第一編〜第二編第六章  第二編第七章〜第九章  第二編第十章〜第五編  第六編・附則

保険業法


目次

 第二編 保険会社等
  第十章 保険契約者等の保護のための特別の措置等
   第一節 契約条件の変更(第二百四十条の二−第二百四十条の十三)
   第二節 業務及び財産の管理等に関する内閣総理大臣の処分等
    第一款 業務の停止、合併等の協議の命令並びに業務及び財産の管理(第二百四十一条)
    第二款 業務及び財産の管理(第二百四十二条−第二百四十九条の三)
    第三款 合併等における契約条件の変更(第二百五十条−第二百五十五条の五)
   第三節 合併等の手続の実施の命令等(第二百五十六条−第二百五十八条)
   第四節 保険契約者保護機構の行う資金援助等
    第一款 保険契約者保護機構
     第一目 通則(第二百五十九条−第二百六十五条)
     第二目 会員(第二百六十五条の二−第二百六十五条の五)
     第三目 設立(第二百六十五条の六−第二百六十五条の十一)
     第四目 管理(第二百六十五条の十二−第二百六十五条の二十二)
     第五目 総会(第二百六十五条の二十三−第二百六十五条の二十七の五)
     第六目 業務(第二百六十五条の二十八−第二百六十五条の三十一)
     第七目 負担金(第二百六十五条の三十二−第二百六十五条の三十五)
     第八目 財務及び会計(第二百六十五条の三十六−第二百六十五条の四十四)
     第九目 監督(第二百六十五条の四十五−第二百六十五条の四十七)
     第十目 雑則(第二百六十五条の四十八)
    第二款 資金援助等
     第一目 資金援助の申込み等(第二百六十六条−第二百七十条の三)
     第二目 保険契約の承継(第二百七十条の三の二−第二百七十条の三の十四)
     第三目 保険契約の引受け(第二百七十条の四−第二百七十条の六の五)
     第四目 補償対象保険金の支払に係る資金援助(第二百七十条の六の六・第二百七十条の六の七)
    第三款 保険金請求権等の買取り(第二百七十条の六の八−第二百七十条の六の十)
    第四款 雑則(第二百七十条の七−第二百七十条の九)
   第五節 雑則(第二百七十一条−第二百七十一条の二の三)
  第十一章 株主
   第一節 通則(第二百七十一条の三−第二百七十一条の九)
   第二節 保険主要株主に係る特例(第二百七十一条の五・第二百七十一条の六)
    第一款 通則(第二百七十一条の十・第二百七十一条の十一)
    第二款 監督(第二百七十一条の十二−第二百七十一条の十六)
    第三款 雑則(第二百七十一条の十七)
   第三節 保険持株会社に係る特例
    第一款 通則(第二百七十一条の十八−第二百七十一条の二十)
    第二款 業務及び子会社(第二百七十一条の二十一−第二百七十一条の二十二)
    第三款 経理(第二百七十一条の二十三−第二百七十一条の二十六)
    第四款 監督(第二百七十一条の二十七−第二百七十一条の三十)
    第五款 雑則(第二百七十一条の三十一)
   第四節 雑則(第二百七十一条の三十二・第二百七十一条の三十三)
  第十二章 少額短期保険業者の特例
   第一節 通則(第二百七十二条−第二百七十二条の十)
   第二節 業務等(第二百七十二条の十一−第二百七十二条の十四)
   第三節 経理(第二百七十二条の十五−第二百七十二条の十八)
   第四節 監督(第二百七十二条の十九−第二百七十二条の二十八)
   第五節 保険契約の包括移転等(第二百七十二条の二十九・第二百七十二条の三十)
   第六節 株主
    第一款 少額短期保険主要株主(第二百七十二条の三十一−第二百七十二条の三十四)
    第二款 少額短期保険持株会社(第二百七十二条の三十五−第二百七十二条の四十)
    第三款 雑則(第二百七十二条の四十一−第二百七十二条の四十三)
  第十三章 雑則(第二百七十三条−第二百七十四条)
 第三編 保険募集
  第一章 通則(第二百七十五条)
  第二章 保険募集人及び所属保険会社等
   第一節 保険募集人(第二百七十六条−第二百八十二条)
   第二節 所属保険会社等(第二百八十三条−第二百八十五条)
  第三章 保険仲立人(第二百八十六条−第二百九十三条)
  第四章 業務(第二百九十四条−第三百一条の二)
  第五章 監督(第三百二条−第三百八条)
 第四編 指定紛争解決機関
  第一章 通則(第三百八条の二−第三百八条の四)
  第二章 業務(第三百八条の五−第三百八条の十七)
  第三章 監督(第三百八条の十八−第三百八条の二十四)
 第五編 雑則(第三百九条−第三百十四条)

第十章 保険契約者等の保護のための特別の措置等

第一節 契約条件の変更

(契約条件の変更の申出)
第二百四十条の二 保険会社(外国保険会社等を含む。第二百四十条の五及び第二百四十条の六を除き、以下この節において同じ。)は、その業務又は財産の状況に照らしてその保険業(外国保険会社等にあっては、日本における保険業。以下この条、第二百四十条の十一、第二百四十一条及び第二百六十二条において同じ。)の継続が困難となる蓋がい然性がある場合には、内閣総理大臣に対し、当該保険会社に係る保険契約(変更対象外契約を除く。)について保険金額の削減その他の契約条項の変更(以下この節において「契約条件の変更」という。)を行う旨の申出をすることができる。
2 保険会社は、前項の申出をする場合には、契約条件の変更を行わなければ保険業の継続が困難となる蓋がい然性があり、保険契約者等(外国保険会社等の場合にあっては、日本における保険契約者等。以下この章において同じ。)の保護のため契約条件の変更がやむを得ない旨及びその理由を、文書をもって、示さなければならない。
3 内閣総理大臣は、第一項の申出に理由があると認めるときは、その申出を承認するものとする。
4 第一項に規定する「変更対象外契約」とは、契約条件の変更の基準となる日において既に保険事故が発生している保険契約(当該保険事故に係る保険金の支払により消滅することとなるものに限る。)その他の政令で定める保険契約をいう。

(業務の停止等)
第二百四十条の三 内閣総理大臣は、前条第三項の承認をした場合において、保険契約者等の保護のため必要があると認めるときは、当該保険会社に対し、期限を付して当該保険会社の保険契約の解約に係る業務の停止その他必要な措置を命ずることができる。

(契約条件の変更の限度)
第二百四十条の四 契約条件の変更は、契約条件の変更の基準となる日までに積み立てるべき責任準備金に対応する保険契約に係る権利に影響を及ぼすものであってはならない。
2 契約条件の変更によって変更される保険金、返戻金その他の給付金の計算の基礎となる予定利率については、保険契約者等の保護の見地から保険会社の資産の運用の状況その他の事情を勘案して政令で定める率を下回ってはならない。

(契約条件の変更の決議)
第二百四十条の五 保険会社は、契約条件の変更を行おうとするときは、第二百四十条の二第三項の承認を得た後、契約条件の変更につき、株主総会等の決議を経なければならない。
2 前項の場合には、会社法第三百九条第二項(株主総会の決議)の決議又は第六十二条第二項の決議によらなければならない。
3 第一項の決議を行う場合には、保険会社は、会社法第二百九十九条第一項(株主総会の招集の通知)(第四十一条第一項及び第四十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による通知において、契約条件の変更がやむを得ない理由、契約条件の変更の内容、契約条件の変更後の業務及び財産の状況の予測、基金及び保険契約者等以外の債権者に対する債務の取扱いに関する事項、経営責任に関する事項その他の内閣府令で定める事項を示さなければならない。
4 第一項の決議を行う場合において、契約条件の変更に係る保険契約に関する契約者配当、剰余金の分配その他の金銭の支払に関する方針があるときは、前項の通知において、その内容を示さなければならない。
5 前項の方針については、その方針を定款に記載し、又は記録しなければならない。

(契約条件の変更における株主総会等の特別決議等に関する特例)
第二百四十条の六 株式会社である保険会社における前条第一項の決議又はこれとともにする会社法第三百九条第二項第四号、第五号、第九号、第十一号若しくは第十二号(株主総会の決議)若しくは第三百二十四条第二項第一号若しくは第四号(種類株主総会の決議)に掲げる株主総会若しくは種類株主総会の決議若しくは第六十九条第二項、第百三十六条第二項、第百四十四条第三項、第百六十五条の三第二項若しくは第百六十五条の十第二項の規定による決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって、仮にすることができる。
2 株式会社である保険会社における前条第一項の決議とともにする会社法第三百九条第三項各号若しくは第三百二十四条第三項各号に掲げる株主総会若しくは種類株主総会の決議又は同法第三百二十三条(種類株主総会の決議を必要とする旨の定めがある場合)の規定若しくは第百六十五条の三第四項若しくは第六項若しくは第百六十五条の十第六項の規定による決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主の過半数であって出席した株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって、仮にすることができる。
3 相互会社である保険会社における前条第一項の決議又はこれとともにする第五十七条第二項、第六十条第二項、第六十二条第二項、第六十二条の二第二項、第八十六条第二項、第百三十六条第二項、第百四十四条第三項、第百五十六条又は第百六十五条の十六第二項(第百六十五条の二十において準用する場合を含む。)の規定による決議は、これらの規定にかかわらず、出席した社員(総代会を設けているときは、総代)の議決権の四分の三以上に当たる多数をもって、仮にすることができる。
4 第一項の規定により仮にした決議(以下この条において「仮決議」という。)があった場合においては、各株主に対し、当該仮決議の趣旨を通知し、当該仮決議の日から一月以内に再度の株主総会を招集しなければならない。
5 前項の株主総会において第一項に規定する多数をもって仮決議を承認した場合には、当該承認のあった時に、当該仮決議をした事項に係る決議があったものとみなす。
6 前二項の規定は、第二項の規定により仮にした決議があった場合について準用する。この場合において、前項中「第一項」とあるのは、「第二項」と読み替えるものとする。
7 第四項及び第五項の規定は、第三項の規定により仮にした決議があった場合について準用する。この場合において、第四項中「各株主」とあるのは「各社員(総代会を設けているときは、各総代)」と、同項及び第五項中「株主総会」とあるのは「社員総会(総代会を設けているときは、総代会)」と、同項中「第一項」とあるのは「第三項」と読み替えるものとする。

(契約条件の変更に係る書類の備置き等)
第二百四十条の七 保険会社は、第二百四十条の五第一項の決議を行うべき日の二週間前(外国保険会社等にあっては、契約条件の変更についての決定を行った日)から第二百四十条の十三第一項の規定による公告の日まで、契約条件の変更がやむを得ない理由、契約条件の変更の内容、契約条件の変更後の業務及び財産の状況の予測、基金及び保険契約者等以外の債権者に対する債務の取扱いに関する事項、経営責任に関する事項その他の内閣府令で定める事項(第二百四十条の五第四項に規定する方針がある場合にあっては、その方針の内容を含む。)を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を各営業所又は各事務所(外国保険会社等にあっては、第百八十五条第一項に規定する支店等)に備え置かなければならない。
2 保険会社の株主又は保険契約者(外国保険会社等にあっては、日本における保険契約者)は、当該保険会社に対して、その営業時間内又は事業時間内は、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該保険会社の定めた費用を支払わなければならない。
 一 前項の書面の閲覧の請求
 二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 前項の電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって当該保険会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(保険調査人)
第二百四十条の八 内閣総理大臣は、第二百四十条の二第三項の承認をした場合において、必要があると認めるときは、保険調査人を選任し、保険調査人をして、契約条件の変更の内容その他の事項を調査させることができる。
2 前項の場合においては、内閣総理大臣は、保険調査人が調査すべき事項及び内閣総理大臣に対して調査の結果の報告をすべき期限を定めなければならない。
3 内閣総理大臣は、保険調査人が調査を適切に行っていないと認めるときは、保険調査人を解任することができる。
4 会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第八十条及び第八十一条第一項(管財人の注意義務並びに費用の前払及び報酬)の規定は、保険調査人について準用する。この場合において、同項中「裁判所」とあるのは「内閣総理大臣」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
5 前項において準用する会社更生法第八十一条第一項に規定する費用及び報酬は、第二百四十条の二第一項の保険会社(次条及び第三百十八条の二において「被調査会社」という。)の負担とする。

(保険調査人の調査等)
第二百四十条の九 保険調査人は、被調査会社の取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人及び支配人その他の使用人並びにこれらの者であった者に対し、被調査会社の業務及び財産の状況(これらの者であった者については、その者が当該被調査会社の業務に従事していた期間内に知ることのできた事項に係るものに限る。)につき報告を求め、又は被調査会社の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
2 保険調査人は、その職務を行うため必要があるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。

(保険調査人の秘密保持義務)
第二百四十条の十 保険調査人は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。保険調査人がその職を退いた後も、同様とする。
2 保険調査人が法人であるときは、保険調査人の職務に従事するその役員及び職員は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その役員又は職員が保険調査人の職務に従事しなくなった後においても、同様とする。

(契約条件の変更に係る承認)
第二百四十条の十一 保険会社は、第二百四十条の五第一項の決議(外国保険会社等にあっては、契約条件の変更についての決定。以下この節において同じ。)があった場合(第二百四十条の六第五項(同条第六項及び第七項において準用する場合を含む。)の規定により第二百四十条の五第一項の決議があったものとみなされる場合を含む。)には、当該決議の後、遅滞なく、当該決議に係る契約条件の変更について、内閣総理大臣の承認を求めなければならない。
2 内閣総理大臣は、当該保険会社において保険業の継続のために必要な措置が講じられた場合であって、かつ、第二百四十条の五第一項の決議に係る契約条件の変更が当該保険会社の保険業の継続のために必要なものであり、保険契約者等の保護の見地から適当であると認められる場合でなければ、前項の承認をしてはならない。

(契約条件の変更の通知及び異議申立て等)
第二百四十条の十二 保険会社は、前条第一項の承認があった場合には、当該承認があった日から二週間以内に、第二百四十条の五第一項の決議に係る契約条件の変更の主要な内容を公告するとともに、契約条件の変更に係る保険契約者(以下この条において「変更対象契約者」という。)に対し、同項の決議に係る契約条件の変更の内容を、書面をもって、通知しなければならない。
2 前項の場合においては、契約条件の変更がやむを得ない理由を示す書類、契約条件の変更後の業務及び財産の状況の予測を示す書類、基金及び保険契約者等以外の債権者に対する債務の取扱いに関する事項を示す書類、経営責任に関する事項を示す書類その他の内閣府令で定める書類(第二百四十条の五第四項に規定する方針がある場合にあっては、その方針の内容を示す書類を含む。)を添付し、変更対象契約者で異議がある者は、一定の期間内に異議を述べるべき旨を、前項の書面に付記しなければならない。
3 前項の期間は、一月を下ってはならない。
4 第二項の期間内に異議を述べた変更対象契約者の数が変更対象契約者の総数の十分の一を超え、かつ、当該異議を述べた変更対象契約者の保険契約に係る債権の額に相当する金額として内閣府令で定める金額が変更対象契約者の当該金額の総額の十分の一を超えるときは、契約条件の変更をしてはならない。
5 第二項の期間内に異議を述べた変更対象契約者の数又はその者の前項の内閣府令で定める金額が、同項に定める割合を超えないときは、当該変更対象契約者全員が当該契約条件の変更を承認したものとみなす。

(契約条件の変更の公告等)
第二百四十条の十三 保険会社は、契約条件の変更後、遅滞なく、契約条件の変更をしたことその他の内閣府令で定める事項を公告しなければならない。契約条件の変更をしないこととなったときも、同様とする。
2 保険会社は、契約条件の変更後三月以内に、当該契約条件の変更に係る保険契約者に対し、当該契約条件の変更後の保険契約者の権利及び義務の内容を通知しなければならない。

第二節 業務及び財産の管理等に関する内閣総理大臣の処分等

第一款 業務の停止、合併等の協議の命令並びに業務及び財産の管理

(業務の停止、合併等の協議の命令並びに業務及び財産の管理)
第二百四十一条 内閣総理大臣は、保険会社等若しくは外国保険会社等の業務若しくは財産の状況に照らしてその保険業の継続が困難であると認めるとき、又はその業務(外国保険会社等にあっては、日本における業務。以下この条から第二百五十五条の二までにおいて同じ。)の運営が著しく不適切でありその保険業の継続が保険契約者等の保護に欠ける事態を招くおそれがあると認めるときは、当該保険会社等又は外国保険会社等に対し、業務の全部若しくは一部の停止、合併、保険契約の移転(外国保険会社等にあっては、日本における保険契約の移転)若しくは当該保険会社等若しくは外国保険会社等の株式の他の保険会社等、外国保険会社等若しくは保険持株会社等による取得(第二百四十七条第一項、第二百五十六条から第二百五十八条まで、第二百七十条の三の二第四項及び第五項並びに第二百七十条の四第四項及び第五項において「合併等」という。)の協議その他必要な措置を命じ、又は保険管理人による業務及び財産(外国保険会社等にあっては、日本に所在する財産。次条及び第二百四十六条の二から第二百四十七条の二までにおいて同じ。)の管理を命ずる処分をすることができる。
2 この章において「保険持株会社等」とは、次に掲げる者をいう。
 一 保険持株会社
 二 第二百七十二条の三十七第二項に規定する少額短期保険持株会社
 三 株式を取得することにより保険会社を子会社とする持株会社となることについて第二百七十一条の十八第一項の認可を受けた会社
 四 株式を取得することにより少額短期保険業者を子会社とする持株会社となることについて第二百七十二条の三十五第一項の承認を受けた会社
 五 前各号に掲げる会社以外の会社(保険会社等及び外国保険会社等を除く。)で保険会社等又は外国保険会社等を子会社とするもの又は子会社としようとするもの
3 保険会社等又は外国保険会社等は、その業務又は財産の状況に照らしてその保険業の継続が困難であるときは、その旨及びその理由を、文書をもって、内閣総理大臣に申し出なければならない。

第二款 業務及び財産の管理

(保険管理人の選任等)
第二百四十二条 前条第一項の規定による保険管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分(以下この款及び第二百五十八条第二項において「管理を命ずる処分」という。)があったときは、当該処分を受けた保険会社等又は外国保険会社等(以下「被管理会社」という。)を代表し、業務の執行並びに財産の管理及び処分を行う権利(外国保険会社等を代表する権利にあっては、日本における保険業に係る範囲に限る。)は、保険管理人に専属する。商法第二百四十七条(決議取消しの訴え)(同法第二百十一条第三項(会社が有する自己の株式の処分についての準用規定)及び第四十一条及び第四十九条において準用する場合を含む。)、第二百八十条ノ十五(新株発行の無効の訴え)(第六十条第五項において準用する場合を含む。)、第三百六十三条(株式交換無効の訴え)、第三百七十二条(株式移転無効の訴え)、第三百七十四条ノ十二(分割無効の訴え)(同法第三百七十四条ノ二十八第三項において準用する場合を含む。)、第三百八十条(資本減少無効の訴え)(第五十六条の二第四項及び同法第二百八十九条第四項(準備金の減少に関する準用規定)において準用する場合を含む。)、第四百十五条(合併無効の訴え)(第八十四条第二項(第九十六条において準用する場合を含む。)及び第百七十三条第一項において準用する場合を含む。)、及び第四百二十八条(設立無効の訴え)(第百八十三条第一項において準用する場合を含む。)の規定による取締役及び執行役の権利についても、同様とする。会社法第八百二十八条第一項及び第二項(会社の組織に関する行為の無効の訴え)(第三十条の十五、第五十七条第六項、第六十条の二第五項及び第百七十一条において準用する場合を含む。)並びに第八百三十一条第一項(株主総会等の決議の取消しの訴え)(第四十一条第二項及び第四十九条第二項において準用する場合を含む。)の規定並びに第八十四条の二第二項及び第九十六条の十六第二項の規定による取締役及び執行役の権利についても、同様とする。
2 内閣総理大臣は、管理を命ずる処分と同時に、一人又は数人の保険管理人を選任しなければならない。
3 内閣総理大臣は、保険管理人に対して、被管理会社の業務及び財産の管理に関し必要な措置を命ずることができる。
4 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、第二項の規定により保険管理人を選任した後においても、更に保険管理人を選任し、又は保険管理人が被管理会社の業務及び財産の管理を適切に行っていないと認めるときは、保険管理人を解任することができる。
5 内閣総理大臣は、第二項若しくは前項の規定により保険管理人を選任したとき又は同項の規定により保険管理人を解任したときは、被管理会社にその旨を通知するとともに、官報により、これを公告しなければならない。
6 会社更生法第六十九条、第七十条、第八十条並びに第八十一条第一項及び第五項(数人の管財人の職務執行、管財人代理の選任、注意義務並びに費用の前払及び報酬)の規定は保険管理人について、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十八条(代表者の行為についての損害賠償責任)の規定は被管理会社について、それぞれ準用する。この場合において、会社更生法第六十九条第一項中「裁判所の許可」とあるのは「内閣総理大臣の承認」と、同法第七十条中「管財人代理」とあるのは「保険管理人代理」と、同条第二項中「裁判所の許可」とあるのは「内閣総理大臣の承認」と、同法第八十一条第一項中「裁判所」とあるのは「内閣総理大臣」と、同条第五項中「管財人代理」とあるのは「保険管理人代理」と、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十八条中「代表理事その他の代表者」とあるのは「保険管理人」と読み替えるものとする。

第二百四十三条 保険会社等は、保険管理人又は保険管理人代理となることができる。
2 保険会社等は、内閣総理大臣から保険管理人となることを求められた場合には、正当な理由がないのに、これを拒んではならない。
3 保険契約者保護機構は、保険管理人又は保険管理人代理となり、その業務を行うことができる。

(通知及び登記)
第二百四十四条 内閣総理大臣は、管理を命ずる処分をしたときは、直ちに、被管理会社の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所にその旨を通知し、かつ、嘱託書に当該命令書の謄本を添付して、被管理会社の本店又は主たる事務所(外国保険会社等の場合にあっては、第百八十五条第一項に規定する支店等の所在地)の登記所に、その登記を嘱託しなければならない。
2 前項の登記には、保険管理人の氏名又は名称及び住所をも登記しなければならない。
3 第一項の規定は、前項に掲げる事項に変更が生じた場合について準用する。

(業務の停止)
第二百四十五条 管理を命ずる処分があったときは、被管理会社は、次に掲げる業務を除き、その業務を停止しなければならない。ただし、保険管理人の申出により、その業務の一部を停止しないことについて内閣総理大臣が必要があると認めた場合の当該業務の一部については、この限りでない。
 一 第二百六十六条第一項に規定する加入機構と第二百七十条の六の七第三項の規定による契約を締結した場合において、第二百七十条の三第二項第一号に規定する補償対象契約(以下この条において「補償対象契約」という。)に係る保険金請求権その他の政令で定める権利に係る債権者の請求に基づき、当該補償対象契約の保険金その他の給付金(当該補償対象契約の保険金その他の給付金の額に、当該補償対象契約の種類、予定利率その他の内容、当該請求に係る保険事故が発生した時期等を勘案して内閣府令・財務省令で定める率を乗じて得た額に限る。以下「補償対象保険金」という。)の支払を行う業務(以下「補償対象保険金支払業務」という。)
 二 内閣府令・財務省令で定める期間内における特定補償対象契約(補償対象契約のうち保険契約者等の保護のためその存続を図る必要性が低いものとして内閣府令・財務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の解約に係る業務(解約返戻金その他これに類する給付金の支払に係るものを除く。以下「特定補償対象契約解約関連業務」という。)

(株主の名義書換の禁止)
第二百四十六条 被管理会社(外国保険会社等を除く。)が株式会社である場合において、内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、株主の名義書換を禁止することができる。

(保険管理人の報告義務)
第二百四十六条の二 保険管理人は、就職の後遅滞なく、次に掲げる事項を調査し、内閣総理大臣に報告しなければならない。
 一 被管理会社が管理を命ずる処分を受ける状況に至った経緯
 二 被管理会社の業務及び財産の状況
 三 その他必要な事項

(計画の承認)
第二百四十七条 内閣総理大臣は、保険契約者等の保護のため被管理会社に係る保険契約(外国保険会社等にあっては、日本における保険契約。第二百五十四条及び第二百七十条の七第一項を除き、以下この章において同じ。)の存続を図ること又は特定補償対象契約の解約に係る業務その他の業務が円滑に行われること又は特定補償対象契約の解約に係る業務その他の業務が円滑に行われることが必要であると認めるときは、保険管理人に対し、次に掲げる事項を含む業務及び財産の管理に関する計画の作成を命ずることができる。
 一 被管理会社の業務の整理及び合理化に関する方針
 二 被管理会社に係る合併等を円滑に行うための方策
2 保険管理人は、前項の計画を作成したときは、内閣総理大臣の承認を得なければならない。
3 保険管理人は、前項の承認があったときは、遅滞なく、当該承認に係る第一項の計画を実行に移さなければならない。
4 保険管理人は、やむを得ない事情が生じた場合には、内閣総理大臣の承認を受けて、第一項の計画を変更し、又は廃止することができる。
5 内閣総理大臣は、保険契約者等の保護のため必要があると認めるときは、保険管理人に対し、第一項の計画の変更又は廃止を命ずることができる。

(保険管理人の調査等)
第二百四十七条の二 保険管理人は、被管理会社の取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人及び支配人その他の使用人並びにこれらの者であった者に対し、被管理会社の業務及び財産の状況(これらの者であった者については、その者が当該被管理会社の業務に従事していた期間内に知ることのできた事項に係るものに限る。)につき報告を求め、又は被管理会社の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
2 保険管理人は、その職務を行うため必要があるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。

(保険管理人等の秘密保持義務)
第二百四十七条の三 保険管理人及び保険管理人代理(以下この条において「保険管理人等」という。)は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。保険管理人等がその職を退いた後も、同様とする。
2 保険管理人等が法人であるときは、保険管理人等の職務に従事するその役員及び職員は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その役員又は職員が保険管理人等の職務に従事しなくなった後においても、同様とする。

(被管理会社の経営者の破綻の責任を明確にするための措置)
第二百四十七条の四 保険管理人は、被管理会社の取締役、執行役若しくは監査役、会計参与、監査役若しくは会計監査人又はこれらの者であった者の職務上の義務違反に基づく民事上の責任を履行させるため、訴えの提起その他の必要な措置をとらなければならない。
2 保険管理人は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発に向けて所要の措置をとらなければならない。

(保険管理人と被管理会社との取引)
第二百四十七条の五 保険管理人は、自己又は第三者のために被管理会社と取引するときは、内閣総理大臣の承認を得なければならない。この場合においては、民法第百八条(自己契約及び双方代理)の規定は、適用しない。
2 前項の承認を得ないでした行為は、無効とする。ただし、善意の第三者に対抗することができない。

(保険管理人による管理を命ずる処分の取消し)
第二百四十八条 内閣総理大臣は、管理を命ずる処分について、その必要がなくなったと認めるときは、当該管理を命ずる処分を取り消さなければならない。
2 第二百四十四条第一項の規定は、前項の場合について準用する。

