ得但建築著手ノ時ヨリ一年ヲ経過シ又ハ其建築ノ竣成シタル後ハ損害賠償ノ請求ノミヲ為スコトヲ得

第二百三十五条 疆界線ヨリ一メートル未満ノ距離ニ於テ他人ノ宅地ヲ観望スヘキ窓又ハ椽側ヲ設クル者ハ目隠ヲ附スルコトヲ要ス
2 前項ノ距離ハ窓又ハ椽側ノ最モ隣地ニ近キ点ヨリ直角線ニテ疆界線ニ至ルマテヲ測算ス

第二百三十六条 前二条ノ規定ニ異ナリタル慣習アルトキハ其慣習ニ従フ

第二百三十七条 井戸、用水溜、下水溜又ハ肥料溜ヲ穿ツニハ疆界線ヨリ二メートル以上池、地窖又ハ厠坑ヲ穿ツニハ一メートル以上ノ距離ヲ存スルコトヲ要ス
2 水樋ヲ埋メ又ハ溝渠ヲ穿ツニハ疆界線ヨリ其深サノ半以上ノ距離ヲ存スルコトヲ要ス但一メートルヲ踰ユルコトヲ要セス

第二百三十八条 疆界線ノ近傍ニ於テ前条ノ工事ヲ為ストキハ土砂ノ崩壊又ハ水若クハ汚液ノ滲漏ヲ防クニ必要ナル注意ヲ為スコトヲ要ス

第二節 所有権ノ取得

第二百三十九条 無主ノ動産ハ所有ノ意思ヲ以テ之ヲ占有スルニ因リテ其所有権ヲ取得ス
2 無主ノ不動産ハ国庫ノ所有ニ属ス

第二百四十条 遺失物ハ特別法ノ定ムル所ニ従ヒ公告ヲ為シタル後六个月内ニ其所有者ノ知レサルトキハ拾得者其所有権ヲ取得ス

第二百四十一条 埋蔵物ハ特別法ノ定ムル所ニ従ヒ公告ヲ為シタル後六个月内ニ其所有者ノ知レサルトキハ発見者其所有権ヲ取得ス但他人ノ物ノ中ニ於テ発見シタル埋蔵物ハ発見者及ヒ其物ノ所有者折半シテ其所有権ヲ取得ス

第二百四十二条 不動産ノ所有者ハ其不動産ノ従トシテ之ニ附合シタル物ノ所有権ヲ取得ス但権原ニ因リテ其物ヲ附属セシメタル他人ノ権利ヲ妨ケス

第二百四十三条 各別ノ所有者ニ属スル数個ノ動産カ附合ニ因リ毀損スルニ非サレハ之ヲ分離スルコト能ハサルニ至リタルトキハ其合成物ノ所有権ハ主タル動産ノ所有者ニ属ス分離ノ為メ過分ノ費用ヲ要スルトキ亦同シ

第二百四十四条 附合シタル動産ニ付キ主従ノ区別ヲ為スコト能ハサルトキハ各動産ノ所有者ハ其附合ノ当時ニ於ケル価格ノ割合ニ応シテ合成物ヲ共有ス

第二百四十五条 前二条ノ規定ハ各別ノ所有者ニ属スル物カ混和シテ識別スルコト能ハサルニ至リタル場合ニ之ヲ準用ス

第二百四十六条 他人ノ動産ニ工作ヲ加ヘタル者アルトキハ其加工物ノ所有権ハ材料ノ所有者ニ属ス但工作ニ因リテ生シタル価格カ著シク材料ノ価格ニ超ユルトキハ加工者其物ノ所有権ヲ取得ス
2 加工者カ材料ノ一部ヲ供シタルトキハ其価格ニ工作ニ因リテ生シタル価格ヲ加ヘタルモノカ他人ノ材料ノ価格ニ超ユルトキニ限リ加工者其物ノ所有権ヲ取得ス

第二百四十七条 前五条ノ規定ニ依リテ物ノ所有権カ消滅シタルトキハ其物ノ上ニ存セル他ノ権利モ亦消滅ス
2 右ノ物ノ所有者カ合成物、混和物又ハ加工物ノ単独所有者ト為リタルトキハ前項ノ権利ハ爾後合成物、混和物又ハ加工物ノ上ニ存シ其共有者ト為リタルトキハ其持分ノ上ニ存ス

第二百四十八条 前六条ノ規定ノ適用ニ因リテ損失ヲ受ケタル者ハ第七百三条及ヒ第七百四条ノ規定ニ従ヒ償金ヲ請求スルコトヲ得

第三節 共有

第二百四十九条 各共有者ハ共有物ノ全部ニ付キ其持分ニ応シタル使用ヲ為スコトヲ得

第二百五十条 各共有者ノ持分ハ相均シキモノト推定ス

第二百五十一条 各共有者ハ他ノ共有者ノ同意アルニ非サレハ共有物ニ変更ヲ加フルコトヲ得ス

第二百五十二条 共有物ノ管理ニ関スル事項ハ前条ノ場合ヲ除ク外各共有者ノ持分ノ価格ニ従ヒ其過半数ヲ以テ之ヲ決ス但保存行為ハ各共有者之ヲ為スコトヲ得

第二百五十三条 各共有者ハ其持分ニ応シ管理ノ費用ヲ払ヒ其他共有物ノ負担ニ任ス
2 共有者カ一年内ニ前項ノ義務ヲ履行セサルトキハ他ノ共有者ハ相当ノ償金ヲ払ヒテ其者ノ持分ヲ取得スルコトヲ得

第二百五十四条 共有者ノ一人カ共有物ニ付キ他ノ共有者ニ対シテ有スル債権ハ其特定承継人ニ対シテモ之ヲ行フコトヲ得

第二百五十五条 共有者ノ一人カ其持分ヲ抛棄シタルトキ又ハ相続人ナクシテ死亡シタルトキハ其持分ハ他ノ共有者ニ帰属ス

第二百五十六条 各共有者ハ何時ニテモ共有物ノ分割ヲ請求スルコトヲ得但五年ヲ超エサル期間内分割ヲ為ササル契約ヲ為スコトヲ妨ケス
2 此契約ハ之ヲ更新スルコトヲ得但其期間ハ更新ノ時ヨリ五年ヲ超ユルコトヲ得ス

第二百五十七条 前条ノ規定ハ第二百二十九条ニ掲ケタル共有物ニハ之ヲ適用セス

第二百五十八条 分割ハ共有者ノ協議調ハサルトキハ之ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
2 前項ノ場合ニ於テ現物ヲ以テ分割ヲ為スコト能ハサルトキ又ハ分割ニ因リテ著シク其価格ヲ損スル虞アルトキハ裁判所ハ其競売ヲ命スルコトヲ得

第二百五十九条 共有者ノ一人カ他ノ共有者ニ対シテ共有ニ関スル債権ヲ有スルトキハ分割ニ際シ債務者ニ帰スヘキ共有物ノ部分ヲ以テ其弁済ヲ為サシムルコトヲ得
2 債権者ハ右ノ弁済ヲ受クル為メ債務者ニ帰スヘキ共有物ノ部分ヲ売却スル必要アルトキハ其売却ヲ請求スルコトヲ得

第二百六十条 共有物ニ付キ権利ヲ有スル者及ヒ各共有者ノ債権者ハ自己ノ費用ヲ以テ分割ニ参加スルコトヲ得
2 前項ノ規定ニ依リテ参加ノ請求アリタルニ拘ハラス其参加ヲ待タスシテ分割ヲ為シタルトキハ其分割ハ之ヲ以テ参加ヲ請求シタル者ニ対抗スルコトヲ得ス

第二百六十一条 各共有者ハ他ノ共有者カ分割ニ因リテ得タル物ニ付キ売主ト同シク其持分ニ応シテ担保ノ責ニ任ス

第二百六十二条 分割カ結了シタルトキハ各分割者ハ其受ケタル物ニ関スル証書ヲ保存スルコトヲ要ス
2 共有者一同又ハ其中ノ数人ニ分割シタル物ニ関スル証書ハ其物ノ最大部分ヲ受ケタル者之ヲ保存スルコトヲ要ス
3 前項ノ場合ニ於テ最大部分ヲ受ケタル者ナキトキハ分割者ノ協議ヲ以テ証書ノ保存者ヲ定ム若シ協議調ハサルトキハ裁判所之ヲ指定ス
4 証書ノ保存者ハ他ノ分割者ノ請求ニ応シテ其証書ヲ使用セシムルコトヲ要ス

