観光基本法

(失効)

観光立国推進基本法(平成18年法律第117号)による全部改正で失効。

公布:昭和38年6月20日法律第107号
施行:昭和38年6月20日
改正:昭和58年12月2日法律第80号
施行:昭和59年7月1日
改正:平成11年7月16日法律第102号
施行:平成13年1月6日
改正:平成11年12月22日法律第160号
施行:平成13年1月6日

全部改正:平成18年12月20日法律第117号
施行:平成19年1月1日

目次

 前文
 第一章 総則(第一条―第五条の二)
 第二章 国際観光の振興(第六条―第八条)
 第三章 観光旅行者の保護及び観光に関する施設の整備等(第九条―第十五条)
 第四章 行政機関及び観光関係団体(第十六条・第十七条)
 附則

 観光は、国際平和と国民生活の安定を象徴するものであつて、その発達は、恒久の平和と国際社会の相互理解の増進を念願し、健康で文化的な生活を享受しようとするわれらの理想とするところである。また、観光は、国際親善の増進のみならず、国際収支の改善、国民生活の緊張の緩和等国民経済の発展と国民生活の安定向上に寄与するものである。
 われらは、このような観光の使命が今後においても変わることなく、民主的で文化的な国家の建設と国際社会における名誉ある地位の保持にとつてきわめて重要な意義を持ち続けると確信する。
 しかるに、現状をみるに、観光がその使命を達成できるような基盤の整備及び環境の形成はきわめて不十分な状態である。これに加え、近時、所得水準の向上と生活の複雑化を背景とする観光旅行者の著しい増加は、観光に関する国際競争の激化等の事情と相まつて、観光の経済的社会的存立基盤を大きく変化させようとしている。
 このような事態に対処して、特に観光旅行者の利便の増進について適切な配慮を加えつつ、観光に関する諸条件の不備を補正するとともに、わが国の観光の国際競争力を強化することは、国際親善の増進、国民経済の発展及び国民生活の安定向上を図ろうとするわれら国民の解決しなければならない課題である。
 ここに、観光の向かうべき新たなみちを明らかにし、観光に関する政策の目標を示すため、この法律を制定する。

第一章 総則

(国の観光に関する政策の目標)
第一条 国の観光に関する政策の目標は、観光が、国際収支の改善及び外国との経済文化の交流の促進と、国民の保健の増進、勤労意欲の増進及び教養の向上とに貢献することにかんがみ、外国人観光旅客の来訪の促進、観光旅行の安全の確保、観光資源の保護、育成及び開発、観光に関する施設の整備等のための施策を講ずることにより、国際観光の発展及び国民の健全な観光旅行の普及発達を図り、もつて国際親善の増進、国民経済の発展及び国民生活の安定向上に寄与し、あわせて地域格差の是正に資することにあるものとする。

(国の施策)
第二条 国は、前条の目標を達成するため、次の各号に掲げる事項につき、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講じなければならない。
 一 外国人観光旅客の来訪の促進及び外国人観光旅客に対する接遇の向上を図ること。
 二 国際観光地及び国際観光ルートの総合的形成を図ること。
 三 観光旅行の安全の確保及び観光旅行者の利便の増進を図ること。
 四 家族旅行その他健全な国民大衆の観光旅行の容易化を図ること。
 五 観光旅行者の一の観光地への過度の集中の緩和を図ること。
 六 低開発地域につき観光のための開発を図ること。
 七 観光資源の保護、育成及び開発を図ること。
 八 観光地における美観風致の維持を図ること。

(地方公共団体の施策)
第三条 地方公共団体は、国の施策に準じて施策を講ずるように努めなければならない。

(法制上の措置等)
第四条 政府は、第二条の施策を実施するため必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講じなければならない。

(年次報告等)
第五条 政府は、毎年、国会に、観光の状況及び政府が観光に関して講じた施策に関する報告書を提出しなければならない。
2 政府は、毎年、交通政策審議会の意見を聴いて、前項の報告に係る観光の状況を考慮して講じようとする政策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。

(交通政策審議会への諮問等)
第五条の二 交通政策審議会は、国土交通大臣又は関係各大臣の諮問に応じ、この法律の施行に関する重要事項を調査審議する。
2 交通政策審議会は、前項に規定する事項に関し、国土交通大臣又は関係各大臣に意見を述べることができる。
3 交通政策審議会は、前二項に規定する事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。

第二章 国際観光の振興

(外国人観光旅客の来訪の促進)
第六条 国は、外国人観光旅客の来訪の促進を図るため、海外における観光宣伝活動の充実強化、国際交通機関及びこれに関連する施設の整備、外国人観光旅客の出入国に関する措置の改善等に必要な施策を講ずるものとする。

(外国人観光旅客に対する接遇の向上)
第七条 国は、外国人観光旅客に対する接遇の向上を図るため、宿泊施設、食事施設、休憩施設、案内施設その他旅行に関する施設(以下「旅行関係施設」という。)で外国人観光旅客の利用に適するものの整備、通訳案内、旅行あつせんその他国際観光に関する事業を営む者のサービスの向上、観光みやげ品等の品質の改善、わが国の産業、文化及び家庭生活の紹介の強化等に必要な施策を講ずるものとする。