(株主総会等の特別決議等に関する特例)
第二百四十九条 株式会社である被管理会社(外国保険会社等を除く。以下この条及び次条において同じ。)における会社法第三百九条第二項第四号、第五号、第九号、第十一号若しくは第十二号(株主総会の決議)若しくは第三百二十四条第二項第一号若しくは第四号(種類株主総会の決議)に掲げる株主総会若しくは種類株主総会の決議又は第六十九条第二項、第百三十六条第二項、第百四十四条第三項、第百六十五条の三第二項若しくは第百六十五条の十第二項の規定による決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって、仮にすることができる。
2 株式会社である被管理会社における会社法第三百九条第三項各号若しくは第三百二十四条第三項各号に掲げる株主総会若しくは種類株主総会の決議又は同法第三百二十三条(種類株主総会の決議を必要とする旨の定めがある場合)の規定若しくは第百六十五条の三第四項若しくは第六項若しくは第百六十五条の十第六項の規定による決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主の過半数であって出席した株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって、仮にすることができる。
3 相互会社である被管理会社における第五十七条第二項、第六十条第二項、第六十二条第二項、第六十二条の二第二項、第八十六条第二項、第百三十六条第二項、第百四十四条第三項、第百五十六条又は第百六十五条の十六第二項(第百六十五条の二十において準用する場合を含む。)の規定による決議は、これらの規定にかかわらず、出席した社員(総代会を設けているときは、総代)の議決権の四分の三以上に当たる多数をもって、仮にすることができる。
4 第一項の規定により仮にした決議(以下「仮決議」という。)があった場合においては、各株主に対し、当該仮決議の趣旨を通知し、当該仮決議の日から一月以内に再度の株主総会を招集しなければならない。
5 前項の株主総会において第一項に規定する多数をもって仮決議を承認した場合には、当該承認のあった時に、当該仮決議をした事項に係る決議があったものとみなす。
6 前二項の規定は、第二項の規定により仮にした決議があった場合について準用する。この場合において、前項中「第一項」とあるのは「第二項」と読み替えるものとする。
7 第四項及び第五項の規定は、第三項の規定により仮にした決議があった場合について準用する。この場合において、第四項中「各株主」とあるのは「各社員(総代会を設けているときは、各総代)」と、同項及び第五項中「株主総会」とあるのは「社員総会(総代会を設けているときは、総代会)」と、同項中「第一項」とあるのは「第三項」と読み替えるものとする。

(株主総会等の特別決議に代わる許可)
第二百四十九条の二 株式会社である被管理会社がその財産をもって債務を完済することができない場合には、当該被管理会社は、会社法第四百四十七条第一項(資本金の額の減少)、第四百六十七条第一項第一号及び第二号(事業譲渡等の承認等)並びに第四百七十一条第三号(解散の事由)の規定並びに第百三十六条(第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、次に掲げる事項を行うことができる。
 一 事業の全部又は重要な一部の譲渡
 二 資本金の額の減少
 三 解散
 四 保険契約の移転
2 相互会社である被管理会社がその財産をもって債務を完済することができない場合には、当該被管理会社は、第六十二条の二第一項第一号及び第二号、第百三十六条並びに第百五十六条の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、次に掲げる事項を行うことができる。
 一 事業の全部又は重要な一部の譲渡
 二 保険契約の移転
 三 解散
3 保険管理人は、会社法第三百三十九条第一項(解任)、第三百四十七条第一項(種類株主総会における取締役又は監査役の選任等)若しくは第四百三条第一項(執行役の解任等)の規定又は第五十三条の八第一項若しくは第五十三条の二十七第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、被管理会社の取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人を解任することができる。
4 前項の規定により被管理会社の取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人を解任しようとする場合において、解任により法律又は定款に定めた取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の員数を欠くこととなるときは、保険管理人は、会社法第三百二十九条第一項(選任)、第三百四十七条第一項若しくは第四百二条第二項(執行役の選任等)の規定又は第五十二条第一項若しくは第五十三条の二十六第二項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、被管理会社の取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人を選任することができる。
5 前項の規定により選任された被管理会社の取締役、会計参与、監査役又は会計監査人は選任時の属する事業年度の終了後最初に招集される定時総会又は定時社員総会(総代会を設けているときは、定時総代会)の終結の時に、執行役は選任時の属する事業年度の終了後最初に招集される定時総会が終結した後最初に開催される取締役会の終結の時に退任する。
6 第一項から第四項までに規定する許可(以下この条及び次条において「代替許可」という。)があったときは、当該代替許可に係る事項について株主総会等、種類株主総会又は取締役会の決議があったものとみなす。この場合における第十六条の二第一項、第百三十六条の二第一項(第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)並びに第二百五十条第三項及び第五項の規定の適用については、第十六条第一項中「資本金又は準備金(以下この節において「資本金等」という。)の額の減少(減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除く。)の決議に係る株主総会(会社法第四百四十七条第三項(資本金の額の減少)又は第四百四十八条第三項(準備金の額の減少)に規定する場合にあっては、取締役会)の会日の二週間前」とあるのは「資本金又は準備金の額の減少(減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除く。)に係る第二百四十九条の二第一項の許可のあった日以後二週間以内の日」と、第百三十六条の二第一項中「前条第一項の株主総会等の会日の二週間前」とあるのは「保険契約の移転に係る第二百四十九条の二第一項又は第二項の許可のあった日以後二週間以内の日」と、第二百五十条第三項中「次項の公告」とあり、及び同条第五項中「前項の公告」とあるのは「第二百四十九条の二第八項の公告」とし、第百五十六条の二及び第二百五十条第四項の規定は、適用しない。
7 代替許可に係る事件は、当該被管理会社の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
8 裁判所は、代替許可の決定をしたときは、その決定書を被管理会社に送達するとともに、その決定の要旨を公告しなければならない。
9 前項の規定によってする公告は、官報に掲載してする。
10 代替許可の決定は、第八項の規定による被管理会社に対する送達がされた時から、効力を生ずる。
11 代替許可の決定に対しては、株主又は社員は、第八項の公告のあった日から一週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。この場合において、当該即時抗告が解散に係る代替許可の決定に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。
12 非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第二条から第四条まで(管轄裁判所、優先管轄及び移送、管轄裁判所の指定)、第十五条(検察官の陳述及び立会い)、第十六条(検察官への通知義務)、第十八条第一項及び第二項(裁判の発効)並びに第二十条(抗告)の規定は、代替許可に係る事件については、適用しない。

(代替許可に係る登記の特例)
第二百四十九条の三 前条第一項第二号若しくは第三号若しくは第二項第三号に掲げる事項又は同条第三項若しくは第四項に定める事項に係る代替許可があった場合においては、当該事項に係る登記の申請書には、当該代替許可の決定書の謄本又は抄本を添付しなければならない。

第三款 合併等における契約条件の変更

(保険契約の移転における契約条件の変更)
第二百五十条 保険会社等又は外国保険会社等は、次に掲げる場合に該当する場合には、第百三十五条第一項(第二百十条第一項及び第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。)の契約において、第百三十五条第四項(第二百十条第一項及び第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。)に規定する軽微な変更のほか、当該契約により移転するものとされる保険契約(特定契約を除く。)について保険金額の削減その他の契約条項の変更(当該軽微な変更、特定補償対象契約以外の補償対象契約(第二百七十条の三第二項第一号に規定する補償対象契約をいう。)について第三項第一号に規定する公告等の時以後に収受した保険料により積み立てるべき責任準備金を減額する変更及び特定補償対象契約について同号に規定する公告等の時以後に発生する解約返戻金その他これに類するものとして内閣府令・財務省令で定める給付金に関しこれら以外の当該特定補償対象契約に係る保険金その他の給付金に比して不利な内容を定める変更、特定補償対象契約以外の補償対象契約(第二百七十条の三第二項第一号に規定する補償対象契約をいう。)について第三項第一号に規定する公告等の時以後に収受した保険料により積み立てるべき責任準備金を減額する変更及び特定補償対象契約について同号に規定する公告等の時以後に発生する解約返戻金その他これに類するものとして内閣府令・財務省令で定める給付金に関しこれら以外の当該特定補償対象契約に係る保険金その他の給付金に比して不利な内容を定める変更を除く。以下この款において「契約条件の変更」という。)を定めることができる。
 一 第二百四十一条第一項の規定により保険契約の全部に係る保険契約の移転の協議を命ぜられた場合において、当該保険契約の移転をするとき。
 二 被管理会社である場合において、第二百四十七条第二項の承認(同条第四項の承認を含む。)を受けた同条第一項の計画に従って保険契約の全部又は一部に係る保険契約の移転をするとき。
 三 第二百六十八条第一項又は第二百七十条第一項の内閣総理大臣の認定を受けた第二百六十条第二項に規定する破綻保険会社である場合において、同条第三項に規定する救済保険会社に対しその保険契約の全部に係る保険契約の移転をするとき(前二号に掲げる場合を除く。)
2 前項第一号又は第三号の保険契約の移転をする場合には、当該保険会社等又は外国保険会社等に係る保険契約(特定補償対象契約解約関連業務に係る保険契約を含む。)(特定補償対象契約解約関連業務に係る保険契約を含む。)のうち、特定契約以外の全部を包括して移転しなければならない。
3 前二項に規定する「特定契約」とは、次に掲げるものをいう。
 一 次項の公告の時(当該公告の時において既に、第二百四十一条第一項の規定により業務の全部若しくは一部の停止を命ぜられ、保険契約に係る支払を停止している場合又は第二百四十五条(第二百五十八条第二項において準用する場合を含む。)、この条第五項、第二百五十四条第四項若しくは第二百五十五条の二第三項の規定によりその業務を停止し、保険契約に係る支払を停止している場合にあっては、その保険契約に係る支払を停止した時。次号において「公告等の時」という。)において既に保険事故が発生している保険契約(当該保険事故に係る保険金の支払により消滅することとなるものに限る。)
 二 公告等の時において既に保険期間が終了している保険契約(公告等の時において保険期間の中途で解約その他の保険契約の終了の事由が発生しているもの(第二百四十条の三の規定による命令により保険契約に係る支払が停止されているものを除く。)を含み、前号に掲げるものを除く。)
4 第一項の場合において、保険会社等にあっては第百三十六条第一項(第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。)の株主総会等の招集の通知の発送日において、当該株主総会等が開かれる旨及び当該契約条件の変更を含む保険契約の移転の決議が会議の目的となっている旨を、外国保険会社等にあっては第百三十五条第一項の契約に係る契約書の作成日において、当該契約条件の変更を含む契約書が作成された旨を、それぞれ公告しなければならない。
5 第一項の保険会社等又は外国保険会社等は、前項の公告の時において既に、第二百四十一条第一項の規定により業務の全部の停止を命ぜられ、又は第二百四十五条本文(第二百五十八条第二項において準用する場合を含む。)、この項本文、第二百五十四条第四項本文若しくは第二百五十五条の二第三項本文の規定によりその業務の全部(補償対象保険金支払業務及び特定補償対象契約解約関連業務を除く。)を停止している場合を除き、当該公告の時から、その業務の全部を停止しなければならない。ただし、当該保険会社等又は外国保険会社等の申出により、その業務の一部を停止しないことについて、内閣総理大臣が必要があると認めた場合には、当該業務の一部については、この限りでない。

(保険契約の移転の公告及び異議申立てに関する特例)
第二百五十一条 前条第一項の保険契約の移転をする場合には、第百三十七条第一項(第二百十条第一項及び第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。)の公告に、契約条件の変更により生ずる保険契約者の権利義務の変更の主要な内容その他の内閣府令・財務省令で定める事項を付記しなければならない。
2 前条第一項の保険契約の移転をする場合における第百三十五条第二項及び第百三十七条第四項(第二百十条第一項及び第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定の適用については、第百三十五条第二項中「第百三十七条第一項の公告の時において既に保険事故が発生している保険契約(当該保険事故に係る保険金の支払により消滅することとなるものに限る。)その他の政令で定める保険契約」とあるのは「第二百五十条第三項に規定する特定契約」と、第百三十七条第四項中「五分の一」とあるのは「十分の一」と、「当該保険契約について、第一項の規定による公告の時において」とあるのは「当該保険契約が第二百五十条第三項に規定する特定契約である場合において、当該保険契約につき」とする。

(契約条件の変更を伴う保険契約の移転の効果)
第二百五十二条 第二百五十条第一項の保険契約の移転をしたときは、当該保険契約の移転に係る保険契約に係る債権及び債務については、当該保険契約について第百三十五条第一項(第二百十条第一項及び第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の契約において定められた契約条件の変更がされた後の条件で、第百三十五条第一項に規定する移転先会社が承継する。

(契約条件の変更の通知)
第二百五十三条 第二百五十条第一項の保険契約の移転をした場合における第百四十条第二項(第二百十条第一項及び第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定の適用については、第百四十条第二項中「同条第四項に規定する軽微な変更を定めたときは、保険契約の移転を受けたこと及び当該軽微な変更の内容」とあるのは、「第二百五十条第一項に規定する契約条件の変更(第百三十五条第四項に規定する軽微な変更を含む。以下この項において同じ。)を定めたときは、保険契約の移転を受けたこと及び当該契約条件の変更後の保険契約者の権利及び義務の内容」とする。

(合併契約における契約条件の変更)
第二百五十四条 保険会社等は、次に掲げる場合に該当する場合には、合併契約において、当該保険会社等に係る保険契約(特定契約を除く。)について契約条件の変更を定めることができる。
 一 第二百四十一条第一項の規定により合併の協議を命ぜられた場合において合併をしようとするとき。
 二 被管理会社である場合において、第二百四十七条第二項の承認(同条第四項の変更の承認を含む。)を受けた同条第一項の計画に従って合併するとき。
 三 第二百六十八条第一項又は第二百七十条第一項の内閣総理大臣の認定を受けた第二百六十条第二項に規定する破綻保険会社である場合において、同条第三項に規定する救済保険会社が存続することとなる合併をするとき。(前二号に掲げる場合を除く。)。
2 第二百五十条第三項の規定は、前項に規定する特定契約について準用する。この場合において、同条第三項第一号中「次項」とあるのは、「第二百五十四条第三項」と読み替えるものとする。
3 第一項の保険会社等は、会社法第七百八十三条第一項(吸収合併契約等の承認等)、第七百九十五条第一項(吸収合併契約等の承認等)若しくは第八百四条第一項(新設合併契約等の承認)又は第百六十五条の三第一項、第百六十五条の十第一項若しくは第百六十五条の十六第一項(第百六十五条の二十において準用する場合を含む。)の承認の決議を行う株主総会等の招集の通知の発送日において、当該株主総会等が開かれる旨及び当該契約条件の変更を含む合併契約の承認の決議が会議の目的となっている旨を公告しなければならない。
4 第一項の保険会社等は、前項の公告の時において既に、第二百四十一条第一項の規定により業務の全部の停止を命ぜられ、又は第二百四十五条本文(第二百五十八条第二項において準用する場合を含む。)、第二百五十条第五項本文、この項本文若しくは第二百五十五条の二第三項本文の規定によりその業務の全部を停止している場合を除き、当該公告の時から、その業務の全部(補償対象保険金支払業務及び特定補償対象契約解約関連業務を除く。)を停止しなければならない。ただし、当該保険会社等の申出により、その業務の一部を停止しないことについて、内閣総理大臣が必要があると認めた場合には、当該業務の一部については、この限りでない。

(合併の公告及び異議申立てに関する特例)
第二百五十五条 前条第一項の保険会社等は、第百六十五条の七第二項(第百六十五条の十二において準用する場合を含む。)、第百六十五条の十七第二項(第百六十五条の二十において準用する場合を含む。)又は第百六十五条の二十四第二項の規定による公告に、契約条件の変更により生ずる保険契約者の権利義務の変更の主要な内容その他の内閣府令・財務省令で定める事項を付記しなければならない。
2 前条第一項の合併をする場合における第百六十五条の七第四項(第百六十五条の十二において準用する場合を含む。)において準用する第七十条第六項、第百六十五条の十七第四項(第百六十五条の二十において準用する場合を含む。)において準用する第八十八条第六項又は第百六十五条の二十四第六項の規定の適用については、これらの規定中「同項の規定による公告の時において既に保険金請求権等が生じている保険契約(当該保険金請求権等に係る支払により消滅することとなるものに限る。)」とあるのは「第二百五十四条第二項において準用する第二百五十条第三項に規定する特定契約」と、「五分の一」とあるのは「十分の一」と、「保険金請求権等」とあるのは「第二百五十四条第二項において準用する第二百五十条第三項に規定する特定契約に係る保険金請求権その他の政令で定める権利」とする。
3 前条第一項の合併の場合においては、合併後存続する保険会社等又は合併により設立される保険会社等は、合併後三月以内に、同項の保険会社等の保険契約者に対し、その旨及び契約条件の変更後の保険契約者の権利及び義務の内容を通知しなければならない。

(株式の取得における契約条件の変更)
第二百五十五条の二 保険会社等又は外国保険会社等は、次に掲げる場合に該当する場合(当該保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るために必要な事項として内閣総理大臣及び財務大臣が定めるものを実施するために、株式の取得がされる場合に限る。)には、契約条件変更計画を作成して、当該保険会社等又は外国保険会社等に係る保険契約(特定契約を除く。)について契約条件の変更を行うことができる。この場合においては、契約条件変更計画において、契約条件の変更により生ずる保険契約者の権利義務の変更の主要な内容その他内閣府令・財務省令で定める事項を定めなければならない。
 一 第二百四十一条第一項の規定により他の保険会社等、外国保険会社等又は保険持株会社等に株式を取得されることによりその子会社となることの協議を命ぜられた場合において、他の保険会社等、外国保険会社等又は保険持株会社等に当該株式を取得されることによりその子会社となるとき。
 二 被管理会社である場合において、第二百四十七条第二項の承認(同条第四項の変更の承認を含む。)を受けた同条第一項の計画に従って他の保険会社等、外国保険会社等又は保険持株会社等に株式を取得されることによりその子会社となるとき。
 三 第二百六十八条第一項の内閣総理大臣の認定を受けた第二百六十条第二項に規定する破綻保険会社である場合において、同条第三項に規定する救済保険会社又は救済保険持株会社等に株式を取得されることによりその子会社となるとき(前二号に掲げる場合を除く。)。
2 第二百五十条第三項の規定は、前項に規定する特定契約について準用する。この場合において、同条第三項第一号中「次項」とあるのは、「第二百五十五条の四第一項」と読み替えるものとする。
3 第一項の契約条件の変更をしようとする保険会社等又は外国保険会社等(以下この款において「変更会社」という。)は、第二百五十五条の四第一項の公告の時において既に、第二百四十一条第一項の規定により業務の全部の停止を命ぜられ、又は第二百四十五条本文(第二百五十八条第二項において準用する場合を含む。)、第二百五十条第五項本文、第二百五十四条第四項本文若しくはこの項本文の規定によりその業務の全部を停止している場合を除き、当該公告の時から、その業務の全部(補償対象保険金支払業務及び特定補償対象契約解約関連業務を除く。)を停止しなければならない。ただし、当該保険会社等又は外国保険会社等の申出により、その業務の一部を停止しないことについて、内閣総理大臣が必要があると認めた場合には、当該業務の一部については、この限りでない。

(契約条件の変更に係る書類の備置き等)
第二百五十五条の三 変更会社は、次条第一項の規定による公告の日から同条第二項の規定により同条第一項の公告に付記した期間の最終日まで、契約条件変更計画の内容その他の内閣府令・財務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を各営業所又は各事務所に備え置かなければならない。
2 契約条件変更計画により変更するものとされる保険契約に係る保険契約者(次条において「変更対象契約者」という。)は、変更会社に対して、その営業時間又は事業時間内は、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該変更会社の定めた費用を支払わなければならない。
 一 前項の書面の閲覧の請求
 二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 前項の電磁的記録に記録された事項を内閣府令・財務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって当該変更会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(契約条件の変更の公告及び異議申立て)
第二百五十五条の四 変更会社は、契約条件変更書の作成日において、契約条件変更計画の要旨及び貸借対照表その他内閣府令・財務省令で定める事項を公告しなければならない。
2 前項の公告には、変更対象契約者で異議がある者は、一定の期間内に異議を述べるべき旨を付記しなければならない。
3 前項の期間は、一月を下ってはならない。
4 第二項の期間内に異議を述べた変更対象契約者の数が変更対象契約者の総数の十分の一を超え、かつ、当該異議を述べた変更対象契約者の保険契約に係る債権の額に相当する金額として内閣府令・財務省令で定める金額が変更対象契約者の当該金額の総額の十分の一を超えるときは、契約条件の変更をしてはならない。
5 第二項の期間内に異議を述べた変更対象契約者の数又はその者の前項の内閣府令・財務省令で定める金額が、同項に定める割合を超えないときは、当該変更対象契約者全員が当該契約条件の変更を承認したものとみなす。

(契約条件の変更の公告等)
第二百五十五条の五 変更会社は、契約条件の変更後、遅滞なく、契約条件の変更をしたこと及び内閣府令・財務省令で定める事項を公告しなければならない。契約条件の変更をしないこととなったときも、同様とする。
2 変更会社は、契約条件の変更後三月以内に、当該契約条件の変更に係る保険契約者に対し、当該契約条件の変更後の保険契約者の権利及び義務の内容を通知しなければならない。

第三節 合併等の手続の実施の命令等

(合併等の協議の相手方の指定)
第二百五十六条 内閣総理大臣は、保険会社(外国保険会社等を含む。第二百六十条第一項第二号、第六項及び第八項第二号並びに第二百七十条の六を除き、以下この章において同じ。)が破綻保険会社(第二百六十条第二項に規定する破綻保険会社をいう。以下この節において同じ。)に該当し、かつ、必要があると認めるときは、当該破綻保険会社が合併等に係る協議をすべき相手方として他の保険会社又は保険持株会社等を指定し、当該他の保険会社又は保険持株会社等にその協議に応ずるよう勧告することができる。
2 内閣総理大臣は、前項の勧告を行うため必要があると認めるときは、その必要の限度において、破綻保険会社又は破綻保険会社となる蓋然性が高いと認められる保険会社につきその業務又は財産の状況に関する資料を他の保険会社又は保険持株会社等に対して交付し、その他当該勧告に必要な準備行為を行うことができる。
3 内閣総理大臣は、破綻保険会社又は破綻保険会社となる蓋然性が高いと認められる保険会社が会員として加入している保険契約者保護機構に対し、第一項の勧告又は前項の準備行為の実施に関し、必要な協力を求めることができる。

(合併等の条件のあっせん)
第二百五十七条 内閣総理大臣は、前条第一項の場合において、その協議が調わないときは、あらかじめ同項の勧告に係る破綻保険会社及び同項の勧告を受けた他の保険会社又は保険持株会社等の意見を聴取し、条件を示して、必要なあっせんをすることができる。
2 前条第二項及び第三項の規定は、前項のあっせんについて準用する。この場合において、同条第二項中「破綻保険会社又は破綻保険会社となる蓋然性が高いと認められる保険会社」とあるのは、「破綻保険会社」と読み替えるものとする。

(合併等の手続の実施の命令)
第二百五十八条 内閣総理大臣は、前条第一項の場合において同項の他の保険会社又は保険持株会社等があっせんに係る条件に同意したときは、同項のあっせんに係る破綻保険会社に対し、当該条件に従い合併等を実行するために必要な手続をとることを命ずることができる。
2 第二百四十五条の規定は、前項の場合(管理を命ずる処分を受けている場合を除く。)について準用する。この場合において、同条ただし書中「保険管理人」とあるのは、「当該破綻保険会社」と読み替えるものとする。

第四節 保険契約者保護機構の行う資金援助等

第一款 保険契約者保護機構

第一目 通則

(目的)
第二百五十九条 保険契約者保護機構(以下この節、次節、第五編及び第六編において「機構」という。)は、破綻保険会社に係る保険契約の移転等における資金援助、承継保険会社の経営管理、保険契約の引受け、補償対象保険金の支払に係る資金援助及び保険金請求権等の買取りを行う等により、保険契約者等の保護を図り、もって保険業に対する信頼性を維持することを目的とする。

(定義)
第二百六十条 この節において「保険契約の移転等」とは、次に掲げるものをいう。
 一 破綻保険会社と他の保険会社との間で、破綻保険会社に係る保険契約の全部又は一部に係る保険契約の移転をすること。
 二 破綻保険会社(外国保険会社等を除く。)と他の保険会社との合併で、当該他の保険会社が存続することとなるもの
 三 破綻保険会社の株式の他の保険会社又は保険持株会社等による取得で、当該破綻保険会社の業務(外国保険会社等にあっては、日本における業務。次項及び次款において同じ。)の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るために必要な事項として内閣総理大臣及び財務大臣が定めるものを実施するために行うもの
2 この節において「破綻保険会社」とは、次に掲げる者をいう。
 一 業務若しくは財産(外国保険会社等にあっては、日本に所在する財産。次号において同じ。)の状況に照らして保険金の支払を停止するおそれのある者又は保険金の支払を停止した者
 二 その財産をもって債務を完済することができない者又はその財産をもって債務を完済することができない事態が生ずるおそれのある者
3 この節において「救済保険会社」とは、保険契約の移転等を行う保険会社のうち破綻保険会社でない者をいい、「救済保険持株会社等」とは、第一項第三号に掲げる株式の取得をする保険持株会社等をいう。
4 この節において「資金援助」とは、金銭の贈与、資産の買取り又は損害担保をいう。
5 この節において「損害担保」とは、次の各号に掲げる資産につきその帳簿価額を下回る金額で回収が行われたことその他の事由により損失が生じた場合において、あらかじめ締結する契約に基づき、当該各号に定める者に対して当該損失の額の全部又は一部を補てんすることをいう。
 一 第一項第一号、第八項第一号若しくは第十一項に規定する保険契約の移転又は第一項第二号若しくは第八項第二号に規定する合併により救済保険会社、再承継保険会社(保険契約の再承継を行う保険会社で承継保険会社でない者をいう。以下同じ。)又は再移転先保険会社(保険契約の再移転を行う保険会社をいう。以下同じ。)が承継した資産 当該救済保険会社、再承継保険会社又は再移転先保険会社
 二 第一項第三号又は第八項第三号に規定する株式の取得をされた保険会社の資産 当該保険会社
6 この節において「承継保険会社」とは、保険契約の移転又は合併により破綻保険会社の保険契約を引き継ぎ、かつ、当該引き継いだ保険契約の管理及び処分を行うことを主たる目的とする保険会社であって、機構の子会社(機構がその総株主の議決権の百分の五十を超える議決権を保有する会社をいう。以下同じ。)として設立されたものをいう。
7 この節において「保険契約の承継」とは、承継保険会社が保険契約の移転又は合併により破綻保険会社の保険契約を引き継ぎ、かつ、当該引き継いだ保険契約の管理及び処分を行うことをいう。
8 この節において「保険契約の再承継」とは、次に掲げるものをいう。
 一 承継保険会社と他の保険会社との間で、承継保険会社に係る保険契約の全部又は一部に係る保険契約の移転をすること。
 二 承継保険会社と他の保険会社との合併で、当該他の保険会社が存続することとなるもの
 三 承継保険会社の株式の他の保険会社又は保険持株会社等による取得で、当該承継保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るために必要な事項として財務大臣が定めるものを実施するために行うもの
9 この節において「保険契約の引受け」とは、機構が破綻保険会社との契約により当該破綻保険会社からその保険契約の全部又は一部に係る保険契約の移転を受けることをいう。
10 この節において「保険契約の管理及び処分」とは、保険契約に基づく保険料の収受及び保険金、返戻金その他の給付金の支払、保険契約に基づき保険料として収受した金銭その他の資産の運用、保険契約に係る再保険契約の締結、保険契約の保険会社への移転その他保険契約に関する行為として内閣府令・財務省令で定めるものをいう。
11 この節において「保険契約の再移転」とは、保険契約の引受けをした機構と保険会社との間で、当該保険契約の引受けにより引き継がれた保険契約の全部又は一部に係る保険契約の移転をすることをいう。

(法人格)
第二百六十一条 機構は、法人とする。

(機構の種類)
第二百六十二条 機構は、保険業に係る免許の種類ごとに、その免許の種類に属する免許を受けた保険会社をその会員とする。
2 前項の免許の種類は、次に掲げる二種類とする。
 一 生命保険業免許、外国生命保険業免許及び特定生命保険業免許
 二 損害保険業免許、外国損害保険業免許及び特定損害保険業免許

(名称)
第二百六十三条 機構は、その名称中に保険契約者保護機構という文字を用いなければならない。
2 機構でない者は、その名称中に保険契約者保護機構という文字を用いてはならない。

(登記)
第二百六十四条 機構は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。

(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の準用)
第二百六十五条 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第四条(住所)及び第七十八条(代表者の行為についての損害賠償責任)の規定は、機構について準用する。