第二百六十三条 共有ノ性質ヲ有スル入会権ニ付テハ各地方ノ慣習ニ従フ外本節ノ規定ヲ適用ス

第二百六十四条 本節ノ規定ハ数人ニテ所有権以外ノ財産権ヲ有スル場合ニ之ヲ準用ス但法令ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス

第四章 地上権

第二百六十五条 地上権者ハ他人ノ土地ニ於テ工作物又ハ竹木ヲ所有スル為メ其土地ヲ使用スル権利ヲ有ス

第二百六十六条 地上権者カ土地ノ所有者ニ定期ノ地代ヲ払フヘキトキハ第二百七十四条乃至第二百七十六条ノ規定ヲ準用ス
2 此他地代ニ付テハ賃貸借ニ関スル規定ヲ準用ス

第二百六十七条 第二百九条乃至第二百三十八条ノ規定ハ地上権者間又ハ地上権者ト土地ノ所有者トノ間ニ之ヲ準用ス但第二百二十九条ノ推定ハ地上権設定後ニ為シタル工事ニ付テノミ之ヲ地上権者ニ準用ス

第二百六十八条 設定行為ヲ以テ地上権ノ存続期間ヲ定メサリシ場合ニ於テ別段ノ慣習ナキトキハ地上権者ハ何時ニテモ其権利ヲ抛棄スルコトヲ得但地代ヲ払フヘキトキハ一年前ニ予告ヲ為シ又ハ未タ期限ノ至ラサル一年分ノ地代ヲ払フコトヲ要ス
2 地上権者カ前項ノ規定ニ依リテ其権利ヲ抛棄セサルトキハ裁判所ハ当事者ノ請求ニ因リ二十年以上五十年以下ノ範囲内ニ於テ工作物又ハ竹木ノ種類及ヒ状況其他地上権設定ノ当時ノ事情ヲ斟酌シテ其存続期間ヲ定ム

第二百六十九条 地上権者ハ其権利消滅ノ時土地ヲ原状ニ復シテ其工作物及ヒ竹木ヲ収去スルコトヲ得但土地ノ所有者カ時価ヲ提供シテ之ヲ買取ルヘキ旨ヲ通知シタルトキハ地上権者ハ正当ノ理由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ス
2 前項ノ規定ニ異ナリタル慣習アルトキハ其慣習ニ従フ

第二百六十九条ノ二 地下又ハ空間ハ上下ノ範囲ヲ定メ工作物ヲ所有スル為メ之ヲ地上権ノ目的ト為スコトヲ得此場合ニ於テハ設定行為ヲ以テ地上権ノ行使ノ為メニ土地ノ使用ニ制限ヲ加フルコトヲ得
2 前項ノ地上権ハ第三者ガ土地ノ使用又ハ収益ヲ為ス権利ヲ有スル場合ニ於テモ其権利又ハ之ヲ目的トスル権利ヲ有スル総テノ者ノ承諾アルトキハ之ヲ設定スルコトヲ得此場合ニ於テハ土地ノ使用又ハ収益ヲ為ス権利ヲ有スル者ハ其地上権ノ行使ヲ妨グルコトヲ得ズ

第五章 永小作権

第二百七十条 永小作人ハ小作料ヲ払ヒテ他人ノ土地ニ耕作又ハ牧畜ヲ為ス権利ヲ有ス

第二百七十一条 永小作人ハ土地ニ永久ノ損害ヲ生スヘキ変更ヲ加フルコトヲ得ス

第二百七十二条 永小作人ハ其権利ヲ他人ニ譲渡シ又ハ其権利ノ存続期間内ニ於テ耕作若クハ牧畜ノ為メ土地ヲ賃貸スルコトヲ得但設定行為ヲ以テ之ヲ禁シタルトキハ此限ニ在ラス

第二百七十三条 永小作人ノ義務ニ付テハ本章ノ規定及ヒ設定行為ヲ以テ定メタルモノノ外賃貸借ニ関スル規定ヲ準用ス

第二百七十四条 永小作人ハ不可抗力ニ因リ収益ニ付キ損失ヲ受ケタルトキト雖モ小作料ノ免除又ハ減額ヲ請求スルコトヲ得ス

第二百七十五条 永小作人カ不可抗力ニ因リ引続キ三年以上全ク収益ヲ得ス又ハ五年以上小作料ヨリ少キ収益ヲ得タルトキハ其権利ヲ抛棄スルコトヲ得

第二百七十六条 永小作人カ引続キ二年以上小作料ノ支払ヲ怠リタルトキハ地主ハ永小作権ノ消滅ヲ請求スルコトヲ得

第二百七十七条 前六条ノ規定ニ異ナリタル慣習アルトキハ其慣習ニ従フ

第二百七十八条 永小作権ノ存続期間ハ二十年以上五十年以下トス若シ五十年ヨリ長キ期間ヲ以テ永小作権ヲ設定シタルトキハ其期間ハ之ヲ五十年ニ短縮ス
2 永小作権ノ設定ハ之ヲ更新スルコトヲ得但其期間ハ更新ノ時ヨリ五十年ヲ超ユルコトヲ得ス
3 設定行為ヲ以テ永小作権ノ存続期間ヲ定メサリシトキハ其期間ハ別段ノ慣習アル場合ヲ除ク外之ヲ三十年トス

第二百七十九条 第二百六十九条ノ規定ハ永小作権ニ之ヲ準用ス

第六章 地役権

第二百八十条 地役権者ハ設定行為ヲ以テ定メタル目的ニ従ヒ他人ノ土地ヲ自己ノ土地ノ便益ニ供スル権利ヲ有ス但第三章第一節中ノ公ノ秩序ニ関スル規定ニ違反セサルコトヲ要ス

第二百八十一条 地役権ハ要役地ノ所有権ノ従トシテ之ト共ニ移転シ又ハ要役地ノ上ニ存スル他ノ権利ノ目的タルモノトス但設定行為ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス
2 地役権ハ要役地ヨリ分離シテ之ヲ譲渡シ又ハ他ノ権利ノ目的ト為スコトヲ得ス

第二百八十二条 土地ノ共有者ノ一人ハ其持分ニ付キ其土地ノ為メニ又ハ其土地ノ上ニ存スル地役権ヲ消滅セシムルコトヲ得ス
2 土地ノ分割又ハ其一部ノ譲渡ノ場合ニ於テハ地役権ハ其各部ノ為メニ又ハ其各部ノ上ニ存ス但地役権カ其性質ニ因リ土地ノ一部ノミニ関スルトキハ此限ニ在ラス

第二百八十三条 地役権ハ継続且表現ノモノニ限リ時効ニ因リテ之ヲ取得スルコトヲ得

第二百八十四条 共有者ノ一人カ時効ニ因リテ地役権ヲ取得シタルトキハ他ノ共有者モ亦之ヲ取得ス
2 共有者ニ対スル時効中断ハ地役権ヲ行使スル各共有者ニ対シテ之ヲ為スニ非サレハ其効力ヲ生セス
3 地役権ヲ行使スル共有者数人アル場合ニ於テ其一人ニ対シテ時効停止ノ原因アルモ時効ハ各共有者ノ為メニ進行ス

第二百八十五条 用水地役権ノ承役地ニ於テ水カ要役地及ヒ承役地ノ需要ノ為メニ不足ナルトキハ其各地ノ需要ニ応シ先ツ之ヲ家用ニ供シ其残余ヲ他ノ用ニ供スルモノトス但設定行為ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス
2 同一ノ承役地ノ上ニ数個ノ用水地役権ヲ設定シタルトキハ後ノ地役権者ハ前ノ地役権者ノ水ノ使用ヲ妨クルコトヲ得ス