(国際観光地及び国際観光ルートの総合的形成)
第八条 国は、国際観光地及び国際観光ルートの総合的形成を図るため、外国人観光旅客の観光に適する観光地及びその観光地間を連絡する経路につき、空港、港湾、鉄道、道路、駐車場、旅客船その他の観光の基盤となる施設(以下「観光基盤施設」という。)及び外国人観光旅客の利用に適する旅行関係施設の総合的整備等に必要な施策を講ずるものとする。

第三章 観光旅行者の保護及び観光に関する施設の整備等

(観光旅行の安全の確保)
第九条 国は、観光旅行の安全の確保を図るため、観光旅行における事故の発生の防止、観光に関する事業を営む者の不当な営利行為の防止等に必要な施策を講ずるものとする。

(観光旅行者の利便の増進)
第十条 国は、観光旅行者の利便の増進を図るため、公共的旅行関係施設の整備、観光に関する事業を営む者のサービスの向上、観光に関する事業の健全な育成、旅行知識の普及等に必要な施策を講ずるものとする。

(家族旅行その他健全な国民大衆の観光旅行の容易化)
第十一条 国は、家族旅行その他健全な国民大衆の観光旅行の容易化を図るため、家族旅行その他健全な国民大衆の観光旅行に適する旅行関係施設の整備等に必要な施策を講ずるものとする。

(観光旅行者の過度の集中の緩和)
第十二条 国は、観光旅行者の一の観光地への過度の集中の緩和に資するため、観光旅行者が利用することが少ない観光地又は観光地として開発するのに適する地域で、その観光地の利用の促進又はその地域の観光地としての開発が観光旅行者の一の観光地への過度の集中の緩和に効果があると認められるものにつき、観光基盤施設及び旅行関係施設の整備等に必要な施策を講ずるものとする。

(低開発地域の観光開発)
第十三条 国は、低開発地域でその地域内に観光地として開発するのに適する地域を含むものの開発を図るため、当該観光地として開発するのに適する地域につき、観光基盤施設及び旅行関係施設の整備等に必要な施策を講ずるものとする。

(観光資源の保護、育成及び開発)
第十四条 国は、史跡、名勝、天然記念物等の文化財、すぐれた自然の風景地、温泉その他産業、文化等に関する観光資源の保護、育成及び開発を図るため必要な施策を講ずるものとする。

(国土の美化)
第十五条 国は、観光地における美観風致の維持を図るため、屋外広告物等に関する規制その他国土の美化に必要な施策を講ずるものとする。

第四章 行政機関及び観光関係団体


(観光行政に関する組織の整備及び運営の改善)
第十六条 国及び地方公共団体は、第二条又は第三条の施策を講ずるにつき、相協力するとともに、行政組織の整備及び行政運営の改善に努めるものとする。

(観光関係団体の整備)
第十七条 国は、国際観光の発展、観光地の開発の円滑な推進、観光旅行者の利便の増進及び観光に関する事業の健全な発達を図ることができるよう観光に関する団体の整備に必要な施策を講ずるものとする。

   附 則

(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
[2 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部改正]

   附 則 [昭和58年12月2日法律第80号] [抄]

(施行期日)
1 この法律は、総務庁設置法(昭和五十八年法律第七十九号)の施行の日から施行する。
5 従前の総理府又は行政管理庁の審議会等で、次の表の上欄に掲げるもの及びその会長、委員その他の職員は、それぞれ下欄に掲げる行政機関の相当の機関及び職員となり、同一性をもつて存続するものとする。
公務員制度審議会総務庁
恩給審査会
地域改善対策協議会
青少年問題審議会
統計審議会
国民生活安定審議会経済企画庁
放射線審議会科学技術庁
海外移住審議会外務省
中央心身障害者対策協議会厚生省
農政審議会農林水産省
沿岸漁業等振興審議会
林政審議会
中小企業政策審議会通商産業省
観光政策審議会運輸省
雇用審議会労働省

6 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定めることができる。

   附 則 [平成11年7月16日法律第102号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 二 附則第十条第一項及び第五項、第十四条第三項、第二十三条、第二十八条並びに第三十条の規定 公布の日

(職員の身分引継ぎ)
第三条 この法律の施行の際現に従前の総理府、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省又は自治省(以下この条において「従前の府省」という。)の職員(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条の審議会等の会長又は委員長及び委員、中央防災会議の委員、日本工業標準調査会の会長及び委員並びに これらに類する者として政令で定めるものを除く。)である者は、別に辞令を発せられない限り、同一の勤務条件をもって、この法律の施行後の内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省若しくは環境省(以下この条において「新府省」という。)又はこれに置かれる部局若しくは機関のうち、この法律の施行の際現に当該職員が属する従前の府省又はこれに置かれる部局若しくは機関の相当の新府省又はこれに置かれる部局若しくは機関として政令で定めるものの相当の職員となるものとする。

(別に定める経過措置)
第三十条 第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要となる経過措置は、別に法律で定める。

   附 則 [平成11年12月22日法律第160号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。[後略]

以上

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