第二目 会員

(会員の資格等)
第二百六十五条の二 機構の会員の資格を有する者は、保険会社(政令で定める保険会社を除く。次条において同じ。)に限る。
2 機構は、会員の資格を有する者の加入を拒み、又はその加入について不当な条件を付してはならない。

(加入義務)
第二百六十五条の三 保険会社は、その免許と同じ第二百六十二条第二項に規定する免許の種類(次項において「免許の種類」という。)に属する免許を受ける保険会社を会員とする機構の一にその会員として加入しなければならない。
2 第三条第一項、第百八十五条第一項又は第二百十九条第一項の免許を受けようとする者(政令で定める者を除く。)は、その免許の申請と同時に、内閣府令・財務省令で定めるところにより、その免許と同じ免許の種類に属する免許を受ける保険会社を会員とする機構の一に加入する手続をとらなければならない。
3 前項の規定により機構に加入する手続をとった者は、同項の免許を受けたときに、当該機構の会員となる。
4 機構は、前項の規定により保険会社が当該機構の会員となったときは、速やかに、その旨を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(脱退等)
第二百六十五条の四 会員は、次に掲げる事由によって脱退する。
 一 免許の取り消し
 二 免許の失効
2 会員は、前項各号に掲げる事由による場合又は内閣総理大臣及び財務大臣の承認を受けて他の機構の会員となる場合を除き、機構を脱退することができない。
3 会員は、機構を脱退した場合においても、次に掲げる資金の借入れに係る債務の履行のために当該機構が負担することとなる費用があるときは、当該会員の負担すべき費用の額として内閣府令・財務省令で定めるところにより当該機構が算定した額を負担金として納付する義務を負う。
 一 その脱退の日までに当該機構が行うことを決定した第二百六十五条の二十八第一項第三号から第七号まで並びに同条第二項第一号から第三号までに掲げる業務を実施するために第二百六十五条の四十二の規定によりした資金の借入れ
 二 その脱退の日までに当該機構が行うことを決定した第二百六十五条の二十八第一項第三号から第七号まで並びに同条第二項第一号から第三号までに掲げる業務を実施するために第二百六十五条の四十二の規定によりすることとなる資金の借入れ
4 内閣総理大臣及び財務大臣は、第二項の承認の申請があったときは、当該申請に係る会員が次に掲げる要件を満たしている場合でなければ、その承認をしてはならない。
 一 当該会員が、その脱退しようとする機構に対し会員として負担する債務を完済していること。
 二 当該会員が、前項の規定により同項に規定する算定した額を負担金として納付する義務を履行することが確実と見込まれること。
 三 当該会員が、他の機構に会員として加入する手続をとっていること。

(会員に対する過怠金)
第二百六十五条の五 機構は、定款で定めるところにより、この節の規定又は機構の定款その他の規則に違反した会員に対し、過怠金を課することができる。

第三目 設立

(発起人)
第二百六十五条の六 機構を設立するには、その会員になろうとする十以上の保険会社が発起人となることを必要とする。

(創立総会)
第二百六十五条の七 発起人は、定款及び事業計画書を作成した後、会員になろうとする者を募り、会議開催日の二週間前までにこれらを会議の日時及び場所とともに公告して、創立総会を開かなければならない。
2 定款及び事業計画書の承認その他機構の設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。
3 前項の創立総会の議事は、会員の資格を有する者であってその創立総会の開催日までに発起人に対して会員となる旨を書面により申し出たもの及び発起人の二分の一以上が出席して、その出席者の議決権の三分の二以上の多数で決する。
4 次に掲げる事項その他機構の成立の日を含む事業年度の業務の運営に必要な事項は、第二百六十五条の二十五及び第二百六十五条の三十四第三項の規定にかかわらず、創立総会の議決によることができる。
 一 業務規程の作成
 二 機構の成立の日を含む事業年度の予算及び資金計画の決定
 三 第二百六十五条の三十四第一項各号に規定する負担金率の決定
5 第二百六十五条の二十六第二項の規定は、前項の規定により同項に規定する事項を創立総会の議事とする場合について準用する。この場合において、同条第二項中「前条第一号、第三号及び第五号」とあるのは、「第二百六十五条の七第四項第一号」と読み替えるものとする。
6 第二百六十五条の二十七の四及び第二百六十五条の二十七の五の規定は、創立総会の議決について準用する。

(設立の認可申請)
第二百六十五条の八 発起人は、創立総会の終了後遅滞なく、次に掲げる事項を記載した認可申請書を内閣総理大臣及び財務大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
 一 名称
 二 事務所の所在地
 三 役員及び会員の氏名又は名称
2 前項の認可申請書には、定款、事業計画書その他内閣府令・財務省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。

(設立の認可)
第二百六十五条の九 内閣総理大臣及び財務大臣は、前条第一項の規定による認可の申請があった場合においては、その申請が次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
 一 設立の手続並びに定款及び事業計画書の内容が法律の規定に適合するものであること。
 二 定款及び事業計画書に虚偽の記載がないこと。
 三 役員のうちに第二百六十五条の十六各号のいずれかに該当する者がないこと。
 四 業務の運営が適正に行われることが確実であると認められること。
 五 当該申請に係る機構の組織がこの法律の規定に適合するものであること。
2 内閣総理大臣及び財務大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項の基準に適合していると認めるときは、設立の認可をしなければならない。

(事務の引継ぎ)
第二百六十五条の十 設立の認可があったときは、発起人は、遅滞なく、その事務を機構の理事長に引き継がなければならない。

(設立の時期等)
第二百六十五条の十一 機構は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって、成立する。
2 機構は、前項の設立の登記をしたときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣及び財務大臣に届け出なければならない。

第四目 管理

(定款)
第二百六十五条の十二 機構の定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
 一 目的
 二 名称
 三 事務所の所在地
 四 会員に関する事項
 五 役員に関する事項
 六 運営委員会及び評価審査会に関する事項
 七 総会に関する事項
 八 業務及びその執行に関する事項
 九 負担金に関する事項
 十 財務及び会計に関する事項
 十一 解散に関する事項
 十二 定款の変更に関する事項
 十三 公告の方法
2 機構の定款の変更は、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

(役員及び業務の決定)
第二百六十五条の十三 機構に、役員として、理事長一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
2 機構の業務は、定款に別段の定めがあるものを除き、理事長及び理事の過半数をもって決する。

(役員の職務及び権限)
第二百六十五条の十四 理事長は、機構を代表し、その業務を総理する。
2 理事は、理事長の定めるところにより、機構を代表し、理事長を補佐して機構の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
3 監事は、機構の業務及び経理の状況を監査し、その監査の結果を総会に報告する。
4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は内閣総理大臣及び財務大臣に意見を提出することができる。

(役員の任免及び任期)
第二百六十五条の十五 役員は、定款で定めるところにより、総会において選任し、又は解任する。ただし、設立当時の役員は、創立総会において選任する。
2 前項の規定による役員の選任及び解任は、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 役員の任期は、二年以内において定款で定める期間とする。ただし、設立当時の役員の任期は、二年以内において創立総会で定める期間とする。
4 役員は、再任されることができる。

(役員の欠格事由)
第二百六十五条の十六 次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない。
 一 機構が第二百六十五条の四十七の規定により設立の認可を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内にその役員であった者で、その取消しの日から起算して五年を経過していないもの
 二 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
 三 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過していない者
 四 この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過していない者

(監事の兼職禁止)
第二百六十五条の十七 監事は、理事長、理事、運営委員会の委員、評価審査会の委員又は機構の職員を兼ねてはならない。

(代表権の制限)
第二百六十五条の十八 機構と理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては、定款で定めるところにより、監事が機構を代表する。

第二百六十五条の十八の二 理事長は、機構の職員のうちから、機構の業務の一部に関する一切の裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する代理人を選任することができる。

(運営委員会)
第二百六十五条の十九 機構に、運営委員会(以下この章において「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、この法律によりその権限に属させられた事項を処理するほか、理事長の諮問に応じ、機構の業務の運営に関する重要事項(次条第二項に規定する破綻保険会社の財産の評価に関する事項を除く。)を審議する。
3 委員会は、機構の業務の運営につき、理事長に対して意見を述べることができる。
4 委員会の委員は、機構の業務の適切な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
5 前各号に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、内閣府令・財務省令で定める。

(評価審査会)
第二百六十五条の二十 機構に、評価審査会(以下「審査会」という。)を置く。
2 審査会は、次款の規定によりその権限に属させられた事項を処理するほか、理事長の諮問に応じ、機構の会員である破綻保険会社の財産(外国保険会社等にあっては、日本に所在する財産)の評価に関し必要な事項を審議する。
3 審査会の委員は、保険又は財産の評価に関して学識経験又は専門的知識を有する者のうちから、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
4 前三項に定めるもののほか、審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、内閣府令・財務省令で定める。

(役員等の秘密保持義務等)
第二百六十五条の二十一 機構の役員(第二百六十五条の十三第一項の役員をいう。以下同じ。)若しくは職員、委員会の委員、審査会の委員又はこれらの職にあった者は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。

(役員等の公務員たる性質)
第二百六十五条の二十一の二 機構の役員及び職員、委員会の委員並びに審査会の委員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

(会員名簿の縦覧等)
第二百六十五条の二十二 機構は、内閣府令・財務省令で定めるところにより、会員の名簿を作成し、これを内閣総理大臣及び財務大臣に提出するとともに、公衆の縦覧に供しなければならない。

第五目 総会

(総会の招集)
第二百六十五条の二十三 理事長は、定款で定めるところにより、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
2 理事長は、必要があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。

(指名職員の会議への出席)
第二百六十五条の二十四 内閣総理大臣及び財務大臣がそれぞれ指名するその職員は、総会に出席し、意見を述べることができる。

(総会の議決事項)
第二百六十五条の二十五 この法律で別に定めるもののほか、次に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない。
 一 定款の変更
 二 予算及び資金計画の決定又は変更
 三 業務規程の作成又は変更
 四 決算
 五 解散
 六 その他定款で定める事項

(総会の議事)
第二百六十五条の二十六 総会は、総会員の二分の一以上の出席がなければ、議事を開き、議決をすることができない。
2 総会の議事は、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長が決する。ただし、前条第一号、第三号及び第五号に掲げる事項に係る議事は、出席者の議決権の三分の二以上の多数で決する。
3 議長は、定款で定めるところによる。

(臨時総会)
第二百六十五条の二十七 総会員の五分の一以上から会議の目的である事項を示して請求があったときは、理事長は、臨時総会を招集しなければならない。ただし、総会員の五分の一の割合については、定款でこれと異なる割合を定めることができる。

(総会の招集)
第二百六十五条の二十七の二 総会の招集の通知は、総会の日より少なくとも五日前に、その会議の目的である事項を示し、定款で定めた方法に従ってしなければならない。

(総会の決議事項)
第二百六十五条の二十七の三 総会においては、前条の規定によりあらかじめ通知をした事項についてのみ、決議をすることができる。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。

(会員の議決権)
第二百六十五条の二十七の四 各会員の議決権は、平等とする。
2 総会に出席しない会員は、書面で、又は代理人によって議決をすることができる。
3 前二項の規定は、定款に別段の定めがある場合には、適用しない。

(議決権のない場合)
第二百六十五条の二十七の五 機構と特定の会員との関係について議決をする場合には、その会員は、議決権を有しない。

第六目 業務

(業務)
第二百六十五条の二十八 機構は、第二百五十九条に規定する目的を達成するため、次に掲げる業務を行うものとする。
 一 第二百四十三条第三項の規定による保険管理人又は保険管理人代理の業務
 二 次目の規定による負担金の収納及び管理
 三 次款の規定による保険契約の移転等、保険契約の承継、保険契約の再承継及び保険契約の再移転における資金援助
 四 次款の規定による承継保険会社の経営管理その他保険契約の承継に係る業務
 五 次款の規定による破綻保険会社に係る保険契約の引受け並びに当該保険契約の引受けに係る保険契約の管理及び処分
 六 次款の規定による補償対象保険金の支払に係る資金援助
 七 第三款の規定による保険金請求権等の買取り
 八 金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第四章第六節(保険契約者保護機構の権限等)及び第六章第四節(保険契約者保護機構の権限)の規定による保険契約者表の提出その他これらの規定による業務
 九 前各号に掲げる業務に附帯する業務
2 機構は、前項各号に掲げる業務のほか、同項第三号から第七号までに掲げる業務の遂行を妨げない限度において、次に掲げる業務を行うことができる。
 一 その会員に対する資金の貸付け
 二 破綻保険会社の保険契約者等に対する資金の貸付け
 三 第四款の規定による清算保険会社(清算に係る保険会社をいう。第二百七十条の八の二及び第二百七十条の八の三において同じ。)の資産の買取り
 四 前三号に掲げる業務に附帯する業務

(業務の委託)
第二百六十五条の二十九 機構は、次に掲げる場合を除き、その業務を他の者に委託してはならない。
 一 保険契約の管理及び処分に係る業務のうち保険料の収受その他の内閣府令・財務省令で定める業務(以下この条において「保険料収受等業務」という。)を保険会社その他の者に委託する場合
 二 保険料収受等業務以外の業務を、あらかじめ内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、保険会社その他の者に委託する場合
2 保険会社は、第百条(第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、機構から保険料収受等業務又は前項第二号の認可を受けた業務の委託を受け、これらの業務を行うことができる。

(業務規程)
第二百六十五条の三十 機構は、第二百六十五条の二十八第一項各号及び第二項各号に掲げる業務(以下「資金援助等業務」という。)について、当該資金援助等業務の開始前に、資金援助等業務の実施に関する業務規程を作成し、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務規程には、資金援助に関する事項、保険契約の承継に関する事項、保険契約の引受けに関する事項、負担金の収納に関する事項、保険金請求権等の買取りに関する事項その他内閣府令・財務省令で定める事項を定めなければならない。
3 内閣総理大臣及び財務大臣は、第一項の認可をした業務規程が資金援助等業務の適正かつ確実な運営をする上で不適当なものとなったと認めるときは、その変更を命ずることができる。

(資料の提出の請求等)
第二百六十五条の三十一 機構は、この節の他の規定により資料の提出を求める場合を除くほか、その業務を行うため必要があるときは、その会員に対し、資料の提出を求めることができる。
2 前項の規定により資料の提出を求められた会員は、遅滞なく、これを提出しなければならない。
3 内閣総理大臣は、機構から要請があった場合において、機構の業務の実施のため特に必要があると認めるときは、機構に対し、資料を交付し、又はこれを閲覧させることができる。

第七目 負担金

(保険契約者保護資金)
第二百六十五条の三十二 機構は、資金援助等業務の実施に要する費用に充てるためのものとして、保険契約者保護資金を設けるものとする。
2 保険契約者保護資金は、機構の資金援助等業務の実施に要する費用に充てる場合でなければ、これを使用してはならない。

(負担金の納付)
第二百六十五条の三十三 会員は、機構の事業年度ごとに、保険契約者保護資金に充てるため、定款で定めるところにより、機構に対し、負担金を納付しなければならない。ただし、機構の当該事業年度末における保険契約者保護資金の残高が、機構の資金援助等業務に要する費用の予想額に照らし十分な額として定款で定めるところにより算定した額に達している事業年度の翌事業年度については、この限りでない。
2 機構は、次の各号に掲げる場合には、前項本文の規定にかかわらず、定款で定めるところにより、当該各号に定める保険会社に該当する会員の負担金を免除することができる。
 一 第二百六十八条第一項の内閣総理大臣による認定が行われたとき。 当該認定に係る破綻保険会社
 二 第二百六十九条第一項の内閣総理大臣による付記が行われたとき。 当該付記に係る破綻保険会社
 三 第二百七十条第一項の内閣総理大臣による認定が行われたとき。 当該認定に係る破綻保険会社
 四 承継保険会社が設立されたとき。 当該承継保険会社

(負担金の額)
第二百六十五条の三十四 機構の各事業年度に会員が納付すべき負担金の額は、各会員につき、次に掲げる額の合計額(定款に負担金の最低額が定められた場合において当該合計額が当該最低額を下回るときは、当該最低額に相当する額。以下この項において「年間負担額」という。)とする。ただし、機構の成立の日を含む事業年度に会員が納付すべき負担金の額は、年間負担額を十二で除し、これに機構の成立の日を含む事業年度の月数を乗じて得た額とする。
 一 各会員が年間に収受した保険料の額として内閣府令・財務省令で定めるところにより算定した額に、負担金率を乗じて得た額
 二 各会員の事業年度末における責任準備金その他の保険金等の支払に充てるために留保されるべき負債の額として内閣府令・財務省令で定めるところにより算定した額に、負担金率を乗じて得た額
2 前項ただし書の月数は、暦に従って計算し、一月未満の端数を生じたときは、これを一月とする。
3 第一項各号の負担金率は、総会の議決を経て、機構が定める。
4 機構は、第一項各号の負担金率を定め、又はこれを変更しようとするときは、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない。
5 第一項各号の負担金率は、次に掲げる基準に適合するように定めなければならない。
 一 資金援助等業務に要する費用の予想額に照らし、長期的に機構の財政が均衡するものであること。
 二 特定の会員に対し差別的取扱い(会員の経営の健全性に応じてするものを除く。)をしないものであること。
6 前項の規定は、同項第一号に掲げる基準に適合するように負担金率を定めることとした場合には、これによる負担金の納付によって会員の経営の健全性が維持されなくなるときにおいて、当該基準に適合しない負担金率を一時的に定めることを妨げるものと解してはならない。

(延滞金)
第二百六十五条の三十五 会員は、負担金を定款で定められた納期限までに納付しない場合には、機構に対し、延滞金を納付しなければならない。
2 延滞金の額は、未納の負担金の額に納期限の翌日からその納付の日までの日数に応じ年十四・五パーセントの割合を乗じて計算した金額とする。

第八目 財務及び会計

(事業年度)
第二百六十五条の三十六 機構の事業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。ただし、機構の成立の日を含む事業年度は、その成立の日からその後最初の三月三十一日までとする。

(予算等)
第二百六十五条の三十七 第二百六十二条第二項第一号に掲げる免許の種類に属する免許を受けた保険会社をその会員とする機構(以下この項及び第二百六十五条の四十二の二において「生命保険契約者保護機構」という。)は、毎事業年度、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に(生命保険契約者保護機構の成立の日を含む事業年度にあっては、成立後遅滞なく)、財務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 第二百六十二条第二項第二号に掲げる免許の種類に属する免許を受けた保険会社をその会員とする機構(以下この項において「損害保険契約者保護機構」という。)は、毎事業年度、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に(損害保険契約者保護機構の成立の日を含む事業年度にあっては、成立後遅滞なく)、内閣総理大臣及び財務大臣に提出しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

(財務諸表等の承認等)
第二百六十五条の三十八 理事長は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従う決算報告書(次項及び次条において「財務諸表等」という。)を作成し、当該事業年度の終了後最初に招集する通常総会の開催日の四週間前までに、監事に提出しなければならない。
2 理事長は、監事の意見書を添えて前項の財務諸表等を同項の通常総会に提出し、その承認を求めなければならない。

第二百六十五条の三十九 機構は、毎事業年度、前条第二項の通常総会の承認を受けた財務諸表等を、当該事業年度の終了後三月以内に内閣総理大臣及び財務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 機構は、前項の規定により財務諸表等を内閣総理大臣及び財務大臣に提出するときは、これに、財務諸表等に関する監事の意見書を添付しなければならない。
3 機構は、第一項の規定による財務大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財産目録、貸借対照表及び損益計算書を官報に公告し、かつ、財務諸表等、附属明細書及び前項の監事の意見書を、各事務所に備え置き、財務省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。

(区分経理)
第二百六十五条の四十 機構は、保険契約の引受けに係る保険契約の管理及び処分に係る業務(これに附帯する業務を含む。)に関する経理については、他の経理と区分し、保険契約の引受けに係る破綻保険会社ごとに、特別の勘定(以下「保険特別勘定」という。)を設けて整理しなければならない。

(保険特別勘定の廃止)
第二百六十五条の四十一 機構は、その会員である破綻保険会社に係る保険契約の引受けをした場合において、当該保険契約の引受けに係るすべての保険契約につき、その終了、移転その他の事由により管理する必要がなくなったときは、当該破綻保険会社について設けた保険特別勘定を廃止するものとする。
2 機構は、前項の規定により保険特別勘定を廃止したときは、当該保険特別勘定に属する資産及び負債を一般勘定(機構の保険特別勘定(第二百七十条の六第二項の規定により機構を保険会社とみなして適用する第百十八条第一項に規定する特別勘定を含む。)以外の勘定をいう。第二百七十条の五において同じ。)に帰属させるものとする。

(借入金)
第二百六十五条の四十二 機構は、資金援助等業務を行うため必要があると認めるときは、政令で定める金額の範囲内において、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、保険会社又は内閣府令・財務省令で定める金融機関から資金の借入れ(借換えを含む。)をすることができる。

(政府保証)
第二百六十五条の四十二の二 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、生命保険契約者保護機構の前条の借入れに係る債務の保証をすることができる。

(余裕金の運用)
第二百六十五条の四十三 機構の業務上の余裕金は、保険特別勘定に属するものを除き、次の方法により運用しなければならない。
 一 国債その他内閣総理大臣及び財務大臣の指定する有価証券の保有
 二 内閣総理大臣及び財務大臣の指定する金融機関への預金
 三 その他内閣府令・財務省令で定める方法

(内閣府令・財務省令への委任)
第二百六十五条の四十四 第二百六十五条の三十六から前条までに規定するもののほか、機構の財務及び会計に関し必要な事項は、内閣府令・財務省令で定める。

第九目 監督

(監督)
第二百六十五条の四十五 機構は、内閣総理大臣及び財務大臣が監督する。
2 内閣総理大臣及び財務大臣は、この節の規定を施行するため必要があると認めるときは、機構に対し、監督上必要な命令をすることができる。
3 内閣総理大臣及び財務大臣は、機構の役員が、この法律、この法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分又は定款若しくは業務規程に違反する行為をしたときは、当該機構に対し、その役員を解任すべきことを命ずることができる。この場合において、機構が総会の議決を経て当該役員を解任したときは、その解任は、第二百六十五条の十五第二項の規定にかかわらず、総会の議決があったときにその効力を生ずるものとする。

(報告及び立入検査)
第二百六十五条の四十六 内閣総理大臣及び財務大臣は、この節の規定の施行に必要な限度において、機構に対し、その業務若しくは財産に関して報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に、機構の事務所に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

(設立の認可の取消し)
第二百六十五条の四十七 内閣総理大臣及び財務大臣は、機構が次の各号のいずれかに該当するときは、第二百六十五条の九第二項の設立の認可を取り消すことができる。
 一 この法律、この法律に基づく命令又は当該機構の定款若しくは業務規程に違反したとき。
 二 第二百六十五条の三十第三項又は第二百六十五条の四十五第二項若しくは第三項前段の規定による処分に違反したとき。
 三 その業務又は財産の状況によりその業務の継続が困難であると認めるとき。
 四 公益を害する行為をしたとき。

第十目 雑則

(解散)
第二百六十五条の四十八 機構は、次に掲げる事由によって解散する。
 一 総会の決議
 二 前条の規定による設立の認可の取消し
2 前項第一号に掲げる事由による解散は、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 機構は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、内閣府令・財務省令で定めるところにより、当該残余財産をその会員がそれぞれ加入することとなる他の機構に帰属させなければならない。
4 前項に定めるもののほか、機構の解散に関する所要の措置は、合理的に必要と判断される範囲内において、政令で定めることができる。

第二款 資金援助等

第一目 資金援助の申込み等

(保険契約の移転等における資金援助の申込み)
第二百六十六条 救済保険会社又は救済保険持株会社等は、破綻保険会社が会員として加入している機構(以下この款及び次款において「加入機構」という。)が、保険契約の移転等について資金援助を行うことを、当該破綻保険会社と連名で当該加入機構に申し込むことができる。
2 加入機構は、前項の場合において必要があると認めるときは、同項の申込みをした救済保険会社又は救済保険持株会社等及び破綻保険会社その他の関係者に対し、資料の提出を求めることができる。
3 第一項に規定する資金援助のうち資産の買取りは、保険契約の移転等に係る破綻保険会社の資産について行うものとする。

(保険契約の承継等の申込み)
第二百六十七条 破綻保険会社は、救済保険会社又は救済保険持株会社等が現れる見込みがないことその他の理由により保険契約の移転等を行うことが困難な場合として内閣府令・財務省令で定める場合には、加入機構に対して、保険契約の承継又は保険契約の引受け(以下「保険契約の承継等」という。)を申し込むことができる。
2 破綻保険会社は、前項の申込みを行う場合においては、保険契約の移転等に関する他の保険会社又は保険持株会社等との交渉の内容を示す資料その他の内閣府令・財務省令で定める資料を加入機構に提出しなければならない。
3 破綻保険会社は、第一項の規定による保険契約の承継の申込みを行うときは、加入機構が当該保険契約の承継について資金援助(金銭の贈与又は資産の買取りに限る。)を行うことを、併せて当該加入機構に申し込むことができる。
4 前条第二項及び第三項の規定は、前項の資金援助について準用する。この場合において、同条第二項中「救済保険会社又は救済保険持株会社等及び破綻保険会社」とあるのは、「破綻保険会社」と読み替えるものとする。

(保険契約の移転等における適格性の認定)
第二百六十八条 第二百六十六条第一項の場合においては、保険契約の移転等を行う破綻保険会社及び救済保険会社又は破綻保険会社及び救済保険持株会社等は、同項の申込みが行われる時までに、当該保険契約の移転等について、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。
2 前項の認定の申請は、同項の破綻保険会社及び救済保険会社又は破綻保険会社及び救済保険持株会社等の連名で行わなければならない。
3 内閣総理大臣は、次に掲げる要件のすべてに該当する場合に限り、第一項の認定を行うことができる。
 一 当該保険契約の移転等が行われることが、保険契約者等の保護に資すること。
 二 加入機構による資金援助が行われることが、当該保険契約の移転等が円滑に行われるために不可欠であること。
 三 当該保険契約の移転等に係る破綻保険会社について、保険契約の移転等が行われることなく、その業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、保険業に対する信頼性が損なわれるおそれがあること。
4 内閣総理大臣は、第一項の認定を行ったときは、その旨を加入機構に通知しなければならない。
5 加入機構は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を財務大臣に報告しなければならない。
6 破綻保険会社の株式を取得しようとする会社が、当該株式の取得により保険会社を子会社とする持株会社になることについて、第二百七十一条の十八第一項の認可(以下この項において「持株会社認可」という。)の申請をしている場合には、内閣総理大臣は、当該会社について持株会社認可をした後でなければ、第一項の規定による認定を行うことができない。

(保険契約の移転等における適格性の認定の特例)
第二百六十九条 内閣総理大臣は、次に掲げる要件のすべてに該当する場合に限り、第二百五十六条第一項の勧告に、前条第一項の規定にかかわらず、第二百六十六条第一項の申込みを行うことができる旨を付記することができる。
 一 第二百五十六条第一項の勧告に係る破綻保険会社の業務の全部の廃止又は解散が前条第三項第三号に掲げる要件に該当すること。
 二 加入機構による資金援助が行われることが当該勧告に係る保険契約の移転等を行うために不可欠なものであること。
2 前条第四項及び第五項の規定は、前項の付記をした場合について準用する。

(保険契約の承継等における適格性の認定)
第二百七十条 第二百六十七条第一項の場合においては、破綻保険会社は、同項の申込みが行われる時までに、同項の保険契約の承継等について、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。
2 内閣総理大臣は、次に掲げる要件のすべてに該当する場合に限り、前項の認定を行うことができる。
 一 保険契約の承継等が行われることが、保険契約者等の保護に資すること。
 二 加入機構に対して保険契約の承継等の申込みを行う破綻保険会社について、当該保険契約の引受けが行われることなく、その業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、保険業に対する信頼性が損なわれるおそれがあること。
 三 第二百六十七条第三項の規定による資金援助の申込みが行われる場合においては、当該資金援助が行われることが当該保険契約の承継が円滑に行われるために不可欠であること。
3 内閣総理大臣は、第一項の認定を行ったときは、その旨を加入機構に通知しなければならない。
4 加入機構は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を財務大臣に報告しなければならない。