第二百八十六条 設定行為又ハ特別契約ニ因リ承役地ノ所有者カ其費用ヲ以テ地役権ノ行使ノ為メニ工作物ヲ設ケ又ハ其修繕ヲ為ス義務ヲ負担シタルトキハ其義務ハ承役地ノ所有者ノ特定承継人モ亦之ヲ負担ス

第二百八十七条 承役地ノ所有者ハ何時ニテモ地役権ニ必要ナル土地ノ部分ノ所有権ヲ地役権者ニ委棄シテ前条ノ負担ヲ免ルルコトヲ得

第二百八十八条 承役地ノ所有者ハ地役権ノ行使ヲ妨ケサル範囲内ニ於テ其行使ノ為メニ承役地ノ上ニ設ケタル工作物ヲ使用スルコトヲ得
2 前項ノ場合ニ於テハ承役地ノ所有者ハ其利益ヲ受クル割合ニ応シテ工作物ノ設置及ヒ保存ノ費用ヲ分担スルコトヲ要ス

第二百八十九条 承役地ノ占有者カ取得時効ニ必要ナル条件ヲ具備セル占有ヲ為シタルトキハ地役権ハ之ニ因リテ消滅ス

第二百九十条 前条ノ消滅時効ハ地役権者カ其権利ヲ行使スルニ因リテ中断ス

第二百九十一条 第百六十七条第二項ニ規定セル消滅時効ノ期間ハ不継続地役権ニ付テハ最後ノ行使ノ時ヨリ之ヲ起算シ継続地役権ニ付テハ其行使ヲ妨クヘキ事実ノ生シタル時ヨリ之ヲ起算ス

第二百九十二条 要役地カ数人ノ共有ニ属スル場合ニ於テ其一人ノ為メニ時効ノ中断又ハ停止アルトキハ其中断又ハ停止ハ他ノ共有者ノ為メニモ其効力ヲ生ス

第二百九十三条 地役権者カ其権利ノ一部ヲ行使セサルトキハ其部分ノミ時効ニ因リテ消滅ス

第二百九十四条 共有ノ性質ヲ有セサル入会権ニ付テハ各地方ノ慣習ニ従フ外本章ノ規定ヲ準用ス

第七章 留置権

第二百九十五条 他人ノ物ノ占有者カ其物ニ関シテ生シタル債権ヲ有スルトキハ其債権ノ弁済ヲ受クルマテ其物ヲ留置スルコトヲ得但其債権カ弁済期ニ在ラサルトキハ此限ニ在ラス
2 前項ノ規定ハ占有カ不法行為ニ因リテ始マリタル場合ニハ之ヲ適用セス

第二百九十六条 留置権者ハ債権ノ全部ノ弁済ヲ受クルマテハ留置物ノ全部ニ付キ其権利ヲ行フコトヲ得

第二百九十七条 留置権者ハ留置物ヨリ生スル果実ヲ収取シ他ノ債権者ニ先チテ之ヲ其債権ノ弁済ニ充当スルコトヲ得
2 前項ノ果実ハ先ツ之ヲ債権ノ利息ニ充当シ尚ホ余剰アルトキハ之ヲ元本ニ充当スルコトヲ要ス

第二百九十八条 留置権者ハ善良ナル管理者ノ注意ヲ以テ留置物ヲ占有スルコトヲ要ス
2 留置権者ハ債務者ノ承諾ナクシテ留置物ノ使用若クハ賃貸ヲ為シ又ハ之ヲ担保ニ供スルコトヲ得ス但其物ノ保存ニ必要ナル使用ヲ為スハ此限ニ在ラス
3 留置権者カ前二項ノ規定ニ違反シタルトキハ債務者ハ留置権ノ消滅ヲ請求スルコトヲ得

第二百九十九条 留置権者カ留置物ニ付キ必要費ヲ出タシタルトキハ所有者ヲシテ其償還ヲ為サシムルコトヲ得
2 留置権者カ留置物ニ付キ有益費ヲ出タシタルトキハ其価格ノ増加カ現存スル場合ニ限リ所有者ノ選択ニ従ヒ其費シタル金額又ハ増価額ヲ償還セシムルコトヲ得但裁判所ハ所有者ノ請求ニ因リ之ニ相当ノ期限ヲ許与スルコトヲ得

第三百条 留置権ノ行使ハ債権ノ消滅時効ノ進行ヲ妨ケス

第三百一条 債務者ハ相当ノ担保ヲ供シテ留置権ノ消滅ヲ請求スルコトヲ得

第三百二条 留置権ハ占有ノ喪失ニ因リテ消滅ス但第二百九十八条第二項ノ規定ニ依リ賃貸又ハ質入ヲ為シタル場合ハ此限ニ在ラス

第八章 先取特権

第一節 総則

第三百三条 先取特権者ハ本法其他ノ法律ノ規定ニ従ヒ其債務者ノ財産ニ付キ他ノ債権者ニ先チテ自己ノ債権ノ弁済ヲ受クル権利ヲ有ス

第三百四条 先取特権ハ其目的物ノ売却、賃貸、滅失又ハ毀損ニ因リテ債務者カ受クヘキ金銭其他ノ物ニ対シテモ之ヲ行フコトヲ得但先取特権者ハ其払渡又ハ引渡前ニ差押ヲ為スコトヲ要ス
2 債務者カ先取特権ノ目的物ノ上ニ設定シタル物権ノ対価ニ付キ亦同シ

第三百五条 第二百九十六条ノ規定ハ先取特権ニ之ヲ準用ス

第二節 先取特権ノ種類

第一款 一般ノ先取特権

第三百六条 左ニ掲ケタル原因ヨリ生シタル債権ヲ有スル者ハ債務者ノ総財産ノ上ニ先取特権ヲ有ス
 一 共益ノ費用
 二 雇用関係
 三 葬式ノ費用
 四 日用品ノ供給

第三百七条 共益費用ノ先取特権ハ各債権者ノ共同利益ノ為メニ為シタル債務者ノ財産ノ保存、清算又ハ配当ニ関スル費用ニ付キ存在ス
2 前項ノ費用中総債権者ニ有益ナラサリシモノニ付テハ先取特権ハ其費用ノ為メ利益ヲ受ケタル債権者ニ対シテノミ存在ス

第三百八条  雇用関係ノ先取特権ハ給料其他債務者ト使用人トノ間ノ雇用関係ニ基キ生ジタル債権ニ付キ存在ス

第三百九条 葬式費用ノ先取特権ハ債務者ノ身分ニ応シテ為シタル葬式ノ費用ニ付キ存在ス
2 前項ノ先取特権ハ債務者カ其扶養スヘキ親族ノ身分ニ応シテ為シタル葬式ノ費用ニ付テモ亦存在ス

第三百十条 日用品供給ノ先取特権ハ債務者又ハ其扶養スヘキ同居ノ親族及ヒ其僕婢ノ生活ニ必要ナル最後ノ六个月間ノ飲食品及ヒ薪炭油ノ供給ニ付キ存在ス

第二款 動産ノ先取特権

第三百十一条 左ニ掲ケタル原因ヨリ生シタル債権ヲ有スル者ハ債務者ノ特定動産ノ上ニ先取特権ヲ有ス
 一 不動産ノ賃貸借
 二 旅店ノ宿泊
 三 旅客又ハ荷物ノ運輸
 四 公吏ノ職務上ノ過失
 五 動産ノ保存
 六 動産ノ売買
 七 種苗又ハ肥料ノ供給
 八 農工業ノ労役

第三百十二条 不動産賃貸ノ先取特権ハ其不動産ノ借賃其他賃貸借関係ヨリ生シタル賃借人ノ債務ニ付キ賃借人ノ動産ノ上ニ存在ス

第三百十三条 土地ノ賃貸人ノ先取特権ハ賃借地又ハ其利用ノ為メニスル建物ニ備附ケタル動産、其土地ノ利用ニ供シタル動産及ヒ賃借人ノ占有ニ在ル其土地ノ果実ノ上ニ存在ス
2 建物ノ賃貸人ノ先取特権ハ賃借人カ其建物ニ備附ケタル動産ノ上ニ存在ス

第三百十四条 賃借権ノ譲渡又ハ転貸ノ場合ニ於テハ賃貸人ノ先取特権ハ譲受人又ハ転借人ノ動産ニ及フ譲渡人又ハ転貸人カ受クヘキ金額ニ付キ亦同シ

第三百十五条 賃借人ノ財産ノ総清算ノ場合ニ於テハ賃貸人ノ先取特権ハ前期、当期及ヒ次期ノ借賃其他ノ債務及ヒ前期並ニ当期ニ於テ生シタル損害ノ賠償ニ付テノミ存在ス

第三百十六条 賃貸人カ敷金ヲ受取リタル場合ニ於テハ其敷金ヲ以テ弁済ヲ受ケサル債権ノ部分ニ付テノミ先取特権ヲ有ス

第三百十七条 旅店宿泊ノ先取特権ハ旅客、其従者及ヒ牛馬ノ宿泊料並ニ飲食料ニ付キ其旅店ニ存スル手荷物ノ上ニ存在ス

第三百十八条 運輸ノ先取特権ハ旅客又ハ荷物ノ運送賃及ヒ附随ノ費用ニ付キ運送人ノ手ニ存スル荷物ノ上ニ存在ス

第三百十九条 第百九十二条乃至第百九十五条ノ規定ハ前七条ノ先取特権ニ之ヲ準用ス

第三百二十条 公吏保証金ノ先取特権ハ保証金ヲ供シタル公吏ノ職務上ノ過失ニ因リテ生シタル債権ニ付キ其保証金ノ上ニ存在ス

第三百二十一条 動産保存ノ先取特権ハ動産ノ保存費ニ付キ其動産ノ上ニ存在ス
2 前項ノ先取特権ハ動産ニ関スル権利ヲ保存、追認又ハ実行セシムル為メニ要シタル費用ニ付テモ亦存在ス

第三百二十二条 動産売買ノ先取特権ハ動産ノ代価及ヒ其利息ニ付キ其動産ノ上ニ存在ス

第三百二十三条 種苗肥料供給ノ先取特権ハ種苗又ハ肥料ノ代価及ヒ其利息ニ付キ其種苗又ハ肥料ヲ用ヰタル後一年内ニ之ヲ用ヰタル土地ヨリ生シタル果実ノ上ニ存在ス
2 前項ノ先取特権ハ蚕種又ハ蚕ノ飼養ニ供シタル桑葉ノ供給ニ付キ其蚕種又ハ桑葉ヨリ生シタル物ノ上ニモ亦存在ス

第三百二十四条 農工業労役ノ先取特権ハ農業ノ労役者ニ付テハ最後ノ一年間工業ノ労役者ニ付テハ最後ノ三个月間ノ賃金ニ付キ其労役ニ因リテ生シタル果実又ハ製作物ノ上ニ存在ス

第三款 不動産ノ先取特権

第三百二十五条 左ニ掲ケタル原因ヨリ生シタル債権ヲ有スル者ハ債務者ノ特定不動産ノ上ニ先取特権ヲ有ス
 一 不動産ノ保存
 二 不動産ノ工事
 三 不動産ノ売買

第三百二十六条 不動産保存ノ先取特権ハ不動産ノ保存費ニ付キ其不動産ノ上ニ存在ス
2 第三百二十一条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

第三百二十七条 不動産工事ノ先取特権ハ工匠、技師及ヒ請負人カ債務者ノ不動産ニ関シテ為シタル工事ノ費用ニ付キ其不動産ノ上ニ存在ス
2 前項ノ先取特権ハ工事ニ因リテ生シタル不動産ノ増価カ現存スル場合ニ限リ其増価額ニ付テノミ存在ス

第三百二十八条 不動産売買ノ先取特権ハ不動産ノ代価及ヒ其利息ニ付キ其不動産ノ上ニ存在ス

第三節 先取特権ノ順位

第三百二十九条 一般ノ先取特権カ互ニ競合スル場合ニ於テハ其優先権ノ順位ハ第三百六条ニ掲ケタル順序ニ従フ
2 一般ノ先取特権ト特別ノ先取特権ト競合スル場合ニ於テハ特別ノ先取特権ハ一般ノ先取特権ニ先ツ但共益費用ノ先取特権ハ其利益ヲ受ケタル総債権者ニ対シテ優先ノ効力ヲ有ス

第三百三十条 同一ノ動産ニ付キ特別ノ先取特権カ互ニ競合スル場合ニ於テハ其優先権ノ順位左ノ如シ
 第一 不動産賃貸、旅店宿泊及ヒ運輸ノ先取特権
 第二 動産保存ノ先取特権但数人ノ保存者アリタルトキハ後ノ保存者ハ前ノ保存者ニ先ツ
 第三 動産売買、種苗肥料供給及ヒ農工業労役ノ先取特権
2 第一順位ノ先取特権者カ債権取得ノ当時第二又ハ第三ノ順位ノ先取特権者アルコトヲ知リタルトキハ之ニ対シテ優先権ヲ行フコトヲ得ス第一順位者ノ為メニ物ヲ保存シタル者ニ対シ亦同シ
3 果実ニ関シテハ第一ノ順位ハ農業ノ労役者ニ第二ノ順位ハ種苗又ハ肥料ノ供給者ニ第三ノ順位ハ土地ノ賃貸人ニ属ス

第三百三十一条 同一ノ不動産ニ付キ特別ノ先取特権カ互ニ競合スル場合ニ於テハ其優先権ノ順位ハ第三百二十五条ニ掲ケタル順序ニ従フ
2 同一ノ不動産ニ付キ逐次ノ売買アリタルトキハ売主相互間ノ優先権ノ順位ハ時ノ前後ニ依ル

第三百三十二条 同一ノ目的物ニ付キ同一順位ノ先取特権者数人アルトキハ各其債権額ノ割合ニ応シテ弁 済ヲ受ク

第四節 先取特権ノ効力

第三百三十三条 先取特権ハ債務者カ其動産ヲ第三取得者ニ引渡シタル後ハ其動産ニ付キ之ヲ行フコトヲ得ス

第三百三十四条 先取特権ト動産質権ト競合スル場合ニ於テハ動産質権者ハ第三百三十条ニ掲ケタル第一順位ノ先取特権者ト同一ノ権利ヲ有ス

第三百三十五条 一般ノ先取特権者ハ先ツ不動産以外ノ財産ニ付キ弁済ヲ受ケ尚ホ不足アルニ非サレハ不動産ニ付キ弁済ヲ受クルコトヲ得ス
2 不動産ニ付テハ先ツ特別担保ノ目的タラサルモノニ付キ弁済ヲ受クルコトヲ要ス
3 一般ノ先取特権者カ前二項ノ規定ニ従ヒテ配当ニ加入スルコトヲ怠リタルトキハ其配当加入ニ因リテ受クヘカリシモノノ限度ニ於テハ登記ヲ為シタル第三者ニ対シテ其先取特権ヲ行フコトヲ得ス
4 前三項ノ規定ハ不動産以外ノ財産ノ代価ニ先チテ不動産ノ代価ヲ配当シ又ハ他ノ不動産ノ代価ニ先チテ特別担保ノ目的タル不動産ノ代価ヲ配当スヘキ場合ニハ之ヲ適用セス

第三百三十六条 一般ノ先取特権ハ不動産ニ付キ登記ヲ為ササルモ之ヲ以テ特別担保ヲ有セサル債権者ニ対抗スルコトヲ妨ケス但登記ヲ為シタル第三者ニ対シテハ此限ニ在ラス

第三百三十七条 不動産保存ノ先取特権ハ保存行為完了ノ後直チニ登記ヲ為スニ因リテ其効力ヲ保存ス

第三百三十八条 不動産工事ノ先取特権ハ工事ヲ始ムル前ニ其費用ノ予算額ヲ登記スルニ因リテ其効力ヲ保存ス但工事ノ費用カ予算額ヲ超ユルトキハ先取特権ハ其超過額ニ付テハ存在セス
2 工事ニ因リテ生シタル不動産ノ増価額ハ配当加入ノ時裁判所ニ於テ選任シタル鑑定人ヲシテ之ヲ評価セシムルコトヲ要ス