(破綻保険会社の財産の評価)
第二百七十条の二 第二百六十六条第一項又は第二百六十七条第一項の申込みを行う破綻保険会社は、その申込みと同時に、又はその申込み後遅滞なく、自ら行ったその財産(外国保険会社等にあっては、日本に所在する財産。以下この款において同じ。)の評価(次項及び第四項において「財産自己評価」という。)が適切であることについて加入機構の確認を求めなければならない。
2 加入機構は、審査会の議を経て、前項の確認を求められた財産自己評価が適切であると判定したときは、当該財産自己評価が適切であることを確認した旨を当該申請をした破綻保険会社に通知するものとする。
3 加入機構は、前項の判定をするため必要があると認めるときは、当該申請をした破綻保険会社の財産を評価するための調査をすることができる。
4 加入機構は、審査会の議を経て、第一項の確認を求められた財産自己評価が適切でないと判定したときは、その旨を当該申請をした破綻保険会社に通知するとともに、当該破綻保険会社の財産を評価するための調査をするものとする。
5 加入機構は、審査会の議を経て、前項の規定による調査に基づく評価が適切であることを確認した後、その評価の内容を当該申請をした破綻保険会社に通知するものとする。
6 加入機構は、第二項又は前項の通知をしたときは、直ちに、その通知に係る事項を内閣総理大臣に報告しなければならない。

(保険契約の移転等における資金援助)
第二百七十条の三 加入機構は、第二百六十六条第一項の申込みをした破綻保険会社に対して前条第二項又は第五項の通知をした後、遅滞なく、委員会の議を経て、当該申込みに係る資金援助を行うかどうかを決定しなければならない。
2 前項の規定による資金援助(金銭の贈与に限る。)の額は、当該資金援助に係る破綻保険会社につき、第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を控除した残額に第三号に掲げる額を加算して得られた額に相当する金額とする。
 一 当該破綻保険会社に係る保険契約のうち内閣府令・財務省令で定める保険契約に該当するもの(以下「補償対象契約」という。)に係る責任準備金その他の保険金等の支払いに充てるために留保されるべき負債として内閣府令・財務省令で定めるもの(次号及び第二百七十条の五第二項において「特定責任準備金等」という。)の額に、補償対象契約の種類、予定利率その他の内容等を勘案して内閣府令・財務省令で定める率を乗じて得た額
 二 当該破綻保険会社の前条第二項又は第五項の規定による確認がされた財産の評価(第二百七十条の五第二項において「確認財産評価」という。)に基づく資産の価額のうち、補償対象契約に係る特定責任準備金等に見合うものとして内閣府令・財務省令で定めるところにより計算した額。
 三 当該破綻保険会社に係る保険契約の移転等に要すると見込まれる費用として内閣府令・財務省令で定めるものに該当する費用の額のうち、当該資金援助に係る保険契約の移転等の円滑な実施のために必要であると加入機構が認めた額
3 加入機構は、第一項の決定をしたときは、直ちに、その決定に係る事項として内閣府令・財務省令で定めるものを内閣総理大臣に報告しなければならない。
4 加入機構は、第一項の規定により資金援助を行うことを決定したときは、当該資金援助の申込みを行った保険会社又は保険持株会社等のうち当該資金援助の当事者となるものと、当該資金援助に関する契約を締結するものとする。
5 前項の契約に係る資金援助のうちに損害担保が含まれているときは、当該契約に係る救済保険会社又は救済保険持株会社等は、当該契約において、当該損害担保に係る資産について利益が生じたときは当該利益の額の全部又は一部を当該契約に係る加入機構に納付し、又は当該保険契約の移転等により当該資産を有することとなる者をして当該契約に係る加入機構に納付させるための措置を講ずる旨を約するものとする。

第二目 保険契約の承継

(保険契約の承継)
第二百七十条の三の二 加入機構は、第二百六十七条第一項の規定による保険契約の承継の申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、当該申込みに係る第六項各号に掲げる決定を行う前に、内閣総理大臣に対して第二百五十六条第一項の規定による措置をとることを求めることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により第二百五十六条第一項の規定による措置をとることを求められたときは、遅滞なく、当該措置をとることができるかどうか、及び当該措置をとることとする場合には、そのとるべき措置の内容を加入機構に通知するものとする。
3 加入機構は、前項の規定による内閣総理大臣の通知の内容が第二百五十六条第一項の規定による措置をとるものであったときは、第六項各号に掲げる決定に係る手続の実施を停止するものとする。ただし、第二百七十条の二の規定による確認の手続については、この限りでない。
4 内閣総理大臣が第一項の規定により第二百五十六条第一項の規定による措置をとった場合において、第二百六十七条第一項の規定による保険契約の承継の申込みを行った破綻保険会社が、合併等に係る協議を調えたときは、当該破綻保険会社は、遅滞なく、当該申込みを取り下げなければならない。
5 前項に規定する場合において、合併等に係る協議が調わないこととなったときは、同項の破綻保険会社は、遅滞なく、その旨を加入機構に通知しなければならない。
6 加入機構は、内閣総理大臣に対して第一項の規定による求めをする必要がないと認めたとき、第二項の規定による内閣総理大臣の通知の内容が第二百五十六条第一項の規定による措置をとることができないとするものであったとき、又は前項の規定による通知があったときは、速やかに、委員会の議を経て、第一項の申込みに係る第一号及び第二号に掲げる決定又は第二号に掲げる決定をしなければならない。
 一 加入機構が破綻保険会社から保険契約を引き継ぐため保険契約の移転又は合併を行う承継保険会社を機構の子会社として設立する旨の決定
 二 承継保険会社が破綻保険会社から保険契約を引き継ぐため保険契約の移転又は合併を行うべき旨の決定
7 加入機構は、第二百六十七条第三項の申込みを受けた場合において、当該申込みに係る保険契約の承継について前項の決定をするときは、委員会の議を経て、併せて当該申込みに係る資金援助を行うかどうかを決定しなければならない。
8 前条第二項の規定は前項の規定による資金援助(金銭の贈与に限る。)の額について、同条第三項の規定は加入機構が前二項の決定をした場合について、同条第四項の規定は加入機構が前項の規定により資金援助を行うことを決定した場合について、それぞれ準用する。この場合において、同条第二項中「保険契約の移転等」とあるのは「保険契約の承継」と、同条第四項中「保険会社又は保険持株会社等のうち当該資金援助の当事者となるもの」とあるのは「破綻保険会社」と読み替えるものとする。
9 第一項の申込みに係る破綻保険会社は、加入機構が第六項各号に掲げる決定をしたときは、当該決定に係る承継保険会社と保険契約の全部若しくは一部に係る保険契約の移転又は合併をすることができる。

(承継保険会社の設立等)
第二百七十条の三の三 加入機構は、前条第六項第一号に掲げる決定をしたときは、当該決定に係る出資の内容について委員会の議を経て、承継保険会社となる株式会社の設立の発起人となり、及び当該設立の発起人となった株式会社を機構の子会社として設立するための出資をしなければならない。
2 加入機構は、前項に規定する場合のほか、承継保険会社に対する出資を行おうとするときは、委員会の議を経なければならない。
3 加入機構は、前二項に規定する出資をしたときは、速やかに、その内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(承継保険会社の経営管理)
第二百七十条の三の四 機構は、承継保険会社(当該機構が設立したものに限る。以下この条、第二百七十条の三の六及び第二百七十条の三の十において同じ。)が次に掲げる事項を適確に実施できるようその経営管理を行わなければならない。
 一 第二百七十条の三の二第六項第二号に掲げる決定があったときは、当該決定の対象とされた破綻保険会社から保険契約を引き継ぐため保険契約の移転又は合併を行うこと。
 二 保険契約の管理及び処分その他の業務の実施に際しては、次項の指針に従うこと。
2 機構は、承継保険会社の保険契約の管理及び処分その他の業務についての指針を作成し、内閣総理大臣の承認を受けた後、公表しなければならない。
3 機構は、承継保険会社に対し、その経営に必要な指導及び助言を行うことができる。
4 機構は、承継保険会社の株式の譲渡その他の処分を行ったときは、速やかに、その旨を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(会社法第四百六十七条の不適用)
第二百七十条の三の五 会社法第四百六十七条第一項第五号(事業譲渡等の承認等)の規定は、機構が承継保険会社の発行済株式の全部を所有する場合における第二百七十条の二第二項又は第五項の規定による確認がされた財産については、適用しない。

(承継協定)
第二百七十条の三の六 機構は、承継保険会社と次に掲げる事項を含む協定(以下「承継協定」という。)を締結するものとする。
 一 承継協定を締結した承継保険会社(以下「協定承継保険会社」という。)は、第二百七十条の三の四第一項各号に掲げる事項を実施すること。
 二 協定承継保険会社は、機構が当該協定承継保険会社の資産の買取りを行うことを機構に申し込むことができること。
 三 協定承継保険会社は、第二百七十条の三の八第一項に規定する債務の保証の対象となる資金の借入れに関する契約の締結をしようとするときは、当該締結をしようとする契約の内容についての機構の承認を受けること。
2 機構は、承継協定を締結したときは、直ちに、その承継協定の内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(資産の買取り)
第二百七十条の三の七 機構は、前条第一項第二号の申込みを受けたときは、遅滞なく、審査会及び委員会の議を経て、当該申込みに係る資産の買取りを行うかどうかを決定しなければならない。
2 機構は、前項の規定による決定をしたときは、直ちに、その決定に係る事項を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
3 機構は、第一項の規定により資産の買取りを行うことを決定したときは、当該資産の買取りの申込みを行った協定承継保険会社と当該資産の買取りに関する契約を締結するものとする。

(資金の貸付け及び債務の保証)
第二百七十条の三の八 機構は、協定承継保険会社から、協定承継保険会社の業務の円滑な実施のために必要とする資金について、その資金の貸付け又は協定承継保険会社によるその資金の借入れに係る債務の保証の申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、委員会の議を経て、当該貸付け又は債務の保証を行うことができる。
2 機構は、前項の規定により協定承継保険会社との間で同項の貸付け又は債務の保証に係る契約を締結したときは、直ちに、その契約内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(損失の補てん)
第二百七十条の三の九 機構は、承継協定の定めによる業務の実施により協定承継保険会社に生じた損失の額として政令で定めるところにより計算した金額があるときは、委員会の議を経て、当該金額の範囲内において、当該損失の補てんを行うことができる。

(報告の徴求)
第二百七十条の三の十 機構は、この目の規定による業務を行うため必要があるときは、承継保険会社に対し、承継協定の実施又は財務の状況に関し報告を求めることができる。

(保険契約の再承継における資金援助の申込み)
第二百七十条の三の十一 再承継保険会社又は再承継保険持株会社等(保険契約の再承継を行う保険持株会社等をいう。以下同じ。)は、その行おうとする保険契約の再承継に係る承継保険会社を設立した機構(以下「設立機構」という。)が当該保険契約の再承継について資金援助(損害担保に限る。)を行うことを、当該承継保険会社と連名で当該設立機構に申し込むことができる。
2 設立機構は、前項の場合において必要があると認めるときは、同項の申込みをした再承継保険会社又は再承継保険持株会社等及び承継保険会社その他の関係者に対し、資料の提出を求めることができる。

(保険契約の再承継における適格性の認定等)
第二百七十条の三の十二 前条第一項の場合においては、当該保険契約の再承継を行う承継保険会社及び再承継保険会社又は承継保険会社及び再承継保険持株会社等は、同項の申込みが行われる時までに、当該保険契約の再承継について、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。
2 第二百六十八条第二項から第六項まで(第三項第三号を除く。)の規定は、前項の認定について準用する。この場合において、同条第二項中「破綻保険会社及び救済保険会社又は破綻保険会社及び救済保険持株会社等」とあるのは「承継保険会社及び再承継保険会社又は承継保険会社及び再承継保険持株会社等」と、同条第三項中「保険契約の移転等」とあるのは「保険契約の再承継」と、「加入機構」とあるのは「設立機構」と、同条第四項及び第五項中「加入機構」とあるのは「設立機構」と、同条第六項中「破綻保険会社」とあるのは「承継保険会社」と読み替えるものとする。
3 第二百七十条の二の規定は、前条第一項の申込みが行われる場合について準用する。この場合において、第二百七十条の二中「破綻保険会社」とあるのは「承継保険会社」と、「加入機構」とあるのは「設立機構」と、同条第一項中「その財産(外国保険会社等にあっては、日本に所在する財産。以下この款において同じ。)」とあるのは「その財産」と読み替えるものとする。

(保険契約の再承継の協議の相手方の指定等)
第二百七十条の三の十三 内閣総理大臣は、承継保険会社が保険契約の再承継に係る協議をすべき相手方として他の保険会社又は保険持株会社等を指定し、当該他の保険会社又は保険持株会社等にその協議に応ずるよう勧告することができる。
2 第二百五十六条第二項及び第三項並びに第二百五十七条の規定は、前項の勧告について準用する。この場合において、第二百五十六条第二項中「破綻保険会社又は破綻保険会社となる蓋然性が高いと認められる保険会社」とあるのは「同項の承継保険会社」と、同条第三項中「破綻保険会社又は破綻保険会社となる蓋然性が高いと認められる保険会社が会員として加入している保険契約者保護機構」とあるのは「第二百七十条の三の十三第一項の承継保険会社を設立した保険契約者保護機構」と、第二百五十七条第一項中「破綻保険会社」とあるのは「承継保険会社」と読み替えるものとする。
3 内閣総理大臣は、設立機構による資金援助が行われることが第一項の勧告に係る保険契約の再承継を行うために不可欠であると認めるときに限り、当該勧告に、前条第一項の規定にかかわらず、第二百七十条の三の十一第一項の申込みを行うことができる旨を付記することができる。
4 第二百六十八条第四項及び第五項の規定は、前項の付記をした場合について準用する。

(保険契約の再承継における資金援助)
第二百七十条の三の十四 設立機構は、第二百七十条の三の十一第一項の申込みをした承継保険会社に対して第二百七十条の三の十二第三項において準用する第二百七十条の二第二項又は第五項の通知をした後、遅滞なく、委員会の議を経て、当該申込みに係る資金援助を行うかどうかを決定しなければならない。
2 第二百七十条の三第三項の規定は設立機構が前項の決定をした場合について、同条第四項の規定は設立機構が前項の規定により資金援助を行うことを決定した場合について、同条第五項の規定はこの項において準用する同条第四項の契約を締結する再承継保険会社又は再承継保険持株会社等について、それぞれ準用する。この場合において、同条第五項中「保険契約の移転等」とあるのは「保険契約の再承継」と、「加入機構」とあるのは「設立機構」と読み替えるものとする。

第三目 保険契約の引受け

(保険契約の引受け)
第二百七十条の四 機構は、第二百六十七条第一項の規定による保険契約の引受けの申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、当該申込みに係る保険契約の引受けを行う前に、内閣総理大臣に対して第二百五十六条第一項の規定による措置をとることを求めることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により第二百五十六条第一項の規定による措置をとることを求められたときは、遅滞なく、当該措置をとることができるかどうか、及び当該措置をとることとする場合には、そのとるべき措置の内容を加入機構に通知するものとする。
3 加入機構は、前項の規定による内閣総理大臣の通知の内容が第二百五十六条第一項の規定による措置をとるものであったときは、保険契約の引受けに係る手続の実施を停止するものとする。ただし、第二百七十条の二の規定による確認の手続については、この限りでない。
4 内閣総理大臣が第一項の規定により第二百五十六条第一項の規定による措置をとった場合において、第二百六十七条第一項の規定による保険契約の引受けの申込みを行った破綻保険会社が、合併等に係る協議を調えたときは、当該破綻保険会社は、遅滞なく、当該申込みを取り下げなければならない。
5 前項に規定する場合において、合併等に係る協議が調わないこととなったときは、同項の破綻保険会社は、遅滞なく、その旨を加入機構に通知しなければならない。
6 加入機構は、内閣総理大臣に対して第一項の規定による求めをする必要がないと認めたとき、第二項の規定による内閣総理大臣の通知の内容が第二百五十六条第一項の規定による措置をとることができないとするものであったとき、又は前項の規定による通知があったときは、速やかに、委員会の議を経て、第一項の申込みに係る保険契約の引受けに関する契約を締結する日を決定しなければならない。
7 第二百七十条の三第三項の規定は、加入機構が前項の決定をした場合について準用する。
8 第一項の申込みに係る破綻保険会社は、加入機構が第六項の規定による決定をしたときは、加入機構との保険契約の引受けに関する契約により、当該加入機構に対し、保険契約の全部又は一部に係る保険契約の移転をすることができる。
9 第百三十五条第二項から第四項まで、第百三十六条から第百四十条まで、第百五十五条、第二百十条及び第二百五十条から第二百五十三条までの規定は、保険契約の引受けに係る破綻保険会社からの加入機構への保険契約の移転について準用する。この場合において、第百三十五条第三項及び第四項中「第一項」とあるのは「第二百七十条の四第八項」と、第百三十六条第一項中「前条第一項」とあるのは「第二百七十条の四第八項」と、「移転会社及び移転先会社(外国保険会社等を除く。)」とあるのは「移転会社」と、「以下この章、次章及び第十章」とあるのは「第二百五十条第四項」と、同条第三項中「移転会社及び移転先会社」とあるのは「移転会社」と、「前条第一項」とあるのは「第二百七十条の四第八項」と、第百三十七条第一項中「第百三十五条第一項」とあるのは「第二百七十条の四第八項」と、「移転先会社」とあるのは「当該保険会社が会員として加入している保険契約者保護機構(第百四十条、第百五十五条及び第二百五十二条において「加入機構」という。)」と、第百三十九条第二項中「次に掲げる基準」とあるのは「第一号及び第三号に掲げる基準」と、第百四十条第二項中「移転先会社」とあるのは「加入機構」と、「第百三十五条第一項」とあるのは「第二百七十条の四第八項」と、「同条第四項」とあるのは「同条第九項において準用する第百三十五条第四項」と、同条第三項中「第百三十五条第一項」とあるのは「第二百七十条の四第八項」と、「移転先会社」とあるのは「加入機構」と、第百五十五条第一号中「第百三十五条第一項(第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。)に規定する移転先会社(外国保険会社等を除く。)の株主総会等の議事録」とあるのは「加入機構の総会の議事録」と、第二百十条第一項中「第百三十五条第一項の契約に係る契約書(以下この節において「移転契約書」という。)」とあるのは「第二百七十条の四第八項の契約に係る契約書(以下この節において「移転契約書」という。)」と、第二百五十条第一項中「第百三十五条第一項(第二百十条第一項及び第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。)とあるのは「第二百七十条の四第八項」と、「第二百六十八条第一項又は第二百七十条第一項」とあるのは「第二百七十条第一項」と、「同条第三項に規定する救済保険会社」とあるのは「当該破綻保険会社が会員として加入している保険契約者保護機構」と、同条第四項中「第百三十五条第一項」とあるのは「第二百七十の四第八項」と、第二百五十二条中「第百三十五条第一項(第二百十条第一項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)」とあるのは「第二百七十条の四第八項」と、「第百三十五条第一項に規定する移転先会社」とあるのは「加入機構」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(保険契約の引受けに係る保険特別勘定への繰り入れ等)
第二百七十条の五 加入機構は、前条の規定により保険契約の引受けをしたときは、当該保険契約の引受けに係る保険契約の移転とともに譲り受けた当該保険契約の引受けに係る破綻保険会社の財産を、当該破綻保険会社について設けた保険特別勘定において受け入れるものとする。
2 加入機構は、前条の規定により保険契約の引受けをしたときは、当該保険契約の引受けに係る破綻保険会社につき、第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を控除した残額に相当する金額を、一般勘定から当該破綻保険会社について設けた保険特別勘定に繰り入れるものとする。
 一 当該破綻保険会社に係る補償対象契約に係る特定責任準備金等の額に、当該補償対象契約の種類、予定利率その他の内容等を勘案して内閣府令・財務省令で定める率を乗じて得た額
 二 当該破綻保険会社の確認財産評価に基づく資産の価額のうち、補償対象契約に係る特定責任準備金等に見合うものとして内閣府令・財務省令で定めるところにより計算した額
3 加入機構は、前条の規定により保険契約の引受けをしたときは、当該保険契約の引受けに係る破綻保険会社の第四条第二項第二号から第四号までに掲げる書類を引き継ぐものとする。
4 加入機構は、前条の規定による保険契約の引受けに係る保険契約の管理及び処分に係る業務(これに附帯する業務を含む。)の実施によりその保険特別勘定に生じた損失の額として政令で定めるところにより計算した金額があるときは、委員会の議を経て、当該金額の範囲内において、一般勘定から当該保険特別勘定への繰入れをすることができる。

(機構が保険業を行う場合のこの法律の適用関係)
第二百七十条の六 機構は、第三条第一項の規定にかかわらず、第二百七十の四第八項の規定に基づき締結した保険契約の引受けに関する契約により移転を受けた保険契約の管理及び処分に必要な範囲内において、保険業を行うことができる。
2 機構が、前項の規定により保険業を行う場合におけるこの法律の適用については、次に定めるところによる。
 一 第九条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第九十七条、第九十七条の二第一項及び第二項、第九十八条、第二編第五章(第百九条、第百十三条及び第百十四条を除く。)、第百二十三条から第百二十五条まで、第百三十一条、同編第七章第一節及び第三節並びに第三百九条の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、機構を保険会社とみなす。この場合において、第九十七条第一項中「第三条第二項」とあるのは「第二百六十条第九項に規定する保険契約の引受けに係る同条第二項に規定する破綻保険会社」と、第九十八条第一項中「次に掲げる業務その他の業務」とあるのは「第一号及び第二号に掲げる業務」と、第百二十条第一項並びに第百二十一条第一項及び第二項中「取締役会」とあるのは「保険契約者保護機構の理事長」と、第百三十六条第一項中「又は社員総会(総代会を設けているときは、総代会)(以下この章、次章及び第十章において「株主総会等」という。)とあるのは「、社員総会(総代会を設けているときは、総代会)又は保険契約者保護機構の総会(第百四十四条第二項及び第百四十九条第一項において「株主総会等」という。)」と、第百三十六条の二第一項中「移転会社の取締役(委員会設置会社にあっては、執行役)」とあるのは「保険契約者保護機構の理事」と、「前条第一項の株主総会等の会日の二週間前から」とあるのは「第二百七十条の六第二項第一号の規定により読み替えて適用される前条第一項の保険契約者保護機構の総会の会日から」とする。
 二 第百一条から第百五条までの規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、その会員であった保険契約の引受けに係る破綻保険会社が受けていた免許が第二百六十二条第二項第二号に掲げる免許の種類に属するものである場合における機構を損害保険会社とみなす。
 三  第百十四条の規定の適用については、機構を保険会社である株式会社とみなす。
3 機構が、第一項の規定により保険業を行う場合には、自動車損害賠償保障法その他の政令で定める法令の適用については、政令で定めるところにより、当該機構を保険会社又は会員の免許の種類に応じ生命保険会社若しくは損害保険会社とみなす。

(保険契約の再移転における資金援助の申込み)
第二百七十条の六の二 再移転先保険会社は、その行おうとする保険契約の再移転に係る保険契約の引受けをした機構(以下「引受機構」という。)が当該保険契約の再移転について資金援助(損害担保に限る。)を行うことを、当該引受機構に申し込むことができる。
2 引受機構は、前項の場合において必要があると認めるときは、同項の申込みをした再移転先保険会社その他の関係者に対し、資料の提出を求めることができる。

(保険契約の再移転における適格性の認定)
第二百七十条の六の三 前条第一項の場合においては、当該保険契約の再移転を行う引受機構及び再移転先保険会社は、同項の申込みが行われる時までに、当該保険契約の再移転について、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。
2 第二百六十八条第二項から第五項まで(第三項第三号を除く。)の規定は、前項の認定について準用する。この場合において、同条第二項中「破綻保険会社及び救済保険会社又は破綻保険会社及び救済保険持株会社等」とあるのは「引受機構及び再移転先保険会社」と、同条第三項中「保険契約の移転等」とあるのは「保険契約の再移転」と、「加入機構」とあるのは「引受機構」と、同条第四項及び第五項中「加入機構」とあるのは「引受機構」と読み替えるものとする。

(保険契約の再移転の協議の相手方の指定等)
第二百七十条の六の四 内閣総理大臣は、引受機構が保険契約の再移転に係る協議をすべき相手方として保険会社を指定し、当該保険会社にその協議に応ずるよう勧告することができる。
2 第二百五十六条第二項及び第三項並びに第二百五十七条の規定は、前項の勧告について準用する。この場合において、第二百五十六条第二項中「破綻保険会社又は破綻保険会社となる蓋然性が高いと認められる保険会社」とあるのは「同項の引受機構」と、「他の保険会社又は保険持株会社等」とあるのは「保険会社」と、同条第三項中「破綻保険会社又は破綻保険会社となる蓋然性が高いと認められる保険会社が会員として加入している保険契約者保護機構」とあるのは「第二百七十条の六の四第一項の引受機構」と、第二百五十七条第一項中「破綻保険会社」とあるのは「引受機構」と、「他の保険会社又は保険持株会社等」とあるのは「保険会社」と読み替えるものとする。
3 内閣総理大臣は、引受機構による資金援助が行われることが第一項の勧告に係る保険契約の再移転を行うために不可欠であると認めるときに限り、当該勧告に、前条第一項の規定にかかわらず、第二百七十条の六の二第一項の申込みを行うことができる旨を付記することができる。
4 第二百六十八条第四項及び第五項の規定は、前項の付記をした場合について準用する。

(保険契約の再移転における資金援助)
第二百七十条の六の五 引受機構は、第二百七十条の六の二第一項の規定による申込みを受けたときは、遅滞なく、審査会及び委員会の議を経て、当該申込みに係る資金援助を行うかどうかを決定しなければならない。
2 第二百七十条の三第三項の規定は引受機構が前項の決定をした場合について、同条第四項の規定は引受機構が前項の規定により資金援助を行うことを決定した場合について、それぞれ準用する。この場合において、同条第四項中「保険会社又は保険持株会社等のうち当該資金援助の当事者となるもの」とあるのは、「再移転先保険会社」と読み替えるものとする。
3 前項において準用する第二百七十条の三第四項の契約を締結する再移転先保険会社は、当該契約において、当該契約に係る損害担保に係る資産について利益が生じたときは当該利益の額の全部又は一部を当該契約に係る引受機構に納付する旨を約するものとする。

第四目 補償対象保険金の支払に係る資金援助

(補償対象保険金の支払に係る資金援助の申込み)
第二百七十条の六の六 次に掲げる保険会社(第四款までにおいて「特定保険会社」という。)は、加入機構が補償対象保険金の支払に係る資金援助(金銭の贈与に限る。)を行うことを、当該加入機構に申し込むことができる。
 一 第二百四十一条第一項の規定によりその業務の全部若しくは一部の停止を命ぜられ、又は第二百四十五条(第二百五十八条第二項において準用する場合を含む。)、第二百五十条第五項(第二百七十条の四第九項において準用する場合を含む。)、第二百五十四条第四項若しくは第二百五十五条の二第三項の規定によりその業務を停止し、保険契約に係る支払を停止している保険会社
 二 裁判所に破産手続又は更生手続が係属し、保険契約に係る支払を停止している保険会社
2 加入機構は、前項の場合において必要があると認めるときは、同項の申込みをした特定保険会社その他の関係者に対し、資料の提出を求めることができる。

(補償対象保険金の支払に係る資金援助)
第二百七十条の六の七 加入機構は、前条第一項の申込みを受けたときは、遅滞なく、委員会の議を経て、当該申込みに係る補償対象保険金の支払に係る資金援助を行うかどうかを決定しなければならない。
2 加入機構は、前項の決定をしたときは、直ちに、その決定に係る事項を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
3 加入機構は、第一項の規定により補償対象保険金の支払に係る資金援助を行うことを決定したときは、当該申込みを行った特定保険会社と当該補償対象保険金の支払に係る資金援助に関する契約を締結するものとする。