第三百三十九条 前二条ノ規定ニ従ヒテ登記シタル先取特権ハ抵当権ニ先チテ之ヲ行フコトヲ得

第三百四十条 不動産売買ノ先取特権ハ売買契約ト同時ニ未タ代価又ハ其利息ノ弁済アラサル旨ヲ登記スルニ因リテ其効力ヲ保存ス

第三百四十一条 先取特権ノ効力ニ付テハ本節ニ定メタルモノノ外抵当権ニ関スル規定ヲ準用ス

第九章 質権

第一節 総則

第三百四十二条 質権者ハ其債権ノ担保トシテ債務者又ハ第三者ヨリ受取リタル物ヲ占有シ且其物ニ付キ他ノ債権者ニ先チテ自己ノ債権ノ弁済ヲ受クル権利ヲ有ス

第三百四十三条 質権ハ譲渡スコトヲ得サル物ヲ以テ其目的ト為スコトヲ得ス

第三百四十四条 質権ノ設定ハ債権者ニ其目的物ノ引渡ヲ為スニ因リテ其効力ヲ生ス

第三百四十五条 質権者ハ質権設定者ヲシテ自己ニ代ハリテ質物ノ占有ヲ為サシムルコトヲ得ス

第三百四十六条 質権ハ元本、利息、違約金、質権実行ノ費用、質物保存ノ費用及ヒ債務ノ不履行又ハ質物ノ隠レタル瑕疵ニ因リテ生シタル損害ノ賠償ヲ担保ス但設定行為ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス

第三百四十七条 質権者ハ前条ニ掲ケタル債権ノ弁済ヲ受クルマテハ質物ヲ留置スルコトヲ得但此権利ハ之ヲ以テ自己ニ対シ優先権ヲ有スル債権者ニ対抗スルコトヲ得ス

第三百四十八条 質権者ハ其権利ノ存続期間内ニ於テ自己ノ責任ヲ以テ質物ヲ転質ト為スコトヲ得此場合ニ於テハ転質ヲ為ササレハ生セサルヘキ不可抗力ニ因ル損失ニ付テモ亦其責ニ任ス

第三百四十九条 質権設定者ハ設定行為又ハ債務ノ弁済期前ノ契約ヲ以テ質権者ニ弁済トシテ質物ノ所有権ヲ取得セシメ其他法律ニ定メタル方法ニ依ラスシテ質物ヲ処分セシムルコトヲ約スルコトヲ得ス

第三百五十条 第二百九十六条乃至第三百条及ヒ第三百四条ノ規定ハ質権ニ之ヲ準用ス

第三百五十一条 他人ノ債務ヲ担保スル為メ質権ヲ設定シタル者カ其債務ヲ弁済シ又ハ質権ノ実行ニ因リテ質物ノ所有権ヲ失ヒタルトキハ保証債務ニ関スル規定ニ従ヒ債務者ニ対シテ求償権ヲ有ス

第二節 動産質

第三百五十二条 動産質権者ハ継続シテ質物ヲ占有スルニ非サレハ其質権ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス

第三百五十三条 動産質権者カ質物ノ占有ヲ奪ハレタルトキハ占有回収ノ訴ニ依リテノミ其質物ヲ回復スルコトヲ得

第三百五十四条 動産質権者カ其債権ノ弁済ヲ受ケサルトキハ正当ノ理由アル場合ニ限リ鑑定人ノ評価ニ従ヒ質物ヲ以テ直チニ弁済ニ充ツルコトヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ質権者ハ予メ債務者ニ其請求ヲ通知スルコトヲ要ス

第三百五十五条 数個ノ債権ヲ担保スル為メ同一ノ動産ニ付キ質権ヲ設定シタルトキハ其質権ノ順位ハ設定ノ前後ニ依ル

第三節 不動産質

第三百五十六条 不動産質権者ハ質権ノ目的タル不動産ノ用方ニ従ヒ其使用及ヒ収益ヲ為スコトヲ得

第三百五十七条 不動産質権者ハ管理ノ費用ヲ払ヒ其他不動産ノ負担ニ任ス

第三百五十八条 不動産質権者ハ其債権ノ利息ヲ請求スルコトヲ得ス

第三百五十九条 前三条ノ規定ハ設定行為ニ別段ノ定アルトキ又ハ担保不動産収益執行ノ開始アリタルトキハ之ヲ適用セス

第三百六十条 不動産質ノ存続期間ハ十年ヲ超ユルコトヲ得ス若シ之ヨリ長キ期間ヲ以テ不動産質ヲ設定シタルトキハ其期間ハ之ヲ十年ニ短縮ス
2 不動産質ノ設定ハ之ヲ更新スルコトヲ得但其期間ハ更新ノ時ヨリ十年ヲ超ユルコトヲ得ス

第三百六十一条 不動産質ニハ本節ノ規定ノ外次章ノ規定ヲ準用ス

第四節 権利質

第三百六十二条 質権ハ財産権ヲ以テ其目的ト為スコトヲ得
2 前項ノ質権ニハ本節ノ規定ノ外前三節ノ規定ヲ準用ス

第三百六十三条  債権ニシテ之ヲ譲渡スニハ其証書ヲ交付スルコトヲ要スルモノヲ以テ質権ノ目的ト為ストキハ質権ノ設定ハ其証書ノ交付ヲ為スニ因リテ其効力ヲ生ズ

第三百六十四条 指名債権ヲ以テ質権ノ目的ト為シタルトキハ第四百六十七条ノ規定ニ従ヒ第三債務者ニ質権ノ設定ヲ通知シ又ハ第三債務者カ之ヲ承諾スルニ非サレハ之ヲ以テ第三債務者其他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
2 前項ノ規定ハ株式ニハ之ヲ適用セス

第三百六十五条 記名ノ社債ヲ以テ質権ノ目的ト為シタルトキハ社債ノ譲渡ニ関スル規定ニ従ヒ会社ノ帳簿ニ質権ノ設定ヲ記入スルニ非サレハ之ヲ以テ会社其他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス

第三百六十六条 指図債権ヲ以テ質権ノ目的ト為シタルトキハ其証書ニ質権ノ設定ヲ裏書スルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス

第三百六十七条 質権者ハ質権ノ目的タル債権ヲ直接ニ取立ツルコトヲ得
2 債権ノ目的物カ金銭ナルトキハ質権者ハ自己ノ債権額ニ対スル部分ニ限リ之ヲ取立ツルコトヲ得
3 右ノ債権ノ弁済期カ質権者ノ債権ノ弁済期前ニ到来シタルトキハ質権者ハ第三債務者ヲシテ其弁済金額ヲ供託セシムルコトヲ得此場合ニ於テハ質権ハ其供託金ノ上ニ存在ス
4 債権ノ目的物カ金銭ニ非サルトキハ質権者ハ弁済トシテ受ケタル物ノ上ニ質権ヲ有ス

第三百六十八条 削除

第十章 抵当権

第一節 総則

第三百六十九条 抵当権者ハ債務者又ハ第三者カ占有ヲ移サスシテ債務ノ担保ニ供シタル不動産ニ付キ他ノ債権者ニ先チテ自己ノ債権ノ弁済ヲ受クル権利ヲ有ス
2 地上権及ヒ永小作権モ亦之ヲ抵当権ノ目的ト為スコトヲ得此場合ニ於テハ本章ノ規定ヲ準用ス

第三百七十条 抵当権ハ抵当地ノ上ニ存スル建物ヲ除ク外其目的タル不動産ニ附加シテ之ト一体ヲ成シタル物ニ及フ但設定行為ニ別段ノ定アルトキ及ヒ第四百二十四条ノ規定ニ依リ債権者カ債務者ノ行為ヲ取消スコトヲ得ル場合ハ此限ニ在ラス

第三百七十一条 抵当権ハ其担保スル債権ニ付キ不履行アリタルトキハ其後ニ生ジタル抵当不動産ノ果実ニ及ブ

第三百七十二条 第二百九十六条、第三百四条及ヒ第三百五十一条ノ規定ハ抵当権ニ之ヲ準用ス

第二節 抵当権ノ効力

第三百七十三条 数個ノ債権ヲ担保スル為メ同一ノ不動産ニ付キ抵当権ヲ設定シタルトキハ其抵当権ノ順位ハ登記ノ前後ニ依ル
2 抵当権ノ順位ハ各抵当権者ノ合意ニ依リテ之ヲ変更スルコトヲ得但利害ノ関係ヲ有スル者アルトキハ其承諾ヲ得ルコトヲ要ス
3 前項ノ順位ノ変更ハ其登記ヲ為スニ非ザレバ其効力ヲ生ゼズ

第三百七十四条 抵当権者カ利息其他ノ定期金ヲ請求スル権利ヲ有スルトキハ其満期ト為リタル最後ノ二年分ニ付テノミ其抵当権ヲ行フコトヲ得但其以前ノ定期金ニ付テモ満期後特別ノ登記ヲ為シタルトキハ其登記ノ時ヨリ之ヲ行フコトヲ妨ケス
2 前項ノ規定ハ抵当権者カ債務ノ不履行ニ因リテ生シタル損害ノ賠償ヲ請求スル権利ヲ有スル場合ニ於テ其最後ノ二年分ニ付テモ亦之ヲ適用ス但利息其他ノ定期金ト通シテ二年分ヲ超ユルコトヲ得ス

第三百七十五条 抵当権者ハ其抵当権ヲ以テ他ノ債権ノ担保ト為シ又同一ノ債務者ニ対スル他ノ債権者ノ利益ノ為メ其抵当権若クハ其順位ヲ譲渡シ又ハ之ヲ抛棄スルコトヲ得
2 前項ノ場合ニ於テ抵当権者カ数人ノ為メニ其抵当権ノ処分ヲ為シタルトキハ其処分ノ利益ヲ受クル者ノ権利ノ順位ハ抵当権ノ登記ニ附記ヲ為シタル前後ニ依ル

第三百七十六条 前条ノ場合ニ於テハ第四百六十七条ノ規定ニ従ヒ主タル債務者ニ抵当権ノ処分ヲ通知シ又ハ其債務者カ之ヲ承諾スルニ非サレハ之ヲ以テ其債務者、保証人、抵当権設定者及ヒ其承継人ニ対抗スルコトヲ得ス
2 主タル債務者カ前項ノ通知ヲ受ケ又ハ承諾ヲ為シタルトキハ抵当権ノ処分ノ利益ヲ受クル者ノ承諾ナクシテ為シタル弁済ハ之ヲ以テ其受益者ニ対抗スルコトヲ得ス

第三百七十七条 抵当不動産ニ付キ所有権又ハ地上権ヲ買受ケタル第三者カ抵当権者ノ請求ニ応シテ之ニ其代価ヲ弁済シタルトキハ抵当権ハ其第三者ノ為メニ消滅ス

第三百七十八条 抵当不動産ニ付キ所有権ヲ取得シタル第三者ハ抵当権消滅請求(第三百八十三条ノ規定ニ依リ同条第三号ノ代価又ハ金額ヲ抵当権者ニ提供シテ抵当権ノ消滅ヲ請求スルコトヲ謂フ以下同ジ)ヲ為スコトヲ得

第三百七十九条 主タル債務者、保証人及ヒ其承継人ハ抵当権消滅請求ヲ為スコトヲ得ス

第三百八十条 停止条件付第三取得者ハ条件ノ成否未定ノ間ハ抵当権消滅請求ヲ為スコトヲ得ス

第三百八十一条 削除

第三百八十二条 第三取得者ハ抵当権ノ実行トシテノ競売ニ因ル差押ノ効力発生前ニ抵当権消滅請求ヲ為スコトヲ要ス

第三百八十三条 第三取得者カ抵当権ヲ消滅セシメント欲スルトキハ登記ヲ為シタル各債権者ニ左ノ書面ヲ送達スルコトヲ要ス
 一 取得ノ原因、年月日、譲渡人及ヒ取得者ノ氏名、住所、抵当不動産ノ性質、所在、代価其他取得者ノ負担ヲ記載シタル書面
 二 抵当不動産ニ関スル登記事項証明書但既ニ消滅シタル権利ニ関スル登記ハ之ヲ掲クルコトヲ要セス
 三 債権者カ二箇月内ニ抵当権ヲ実行シテ競売ノ申立ヲ為サザルトキハ第三取得者ハ第一号ニ掲ケタル代価又ハ特ニ指定シタル金額ヲ債権ノ順位ニ従ヒテ弁済又ハ供託スヘキ旨ヲ記載シタル書面

第三百八十四条 左ノ場合ニ於テハ前条ノ送達ヲ受ケタル債権者ハ第三取得者ガ同条ノ規定ニ依リ提供シタル同条第三号ノ代価又ハ金額ヲ承諾シタルモノト看做ス
 一 其債権者ガ前条ノ送達ヲ受ケタル後二箇月内ニ抵当権ヲ実行シテ競売ノ申立ヲ為サザルトキ
 二 其債権者ガ前号ノ申立ヲ取下ゲタルトキ
 三 第一号ノ申立ヲ却下スル旨ノ決定ガ確定シタルトキ
 四 第一号ノ申立ニ基ク競売ノ手続ヲ取消ス旨ノ決定(民事執行法第百八十八条ニ於テ準用スル同法第六十三条第三項若クハ第六十八条の三第三項又ハ同法第百八十三条第一項第五号ノ謄本ガ提出セラレタル場合ニ於ケル同条第二項ノ規定ニ依ルモノヲ除ク)ガ確定シタルトキ

第三百八十五条 第三百八十三条ノ送達ヲ受ケタル債権者ガ前条第一号ノ申立ヲ為ストキハ同号ノ期間内ニ債務者及ヒ抵当不動産ノ譲渡人ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス

第三百八十六条 登記ヲ為シタル総テノ債権者ガ第三取得者ノ提供シタル代価又ハ金額ヲ承諾シ且第三取得者ガ其承諾ヲ得タル代価若クハ金額ヲ払渡シ又ハ之ヲ供託シタルトキハ抵当権ハ消滅ス

第三百八十七条 登記シタル賃貸借ハ其登記前ニ登記シタル抵当権ヲ有スル総テノ者ガ同意シ且其同意ノ登記アルトキハ之ヲ以テ其同意ヲ為シタル抵当権者ニ対抗スルコトヲ得
2 抵当権者ガ前項ノ同意ヲ為スニハ其抵当権ヲ目的トスル権利ヲ有スル者其他抵当権者ノ同意ニ因リテ不利益ヲ受クベキ者ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス

第三百八十八条 土地及ヒ其上ニ存スル建物カ同一ノ所有者ニ属スル場合ニ於テ其土地又ハ建物ノミヲ抵当ト為シタルトキハ抵当権設定者ハ競売ノ場合ニ付キ地上権ヲ設定シタルモノト看做ス但地代ハ当事者ノ請求ニ因リ裁判所之ヲ定ム

第三百八十九条 抵当権設定ノ後抵当地ニ建物ガ築造セラレタルトキハ抵当権者ハ土地ト共ニ其建物ヲ競売スルコトヲ得但其優先権ハ土地ノ代価ニ付テノミ之ヲ行フコトヲ得
2 前項ノ規定ハ其建物ノ所有者ガ抵当地ヲ占有スルニ付キ抵当権者ニ対抗スルコトヲ得ベキ権利ヲ有スル場合ニハ之ヲ適用セズ

第三百九十条 第三取得者ハ競買人ト為ルコトヲ得

第三百九十一条 第三取得者カ抵当不動産ニ付キ必要費又ハ有益費ヲ出タシタルトキハ第百九十六条ノ区別ニ従ヒ不動産ノ代価ヲ以テ最モ先ニ其償還ヲ受クルコトヲ得

第三百九十二条 債権者カ同一ノ債権ノ担保トシテ数個ノ不動産ノ上ニ抵当権ヲ有スル場合ニ於テ同時ニ其代価ヲ配当スヘキトキハ其各不動産ノ価額ニ準シテ其債権ノ負担ヲ分ツ
2 或不動産ノ代価ノミヲ配当スヘキトキハ抵当権者ハ其代価ニ付キ債権ノ全部ノ弁済ヲ受クルコトヲ得此場合ニ於テハ次ノ順位ニ在ル抵当権者ハ前項ノ規定ニ従ヒ右ノ抵当権者カ他ノ不動産ニ付キ弁済ヲ受クヘキ金額ニ満ツルマテ之ニ代位シテ抵当権ヲ行フコトヲ得