第三款 保険金請求権等の買取り

(保険金請求権等の買取り)
第二百七十条の六の八 加入機構は、特定保険会社がその保険契約に係る支払のすべてを停止している場合には、委員会の議を経て、補償対象契約に係る保険金請求権その他の政令で定める権利(担保権の目的となっていないものに限る。以下この款において「保険金請求権等」という。)の買取りをすることを決定することができる。
2 前項の買取りは、保険契約に係る支払のすべてを停止している期間内に、前項の保険金請求権等を、その保険金請求権等に係る債権者の請求に基づいて、補償対象契約の保険金その他の給付金の額に当該補償対象契約の種類、予定利率その他の内容、当該請求に係る保険事故が発生した時期等を勘案して内閣府令・財務省令で定める率を乗じて得た額(以下「買取額」という。)で買い取ることにより行うものとする。ただし、加入機構は、その買取りに係る保険金請求権等の回収をした場合において、当該回収によって得た金額から当該買取りに要した費用として内閣府令・財務省令で定めるものの額を控除した金額が、当該買取りに係る買取額を超えるときは、その超える部分の金額を当該保険金請求権等に係る債権者に対して支払うものとする。
3 加入機構は、第一項の決定をしたときは、直ちに、その決定に係る事項を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(買取りの公告等)
第二百七十条の六の九 加入機構は、前条第一項の決定をしたときは、速やかに、同項の保険金請求権等の買取りに係る買取場所、買取額の支払方法その他内閣府令・財務省令で定める事項を定め、これを公告しなければならない。
2 加入機構は、前条第二項ただし書の規定による支払をするときは、あらかじめ、委員会の議を経て、支払額、支払期間その他内閣府令・財務省令で定める事項を定め、これを公告しなければならない。
3 前条第三項の規定は、前項に規定する事項を定めた場合について準用する。

(課税関係)
第二百七十条の六の十 保険金請求権等を有する者が当該保険金請求権等について第二百七十条の六の八第二項の規定による買取りに係る買取額の支払を受けた場合には、当該支払を受けた買取額(当該買取額の支払を受けた者が当該買取額に係る保険金請求権等につき同項ただし書の規定による支払を受けた場合には、当該支払を受けた金額を含む。)は、当該保険金請求権等に係る補償対象契約に基づく保険金その他の給付金の金額とみなして、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)その他の所得税に関する法令の規定を適用する。
2 前項の規定の適用がある場合における租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第四条の二及び第四条の三の規定の特例その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
3 保険金請求権等につき第二百七十条の六の八第二項の規定による買取りに係る買取額(当該買取額に係る保険金請求権等につき同項ただし書の規定により当該保険金請求権等に係る保険事故が発生した後三年以内に支払を受けた場合には、当該支払を受けた金額を含む。以下この項において同じ。)の支払を受けた場合における当該支払を受けた買取額に係る相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)その他相続税又は贈与税に関する法令の規定の適用については、同法第三条第一項第一号中「保険金(共済金」とあるのは「保険金(保険業法(平成七年法律第百五号)第二百七十条の六の十第三項に規定する買取額(第五条第二項において「買取額」という。)及び共済金」と、「当該保険金受取人(」とあるのは「当該保険金受取人(当該買取額の支払を受けた者及び」と、同法第五条第二項中「準ずるもの」とあるのは「準ずるもの(買取額を含む。以下同じ。)」とする。

第四款 雑則

(会員に対する貸付け)
第二百七十条の七 第二百六十五条の二十八第二項第一号の資金の貸付けは、次に掲げる場合において、機構の会員による保険金その他の給付金(外国保険会社等にあっては、日本における保険契約に係る保険金その他の給付金。以下この項において同じ。)の円滑な支払のために必要かつ適当であると認められるときに限り、その申請に基づいて、その必要と認められる金額の範囲内において行うことができる。
 一 機構の会員が、一時的な資金事情により、保険金その他の給付金の支払を遅延し、又は遅延するおそれがある場合
 二 特定保険会社である機構の会員が、当該機構と第二百七十条の六の七第三項の規定による契約を締結した場合
2 前項第一号の資金の貸付けは、当該資金の貸付けに係る貸付金債権の回収が確実であると認められることその他の内閣府令・財務省令で定める要件を満たすものでなければならない。
3 機構は、第一項の規定による資金の貸付けの申請があったときは、委員会の議を経て、当該資金の貸付けをするかどうかを決定しなければならない。
4 機構は、前項の規定により第一項の資金の貸付けをすることを決定したときは、直ちに、その決定に係る事項を内閣総理大臣に報告しなければならない。

(保険契約者等に対する貸付け)
第二百七十条の八 第二百六十五条の二十八第二項第二号の資金の貸付けは、機構の会員が特定保険会社であるときに限り、当該会員の財務省令で定める保険契約に係る保険契約者等であって保険金請求権その他の財務省令で定める権利を有する者(以下この条において「有資格者」という。)に対して、当該有資格者の申請に基づいて、当該有資格者が当該権利に基づき支払を受け得ると見込まれる金額として財務省令で定める金額の範囲内において行うことができる。
2 前項の資金の貸付けは、有資格者が同項の権利に基づき支払を受ける保険金その他の給付金により当該資金の貸付けに係る債務が確実に弁済されると認められることその他の内閣府令・財務省令で定める要件を満たすものでなければならない。
3 機構は、その会員が特定保険会社となったときは、委員会の議を経て、当該会員について、当該会員の有資格者に対する資金の貸付けをするかどうかを決定しなければならない。
4 機構は、前項の規定により第一項の資金の貸付けをすることを決定したときは、直ちに、その決定に係る事項を内閣総理大臣に報告するとともに、速やかに、委員会の議を経て、当該資金の貸付けに係る受付場所、貸付方法その他の内閣府令・財務省令で定める事項を定め、これを公告しなければならない。

(清算保険会社の資産の買取りの申込み)
第二百七十条の八の二 清算保険会社は、機構(当該清算保険会社がその会員であったものに限る。)が当該清算保険会社の資産の買取りを行うことを、当該機構に申し込むことができる。
2 機構は、前項の場合において必要があると認めるときは、同項の申込みをした清算保険会社その他の関係者に対し、資料の提出を求めることができる。

(清算保険会社の資産の買取り)
第二百七十条の八の三 機構は、前条第一項の申込みを受けたときは、遅滞なく、審査会及び委員会の議を経て、当該申込みに係る資産の買取りを行うかどうかを決定しなければならない。
2 機構は、前項の規定による決定をしたときは、直ちに、その決定に係る事項を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
3 機構は、第一項の規定により資産の買取りを行うことを決定したときは、当該資産の買取りの申込みを行った清算保険会社と当該資産の買取りに関する契約を締結するものとする。

(課税の特例)
第二百七十条の九 第二百四十四条(第二百四十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定による登記については、登録免許税を課さない。
2 機構が、第二百七十条の四の規定により会員である破綻保険会社に係る保険契約の引受けをした場合において、同条第八項の規定により締結した保険契約の引受けに関する契約に定められた当該保険契約の引受けに伴う当該破綻保険会社の財産の移転により不動産又は動産に関する権利の取得をしたときは、当該不動産又は動産に関する権利の移転の登記については、財務省令で定めるところにより当該取得後一年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税を課さない。
3 承継保険会社が第二百七十条の三の二第六項の規定による同項第二号に掲げる決定を受けて行う第二百七十条第一項の規定による適格性の認定を受けた破綻保険会社の保険契約の移転又は当該破綻保険会社との合併(次項において「決定に基づく保険契約の移転等」という。)により不動産に関する権利の取得をした場合には、当該不動産に関する権利の移転の登記については、財務省令で定めるところにより当該取得後一年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税を課さない。
4 承継保険会社が決定に基づく保険契約の移転等により取得した土地又は土地の上に存する権利の譲渡(租税特別措置法第六十二条の三第二項第一号イに規定する譲渡をいう。)は、承継保険会社に係る同条及び並びに同法第六十三条、第六十八条の六十八及び第六十八条の六十九の規定の適用については、同法第六十二条の三第二項第一号に規定する土地の譲渡等には該当しないものとする。

第五節 雑則

(清算手続等における内閣総理大臣の意見等)
第二百七十一条 裁判所は、保険会社等又は外国保険会社等の清算手続、破産手続、再生手続、更生手続又は承認援助手続において、内閣総理大臣に対し、意見を求め、又は検査若しくは調査を依頼することができる。
2 内閣総理大臣は、前項に規定する手続において、必要があると認めるときは、裁判所に対し、意見を述べることができる。
3 第百二十九条第一項、第二百一条第一項、第二百二十七条第一項及び第二百七十二条の二十三第一項の規定は、第一項の規定により内閣総理大臣が裁判所から検査又は調査の依頼を受けた場合について準用する。

(根抵当権の譲渡に係る特例)
第二百七十一条の二 被管理会社が承継保険会社(第二百六十条第六項に規定する承継保険会社をいう。第五項及び第二百七十一条の二の三第一項第三号において同じ。)その他の保険会社又は当該被管理会社の保険契約の引受け(第二百六十条第九項に規定する保険契約の引受けをいう。第五項において同じ。)をする機構(以下この条において「承継保険会社等」という。)に対する保険契約の移転とともにする財産の移転により元本の確定前に根抵当権をその担保すべき債権の全部とともに譲渡しようとするときは、当該被管理会社及び当該承継保険会社等は、次に掲げる事項について異議のある根抵当権設定者は当該被管理会社に対し一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告し、又はこれを催告することができる。
 一 当該被管理会社から当該承継保険会社等に当該根抵当権が譲渡されること及びその期日
 二 当該根抵当権の譲渡の後においても当該根抵当権が当該債権を担保すべきものとすること。
2 前項の期間は、二週間を下ってはならない。
3 第一項の公告又は催告に係る根抵当権設定者が同項各号に掲げる事項について同項の期間内に異議を述べなかったときは、同項第一号に掲げる事項について当該根抵当権設定者の承諾が、同項第二号に掲げる事項について当該根抵当権設定者と同項の公告又は催告に係る承継保険会社等の合意が、それぞれあったものとみなす。
4 根抵当権設定者が第一項各号に掲げる事項の一部について異議を述べたときは、同項各号に掲げる事項の全部について異議を述べたものとみなす。
5 前各項の規定は、承継保険会社又は保険契約の引受けをした機構が他の保険会社に対する保険契約の移転とともにする財産の移転により元本の確定前に根抵当権をその担保すべき債権の全部とともに譲渡しようとする場合について準用する。

(根抵当権移転登記等の申請手続の特例)
第二百七十一条の二の二 前条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の場合における根抵当権の移転の登記の申請には、その申請情報と併せて公告又は催告をしたこと及び根抵当権設定者が同条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の期間内に異議を述べなかったことを証する情報を提供しなければならない。
2 前条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の場合における根抵当権の担保すべき債権の範囲に譲渡に係る債権を追加することを内容とする根抵当権の変更の登記は、その申請情報と併せて前項に規定する情報を提供したときは、根抵当権者のみで申請することができる。

(業務の継続の特例)
第二百七十一条の二の三 次の各号に掲げる者は、その営業に関する法令により行うことができない業務に属する契約又は制限されている契約に係る権利義務を当該各号に定める保険契約の移転又は合併により承継した場合には、これらの契約のうち、期限の定めのあるものについては期限満了まで、期限の定めのないものについては承継の日から二年以内の期間に限り、これらの契約に関する業務を継続することができる。
 一 第二百五十六条第一項、第二百七十条の三の十三第一項又は第二百七十条の六の四第一項の勧告を受けた保険会社 当該勧告に係る保険契約の移転又は合併
 二 第二百六十八条第一項、第二百七十条の三の十二第一項又は第二百七十条の六の三第一項の認定を受けた救済保険会社(第二百六十条第三項に規定する救済保険会社をいう。)、再承継保険会社又は再移転先保険会社 当該認定に係る保険契約の移転又は合併
 三 第二百七十条第一項の認定を受けた破綻保険会社(第二百六十条第二項に規定する破綻保険会社をいう。)との間で当該認定に係る保険契約の移転又は合併をする承継保険会社又は機構 当該保険契約の移転又は合併
2 前項に規定する者は、同項に規定する契約に関する業務の利用者の利便等に照らし特別の事情がある場合において、期間を定めて当該業務を整理することを内容とする計画を作成し、当該計画につき内閣総理大臣の承認を受けたときは、保険契約の移転又は合併の日における当該契約の総額を超えない範囲内において、かつ、当該計画に従い、同項の期限が満了した契約を更新して、又は同項の期間を超えて、当該業務を継続することができる。

第十一章 株主

第一節 通則

(保険会社等の議決権保有に係る届出書の提出)
第二百七十一条の三 一の保険会社の総株主の議決権の百分の五を超える議決権又は一の保険持株会社の総株主の議決権の百分の五を超える議決権の保有者(国、地方公共団体その他これらに準ずるものとして政令で定める法人(第二百七十一条の十において「国等」という。)を除く。以下この章及び第三百三十三条において「保険議決権大量保有者」という。)は、内閣府令で定めるところにより、保険議決権大量保有者となった日から五日(日曜日その他政令で定める休日の日数は、算入しない。次条第一項において同じ。)以内(保有する議決権の数に増加がない場合その他の内閣府令で定める場合にあっては、内閣府令で定める日以内)に、次に掲げる事項を記載した届出書(以下この章において「保険議決権保有届出書」という。)を内閣総理大臣に提出しなければならない。
 一 議決権保有割合(保険議決権大量保有者の保有する当該保険議決権大量保有者がその総株主の議決権の百分の五を超える議決権の保有者である保険会社又は保険持株会社の議決権の数を、当該保険会社又は当該保険持株会社の総株主の議決権で除して得た割合をいう。以下この章において同じ。)に関する事項、取得資金に関する事項、保有の目的その他の保険会社又は保険持株会社の議決権の保有に関する重要な事項として内閣府令で定める事項
 二 商号、名称又は氏名及び住所
 三 法人である場合においては、その資本金額(出資総額を含む。)及びその代表者の氏名
 四 事業を行っているときは、営業所の名称及び所在地並びにその事業の種類
2 第二条第十五項の規定は、前項の場合において保険議決権大量保有者が保有する議決権について準用する。

(保険議決権保有届出書に関する変更報告書の提出)
第二百七十一条の四 保険議決権大量保有者は、一の保険会社の総株主の議決権の百分の五を超える議決権又は一の保険持株会社の総株主の議決権の百分の五を超える議決権の保有者となった日の後に、前条第一項各号に掲げる事項の変更があった場合(議決権保有割合の変更の場合にあっては、百分の一以上増加し又は減少した場合に限る。)には、内閣府令で定めるところにより、その日から五日以内(保有する議決権の数に増加がない場合その他の内閣府令で定める場合にあっては、内閣府令で定める日以内)に、当該変更に係る報告書(以下この条及び次条において「変更報告書」という。)を内閣総理大臣に提出しなければならない。ただし、議決権保有割合が百分の一以上減少したことによる変更報告書で当該変更報告書に記載された議決権保有割合が百分の五以下であるものを既に提出している場合その他の内閣府令で定める場合については、この限りでない。
2 議決権保有割合が減少したことにより変更報告書を提出する者は、短期間に大量の議決権を譲渡したものとして政令で定める基準に該当する場合においては、内閣府令で定めるところにより、譲渡の相手方及び対価に関する事項についても当該変更報告書に記載しなければならない。
3 保険議決権保有届出書又は変更報告書(以下この節において「提出書類」という。)を提出する日の前日までに、新たに変更報告書を提出しなければならない事由が生じた場合には、当該変更報告書は、第一項本文の規定にかかわらず、提出されていない当該提出書類の提出と同時に内閣総理大臣に提出しなければならない。
4 提出書類を提出した者は、当該提出書類に記載された内容が事実と相違し、又は記載すべき事項若しくは誤解を生じさせないために必要な事実の記載が不十分であり、若しくは欠けていると認めるときは、訂正報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
5 第二条第十五項の規定は、第一項及び第二項の場合において保険議決権大量保有者が保有する議決権について準用する。

(保険議決権保有届出書等に関する特例)
第二百七十一条の五 銀行、金融商品取引業者(有価証券関連業を行う者に限る。)、信託会社その他の内閣府令で定める者のうち基準日を内閣総理大臣に届け出た者が保有する議決権で当該議決権に係る株式の発行者である保険会社又は保険持株会社に事業活動を支配することを保有の目的としないもの(議決権保有割合が内閣府令で定める数を超えた場合及び保有の態様その他の事情を勘案して内閣府令で定める場合を除く。以下この条において「特例対象議決権」という。)に係る保険議決権保有届出書は、第二百七十一条の三第一項の規定にかかわらず、議決権保有割合が初めて百分の五を超える数となった基準日における当該議決権の保有状況に関する事項であって、内閣府令で定めるものを記載したものを、内閣府令で定めるところにより、当該基準日の属する月の翌月十五日までに、内閣総理大臣に提出しなければならない。
2 特例対象議決権に係る変更報告書(当該議決権が特例対象株式以外の議決権になる場合の変更に係るものを除く。)は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日までに、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に提出しなければならない。
 一 前項の保険議決権保有届出書に係る基準日の後の基準日における議決権保有割合が当該保険議決権保有届出書に記載された議決権保有割合より百分の一以上増加し又は減少した場合その他の同項に規定する内閣府令で定めるものの重要な変更があった場合 当該後の基準日の属する月の翌月十五日
 二 当該保険議決権保有届出書に係る基準日の属する月の後の月の末日において議決権保有割合が大幅に増加し又は減少した場合として内閣府令で定める基準に該当することとなった場合 当該末日の属する月の翌月十五日
 三 変更報告書に係る基準日の後の基準日における議決権保有割合が当該変更報告書に記載された株式所有割合より百分の一以上増加し又は減少した場合その他の前項に規定する内閣府令で定めるものの重要な変更があった場合 当該後の基準日の属する月の翌月十五日
 四 前三号に準ずる場合として内閣府令で定める場合 内閣府令で定める日
3 前二項の基準日とは、第一項に規定する内閣府令で定める者が内閣府令で定めるところにより内閣総理大臣に届出をした三月ごとの月の末日をいう。
4 第二条第十五項の規定は、第一項及び第二項の場合において保険議決権大量保有者が保有する特例対象議決権について準用する。

(訂正報告書の提出命令)
第二百七十一条の六 内閣総理大臣は、第二百七十一条の三第一項、第二百七十一条の四第一項若しくは第三項又は前条第一項若しくは第二項の規定により提出書類の提出を受けた場合において、当該提出書類に形式上の不備があり、又は当該提出書類に記載すべき事項のうち重要なものの記載が不十分であると認めるときは、当該提出書類の提出をした者に対し、訂正報告書の提出を命ずることができる。この場合においては、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項(不利益処分をしようとする場合の手続)の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。

第二百七十一条の七 内閣総理大臣は、提出書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき事項のうち重要なもの若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けていることを発見したときは、いつでも、当該提出書類の提出をした者に対し、訂正報告書の提出を命ずることができる。この場合においては、行政手続法第十三条第一項(不利益処分をしようとする場合の手続)の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。

(保険議決権大量保有者による報告又は資料の提出)
第二百七十一条の八 内閣総理大臣は、提出書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき事項のうち重要なもの若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けている疑いがあると認めるときは、当該提出書類を提出した保険議決権大量保有者に対し、当該提出書類に記載すべき事項又は誤解を生じさせないために必要な事実に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。

(保険議決権大量保有者に対する立入検査)
第二百七十一条の九 内閣総理大臣は、提出書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき事項のうち重要なもの若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けている疑いがあると認めるときは、当該職員に当該提出書類を提出した保険議決権大量保有者の事務所その他の施設に立ち入らせ、当該提出書類に記載すべき事項若しくは誤解を生じさせないために必要な事実に関し質問させ、又は当該保険議決権大量保有者の帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定による立入り、質問又は検査をする職員は、その立入り、質問又は検査の相手方にその理由を示さなければならない。

第二節 保険主要株主に係る特例

第一款 通則

(保険主要株主に係る認可等)
第二百七十一条の十 次に掲げる取引若しくは行為により一の保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者になろうとする者又は保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者である会社その他の法人の設立をしようとする者(国等並びに第二百七十一条の十八第一項に規定する持株会社になろうとする会社、同項に規定する者及び保険会社を子会社としようとする保険持株会社を除く。)は、あらかじめ、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
 一 当該議決権の保有者になろうとする者による保険会社の議決権の取得(担保権の実行による株式の取得その他の内閣府令で定める事由によるものを除く。)
 二 当該議決権の保有者になろうとする者がその主要株主基準値以上の数の議決権を保有している会社による第三条第一項の免許の取得
 三 その他政令で定める取引又は行為
2 前項各号に掲げる取引又は行為以外の事由により一の保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者になった者(国等並びに保険持株会社及び第二百七十一条の十八第二項に規定する特定持株会社を除く。以下この条及び第三百三十三条において「特定主要株主」という。)は、当該事由の生じた日の属する当該保険会社の事業年度の終了の日から一年を経過する日(以下この項及び第四項において「猶予期限日」という。)までに保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。ただし、当該特定主要株主が、猶予期限日後も引き続き保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者であることについて内閣総理大臣の認可を受けた場合は、この限りでない。
3 特定主要株主は、前項の規定による措置により保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者でなくなったときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。当該措置によることなく保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者でなくなったときも、同様とする。
4 内閣総理大臣は、第一項の認可を受けずに同項各号に掲げる取引若しくは行為により保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者になった者若しくは保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者として設立された会社その他の法人又は第二項ただし書の認可を受けることなく猶予期限日後も保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者である者に対し、当該保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者でなくなるよう、所要の措置を講ずることを命ずることができる。

第二百七十一条の十一 内閣総理大臣は、前条第一項又は第二項ただし書の認可の申請があったときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
 一 当該認可の申請をした者(以下この条において「申請者」という。)が会社その他の法人である場合又は当該認可を受けて会社その他の法人が設立される場合にあっては、次に掲げる基準に適合すること。
  イ 取得資金に関する事項、保有の目的その他の当該申請者又は当該認可を受けて設立される会社その他の法人(以下この号において「法人申請者等」という。)による保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有に関する事項に照らして、当該法人申請者等がその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者であり、又はその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者となる保険会社の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがないこと。
  ロ 法人申請者等及びその子会社(子会社となる会社を含む。)の財産及び収支の状況に照らして、当該法人申請者等がその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者であり、又はその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者となる保険会社の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがないこと。
  ハ 法人申請者等が、その人的構成等に照らして、保険業の公共性に関し十分な理解を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること。
 二 前号に掲げる場合以外の場合にあっては、次に掲げる基準に適合すること。
  イ 取得資金に関する事項、保有の目的その他の当該申請者による保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有に関する事項に照らして、当該申請者がその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者であり、又はその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者となる保険会社の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがないこと。
  ロ 当該申請者の財産の状況(当該申請者が事業を行う者である場合においては、収支の状況を含む。)に照らして、当該申請者がその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者であり、又はその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者となる保険会社の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがないこと。
  ハ 当該申請者が、保険業の公共性に関し十分な理解を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること。

第二款 監督

(保険主要株主による報告又は資料の提出)
第二百七十一条の十二 内閣総理大臣は、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため、第百二十八条第一項の規定により保険会社に対し報告又は資料の提出を求める場合において、特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者である保険主要株主に対し、その理由を示した上で、当該保険会社の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。 (保険主要株主に対する立入検査)
第二百七十一条の十三 内閣総理大臣は、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため、第百二十九条第一項の規定による保険会社に対する立入り、質問又は検査を行う場合において、特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に当該保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者である保険主要株主の事務所その他の施設に立ち入らせ、当該保険会社若しくは当該保険主要株主の業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は当該保険主要株主の帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定による立入り、質問又は検査をする職員は、その立入り、質問又は検査の相手方にその理由を示さなければならない。

(保険主要株主に対する措置命令)
第二百七十一条の十四 内閣総理大臣は、保険主要株主が第二百七十一条の十一各号に掲げる基準(当該保険主要株主に係る第二百七十一条の十第一項又は第二項ただし書の認可に第三百十条第一項の規定に基づく条件が付されている場合にあっては、当該条件を含む。)に適合しなくなったときは、当該保険主要株主に対し、措置を講ずべき期限を示して、当該基準に適合させるために必要な措置をとるべき旨の命令をすることができる。

(保険主要株主に対する改善計画の提出の要求等)
第二百七十一条の十五 内閣総理大臣は、保険主要株主(保険会社の総株主の議決権の百分の五十を超える議決権の保有者に限る。以下この条において同じ。)の業務又は財産の状況(保険主要株主が会社その他の法人である場合にあっては、当該保険主要株主の子会社その他の当該保険主要株主と内閣府令で定める特殊の関係のある会社の財産の状況を含む。)に照らして、当該保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該保険主要株主に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、当該保険会社の経営の健全性を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその必要の限度において監督上必要な措置を命ずることができる。
2 内閣総理大臣は、保険主要株主に対し前項の規定による命令をした場合において、当該命令に係る措置の実施の状況に照らして必要があると認めるときは、当該保険主要株主がその発行済株式の総数の百分の五十を超える数の株式の所有者である保険会社に対し、その業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要な措置を命ずることができる。

(保険主要株主に係る認可の取消し等)
第二百七十一条の十六 内閣総理大臣は、保険主要株主が法令若しくは法令に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき又は公益を害する行為をしたときは、当該保険主要株主に対し監督上必要な措置を命じ、又は当該保険主要株主の第二百七十一条の十第一項若しくは第二項ただし書の認可を取り消すことができる。この場合において、同条第一項の認可のうち設立に係るものは、当該認可を受けて設立された会社その他の法人である保険主要株主に対して与えられているものとみなす。
2 保険主要株主は、前項の規定により第二百七十一条の十第一項又は第二項ただし書の認可を取り消されたときは、内閣総理大臣が指定する期間内に保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。

第三款 雑則

(外国保険主要株主に対する法律の適用関係)
第二百七十一条の十七 保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者であって外国人又は外国法人であるもの(以下この条において「外国保険主要株主」という。)に対しこの法律を適用する場合における特例及び技術的読替えその他外国保険主要株主に対するこの法律の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第三節 保険持株会社に係る特例

第一款 通則

(保険持株会社に係る認可等)
第二百七十一条の十八 次に掲げる取引若しくは行為により保険会社を子会社とする持株会社になろうとする会社又は保険会社を子会社とする持株会社の設立をしようとする者は、あらかじめ、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
 一 当該会社又はその子会社による保険会社の議決権の取得(担保権の実行による株式の取得その他の内閣府令で定める事由によるものを除く。)
 二 当該会社の子会社による第三条第一項の免許の収得
 三 その他政令で定める取引又は行為
2 前項各号に掲げる取引又は行為以外の事由により保険会社を子会社とする持株会社になった会社(以下「特定持株会社」という。)は、当該事由の生じた日の属する事業年度終了後三月以内に、当該会社が保険会社を子会社とする持株会社になった旨その他の内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に届け出なければならない。
3 特定持株会社は、前項の事由の生じた日の属する事業年度の終了の日から一年を経過する日(以下この項及び第五項において「猶予期限日」という。)までに保険会社を子会社とする持株会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。ただし、当該特定持株会社が、猶予期限日後も引き続き保険会社を子会社とする持株会社であることについて内閣総理大臣の認可を受けた場合は、この限りでない。
4 特定持株会社は、前項の規定による措置により保険会社を子会社とする持株会社でなくなったときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。当該措置によることなく保険会社を子会社とする持株会社でなくなったときも、同様とする。
5 内閣総理大臣は、第一項の認可を受けずに同項各号に掲げる取引若しくは行為により保険会社を子会社とする持株会社になった会社若しくは保険会社を子会社とする持株会社として設立された会社又は第三項ただし書の認可を受けることなく猶予期限日後も保険会社を子会社とする持株会社である会社に対し、保険会社を子会社とする持株会社でなくなるよう、所要の措置を講ずることを命ずることができる。