第三百九十三条 前条ノ規定ニ従ヒ代位ニ因リテ抵当権ヲ行フ者ハ其抵当権ノ登記ニ其代位ヲ附記スルコトヲ得

第三百九十四条 抵当権者ハ抵当不動産ノ代価ヲ以テ弁済ヲ受ケサル債権ノ部分ニ付テノミ他ノ財産ヲ以テ弁済ヲ受クルコトヲ得
2 前項ノ規定ハ抵当不動産ノ代価ニ先チテ他ノ財産ノ代価ヲ配当スヘキ場合ニハ之ヲ適用セス但他ノ各債権者ハ抵当権者ヲシテ前項ノ規定ニ従ヒ弁済ヲ受ケシムル為メ之ニ配当スヘキ金額ノ供託ヲ請求スルコトヲ得

第三百九十五条 抵当権者ニ対抗スルコトヲ得ザル賃貸借ニ因リ抵当権ノ目的タル建物ノ使用又ハ収益ヲ為ス者ニシテ左ニ掲ゲタルモノ(以下建物使用者ト称ス)ハ其建物ノ競売ノ場合ニ於テ買受人ノ買受ノ時ヨリ六箇月ヲ経過スルマデハ其建物ヲ買受人ニ引渡スコトヲ要セズ
 一 競売手続ノ開始前ヨリ使用又ハ収益ヲ為ス者
 二 強制管理又ハ担保不動産収益執行ノ管理人ガ競売手続ノ開始後ニ為シタル賃貸借ニ因リ使用又ハ収益ヲ為ス者
2 前項ノ規定ハ買受人ノ買受ノ時ヨリ後ニ同項ノ建物ノ使用ヲ為シタルコトノ対価ニ付キ買受人ガ建物使用者ニ対シ相当ノ期間ヲ定メテ其一月分以上ノ支払ヲ催告シ其相当ノ期間内ニ履行ナキ場合ニハ之ヲ適用セズ

第三節 抵当権ノ消滅

第三百九十六条 抵当権ハ債務者及ヒ抵当権設定者ニ対シテハ其担保スル債権ト同時ニ非サレハ時効ニ因リテ消滅セス

第三百九十七条 債務者又ハ抵当権設定者ニ非サル者カ抵当不動産ニ付キ取得時効ニ必要ナル条件ヲ具備セル占有ヲ為シタルトキハ抵当権ハ之ニ因リテ消滅ス

第三百九十八条 地上権又ハ永小作権ヲ抵当ト為シタル者カ其権利ヲ抛棄シタルモ之ヲ以テ抵当権者ニ対抗スルコトヲ得ス

第四節 根抵当

第三百九十八条ノ二 抵当権ハ設定行為ヲ以テ定ムル所ニ依リ一定ノ範囲ニ属スル不特定ノ債権ヲ極度額ノ限度ニ於テ担保スル為メニモ之ヲ設定スルコトヲ得
2 前項ノ抵当権(以下根抵当権ト称ス)ノ担保スベキ不特定ノ債権ノ範囲ハ債務者トノ特定ノ継続的取引契約ニ因リテ生ズルモノ其他債務者トノ一定ノ種類ノ取引ニ因リテ生ズルモノニ限定シテ之ヲ定ムルコトヲ要ス
3 特定ノ原因ニ基キ債務者トノ間ニ継続シテ生ズル債権又ハ手形上若クハ小切手上ノ請求権ハ前項ノ規定ニ拘ハラズ之ヲ根抵当権ノ担保スベキ債権ト為スコトヲ得

第三百九十八条ノ三 根抵当権者ハ確定シタル元本並ニ利息其他ノ定期金及ビ債務ノ不履行ニ因リテ生ジタル損害ノ賠償ノ全部ニ付キ極度額ヲ限度トシテ其根抵当権ヲ行フコトヲ得
2 債務者トノ取引ニ因ラズシテ取得スル手形上又ハ小切手上ノ請求権ヲ根抵当権ノ担保スベキ債権ト為シタル場合ニ於テ債務者ガ支払ヲ停止シタルトキ、債務者ニ付キ破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始、整理開始若クハ特別清算開始ノ申立アリタルトキ又ハ抵当不動産ニ対スル競売ノ申立若クハ滞納処分ニ因ル差押アリタルトキハ其前ニ取得シタルモノニ付テノミ其根抵当権ヲ行フコトヲ得但其事実ヲ知ラズシテ取得シタルモノニ付テモ之ヲ行フコトヲ妨ゲズ

第三百九十八条ノ四 元本ノ確定前ニ於テハ根抵当権ノ担保スベキ債権ノ範囲ノ変更ヲ為スコトヲ得債務者ノ変更ニ付キ亦同ジ
2 前項ノ変更ヲ為スニハ後順位ノ抵当権者其他ノ第三者ノ承諾ヲ得ルコトヲ要セズ
3 第一項ノ変更ニ付キ元本ノ確定前ニ登記ヲ為サザルトキハ其変更ハ之ヲ為サザリシモノト看做ス

第三百九十八条ノ五 根抵当権ノ極度額ノ変更ハ利害ノ関係ヲ有スル者ノ承諾ヲ得ルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ

第三百九十八条ノ六 根抵当権ノ担保スベキ元本ニ付テハ其確定スベキ期日ヲ定メ又ハ之ヲ変更スルコトヲ得
2 第三百九十八条ノ四第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
3 第一項ノ期日ハ之ヲ定メ又ハ変更シタル日ヨリ五年内タルコトヲ要ス
4 第一項ノ期日ノ変更ニ付キ其期日前ニ登記ヲ為サザルトキハ担保スベキ元本ハ其期日ニ於テ確定ス

第三百九十八条ノ七 元本ノ確定前ニ根抵当権者ヨリ債権ヲ取得シタル者ハ其債権ニ付キ根抵当権ヲ行フコトヲ得ズ元本ノ確定前ニ債務者ノ為メニ又ハ債務者ニ代ハリテ弁済ヲ為シタル者亦同ジ
2 元本ノ確定前ニ債務ノ引受アリタルトキハ根抵当権者ハ引受人ノ債務ニ付キ其根抵当権ヲ行フコトヲ得ズ

第三百九十八条ノ八 元本ノ確定前ニ債権者又ハ債務者ノ交替ニ因ル更改アリタルトキハ其当事者ハ第五百十八条ノ規定ニ拘ハラズ根抵当権ヲ新債務ニ移スコトヲ得ズ

第三百九十八条ノ九 元本ノ確定前ニ根抵当権者ニ付キ相続ガ開始シタルトキハ根抵当権ハ相続開始ノ時ニ存スル債権ノ外相続人ト根抵当権設定者トノ合意ニ依リ定メタル相続人ガ相続ノ開始後ニ取得スル債権ヲ担保ス
2 元本ノ確定前ニ債務者ニ付キ相続ガ開始シタルトキハ根抵当権ハ相続開始ノ時ニ存スル債務ノ外根抵当権者ト根抵当権設定者トノ合意ニ依リ定メタル相続人ガ相続ノ開始後ニ負担スル債務ヲ担保ス
3 第三百九十八条ノ四第二項ノ規定ハ前二項ノ合意ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス
4 第一項及ビ第二項ノ合意ニ付キ相続ノ開始後六个月内ニ登記ヲ為サザルトキハ担保スベキ元本ハ相続開始ノ時ニ於テ確定シタルモノト看做ス