第二百七十一条の十九 内閣総理大臣は、前条第一項又は第三項ただし書の認可の申請があったときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
 一 当該認可の申請をした会社又は当該認可を受けて設立される会社(以下この条において「申請者等」という。)及びその子会社(子会社となる会社を含む。第三号において同じ。)の収支の見込みが良好であること。
 二 申請者等が、その人的構成等に照らして、その子会社であり、又はその子会社となる保険会社の経営管理を的確かつ公正に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること。
 三 申請者等の子会社の業務の内容が第二百七十一条の二十二第三項各号のいずれにも該当しないものであること。
2 保険持株会社(外国の法令に準拠して設立されたものを除く。)は、株式会社であって次に掲げる機関を置くものでなければならない。
 一 取締役会
 二 監査役会又は委員会
 三 会計監査人

(保険持株会社の取締役等の適格性等)
第二百七十一条の十九の二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者は、保険持株会社の取締役、執行役又は監査役となることができない。
2 会社法第三百三十一条第二項ただし書(取締役の資格等)(同法第三百三十五条第一項(監査役の資格等)において準用する場合を含む。)、第三百三十二条第二項(取締役の任期)(同法第三百三十四条第一項(会計参与の任期)において準用する場合を含む。)、第三百三十六条第二項(監査役の任期)及び第四百二条第五項ただし書(執行役の選任等)の規定は、保険持株会社については、適用しない。
3 保険持株会社は、持分会社の無限責任社員又は業務を執行する社員となることができない。

(保険主要株主に係る規定の準用)
第二百七十一条の二十 第二百七十一条の十七の規定は、保険会社を子会社とする持株会社であって外国の法令に準拠して設立されたものについて準用する。

第二款 業務及び子会社

(保険持株会社の業務範囲等)
第二百七十一条の二十一 保険持株会社は、その子会社である保険会社及び第二百七十一条の二十二第一項第二号の二から第十四号までに掲げる会社並びにこれらの会社以外の会社で同項又は同条第四項ただし書の規定による内閣総理大臣の承認を受けて子会社とした会社の経営管理を行うこと並びにこれに附帯する業務のほか、他の業務を営むことができない。
2 保険持株会社は、その業務を営むに当たっては、その子会社である保険会社の業務の健全かつ適切な運営の確保に努めなければならない。

(顧客の利益の保護のための体制整備)
第二百七十一条の二十一の二 保険持株会社は、その子会社である保険会社又は当該保険持株会社の親金融機関等若しくは子金融機関等が行う取引に伴い、当該保険持株会社の子会社である保険会社又は当該保険持株会社の子金融機関等が行う業務(保険業その他の内閣府令で定める業務に限る。)に係る顧客の利益が不当に害されることのないよう、内閣府令で定めるところにより、当該業務に関する情報を適正に管理し、かつ、当該業務の実施状況を適切に監視するための体制の整備その他必要な措置を講じなければならない。
2 前項の「親金融機関等」とは、保険持株会社の総株主の議決権の過半数を保有している者その他の当該保険持株会社と密接な関係を有する者として政令で定める者のうち、保険会社、銀行、金融商品取引業者その他政令で定める金融業を行う者をいう。
3 第一項の「子金融機関等」とは、保険持株会社が総株主等の議決権の過半数を保有している者その他の当該保険持株会社と密接な関係を有する者として政令で定める者のうち、保険会社(当該保険持株会社の子会社である保険会社を除く。)、銀行、金融商品取引業者その他政令で定める金融業を行う者をいう。

(保険持株会社の子会社の範囲等)
第二百七十一条の二十二 保険持株会社は、次に掲げる会社以外の会社を子会社としようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
 一 生命保険会社
 二 損害保険会社
 二の二 少額短期保険業者
 三 銀行
 四 長期信用銀行
 四の二 資金移動専門会社
 五 証券専門会社
 六 証券仲介専門会社
 七 信託専門会社
 八 保険業を行う外国の会社
 九 銀行業を営む外国の会社(前号に掲げる会社に該当するものを除く。)
 十 有価証券関連業を行う外国の会社(前二号に掲げる会社に該当するものを除く。)
 十一 信託業を営む外国の会社(前三号に掲げる会社に該当するものを除く。)
 十二 次に掲げる業務を専ら営む会社(イに掲げる業務を営む会社にあっては、主として当該保険持株会社、その子会社(第一号、第二号及び第八号に掲げる者に限る。第五項において同じ。)その他これらに類する者として内閣府令で定めるものの行う業務のためにその業務を営んでいる会社に限る。)
  イ 保険会社又は第二号の二から前号までに掲げる会社の行う業務に従属する業務として内閣府令で定めるもの(第五項において「従属業務」という。)
  ロ 第百六条第二項第二号に掲げる金融関連業務
 十三 新たな事業分野を開拓する会社又は経営の向上に相当程度寄与すると認められる新たな事業活動を行う会社として内閣府令で定める会社(当該会社の総株主等の議決権に内閣府令で定める割合を乗じて得た数を超える議決権を、前号に掲げる会社で内閣府令で定めるものが保有しているものに限る。)
 十四 前各号に掲げる会社のみを子会社とする持株会社で内閣府令で定めるもの(当該持株会社になることを予定している会社を含む。)
2 前項の承認を受けようとする保険持株会社は、当該承認の申請に係る会社の業務の内容、資本金の額、人的構成その他の内閣府令で定める事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
3 内閣総理大臣は、第一項の承認の申請があったときは、当該申請に係る会社が行い、又は行おうとする業務の内容が、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その承認をしなければならない。
 一 当該業務の内容が、次のイ又はロに該当することから、当該申請をした保険持株会社の子会社である保険会社の社会的信用を失墜させるおそれがあること。
  イ 当該業務の内容が、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあること。
  ロ 当該業務の内容が、国民生活の安定又は国民経済の健全な発展を妨げるおそれがあること。
 二 当該業務の内容が、当該申請に係る会社の資本金の額、人的構成等に照らして、当該申請に係る会社の経営の健全性を損なう危険性が大きく、かつ、その経営の健全性が損なわれた場合には、当該申請をした保険持株会社の子会社である保険会社の経営の健全性が損なわれることとなるおそれがあること。
4 第一項の規定は、同項各号に掲げる会社以外の会社が、保険持株会社又はその子会社の担保権の実行による株式又は持分の取得その他の内閣府令で定める事由により当該保険持株会社の子会社となる場合には、適用しない。ただし、当該保険持株会社は、その子会社となった当該会社を引き続き子会社とすることについて内閣総理大臣の承認を受けた場合を除き、当該会社が当該事由の生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
5 第一項第十二号の場合において、会社が主として保険持株会社、その子会社その他これらに類する者として内閣府令で定めるものの行う業務のために従属業務を営んでいるかどうかの基準は、内閣総理大臣が定める。
6 保険持株会社が、銀行若しくは長期信用銀行を子会社とすることにより銀行持株会社(銀行法第二条第十三項(定義等)に規定する銀行持株会社をいう。以下この項及び第二百七十二条の三十九第六項において同じ。)若しくは長期信用銀行持株会社(長期信用銀行法第十六条の四第一項(子会社の範囲等)に規定する長期信用銀行持株会社をいう。以下この項及び第二百七十二条の三十九第六項において同じ。)になろうとする場合又は銀行持株会社若しくは長期信用銀行持株会社である場合には、前各項の規定を適用せず、銀行法又は長期信用銀行法の相当規定の定めるところによる。 

第三款 経理

(保険持株会社の事業年度)
第二百七十一条の二十三 保険持株会社の事業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。

(保険持株会社に係る業務報告書等)
第二百七十一条の二十四 保険持株会社は、事業年度ごとに、当該保険持株会社及びその子会社その他の当該保険持株会社と内閣府令で定める特殊の関係のある会社(以下この款及び次款において「子会社等」という。)の業務及び財産の状況を連結して記載した中間業務報告書及び業務報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
2 中間業務報告書及び業務報告書の記載事項、提出期日その他中間業務報告書及び業務報告書に関し必要な事項は、内閣府令で定める。

(保険持株会社に係る業務及び財産の状況に関する説明書類の縦覧等)
第二百七十一条の二十五 保険持株会社は、事業年度ごとに、当該保険持株会社及びその子会社等の業務及び財産の状況に関する事項として内閣府令で定めるものを当該保険持株会社及び当該子会社等につき連結して記載して作成した説明書類を、当該保険持株会社の子会社である保険会社の本店及び支店その他これに準ずる場所として内閣府令で定める場所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。
2 前項の説明書類は、電磁的記録をもって作成することができる。
3 第一項の説明書類が電磁的記録をもって作成されているときは、保険持株会社の子会社である保険会社の本店及び支店その他これに準ずる場所として内閣府令で定める場所において、当該電磁的記録に記録された情報を電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置として内閣府令で定めるものをとることができる。この場合においては、同項の説明書類を同項の規定により備え置き、公衆の縦覧に供したものとみなす。
4 前三項に定めるもののほか、第一項の説明書類を公衆の縦覧に供する期間その他これらの規定の適用に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
5 保険持株会社は、第一項に規定する事項のほか、当該保険持株会社の子会社である保険会社の保険契約者その他の顧客が当該保険持株会社及びその子会社等の業務及び財産の状況を知るために参考となるべき事項の開示に努めなければならない。

(保険持株会社の事業報告等の記載事項)
第二百七十一条の二十六 保険持株会社が会社法第四百三十五条第二項(計算書類等の作成)の規定により作成する保険持株会社の事業報告及び附属明細書の記載事項は、内閣府令で定める。

第四款 監督

(保険持株会社等による報告又は資料の提出)
第二百七十一条の二十七 内閣総理大臣は、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため、第百二十八条第一項の規定により保険会社に対し報告又は資料の提出を求める場合において、特に必要があると認めるときは、当該保険会社を子会社とする保険持株会社、当該保険持株会社の子法人等(子会社その他当該保険持株会社がその経営を支配している法人として内閣府令で定めるものをいう。次項並びに次条第二項及び第四項において同じ。)又は当該保険持株会社から業務の委託を受けた者に対し、その理由を示した上で、当該保険会社の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。
2 保険持株会社の子法人等又は当該保険持株会社から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、前項の規定による報告又は資料の提出を拒むことができる。

(保険持株会社等に対する立入検査)
第二百七十一条の二十八 内閣総理大臣は、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため、第百二十九条第一項の規定による保険会社に対する立入り、質問又は検査を行う場合において、特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に当該保険会社を子会社とする保険持株会社の事務所その他の施設に立ち入らせ、当該保険会社若しくは当該保険持株会社の業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は当該保険持株会社の帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 内閣総理大臣は、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため、第百二十九条第一項の規定による保険会社に対する立入り、質問又は検査を行う場合において、特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に当該保険会社を子会社とする保険持株会社の子法人等若しくは当該保険持株会社から業務の委託を受けた者の営業所その他の施設に立ち入らせ、当該保険会社に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 前二項の規定による立入り、質問又は検査をする職員は、その立入り、質問又は検査の相手方にその理由を示さなければならない。
4 前条第二項の規定は、第二項の規定による保険持株会社の子法人等又は当該保険持株会社から業務の委託を受けた者に対する質問及び検査について準用する。

(保険持株会社に係る健全性の基準)
第二百七十一条の二十八の二 内閣総理大臣は、次に掲げる額を用いて、保険持株会社及びその子会社等の経営の健全性を判断するための基準として当該保険持株会社の子会社である保険会社における保険金等の支払能力の充実の状況が適当であるかどうかの基準を定めることができる。
 一 保険持株会社及びその子会社等における資本金、準備金その他の内閣府令で定めるものの額の合計額
 二 当該保険持株会社の子会社等が引き受けている保険に係る保険事故の発生その他の理由により発生し得る危険であって通常の予測を超えるものに対応する額として内閣府令で定めるところにより計算した額

(保険持株会社に対する改善計画の提出の要求等)
第二百七十一条の二十九 内閣総理大臣は、保険持株会社の業務又は保険持株会社及びその子会社の財産の状況に照らして、当該保険持株会社の子会社である保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該保険持株会社に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、当該保険会社の経営の健全性を確保するための改善計画の堤出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその必要の限度において監督上必要な措置を命ずることができる。
2 前項の規定による命令(改善計画の提出を求めることを含む。次項において同じ。)であって、保険持株会社の子会社である保険会社における保険金等の支払能力の充実の状況によって必要があると認めるときにするものは、保険持株会社の子会社である保険会社における保険金等の支払能力の充実の状況に係る区分に応じ内閣府令・財務省令で定めるものでなければならない。
3 内閣総理大臣は、保険持株会社に対し第一項の規定による命令をした場合において、当該命令に係る措置の実施の状況に照らして特に必要があると認めるときは、当該保険持株会社の子会社である保険会社に対し、その業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要な措置を命ずることができる。

(保険持株会社に係る認可の取消し等)
第二百七十一条の三十 内閣総理大臣は、保険持株会社が法令、定款若しくは法令に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき、又は公益を害する行為をしたときは、当該保険持株会社に対しその取締役、執行役、会計参与若しくは監査役の解任その他監督上必要な措置を命じ、若しくは当該保険持株会社の第二百七十一条の十八第一項若しくは第三項ただし書の認可を取り消し、又は当該保険持株会社の子会社である保険会社に対しその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。この場合において、同条第一項の認可のうち設立に係るものは、当該認可を受けて設立された保険持株会社に対して与えられているものとみなす。
2 保険持株会社は、前項の規定により第二百七十一条の十八第一項又は第三項ただし書の認可を取り消されたときは、内閣総理大臣が指定する期間内に保険会社を子会社とする持株会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
3 前項に規定する措置が講じられた場合において、当該措置を講じた会社がなお保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者であるときは、当該措置を講じた日を第二百七十一条の十第二項に規定する事由の生じた日とみなして、同項の規定を適用する。
4 内閣総理大臣は、保険会社を子会社とする持株会社が次の各号のいずれかに該当する場合において必要があると認めるときは、当該持株会社の子会社である保険会社に対し、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
 一 第二百七十一条の十八第一項の認可を受けずに同項各号に掲げる取引又は行為により保険会社を子会社とする持株会社になったもの
 二 第二百七十一条の十八第一項の認可を受けずに保険会社を子会社とする持株会社として設立されたもの
 三 第二百七十一条の十八第三項ただし書の認可を受けることなく同項の猶予期限日後も保険会社を子会社とする持株会社であるもの
 四 第一項の規定により第二百七十一条の十八第一項又は第三項ただし書の認可を取り消された持株会社であって、第二項の規定による措置を講ずることなく同項の内閣総理大臣が指定する期間後も保険会社を子会社とする持株会社であるもの

第五款 雑則

(保険持株会社に係る合併、会社分割又は事業の譲渡若しくは譲受けの認可)
第二百七十一条の三十一 保険持株会社を全部又は一部の当事者とする合併(当該合併前に保険持株会社であった一の会社が当該合併後も保険持株会社として存続するものに限る。)は、内閣総理大臣の認可を受けなけれは、その効力を生じない。
2 保険持株会社を当事者とする会社分割(当該分割により事業を承継させた保険持株会社又は当該会社分割により事業を承継した保険持株会社が、その会社分割後も引き続き保険持株会社であるものに限る。)は、政令で定めるものを除き、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 保険持株会社を当事者とする事業の全部又は一部の譲渡又は譲受け(当該事業の譲渡又は譲受けをした保険持株会社が、その譲渡又は譲受け後も引き続き保険持株会社であるものに限る。)は、政令で定めるものを除き、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
4 第二百七十一条の十九第一項の規定は、前三項の認可の申請があった場合について準用する。

第四節 雑則

(届出事項)
第二百七十一条の三十二 保険主要株主(保険主要株主であった者を含む。)は、次の各号のいずれかに該当するときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
 一 第二百七十一条の十第一項の認可に係る保険主要株主になったとき又は当該認可に係る保険主要株主として設立されたとき。
 二 保険会社の総株主の議決権の百分の五十を超える議決権の保有者となったとき。
 三 保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者でなくなったとき(第五号の場合を除く。)。
 四 保険会社の総株主の議決権の百分の五十を超える議決権の保有者でなくなったとき(前号及び次号の場合を除く。)。
 五 解散したとき(設立、株式移転、合併(当該合併により保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者となる会社その他の法人を設立する場合に限る。)又は新設分割を無効とする判決が確定したときを含む。)。
 六 その総株主の議決権の百分の五十を超える議決権が一の株主により取得又は保有されることとなったとき。
 七 その他内閣府令で定める場合に該当するとき。
2 保険持株会社(保険持株会社であった会社を含む。)は、次の各号のいずれかに該当するときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
 一 第二百七十一条の十八第一項の認可に係る保険持株会社になったとき、又は当該認可に係る保険持株会社として設立されたとき。
 二 保険会社を子会社とする持株会社でなくなったとき(第五号の場合を除く。)。
 三 第二百七十一条の二十二第一項各号に掲げる会社を子会社としようとするとき(第二百七十一条の三十一第一項から第三項までの規定による認可を受けて合併、会社分割又は事業の譲受けをしようとする場合を除く。)。
 四 その子会社が子会社でなくなったとき(第二百七十一条の三十一第二項又は第三項の規定による認可を受けて会社分割又は事業の譲渡をした場合及び第二号の場合を除く。)。
 五 解散したとき(設立、株式移転、合併(当該合併により保険会社を子会社とする持株会社を設立するものに限る。)又は新設分割を無効とする判決が確定したときを含む。)。
 六 資本金の額を変更しようとするとき。
 七 その総株主の議決権の百分の五を超える議決権が一の株主により取得又は保有されることとなったとき。
 八 その他内閣府令で定める場合に該当するとき。
3 第二条第十五項の規定は、第一項第六号及び前項第七号に規定する一の株主が取得し、又は保有することとなった保険主要株主又は保険持株会社の議決権について準用する。

(認可の失効)
第二百七十一条の三十三 第二百七十一条の十第一項の認可について次の各号のいずれかに該当するとき、同条第二項ただし書の認可について第二号又は第三号に該当するときは、当該認可は、その効力を失う。
 一 当該認可があった日から六月以内に当該認可があった事項が実行されなかったとき(やむを得ない理由がある場合において、あらかじめ内閣総理大臣の承認があったときを除く。)。
 二 当該認可に係る保険主要株主が保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者でなくなったとき。
 三 当該認可に係る保険主要株主が当該認可に係る保険会社を子会社とすることについて第二百七十一条の十八第一項又は第三項ただし書の認可を受けたとき。
2 第二百七十一条の十八第一項の認可について次の各号のいずれかに該当するとき、同条第三項ただし書の認可について第二号に該当するときは、当該認可は、その効力を失う。
 一 当該認可があった日から六月以内に当該認可があった事項が実行されなかったとき(やむを得ない理由がある場合において、あらかじめ内閣総理大臣の承認があったときを除く。)。
 二 当該認可に係る保険持株会社が保険会社を子会社とする持株会社でなくなったとき。

第十二章 少額短期保険業者の特例

第一節 通則

(登録)
第二百七十二条 内閣総理大臣の登録を受けた者は、第三条第一項の規定にかかわらず、少額短期保険業を行うことができる。
2 少額短期保険業者は、小規模事業者(その収受する保険料が政令で定める基準を超えないものをいう。第二百七十二条の二十六第一項第三号において同じ。)でなければならない。

(登録申請手続)
第二百七十二条の二 前条第一項の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した登録申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
 一 商号又は名称
 二 資本金の額又は基金の総額
 三 取締役及び監査役(委員会設置会社にあっては、取締役及び執行役)の氏名
 四 会計参与設置会社にあっては、会計参与の氏名又は名称
 五 少額短期保険業以外の業務を行うときは、その業務の内容
 六 本店その他の事務所の所在地
2 前項の登録申請書には、次に掲げる書類その他内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
 一 定款
 二 事業方法書
 三 普通保険約款
 四 保険料及び責任準備金の算出方法書
3 第四条第三項の規定は、前項の規定による同項第一号の定款の添付について準用する。
4 第二項第二号から第四号までに掲げる書類には、内閣府令で定める事項を記載しなければならない。

(登録簿への登録)
第二百七十二条の三 内閣総理大臣は、第二百七十二条第一項の登録の申請があったときは、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除くほか、次に掲げる事項を少額短期保険業者登録簿に登録しなければならない。
 一 前条第一項各号に掲げる事項
 二 登録年月日及び登録番号
2 内閣総理大臣は、少額短期保険業者登録簿を公衆の縦覧に供しなければならない。

(登録の拒否)
第二百七十二条の四 内閣総理大臣は、申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は第二百七十二条の二第一項の登録申請書若しくは同条第二項の添付書類のうちに虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
 一 株式会社又は相互会社(次に掲げる区分に応じ、次に定めるものに限る。)でない者
  イ 資本金の額又は基金(第五十六条の基金償却積立金を含む。次号において同じ。)の総額が政令で定める額に満たない株式会社又は相互会社(以下この項において「株式会社等」という。) 取締役会及び監査役又は委員会を置くもの
  ロ イに掲げる株式会社等以外の株式会社等 取締役会及び監査役会又は委員会並びに会計監査人を置くもの
 二 資本金の額又は基金の総額が保険契約者等の保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める額に満たない株式会社等
 三 純資産額が前号に規定する政令で定める額に満たない株式会社等
 四 定款の規定が法令に適合しない株式会社等
 五 第二百七十二条の二第二項第二号及び第三号に掲げる書類に記載された事項が次に掲げる基準に適合しない株式会社等
  イ 保険契約の内容が、保険契約者等の保護に欠けるおそれのないものであること。
  ロ 保険契約の内容に関し、特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
  ハ 保険契約の内容が、公の秩序又は善良の風俗を害する行為を助長し、又は誘発するおそれのないものであること。
  ニ 保険契約の内容が、当該株式会社等の支払能力に照らし、過大な危険の引受けを行うものでないこと。
  ホ 保険契約者等の権利義務その他保険契約の内容が、保険契約者等にとって明確かつ平易に定められたものであること。
 六 第二百七十二条の二第二項第四号に掲げる書類に記載された保険料及び責任準備金の算出方法が保険数理に基づき合理的かつ妥当なものであることについて、保険計理人による確認が行われていない株式会社等
 七 第百三十三条若しくは第百三十四条の規定により第三条第一項の免許を取り消され、第二百七十二条の二十六第一項若しくは第二百七十二条の二十七の規定により第二百七十二条第一項の登録を取り消され、若しくは第三百七条第一項の規定により第二百七十六条若しくは第二百八十六条の登録を取り消された場合又はこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の免許若しくは登録(当該免許又は登録に類する許可その他の行政処分を含む。)を取り消された場合において、その取消しの日から五年を経過しない株式会社等
 八 この法律、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない株式会社等
 九 他に行う業務が第二百七十二条の十一第二項ただし書に規定する内閣府令で定める業務以外の業務である株式会社等又は当該他に行う業務がその少額短期保険業を適正かつ確実に行うにつき支障を及ぼすおそれがあると認められる株式会社等
 十 取締役、執行役、会計参与又は監査役のうちに次のいずれかに該当する者のある株式会社等  
  イ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
  ロ 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
  ハ 第百三十三条若しくは第百三十四条の規定により第三条第一項の免許を取り消され、第二百五条若しくは第二百六条の規定により第百八十五条第一項の免許を取り消され、第二百三十一条若しくは第二百三十二条の規定により第二百十九条第一項の免許を取り消され、第二百七十二条の二十六第一項若しくは第二百七十二条の二十七の規定により第二百七十二条第一項の登録を取り消され、若しくは第三百七条第一項の規定により第二百七十六条若しくは第二百八十六条の登録を取り消された場合又はこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の免許若しくは登録(当該免許又は登録に類する許可その他の行政処分を含む。)を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内にその会社の取締役、執行役若しくは監査役又は日本における代表者であった者(これらに類する役職にあった者を含む。)でその取消しの日から五年を経過しない者
  ニ 第三百七条第一項の規定により第二百七十六条若しくは第二百八十六条の登録を取り消された場合又はこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の登録(当該登録に類する許可その他の行政処分を含む。)を取り消された場合において、その取消しの日から五年を経過しない者
  ホ 第百三十三条の規定により解任を命ぜられた取締役、執行役若しくは監査役、第二百五条若しくは第二百三十一条の規定により解任を命ぜられた日本における代表者、第二百七十二条の二十六第二項の規定により解任を命ぜられた取締役、執行役若しくは監査役又はこの法律に相当する外国の法令の規定により解任を命ぜられた取締役、執行役若しくは監査役若しくは日本における代表者(これらに類する役職にあった者を含む。)で、その処分を受けた日から五年を経過しない者
  ヘ 第八号に規定する法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定若しくはこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、又は刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
 十一 少額短期保険業を的確に遂行するに足りる人的構成を有しない株式会社等
 十二 保険会社
2 前項第三号の純資産額は、内閣府令で定めるところにより計算する。

(供託)
第二百七十二条の五 少額短期保険業者は、保険契約者等の保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める額の金銭を本店又は主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
2 内閣総理大臣は、保険契約者等の保護のため必要があると認めるときは、少額短期保険業者に対し、その少額短期保険業を開始する前に、前項の政令で定める額のほか、相当と認める額の金銭の供託を命ずることができる。
3 少額短期保険業者は、政令で定めるところにより、当該少額短期保険業者のために所要の供託金が内閣総理大臣の命令に応じて供託される旨の契約を締結し、その旨を内閣総理大臣に届け出たときは、当該契約の効力の存する間、当該契約において供託されることとなっている金額(以下この条において「契約金額」という。)につき前二項の規定により供託する供託金の全部又は一部を供託しないことができる。
4 内閣総理大臣は、保険契約者等の保護のため必要があると認めるときは、少額短期保険業者と前項の契約を締結した者又は当該少額短期保険業者に対し、契約金額に相当する金額の全部又は一部を供託すべき旨を命ずることができる。
5 少額短期保険業者は、第一項の規定により供託する供託金(第二項の規定により同項の金銭の供託を命ぜられた場合には、その供託金を含む。)につき供託又は第三項の契約の締結を行い、その旨を内閣総理大臣に届け出た後でなければ、少額短期保険業を開始してはならない。
6 保険契約に係る保険契約者、被保険者又は保険金額を受け取るべき者は、保険契約により生じた債権に関し、当該少額短期保険業者に係る供託金について、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。
7 前項の権利の実行に関し必要な事項は、政令で定める。
8 少額短期保険業者は、第六項の権利の実行その他の理由により、供託金の額(契約金額を含む。)が第一項の政令で定める額に不足することとなったときは、内閣府令で定める日から二週間以内にその不足額につき供託又は第三項の契約の締結(第三百十九条第十一号において単に「供託」という。)を行い、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
9 第一項、第二項又は前項の規定により供託する供託金は、国債証券、地方債証券その他の内閣府令で定める有価証券をもってこれに充てることができる。
10 第一項、第二項、第四項又は第八項の規定により供託した供託金は、次の各号のいずれかに該当する場合には、政令で定めるところにより、取り戻すことができる。
 一 第二百七十二条の二十六第一項又は第二百七十二条の二十七の規定により第二百七十二条第一項の登録が取り消されたとき。
 二 第二百七十二条第一項の登録が第二百七十三条第一項又は第三項の規定によりその効力を失ったとき。
11 前各項に定めるもののほか、供託金に関し必要な事項は、内閣府令・法務省令で定める。

(少額短期保険業者責任保険契約)
第二百七十二条の六 少額短期保険業者は、政令で定めるところにより、少額短期保険業者責任保険契約を締結し、内閣総理大臣の承認を受けたときは、当該契約の効力の存する間、当該契約の保険金の額に応じて前条第一項、第二項又は第八項の規定により供託する供託金の一部の供託又は同条第三項の契約の締結をしないことができる。
2 内閣総理大臣は、保険契約者等の保護のため必要があると認めるときは、前項の少額短期保険業者責任保険契約を締結した少額短期保険業者に対し、前条第一項、第二項又は第八項の規定により供託する供託金につき供託又は同条第三項の契約の締結をしないことができるとされた金額の全部又は一部を供託すべき旨を命ずることができる。
3 前二項に定めるもののほか、少額短期保険業者責任保険契約に関し必要な事項は、内閣府令で定める。

(変更の届出)
第二百七十二条の七 少額短期保険業者は、第二百七十二条の二第一項各号に掲げる事項に変更があったときは、その日から二週間以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の届出を受理したときは、その旨を少額短期保険業者登録簿に登録しなければならない。

(標識の掲示等)
第二百七十二条の八 少額短期保険業者は、事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、内閣府令で定める様式の標識を掲示しなければならない。
2 少額短期保険業者以外の者は、前項の標識又はこれに類似する標識を掲示してはならない。
3 少額短期保険業者に対する第七条第二項の規定の適用については、同項中「誤認されるおそれのある文字」とあるのは、「誤認されるおそれのある文字(少額短期保険業者であることを示す文字として内閣府令で定めるものを除く。)」とする。

(名義貸しの禁止)
第二百七十二条の九 少額短期保険業者は、自己の名義をもって他人に少額短期保険業を行わせてはならない。

(取締役等の兼職制限)
第二百七十二条の十 少額短期保険業者の常務に従事する取締役(委員会設置会社にあっては、執行役)は、他の会社の常務に従事する場合には、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の承認の申請があったときは、当該申請に係る事項が当該少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を妨げるおそれがあると認める場合を除き、これを承認しなければならない。

第二節 業務等

(業務の範囲)
第二百七十二条の十一 少額短期保険業者は、少額短期保険業及びこれに付随する業務を行うことができる。
2 少額短期保険業者は、前項の規定により行う業務のほか、他の業務を行うことができない。ただし、少額短期保険業に関連する業務として内閣府令で定める業務で、当該少額短期保険業者が少額短期保険業を適正かつ確実に行うにつき支障を及ぼすおそれがないと認められるものについて、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
3 第二百七十二条第一項の登録の申請書に申請者が第一項の規定により行う業務以外の業務を行う旨の記載がある場合において、当該申請者がその登録を受けたときには、当該業務を行うことにつき前項ただし書の承認を受けたものとみなす。

(運用の方法)
第二百七十二条の十二 少額短期保険業者は、保険料として収受した金銭その他の資産の運用を行うには、次に掲げる方法によらなければならない。
 一 内閣府令で定める銀行その他の金融機関への預金
 二 国債その他これに準ずるものとして内閣府令で定める有価証券の取得
 三 前二号に掲げる方法に準ずるものとして内閣府令で定める方法

(一の保険契約者に係る保険金額等)
第二百七十二条の十三 少額短期保険業者は、一の保険契約者について、その保険金額の合計額が政令で定める金額を超えることとなる保険の引受けを行ってはならない。
2 第百条の二、第百条の三及び第百条の四の規定は、少額短期保険業者について準用する。この場合において、第百条の三中「保険主要株主」とあるのは「第二百七十二条の三十四第一項に規定する少額短期保険主要株主」と、「保険持株会社」とあるのは「第二百七十二条の三十七第二項に規定する少額短期保険持株会社」と読み替えるものとする。

(指定少額短期保険業務紛争解決機関との契約締結義務等)
第二百七十二条の十三の二 少額短期保険業者は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める措置を講じなければならない。
 一 指定少額短期保険業務紛争解決機関(指定紛争解決機関であってその紛争解決等業務の種別が少額短期保険業務であるものをいう。以下この条において同じ。)が存在する場合 一の指定少額短期保険業務紛争解決機関との間で少額短期保険業務に係る手続実施基本契約を締結する措置
 二 指定少額短期保険業務紛争解決機関が存在しない場合 少額短期保険業務に関する苦情処理措置及び紛争解決措置
2 少額短期保険業者は、前項の規定により手続実施基本契約を締結する措置を講じた場合には、当該手続実施基本契約の相手方である指定少額短期保険業務紛争解決機関の商号又は名称を公表しなければならない。
3 第一項の規定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間においては、適用しない。
 一 第一項第一号に掲げる場合に該当していた場合において、同項第二号に掲げる場合に該当することとなったとき 第三百八条の二十三第一項の規定による紛争解決等業務の廃止の認可又は第三百八条の二十四第一項の規定による指定の取消しの時に、同号に定める措置を講ずるために必要な期間として内閣総理大臣が定める期間
 二 第一項第一号に掲げる場合に該当していた場合において、同号の一の指定少額短期保険業務紛争解決機関の紛争解決等業務の廃止が第三百八条の二十三第一項の規定により認可されたとき、又は同号の一の指定少額短期保険業務紛争解決機関の第三百八条の二第一項の規定による指定が第三百八条の二十四第一項の規定により取り消されたとき(前号に掲げる場合を除く。) その認可又は取消しの時に、第一項第一号に定める措置を講ずるために必要な期間として内閣総理大臣が定める期間
 三 第一項第二号に掲げる場合に該当していた場合において、同項第一号に掲げる場合に該当することとなったとき 第三百八条の二第一項の規定による指定の時に、同号に定める措置を講ずるために必要な期間として内閣総理大臣が定める期間

(少額短期保険業者の子会社の範囲等)
第二百七十二条の十四 少額短期保険業者は、その行う業務に従属し、又は付随し、若しくは関連する業務として内閣府令で定める業務を専ら営む会社以外の会社を子会社としてはならない。
2 少額短期保険業者は、前項に規定する内閣府令で定める業務を専ら営む会社を子会社としようとするときは、第二百七十二条の三十第一項において準用する第百四十二条の規定又は第百六十七条第一項若しくは第百七十三条の六第一項の規定により事業の譲受け、合併又は会社分割の認可を受ける場合を除き、あらかじめ、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。

第三節 経理

(事業年度)
第二百七十二条の十五 少額短期保険業者の事業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。

(業務報告書等)
第二百七十二条の十六 少額短期保険業者は、事業年度ごとに、業務及び財産の状況を記載した業務報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
2 第二百七十二条の四第一項第一号ロに掲げる株式会社等である少額短期保険業者(次項及び次条において「特定少額短期保険業者」という。)は、前項の業務報告書のほか、中間業務報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
3 第百十条第二項の規定は特定少額短期保険業者が子会社その他の当該特定少額短期保険業者と内閣府令で定める特殊の関係のある者(次条及び第二百七十二条の二十五第一項において「子会社等」という。)を有する場合について、第百十条第三項の規定は少額短期保険業者について、それぞれ準用する。この場合において、同項中「前二項」とあるのは、「第二百七十二条の十六第一項及び第二項並びに前項」と読み替えるものとする。

(業務及び財産の状況に関する説明書類)
第二百七十二条の十七 第百十一条第一項及び第三項から第六項までの規定は少額短期保険業者について、同条第二項の規定は特定少額短期保険業者が子会社等を有する場合について、それぞれ準用する。

(事業費等の償却等に関する規定の準用)
第二百七十二条の十八 第百十三条、第百十五条、第百十六条第一項及び第三項、第百十七条並びに第百二十条から第百二十二条までの規定は少額短期保険業者について、第百十四条の規定は少額短期保険業者である株式会社について、それぞれ準用する。この場合において、第百十六条第三項中「前二項」とあるのは「第一項」と、第百二十一条第一項第一号中「内閣府令で定める保険契約に係る責任準備金が健全な保険数理に基づいて」とあるのは「保険料が保険数理に基づき合理的かつ妥当な方法により算出されているかどうか、責任準備金が保険数理に基づき合理的かつ妥当な方法により」と読み替えるものとする。

第四節 監督

(事業方法書等に定めた事項の変更)
第二百七十二条の十九 少額短期保険業者は、第二百七十二条の二第二項第二号から第四号までに掲げる書類に定めた事項を変更しようとする場合は、あらかじめ当該変更しようとする旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 少額短期保険業者は、前項の規定による届出が第二百七十二条の二第二項第四号に掲げる書類に定めた事項の変更である場合には、当該書類に定めた保険料及び責任準備金の算出方法が、保険数理に基づき合理的かつ妥当なものであると認められることについて、保険計理人が確認した結果を記載した意見書を提出しなければならない。
3 前項の意見書に関し必要な事項は、内閣府令で定める。

(事業方法書等に定めた事項の変更の届出等)
第二百七十二条の二十 前条の規定による届出があった場合は、内閣総理大臣が当該届出を受理した日の翌日から起算して六十日を経過した日(当該届出が第二百七十二条の二第二項第四号に掲げる書類に定めた事項のみの変更に係るものである場合は、当該届出を受理した日の翌日)に、当該届出に係る変更があったものとする。
2 内閣総理大臣は、前条の規定による届出(第二百七十二条の二第二項第四号に掲げる書類に定めた事項のみの変更に係る届出を除く。以下この条において同じ。)に係る事項が第二百七十二条の四第一項第五号に規定する基準に適合していると認めるときは、前項に規定する期間を相当と認める期間に短縮することができる。この場合において、内閣総理大臣は、当該届出をした者に対し、遅滞なく、当該期間の短縮を通知しなければならない。
3 内閣総理大臣は、前条の規定による届出に係る事項が第二百七十二条の四第一項第五号に規定する基準に適合するかどうかについて審査するため相当の期間を要し、当該審査期間が第一項に規定する期間内に終了しないと認める相当の理由があるときは、当該期間を相当と認める期間に延長することができる。この場合において、内閣総理大臣は、当該届出をした者に対し、遅滞なく、当該延長後の期間及び当該延長の理由を通知しなければならない。
4 内閣総理大臣は、前条の規定による届出に係る事項が第二百七十二条の四第一項第五号に規定する基準に適合しないと認めるときは、当該届出を受理した日の翌日から起算して六十日を経過するまでの期間(前項の規定により当該期間が延長された場合にあっては、当該延長後の期間)内に限り、当該届出をした者に対し、期限を付して当該届出に係る事項について変更を命じ、又は当該届出の撤回を命ずることができる。

(届出事項)
第二百七十二条の二十一 少額短期保険業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
 一 少額短期保険業を開始したとき。
 二 その子会社が子会社でなくなったとき(第二百七十二条の三十第一項において準用する第百四十二条又は第百七十三条の六第一項の規定による認可を受けて事業の譲渡又は会社分割をした場合を除く。)。
 三 資本金の額又は基金の総額を増額しようとするとき。
 四 定款の変更をしたとき。
 五 その総株主の議決権の百分の五を超える議決権が一の株主により取得又は保有されることとなったとき。
 六 その他内閣府令(金融破綻(たん)処理制度及び金融危機管理に係るものについては、内閣府令・財務省令)で定める場合に該当するとき。
2 第二条第十五項の規定は、前項第五号に規定する一の株主が取得し、又は保有することとなった少額短期保険業者の議決権について準用する。

(報告又は資料の提出)
第二百七十二条の二十二 内閣総理大臣は、少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、少額短期保険業者に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 内閣総理大臣は、少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該少額短期保険業者の子法人等(子会社その他少額短期保険業者がその経営を支配している法人として内閣府令で定めるものをいう。次項並びに次条第二項及び第三項において同じ。)又は当該少額短期保険業者から業務の委託を受けた者に対し、当該少額短期保険業者の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。
3 少額短期保険業者の子法人等又は当該少額短期保険業者から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、前項の規定による報告又は資料の提出を拒むことができる。

(立入検査)
第二百七十二条の二十三 内閣総理大臣は、少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該職員に、少額短期保険業者の営業所、事務所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に、少額短期保険業者の子法人等若しくは当該少額短期保険業者から業務の委託を受けた者の施設に立ち入らせ、当該少額短期保険業者に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 少額短期保険業者の子法人等又は当該少額短期保険業者から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、前項の規定による質問及び検査を拒むことができる。

(事業方法書等に定めた事項の変更命令)
第二百七十二条の二十四 内閣総理大臣は、少額短期保険業者が第二百七十二条の二第二項第四号に掲げる書類に定めた事項が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該少額短期保険業者に対し、期限を付して同号に掲げる書類に定めた事項の変更を命ずることができる。
 一 保険料の算出方法が、保険金等割合(毎決算期において、その事業年度に保険契約に基づいて支払義務が発生した保険金その他の給付金(これに準ずるものとして内閣府令で定めるものを含む。)を、当該保険契約により収受した保険料として内閣府令で定めるもので除して得た割合をいう。)その他の収支の状況に照らして、保険数理に基づき合理的かつ妥当なものであると認められないとき。
 二 責任準備金の算出方法が、保険数理に基づき合理的かつ妥当なものであると認められないとき。
2 内閣総理大臣は、前項に規定する場合のほか、少額短期保険業者の業務若しくは財産の状況に照らして、又は事情の変更により、少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該少額短期保険業者に対し、その必要の限度において、第二百七十二条の二第二項第二号から第四号までに掲げる書類に定めた事項の変更を命ずることができる。

(業務改善命令)
第二百七十二条の二十五 内閣総理大臣は、少額短期保険業者の業務若しくは財産又は少額短期保険業者及びその子会社等の財産の状況に照らして、当該少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該少額短期保険業者に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、経営の健全性を確保するための改善計画の提出を求め、又は提出された改善計画の変更を命じ、その他監督上必要な措置を命ずることができる。
2 前項の規定による命令であって、少額短期保険業者の保険金等の支払能力の充実の状況によって必要があると認めるときにするものは、少額短期保険業者の保険金等の支払能力の充実の状況に係る区分に応じ内閣府令・財務省令で定めるものでなければならない。

(登録の取消し等)
第二百七十二条の二十六 内閣総理大臣は、少額短期保険業者が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、期限を付して当該少額短期保険業者の業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は第二百七十二条第一項の登録を取り消すことができる。
 一 第二百七十二条の四第一項第一号から第四号まで、第七号、第八号又は第十一号に該当したとき。
 二 不正の手段により第二百七十二条第一項の登録を受けたとき。
 三 小規模事業者でなくなったとき、その他法令の規定に違反したとき。
 四 法令に基づく内閣総理大臣の処分又は第二百七十二条の二第二項各号に掲げる書類に定めた事項のうち特に重要なものに違反したとき。
 五 公益を害する行為をしたとき。
2 内閣総理大臣は、少額短期保険業者の取締役、執行役、会計参与又は監査役が第二百七十二条の四第一項第十号イからヘまでのいずれかに該当することとなったとき、法令の規定に違反する行為をしたとき、又は前項第四号若しくは第五号に該当する行為をしたときは、当該少額短期保険業者に対し当該取締役、執行役又は監査役の解任を命ずることができる。
第二百七十二条の二十七 内閣総理大臣は、少額短期保険業者の財産の状況が著しく悪化し、少額短期保険業を継続することが保険契約者等の保護の見地から適当でないと認めるときは、当該少額短期保険業者の第二百七十二条第一項の登録を取り消すことができる。

(健全性の基準に関する規定の準用)
第二百七十二条の二十八 第百三十条の規定は、少額短期保険業者について準用する。

第五節 保険契約の包括移転等

(保険契約の包括移転に関する規定の準用)
第二百七十二条の二十九 第七章第一節の規定は、少額短期保険業者の保険契約の移転について準用する。この場合において、第百三十五条第一項中「外国保険会社等」とあるのは、「外国保険会社等及び少額短期保険業者」と読み替えるものとする。

(事業の譲渡又は譲受け並びに業務及び財産の管理の委託に関する規定の準用)
第二百七十二条の三十 第百四十二条の規定は、少額短期保険業者を全部又は一部の当事者とする事業の譲渡又は譲受けについて準用する。
2 第七章第三節の規定は、少額短期保険業者がその業務及び財産の管理の委託をする場合について準用する。この場合において、第百四十四条第一項中「外国保険会社等(内閣府令で定めるものを除く。)」とあるのは、「外国保険会社等(内閣府令で定めるものを除く。)及び少額短期保険業者」と読み替えるものとする。

第六節 株主

第一款 少額短期保険主要株主

(少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者に係る承認等)
第二百七十二条の三十一 次に掲げる取引若しくは行為により一の少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者になろうとする者又は少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者である会社その他の法人の設立をしようとする者(第二百七十一条の十第一項に規定する国等、第二百七十二条の三十五第一項に規定する持株会社になろうとする会社、同項に規定する者及び少額短期保険業者を子会社としようとする第二百七十二条の三十七第二項に規定する少額短期保険持株会社を除く。)は、あらかじめ、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
 一 当該議決権の保有者になろうとする者による少額短期保険業者の議決権の取得(担保権の実行による株式の取得その他の内閣府令で定める事由によるものを除く。)
 二 当該議決権の保有者になろうとする者がその主要株主基準値以上の数の議決権を保有している会社による第二百七十二条第一項の登録を受ける行為
 三 その他政令で定める取引又は行為
2 前項各号に掲げる取引又は行為以外の事由により一の少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者になった者(第二百七十一条の十第一項に規定する国等、第二百七十二条の三十五第二項に規定する特定少額短期持株会社及び第二百七十二条の三十七第二項に規定する少額短期保険持株会社を除く。以下この条及び第三百三十三条において「特定少額短期主要株主」という。)は、当該事由の生じた日の属する当該少額短期保険業者の事業年度の終了の日から一年を経過する日(以下この項及び第四項において「猶予期限日」という。)までに少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。ただし、当該特定少額短期主要株主が、猶予期限日後も引き続き少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者であることについて内閣総理大臣の承認を受けた場合は、この限りでない。
3 特定少額短期主要株主は、前項の規定による措置により少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者でなくなったときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。当該措置によることなく少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者でなくなったときも、同様とする。
4 内閣総理大臣は、第一項の承認を受けずに同項各号に掲げる取引若しくは行為により少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者になった者若しくは少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者として設立された会社その他の法人又は第二項ただし書の承認を受けることなく猶予期限日後も少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者である者に対し、当該少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者でなくなるよう、所要の措置を講ずることを命ずることができる。
5 第二条第十五項の規定は、前各項の場合において、少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者が保有する議決権について準用する。

(承認申請手続)
第二百七十二条の三十二 前条第一項又は第二項ただし書の承認を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した承認申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
 一 議決権保有割合(当該承認を受けようとする者の保有する当該承認に係る少額短期保険業者の議決権の数を、当該少額短期保険業者の総株主の議決権で除して得た割合をいう。第二百七十二条の三十六第一項及び第二百七十二条の四十二第一項において同じ。)に関する事項、取得資金に関する事項、保有の目的その他の少額短期保険業者の議決権の保有に関する重要な事項として内閣府令で定める事項
 二 商号、名称又は氏名及び住所
 三 法人である場合においては、その資本金又は出資の額及びその代表者の氏名
 四 事業を行っているときは、営業所の名称及び所在地並びにその事業の種類
2 前項の承認申請書には、次条第一項第一号ハ及び第二号ハに該当しないことを誓約する書面その他内閣府令で定める書面を添付しなければならない。
3 第二条第十五項の規定は、第一項の場合において、承認申請書を提出する者が保有する議決権について準用する。

第二百七十二条の三十三 内閣総理大臣は、第二百七十二条の三十一第一項又は第二項ただし書の承認の申請があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを承認しなければならない。
 一 当該承認の申請をした者(以下この条において「申請者」という。)が会社その他の法人である場合又は当該承認を受けて会社その他の法人が設立される場合にあっては、次のいずれかに該当するとき。
  イ 取得資金に関する事項、保有の目的その他の当該申請者又は当該承認を受けて設立される会社その他の法人(以下この号において「法人申請者等」という。)による少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有に関する事項に照らして、当該法人申請者等がその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者であり、又はその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者となる少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがあること。
  ロ 法人申請者等及びその子会社(子会社となる会社を含む。)の財産及び収支の状況に照らして、当該法人申請者等がその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者であり、又はその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者となる少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがあること。
  ハ 法人申請者等が、次のいずれかに該当する者であること。
   (1) 第百三十三条若しくは第百三十四条の規定により第三条第一項の免許を取り消され、第二百五条若しくは第二百六条の規定により第百八十五条第一項の免許を取り消され、第二百三十一条若しくは第二百三十二条の規定により第二百十九条第一項の免許を取り消され、第二百七十二条の二十六第一項若しくは第二百七十二条の二十七の規定により第二百七十二条第一項の登録を取り消され、若しくは第三百七条第一項の規定により第二百七十六条若しくは第二百八十六条の登録を取り消された場合又はこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の免許若しくは登録(当該免許又は登録に類する許可その他の行政処分を含む。)を取り消された場合において、その取消しの日から五年を経過しない者
   (2) 第二百七十二条の四第一項第八号に規定する法律又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
   (3) 役員のうちに会社法第三百三十一条第一項第二号(取締役の資格等)若しくは第十二条第一項の規定により読み替えて適用する同法第三百三十一条第一項第三号に掲げる者又は第二百七十二条の四第一項第十号イからヘまでのいずれかに該当する者のある者
 二 前号に掲げる場合以外の場合にあっては、次のいずれかに該当するとき。
  イ 取得資金に関する事項、保有の目的その他の当該申請者による少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有に関する事項に照らして、当該申請者がその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者であり、又はその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者となる少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがあること。
  ロ 当該申請者の財産の状況(当該申請者が事業を行う者である場合においては、収支の状況を含む。)に照らして、当該申請者がその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者であり、又はその主要株主基準値以上の数の議決権の保有者となる少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがあること。
  ハ 当該申請者が、次のいずれかに該当する者であること。
   (1) 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者であって、その法定代理人が会社法第三百三十一条第一項第二号若しくは第十二条第一項の規定により読み替えて適用する同法第三百三十一条第一項第三号に掲げる者又は第二百七十二条の四第一項第十号イからヘまでのいずれかに該当する者であるもの
   (2) 会社法第三百三十一条第一項第二号若しくは第十二条第一項の規定により読み替えて適用する同法第三百三十一条第一項第三号に掲げる者又は第二百七十二条の四第一項第十号イからヘまでのいずれかに該当する者
2 第二条第十五項の規定は、前項の場合において、申請者が保有する議決権について準用する。

(監督に関する規定の準用)
第二百七十二条の三十四 第二百七十一条の十二から第二百七十一条の十四まで及び第二百七十一条の十六の規定は、少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者である少額短期保険主要株主(第二百七十二条の三十一第一項各号に掲げる取引若しくは行為について保有者となる承認を受け、同項の承認を受けて設立され、又は同条第二項ただし書の承認を受けている者をいう。以下同じ。)について準用する。この場合において、第二百七十一条の十二中「第百二十八条第一項」とあるのは「第二百七十二条の二十二第一項」と、第二百七十一条の十三中「第百二十九条第一項」とあるのは「第二百七十二条の二十三第一項」と、第二百七十一条の十四中「第二百七十一条の十一各号」とあるのは「第二百七十二条の三十三第一項各号」と、「第二百七十一条の十第一項又は第二項ただし書の認可」とあるのは「第二百七十二条の三十一第一項又は第二項ただし書の承認」と、第二百七十一条の十六第一項中「第二百七十一条の十第一項若しくは第二項ただし書の認可」とあるのは「第二百七十二条の三十一第一項若しくは第二項ただし書の承認」と、「同条第一項の認可」とあるのは「同条第一項の承認」と、「当該認可」とあるのは「当該承認」と、同条第二項中「第二百七十一条の十第一項又は第二項ただし書の認可」とあるのは「第二百七十二条の三十一第一項又は第二項ただし書の承認」と読み替えるものとする。
2 第二条第十五項の規定は、前項の場合において、少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者が保有する議決権について準用する。

第二款 少額短期保険持株会社

(少額短期保険持株会社に係る承認等)
第二百七十二条の三十五 次に掲げる取引若しくは行為により少額短期保険業者を子会社とする持株会社になろうとする会社又は少額短期保険業者を子会社とする持株会社の設立をしようとする者は、あらかじめ、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
 一 当該会社又はその子会社による少額短期保険業者の議決権の取得(担保権の実行による株式の取得その他の内閣府令で定める事由によるものを除く。)
 二 当該会社の子会社による第二百七十二条第一項の登録を受ける行為
 三 その他政令で定める取引又は行為
2 前項各号に掲げる取引又は行為以外の事由により少額短期保険業者を子会社とする持株会社になった会社(以下「特定少額短期持株会社」という。)は、当該事由の生じた日の属する事業年度終了後三月以内に、当該会社が少額短期保険業者を子会社とする持株会社になった旨その他の内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に届け出なければならない。
3 特定少額短期持株会社は、前項の事由の生じた日の属する事業年度の終了の日から一年を経過する日(以下この項及び第五項において「猶予期限日」という。)までに少額短期保険業者を子会社とする持株会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。ただし、当該特定少額短期持株会社が、猶予期限日後も引き続き少額短期保険業者を子会社とする持株会社であることについて内閣総理大臣の承認を受けた場合は、この限りでない。
4 特定少額短期持株会社は、前項の規定による措置により少額短期保険業者を子会社とする持株会社でなくなったときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。当該措置によることなく少額短期保険業者を子会社とする持株会社でなくなったときも、同様とする。
5 内閣総理大臣は、第一項の承認を受けずに同項各号に掲げる取引若しくは行為により少額短期保険業者を子会社とする持株会社になった会社若しくは少額短期保険業者を子会社とする持株会社として設立された会社又は第三項ただし書の承認を受けることなく猶予期限日後も少額短期保険業者を子会社とする持株会社である会社に対し、少額短期保険業者を子会社とする持株会社でなくなるよう、所要の措置を講ずることを命ずることができる。

第二百七十二条の三十六 前条第一項又は第三項ただし書の承認を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した承認申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
 一 議決権保有割合に関する事項、取得資金に関する事項、保有の目的その他の少額短期保険業者の議決権の保有に関する重要な事項として内閣府令で定める事項
 二 商号
 三 資本金の額
 四 取締役及び監査役(委員会設置会社にあっては、取締役及び執行役)の氏名
 五 本店その他の営業所の名称及び所在地
2 前項の承認申請書には、定款、貸借対照表、損益計算書、次条第一項第三号に該当しないことを誓約する書面その他内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
第二百七十二条の三十七 内閣総理大臣は、第二百七十二条の三十五第一項又は第三項ただし書の承認の申請があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを承認しなければならない。
 一 当該承認の申請をした会社又は当該承認を受けて設立される会社(以下この条において「申請者等」という。)及びその子会社(子会社となる会社を含む。第四号において同じ。)の財産及び収支の状況に照らして、当該申請者等がその子会社であり、又はその子会社となる少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがあること。
 二 申請者等が、その人的構成等に照らして、その子会社であり、又はその子会社となる少額短期保険業者の経営管理を的確かつ公正に遂行することができる知識及び経験を有しない者であること。
 三 申請者等が第二百七十二条の三十三第一項第一号ハに該当する者であること。
 四 申請者等の子会社の業務の内容が第二百七十二条の三十九第三項各号のいずれかに該当するものであること。
2 少額短期保険持株会社(少額短期保険業者を子会社とする持株会社であって、第二百七十二条の三十五第一項各号に掲げる取引若しくは行為について保有者となる承認を受け、同項の承認を受けて設立され、又は同条第三項ただし書の承認を受けているものをいう。以下同じ。)は、外国の法令に準拠して設立されたものを除き、株式会社であって次に掲げる機関を置くものでなければならない。
 一 取締役会
 二 監査役会又は委員会
 三 会計監査人

(少額短期保険持株会社の取締役等の適格性等)
第二百七十二条の三十七の二 会社法第三百三十一条第二項ただし書(取締役の資格等)(同法第三百三十五条第一項(監査役の資格等)において準用する場合を含む。)、第三百三十二条第二項(取締役の任期)(同法第三百三十四条第一項(会計参与の任期)において準用する場合を含む。)、第三百三十六条第二項(監査役の任期)及び第四百二条第五項ただし書(執行役の選任等)の規定は、少額短期保険持株会社については、適用しない。
2 少額短期保険持株会社は、持分会社の無限責任社員又は業務を執行する社員となることができない。