第三百九十八条ノ十 元本ノ確定前ニ根抵当権者ニ付キ合併アリタルトキハ根抵当権ハ合併ノ時ニ存スル債権ノ外合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ガ合併後ニ取得スル債権ヲ担保ス
2 元本ノ確定前ニ債務者ニ付キ合併アリタルトキハ根抵当権ハ合併ノ時ニ存スル債務ノ外合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ガ合併後ニ負担スル債務ヲ担保ス
3 前二項ノ場合ニ於テハ根抵当権設定者ハ担保スベキ元本ノ確定ヲ請求スルコトヲ得但前項ノ場合ニ於テ其債務者ガ根抵当権設定者ナルトキハ此限ニ在ラズ
4 前項ノ請求アリタルトキハ担保スベキ元本ハ合併ノ時ニ於テ確定シタルモノト看做ス
5 第三項ノ請求ハ根抵当権設定者ガ合併アリタルコトヲ知リタル日ヨリ二週間ヲ経過シタルトキハ之ヲ為スコトヲ得ズ合併ノ日ヨリ一个月ヲ経過シタルトキ亦同ジ

第三百九十八条ノ十ノ二 元本ノ確定前ニ根抵当権者ヲ分割ヲ為ス会社トスル分割アリタルトキハ根抵当権ハ分割ノ時ニ存スル債権ノ外分割ヲ為シタル会社及ビ分割ニ因リテ設立シタル会社又ハ営業ヲ承継シタル会社ガ分割後ニ取得スル債権ヲ担保ス
2 元本ノ確定前ニ債務者ヲ分割ヲ為ス会社トスル分割アリタルトキハ根抵当権ハ分割ノ時ニ存スル債務ノ外分割ヲ為シタル会社及ビ分割ニ因リテ設立シタル会社又ハ営業ヲ承継シタル会社ガ分割後ニ負担スル債務ヲ担保ス
3 前条第三項乃至第五項ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス

第三百九十八条ノ十一 元本ノ確定前ニ於テハ根抵当権者ハ第三百七十五条第一項ノ処分ヲ為スコトヲ得ズ但其根抵当権ヲ以テ他ノ債権ノ担保ト為スコトヲ妨ゲズ
2 第三百七十六条第二項ノ規定ハ前項但書ノ場合ニ於テ元本ノ確定前ニ為シタル弁済ニ付テハ之ヲ適用セズ

第三百九十八条ノ十二 元本ノ確定前ニ於テハ根抵当権者ハ根抵当権設定者ノ承諾ヲ得テ其根抵当権ヲ譲渡スコトヲ得
2 抵当権者ハ其根抵当権ヲ二個ノ根抵当権ニ分割シテ其一ヲ前項ノ規定ニ依リ譲渡スコトヲ得此場合ニ於テハ其根抵当権ヲ目的トスル権利ハ譲渡シタル根抵当権ニ付キ消滅ス
3 前項ノ譲渡ヲ為スニハ其根抵当権ヲ目的トスル権利ヲ有スル者ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス

第三百九十八条ノ十三 元本ノ確定前ニ於テハ根抵当権者ハ根抵当権設定者ノ承諾ヲ得テ其根抵当権ノ一部譲渡ヲ為シ之ヲ譲受人ト共有スルコトヲ得

第三百九十八条ノ十四 根抵当権ノ共有者ハ各其債権額ノ割合ニ応ジテ弁済ヲ受ク但元本ノ確定前ニ之ト異ナル割合ヲ定メ又ハ或者ガ他ノ者ニ先チテ弁済ヲ受クベキコトヲ定メタルトキハ其定ニ従フ
2 根抵当権ノ共有者ハ他ノ共有者ノ同意ヲ得テ第三百九十八条ノ十二第一項ノ規定ニ依リ其権利ヲ譲渡スコトヲ得

第三百九十八条ノ十五 抵当権ノ順位ノ譲渡又ハ抛棄ヲ受ケタル根抵当権者ガ其根抵当権ノ譲渡又ハ一部譲渡ヲ為シタルトキハ譲受人ハ其順位ノ譲渡又ハ抛棄ノ利益ヲ受ク

第三百九十八条ノ十六 第三百九十二条及ビ第三百九十三条ノ規定ハ根抵当権ニ付テハ其設定ト同時ニ同一ノ債権ノ担保トシテ数個ノ不動産ノ上ニ根抵当権ガ設定セラレタル旨ヲ登記シタル場合ニ限リ之ヲ適用ス

第三百九十八条ノ十七 前条ノ登記アル根抵当権ノ担保スベキ債権ノ範囲、債務者若クハ極度額ノ変更又ハ其譲渡若クハ一部譲渡ハ総テノ不動産ニ付キ其登記ヲ為スニ非ザレバ其効力ヲ生ゼズ
2 前条ノ登記アル根抵当権ノ担保スベキ元本ハ一ノ不動産ニ付テノミ確定スベキ事由ガ生ジタル場合ニ於テモ亦確定ス

第三百九十八条ノ十八 数個ノ不動産ノ上ニ根抵当権ヲ有スル者ハ第三百九十八条ノ十六ノ場合ヲ除ク外各不動産ノ代価ニ付キ各極度額ニ至ルマデ優先権ヲ行フコトヲ得

第三百九十八条ノ十九 根抵当権設定者ハ根抵当権設定ノ時ヨリ三年ヲ経過シタルトキハ担保スベキ元本ノ確定ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ担保スベキ元本ハ其請求ノ時ヨリ二週間ヲ経過シタルニ因リテ確定ス
2 根抵当権者ハ何時ニテモ担保スベキ元本ノ確定ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ担保スベキ元本ハ其請求ノ時ニ於テ確定ス
3 前二項ノ規定ハ担保スベキ元本ノ確定スベキ期日ノ定アルトキハ之ヲ適用セズ

第三百九十八条ノ二十 左ノ場合ニ於テハ根抵当権ノ担保スベキ元本ハ確定ス
 一 根抵当権者ガ抵当不動産ニ付キ競売若クハ担保不動産収益執行又ハ第三百七十二条ニ於テ準用スル第三百四条ノ規定ニ依ル差押ヲ申立テタルトキ但競売手続若クハ担保不動産収益執行手続ノ開始又ハ差押アリタルトキニ限ル
 二 根抵当権者ガ抵当不動産ニ対シ滞納処分ニ因ル差押ヲ為シタルトキ
 三 根抵当権者ガ抵当不動産ニ対スル競売手続ノ開始又ハ滞納処分ニ因ル差押アリタルコトヲ知リタル時ヨリ二週間ヲ経過シタルトキ
 四 債務者又ハ根抵当権設定者ガ破産手続開始ノ決定ヲ受ケタルトキ
2 前項第三号ノ競売手続ノ開始若クハ差押又ハ同項第四号ノ破産手続開始ノ決定ノ効力ガ消滅シタルトキハ担保スベキ元本ハ確定セザリシモノト看做ス但元本ガ確定シタルモノトシテ其根抵当権又ハ之ヲ目的トスル権利ヲ取得シタル者アルトキハ此限ニ在ラズ

第三百九十八条ノ二十一 元本ノ確定後ニ於テハ根抵当権設定者ハ其根抵当権ノ極度額ヲ現ニ存スル債務ノ額ト爾後二年間ニ生ズベキ利息其他ノ定期金及ビ債務ノ不履行ニ因ル損害賠償ノ額トヲ加ヘタル額ニ減ズベキコトヲ請求スルコトヲ得
2 第三百九十八条ノ十六ノ登記アル根抵当権ノ極度額ノ減額ニ付テハ前項ノ請求ハ一ノ不動産ニ付キ之ヲ為スヲ以テ足ル

第三百九十八条ノ二十二 元本ノ確定後ニ於テ現ニ存スル債務ノ額ガ根抵当権ノ極度額ヲ超ユルトキハ他人ノ債務ヲ担保スル為メ其根抵当権ヲ設定シタル者又ハ抵当不動産ニ付キ所有権、地上権、永小作権若クハ第三者ニ対抗スルコトヲ得ベキ賃借権ヲ取得シタル第三者ハ其極度額ニ相当スル金額ヲ払渡シ又ハ之ヲ供託シテ其根抵当権ノ消滅ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ其払渡又ハ供託ハ弁済ノ効力ヲ有ス
2 第三百九十八条ノ十六ノ登記アル根抵当権ハ一ノ不動産ニ付キ前項ノ請求アリタルトキハ消滅ス
3 第三百七十九条及ビ第三百八十条ノ規定ハ第一項ノ請求ニ之ヲ準用ス

以上

第一編 総則 第二編 物権 第三編 債権 第四編 親族 第五編 相続

誤植情報提供:長崎俊介様

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