(少額短期保険持株会社の業務範囲等)
第二百七十二条の三十八 少額短期保険持株会社は、次条第一項各号に掲げる会社及びこれらの会社以外の会社で同項又は同条第四項ただし書の規定による内閣総理大臣の承認を受けて子会社とした会社の経営管理を行うこと並びにこれに附帯する業務のほか、他の業務を営むことができない。
2 少額短期保険持株会社は、その業務を営むに当たっては、その子会社である少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営の確保に努めなければならない。

(少額短期保険持株会社の子会社の範囲等)
第二百七十二条の三十九 少額短期保険持株会社は、次に掲げる会社以外の会社を子会社としようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
 一 少額短期保険業者
 二 少額短期保険業者の行う業務に従属し、又は付随し、若しくは関連する業務として内閣府令で定める業務を専ら営む会社
2 前項の承認を受けようとする少額短期保険持株会社は、当該承認の申請に係る会社の業務の内容、資本金の額、人的構成その他の内閣府令で定める事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
3 内閣総理大臣は、第一項の承認の申請があったときは、当該申請に係る会社が行い、又は行おうとする業務の内容が、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これを承認しなければならない。
 一 当該業務の内容が、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあること。
 二 当該業務の内容が、当該申請に係る会社の資本金の額、人的構成等に照らして、当該申請に係る会社の経営の健全性を損なう危険性が大きく、かつ、その経営の健全性が損なわれた場合には、当該申請をした少額短期保険持株会社の子会社である少額短期保険業者の経営の健全性が損なわれることとなるおそれがあること。
4 第一項の規定は、同項各号に掲げる会社以外の会社が、少額短期保険持株会社又はその子会社の担保権の実行による株式又は持分の取得その他の内閣府令で定める事由により当該少額短期保険持株会社の子会社となる場合には、適用しない。ただし、当該少額短期保険持株会社は、その子会社となった当該会社を引き続き子会社とすることについて内閣総理大臣の承認を受けた場合を除き、当該会社が当該事由の生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
5 少額短期保険持株会社が、保険会社を子会社とすることにより保険持株会社になろうとする場合又は保険持株会社である場合には、前条第一項の規定及び前各項の規定を適用せず、第二百七十一条の二十二の規定の定めるところによる。
6 少額短期保険持株会社が、銀行若しくは長期信用銀行を子会社とすることにより銀行持株会社若しくは長期信用銀行持株会社になろうとする場合又は銀行持株会社若しくは長期信用銀行持株会社である場合には、前条第一項の規定及び第一項から第四項までの規定を適用せず、銀行法又は長期信用銀行法の相当規定の定めるところによる。

(経理、監督等に関する規定の準用)
第二百七十二条の四十 第二百七十一条の二十三の規定は少額短期保険持株会社の事業年度について、第二百七十一条の二十四の規定は少額短期保険持株会社及びその子会社その他の当該少額短期保険持株会社と内閣府令で定める特殊の関係のある会社(以下この条において「子会社等」という。)の業務及び財産の状況を連結して記載した中間業務報告書及び業務報告書について、第二百七十一条の二十五第一項から第四項までの規定は少額短期保険持株会社及びその子会社等の業務及び財産の状況に関する事項として内閣府令で定めるものを当該少額短期保険持株会社及び当該子会社等につき連結して記載した説明書類について、同条第五項の規定は少額短期保険持株会社について、第二百七十一条の二十六の規定は少額短期保険持株会社の事業報告及び附属明細書の記載事項について、それぞれ準用する。
2 第二百七十一条の二十七の規定は少額短期保険業者を子会社とする少額短期保険持株会社、当該少額短期保険持株会社の子法人等(子会社その他当該少額短期保険持株会社がその経営を支配している法人として内閣府令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)又は当該少額短期保険持株会社から業務の委託を受けた者について、第二百七十一条の二十八第一項の規定は少額短期保険業者を子会社とする少額短期保険持株会社について、同条第二項及び第四項の規定は少額短期保険持株会社の子法人等又は当該少額短期保険持株会社から業務の委託を受けた者について、同条第三項の規定はこれらの規定による立入り、質問又は検査をする職員について、第二百七十一条の二十八の二の規定は少額短期保険持株会社の子会社である少額短期保険業者について、第二百七十一条の二十九第一項及び第二項の規定は少額短期保険持株会社について、同条第三項の規定は少額短期保険持株会社の子会社である少額短期保険業者について、第二百七十一条の三十の規定は少額短期保険持株会社又は少額短期保険持株会社の子会社である少額短期保険業者について、それぞれ準用する。この場合において、第二百七十一条の二十七第一項中「第百二十八条第一項」とあるのは「第二百七十二条の二十二第一項」と、第二百七十一条の二十八第一項及び第二項中「第百二十九条第一項」とあるのは「第二百七十二条の二十三第一項」と、第二百七十一条の三十第一項中「第二百七十一条の十八第一項若しくは第三項ただし書の認可」とあるのは「第二百七十二条の三十五第一項若しくは第三項ただし書の承認」と、「同条第一項の認可」とあるのは「同条第一項の承認」と、「当該認可」とあるのは「当該承認」と、同条第二項中「第二百七十一条の十八第一項又は第三項ただし書の認可」とあるのは「第二百七十二条の三十五第一項又は第三項ただし書の承認」と、同条第三項中「第二百七十一条の十第二項」とあるのは「第二百七十二条の三十一第二項」と、同条第四項第一号及び第二号中「第二百七十一条の十八第一項の認可」とあるのは「第二百七十二条の三十五第一項の承認」と、同項第三号中「第二百七十一条の十八第三項ただし書の認可」とあるのは「第二百七十二条の三十五第三項ただし書の承認」と、同項第四号中「第二百七十一条の十八第一項又は第三項ただし書の認可」とあるのは「第二百七十二条の三十五第一項又は第三項ただし書の承認」と読み替えるものとする。

第三款 雑則

(外国少額短期保険主要株主又は外国少額短期保険持株会社に対する法律の適用関係)
第二百七十二条の四十一 少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者であって外国人若しくは外国法人であるもの又は少額短期保険業者を子会社とする持株会社であって外国の法令に準拠して設立されたもの(以下この条において「外国少額短期保険主要株主等」という。)に対しこの法律を適用する場合における特例及び技術的読替えその他外国少額短期保険主要株主等に対するこの法律の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(届出事項)
第二百七十二条の四十二 少額短期保険主要株主(少額短期保険主要株主であった者を含む。)は、次の各号のいずれかに該当するときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
 一 第二百七十二条の三十一第一項の承認に係る少額短期保険主要株主になったとき、又は当該承認に係る少額短期保険主要株主として設立されたとき。
 二 第二百七十二条の三十二第一項各号に掲げる事項に変更があったとき(議決権保有割合に変更があったときを除く。)。
 三 少額短期保険業者の総株主の議決権の百分の五十を超える議決権の保有者となったとき。
 四 少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者でなくなったとき(第六号の場合を除く。)。
 五 少額短期保険業者の総株主の議決権の百分の五十を超える議決権の保有者でなくなったとき(前号及び次号の場合を除く。)。
 六 解散したとき(設立、株式移転、合併(当該合併により少額短期保険業者の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者となる会社その他の法人を設立する場合に限る。)又は新設分割を無効とする判決が確定したときを含む。)。
 七 その総株主の議決権の百分の五十を超える議決権が一の株主により取得又は保有されることとなったとき。
 八 その他内閣府令で定める場合に該当するとき。
2 少額短期保険持株会社(少額短期保険持株会社であった会社を含む。)は、次の各号のいずれかに該当するときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
 一 第二百七十二条の三十五第一項の承認に係る少額短期保険持株会社になったとき、又は当該承認に係る少額短期保険持株会社として設立されたとき。
 二 少額短期保険業者を子会社とする持株会社でなくなったとき(第五号の場合を除く。)。
 三 第二百七十二条の三十九第一項各号に掲げる会社を子会社としようとするとき。
 四 その子会社が子会社でなくなったとき(第二号の場合を除く。)。
 五 解散したとき(設立、株式移転、合併(当該合併により少額短期保険業者を子会社とする持株会社を設立するものに限る。)又は新設分割を無効とする判決が確定したときを含む。)。
 六 資本金の額を変更しようとするとき。
 七 その総株主の議決権の百分の五を超える議決権が一の株主により取得又は保有されることとなったとき。
 八 その他内閣府令で定める場合に該当するとき。
3 第二条第十五項の規定は、第一項第七号及び前項第七号に規定する一の株主が取得し、又は保有することとなった少額短期保険主要株主又は少額短期保険持株会社の議決権について準用する。

(承認の失効)
第二百七十二条の四十三 第二百七十一条の三十三第一項の規定は少額短期保険主要株主に係る第二百七十二条の三十一第一項の承認又は同条第二項ただし書の承認について、第二百七十一条の三十三第二項の規定は少額短期保険持株会社に係る第二百七十二条の三十五第一項の承認又は同条第三項ただし書の承認について、それぞれ準用する。

第十三章 雑則

(免許又は登録の失効)
第二百七十三条 保険会社(外国保険会社等を含む。)又は少額短期保険業者が次の各号のいずれか(外国保険会社等にあっては、第一号又は第五号)に該当するときは、第三条第一項若しくは第百八十五条第一項の免許又は第二百七十二条第一項の登録は、その効力を失う。
 一 保険業(外国保険会社等にあっては、日本における保険業。第五号において同じ。)を廃止したとき。
 二 解散したとき(設立、株式移転、合併(当該合併により保険会社を設立、株式移転するものに限る。)又は新設分割を無効とする判決が確定したときを含む。)。
 三 保険業を営む株式会社が保険契約の全部に係る保険契約の移転をしたとき。
 四 保険業を営む株式会社が会社分割により保険契約の全部を承継させたとき。
 五 当該免許又は登録を受けた日から六月以内に保険業を開始しなかったとき(やむを得ない理由がある場合において、あらかじめ内閣総理大臣の承認を受けたときを除く。)。
2 第二百九条第五号から第八号までのいずれかに該当して同条の規定による届出(同条第五号に係る届出にあっては、当該合併後当該外国保険会社等が消滅することとなる合併、当該外国保険会社等の事業の全部を承継させることとなる会社分割及び事業の全部の譲渡に係る届出に限る。)があったときは、当該届出をした外国保険会社等に係る第百八十五条第一項の内閣総理大臣の免許は、その効力を失う。
3 少額短期保険業者が第三条第一項の免許を受けたときは、第二百七十二条第一項の登録は、その効力を失う。

(内閣総理大臣の告示)
第二百七十四条 次に掲げる場合には、内閣総理大臣は、その旨を官報で告示するものとする。
 一 第百三十二条第一項、第百三十三条、第二百四条第一項、第二百五条、第二百四十一条第一項又は第二百七十二条の二十六第一項の規定により業務(外国保険会社等にあっては、日本における業務)の全部又は一部の停止を命じたとき。
 二 第百三十三条、第百三十四条、第二百五条、第二百六条、第二百七十二条の二十六第一項又は第二百七十二条の二十七の規定により第三条第一項若しくは第百八十五条第一項の免許又は第二百七十二条第一項の登録を取り消したとき。
 三 第二百四十一条第一項の規定による保険管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分又は第二百五十八条第一項の規定による命令をしたとき。
 四 前条の規定により第三条第一項又は第百八十五条第一項の免許がその効力を失ったとき。
 五 第二百七十一条の十六第一項の規定により第二百七十一条の十第一項又は第二項ただし書の認可を取り消したとき。
 六 第二百七十一条の三十第一項の規定により第二百七十一条の十八第一項又は第三項ただし書の認可を取り消したとき。
 七 第二百七十一条の三十第一項の規定により保険持株会社の子会社である保険会社の業務の全部又は一部の停止を命じたとき。
 八 第二百七十一条の三十第四項の規定により保険会社の業務の全部又は一部の停止を命じたとき。
 九 第二百七十一条の三十三の規定により第二百七十一条の十第一項若しくは第二項ただし書又は第二百七十一条 の十八第一項若しくは第三項ただし書の認可が効力を失ったとき。

第三編 保険募集

第一章 通則

(保険募集の制限)
第二百七十五条 次の各号に掲げる者が当該各号に定める保険募集を行う場合を除くほか、何人も保険募集を行ってはならない。
 一 次条の登録を受けた生命保険募集人 その所属保険会社等のために行う保険契約の締結の代理又は媒介(生命保険募集人である銀行その他の政令で定める者(以下この条において「銀行等」という。)又はその役員若しくは使用人にあっては、保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ない場合として内閣府令で定める場合に限る。)
 二 損害保険会社(外国損害保険会社等を含む。以下この編において同じ。)の役員(代表権を有する役員並びに監査役及び監査委員を除く。以下この条、第二百八十三条及び第三百二条において同じ。)若しくは使用人又は次条の登録を受けた損害保険代理店若しくはその役員若しくは使用人 その所属保険会社等のために行う保険契約の締結の代理又は媒介(損害保険代理店である銀行等又はその役員若しくは使用人にあっては、保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ない場合として内閣府令で定める場合に限る。)
 三 特定少額短期保険募集人(少額短期保険募集人のうち、第三条第五項第一号に掲げる保険その他内閣府令で定める保険のみに係る保険募集を行う者で、少額短期保険業者の委託を受けた者でないものをいう。以下同じ。)又は次条の登録を受けた少額短期保険募集人 その所属保険会社等のために行う保険契約の締結の代理又は媒介(少額短期保険募集人である銀行等又はその役員若しくは使用人にあっては、保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ない場合として内閣府令で定める場合に限る。)
 四 第二百八十六条の登録を受けた保険仲立人又はその役員若しくは使用人 保険契約(外国保険会社等以外の外国保険業者が保険者となる保険契約については、政令で定めるものに限る。)の締結の媒介(保険仲立人である銀行等又はその役員若しくは使用人にあっては、保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ない場合として内閣府令で定める場合に限る。)であって生命保険募集人、損害保険募集人及び少額短期保険募集人がその所属保険会社等のために行う保険契約の締結の媒介以外のもの
2 銀行等は、他の法律の規定にかかわらず、次条又は第二百八十六条の登録を受けて保険募集を行うことができる。

第二章 保険募集人及び所属保険会社等

第一節 保険募集人

(登録)
第二百七十六条 特定保険募集人(生命保険募集人、損害保険代理店又は少額短期保険募集人(特定少額短期保険募集人を除く。)をいう。以下同じ。)は、この法律の定めるところにより、内閣総理大臣の登録を受けなければならない。

(登録の申請)
第二百七十七条 前条の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した登録申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
 一 商号若しくは名称又は氏名及び生年月日
 二 事務所の名称及び所在地
 三 所属保険会社等の商号、名称又は氏名
 四 他に業務を行っているときは、その業務の種類
 五 その他内閣府令で定める事項
2 前項の登録申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
 一 第二百七十九条第一項第一号から第五号まで、第七号、第八号(同項第六号に係る部分を除く。)、第九号(同項第六号に係る部分を除く。)、第十号又は第十一号のいずれにも該当しないことを誓約する書面
 二 登録申請者が法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この編において同じ。)であるときは、その役員(法人でない社団又は財団におけるその代表者又は管理人を含む。第二百八十三条及び第三百二条を除き、以下この編において同じ。)の氏名及び住所を記載した書面
 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める書類

(登録の実施)
第二百七十八条 内閣総理大臣は、第二百七十六条の登録の申請があった場合においては、次条第一項から第三項までの規定により登録を拒否する場合を除くほか、直ちに、次に掲げる事項を内閣府令で定める場所に備える生命保険募集人登録簿、損害保険代理店登録簿又は少額短期保険募集人登録簿に登録しなければならない。
 一 前条第一項各号に掲げる事項
 二 登録年月日及び登録番号
2 内閣総理大臣は、前項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を登録申請者及び所属保険会社等に通知しなければならない。

(登録の拒否)
第二百七十九条 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
 一 破産者で復権を得ないもの又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
 二 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
 三 この法律又はこれに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
 四 第三百七条第一項の規定により第二百七十六条の登録を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から三年を経過しないものを含む。)又はこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の登録(当該登録に類する許可その他の行政処分を含む。以下この号において「登録等」という。)を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない者(当該登録等を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から三年を経過しないものを含む。)
 五 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
 六 申請の日前三年以内に保険募集に関し著しく不適当な行為をした者
 七 保険仲立人又はその役員若しくは保険募集を行う使用人
 八 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号のいずれかに該当するもの
 九 法人でその役員のうちに第一号から第六号までのいずれかに該当する者のあるもの
 十 個人でその保険募集を行う使用人のうちに第七号に該当する者のあるもの
 十一 法人でその役員又は保険募集を行う使用人のうちに第七号に該当する者のあるもの
2 内閣総理大臣は、前項の規定により登録を拒否しようとするときは、あらかじめ、登録申請者にその旨を通知し、その者又はその代理人の出頭を求め、釈明のための証拠を提出する機会を与えるため、内閣総理大臣の指定する職員をして意見を聴取させなければならない。
3 前項の場合において、内閣総理大臣は、意見を聴取される者が正当な理由がないのに、意見の聴取に応じないときは、意見の聴取を行わないで登録を拒否することができる。
4 内閣総理大臣は、前三項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、書面をもって、その旨を登録申請者に通知しなければならない。

(変更等の届出等)
第二百八十条 特定保険募集人が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
 一 第二百七十七条第一項各号に掲げる事項について変更があったとき。 当該変更に係る特定保険募集人
 二 保険募集の業務を廃止したとき。 特定保険募集人であった個人又は特定保険募集人であった法人を代表する役員
 三 特定保険募集人である個人が死亡したとき。 その相続人
 四 特定保険募集人である法人について破産手続開始の決定があったとき。 その破産管財人
 五 特定保険募集人である法人が合併(法人でない社団又は財団にあっては、合併に相当する行為。次号において同じ。)により消滅したとき。 その法人を代表する役員であった者
 六 特定保険募集人である法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散(法人でない社団又は財団にあっては、解散に相当する行為)をしたとき。 その清算人(法人でない社団又は財団にあっては、その代表者又は管理人であった者)
2 内閣総理大臣は、前項第一号に係る同項の届出を受理したときは、届出があった事項を生命保険募集人登録簿、損害保険代理店登録簿又は少額短期保険募集人登録簿に登録し、その旨を所属保険会社等に通知しなければならない。
3 特定保険募集人が第一項第二号から第六号までのいずれかに該当することとなったときは、特定保険募集人の登録は、その効力を失う。

(登録免許税及び手数料)
第二百八十一条 第二百七十六条の登録を受けようとする者(登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)別表第一第三十七号の規定により新たな登録とみなされる場合における前条第一項第一号の規定による届出をする者を含む。)は、第一号に掲げる場合にあっては同法の定めるところにより登録免許税を、第二号に掲げる場合にあっては実費を勘案して政令で定める額の手数料を、それぞれ納めなければならない。
 一 所属保険会社等から委託(一時的な必要に基づき期限を付して行われる委託で内閣府令で定めるものを除く。)を受けて行う第二百七十七条第一項の規定による登録の申請(登録免許税法第三十四条の規定により新たな登録とみなされる場合における前条第一項第一号の規定による届出を含む。)を行う場合
 二 前号に規定する申請以外の申請を行う場合

(生命保険募集人に係る制限)
第二百八十二条 生命保険会社(外国生命保険会社等を含む。以下この編において同じ。)は、他の生命保険会社の生命保険募集人に対して、保険募集の委託をしてはならない。
2 生命保険募集人は、他の生命保険会社の役員若しくは使用人若しくはこれらの者の使用人を兼ね、又は他の生命保険会社の委託を受けて保険募集を行い、若しくは他の生命保険会社の委託を受けて保険募集を行う者の役員若しくは使用人として保険募集を行うことができない。
3 前二項の規定は、生命保険募集人が二以上の所属保険会社等を有する場合においても、その保険募集に係る業務遂行能力その他の状況に照らして、保険契約者等の保護に欠けるおそれがないものとして政令で定める場合には、適用しない。

第二節 所属保険会社等

(所属保険会社等の賠償責任)
第二百八十三条 所属保険会社等は、保険募集人が保険募集について保険契約者に加えた損害を賠償する責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
 一 所属保険会社等の役員である保険募集人(生命保険会社にあっては、当該役員の使用人である生命保険募集人を含む。)が行う保険募集については、所属保険会社等が当該役員の選任につき相当の注意をし、かつ、これらの者の行う保険募集について保険契約者に加えた損害の発生の防止に努めたとき。
 二 所属保険会社等の使用人である保険募集人(生命保険会社にあっては、当該使用人の使用人である生命保険募集人を含む。)が行う保険募集については、所属保険会社等が当該使用人(生命保険会社の使用人の使用人を除く。)の雇用につき相当の注意をし、かつ、これらの者の行う保険募集について保険契約者に加えた損害の発生の防止に努めたとき。
 三 所属保険会社等の委託に基づく特定保険募集人又はその役員若しくは使用人である保険募集人が行う保険募集については、所属保険会社等が当該特定保険募集人の委託をするについて相当の注意をし、かつ、これらの者の行う保険募集につき保険契約者に加えた損害の発生の防止に努めたとき。
3 第一項の規定は、所属保険会社等から保険募集人に対する求償権の行使を妨げない。
4 民法第七百二十四条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)の規定は、第一項の請求権について準用する。

(所属保険会社等を代理人とする登録の申請等)
第二百八十四条 特定保険募集人又は第二百八十条第一項第二号から第六号までに定める者は、所属保険会社等を代理人として、第二百七十七条第一項の規定による登録の申請又は第二百八十条第一項若しくは第三百二条の規定による届出をすることができる。

(特定保険募集人の原簿)
第二百八十五条 所属保険会社等は、内閣府令で定めるところにより、当該所属保険会社等に係る特定保険募集人に関する原簿を、その本店若しくは主たる事務所又は支店若しくは従たる事務所(外国保険会社等の場合にあっては、第百八十五条第一項に規定する支店等)に備え置かなければならない。
2 利害関係人は、必要があるときは、所属保険会社等に対して、前項の原簿の閲覧を求めることができる。

第三章 保険仲立人

(登録)
第二百八十六条 保険仲立人は、この法律の定めるところにより、内閣総理大臣の登録を受けなければならない。

(登録の申請)
第二百八十七条 前条の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した登録申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
 一 商号、名称又は氏名及び住所
 二 事務所の名称及び所在地
 三 取り扱う保険契約の種類
 四 他に業務を行っているときは、その業務の種類
 五 その他内閣府令で定める事項
2 前項の登録申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
 一 第二百八十九条第一項第一号から第五号まで、第七号、第八号(同項第六号に係る部分を除く。)、第九号(同項第六号に係る部分を除く。)又は第十号のいずれにも該当しないことを誓約する書面
 二 登録申請者が法人であるときは、その役員の氏名及び住所を記載した書面
 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める書類

(登録の実施)
第二百八十八条 内閣総理大臣は、第二百八十六条の登録の申請があった場合においては、次条第一項から第三項までの規定により登録を拒否する場合を除くほか、直ちに、次に掲げる事項を内閣府令で定める場所に備える保険仲立人登録簿に登録しなければならない。
 一 前条第一項各号に掲げる事項
 二 登録年月日及び登録番号
2 内閣総理大臣は、前項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を登録申請者に通知しなければならない。
3 内閣総理大臣は、保険仲立人登録簿を公衆の縦覧に供しなければならない。

(登録の拒否)
第二百八十九条 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
 一 破産者で復権を得ないもの又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
 二 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
 三 この法律又はこれに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
 四 第三百七条第一項の規定により第二百八十六条の登録を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から三年を経過しないものを含む。)又はこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の登録(当該登録に類する許可その他の行政処分を含む。以下この号において「登録等」という。)を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない者(当該登録等を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から三年を経過しないものを含む。)
 五 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
 六 申請の日前三年以内に保険募集に関し著しく不適当な行為をした者
 七 保険会社等若しくは外国保険会社等、これらの役員(保険募集人である者を除く。)又は保険募集人(損害保険代理店の使用人については、保険募集を行う者に限る。)
 八 個人でその保険募集を行う使用人のうちに前各号のいずれかに該当する者のあるもの
 九 法人でその役員又は保険募集を行う使用人のうちに第一号から第七号までのいずれかに該当する者のあるもの
 十 保険募集に係る業務を的確に遂行するに足りる能力を有しない者
2 内閣総理大臣は、前項の規定により登録を拒否しようとするときは、あらかじめ、登録申請者にその旨を通知し、その者又はその代理人の出頭を求め、釈明のための証拠を提示する機会を与えるため、内閣総理大臣の指定する職員をして意見を聴取させなければならない。
3 前項の場合において、内閣総理大臣は、意見を聴取される者が正当な理由がないのに、意見の聴取に応じないときは、意見の聴取を行わないで登録を拒否することができる。
4 内閣総理大臣は、前三項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、書面をもって、その旨を登録申請者に通知しなければならない。

(変更等の届出等)
第二百九十条 保険仲立人が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
 一 第二百八十七条第一項各号に掲げる事項について変更があったとき。 当該変更に係る保険仲立人
 二 保険募集の業務を廃止したとき。 保険仲立人であった個人又は保険仲立人であった法人を代表する役員
 三 保険仲立人である個人が死亡したとき。 その相続人
 四 保険仲立人である法人について破産手続開始の決定があったとき。 その破産管財人
 五 保険仲立人である法人が合併(法人でない社団又は財団にあっては、合併に相当する行為。次号において同じ。)により消滅したとき。 その法人を代表する役員であった者
 六 保険仲立人である法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散(法人でない社団又は財団にあっては、解散に相当する行為)をしたとき。 その清算人(法人でない社団又は財団にあっては、その代表者又は管理人であった者)
2 内閣総理大臣は、前項第一号に係る同項の届出を受理したときは、届出があった事項を保険仲立人登録簿に登録しなければならない。
3 保険仲立人が第一項第二号から第六号までのいずれかに該当することとなったときは、当該保険仲立人の登録は、その効力を失う。

(保証金)
第二百九十一条 保険仲立人は、保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
2 前項の保証金の額は、保険仲立人の業務の状況及び保険契約者等の保護を考慮して、政令で定める額とする。
3 保険仲立人は、政令で定めるところにより、当該保険仲立人のために所要の保証金が内閣総理大臣の命令に応じて供託される旨の契約を締結し、かつ、その旨を内閣総理大臣に届け出たときは、当該契約の効力の存する間、当該契約において供託されることとなっている金額(以下この条において「契約金額」という。)につき第一項の保証金の全部又は一部の供託をしないことができる。
4 内閣総理大臣は、保険契約者等の保護のため必要があると認めるときは、保険仲立人と前項の契約を締結した者又は当該保険仲立人に対し、契約金額に相当する金額の全部又は一部を供託すべき旨を命ずることができる。
5 保険仲立人は、第一項の保証金につき供託(第三項の契約の締結を含む。)を行い、かつ、その旨を内閣総理大臣に届け出た後でなければ、保険契約の締結の媒介を行ってはならない。
6 保険仲立人に保険契約の締結の媒介を委託した保険契約者、当該保険契約の被保険者又は保険金額を受け取るべき者は、保険契約の締結の媒介に関して生じた債権に関し、当該保険仲立人に係る保証金について、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。
7 前項の権利の実行に関し必要な事項は、政令で定める。
8 保険仲立人は、第六項の権利の実行その他の理由により、保証金の額(契約金額を含む。第十項において同じ。)が第二項の政令で定める額に不足することとなったときは、内閣府令で定める日から二週間以内にその不足額につき供託(第三項の契約の締結を含む。第三百十九条第十二号において同じ。)を行い、かつ、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
9 第一項又は前項の規定により供託する保証金は、国債証券、地方債証券その他の内閣府令で定める有価証券をもってこれに充てることができる。
10 第一項、第四項又は第八項の規定により供託した保証金は、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、内閣総理大臣の承認を受けて、その全部又は一部を取り戻すことができる。
 一 前条第一項第二号から第六号までのいずれかに該当することとなったとき。
 二 第三百七条第一項又は第二項の規定により登録が取り消されたとき。
 三 業務の状況の変化その他の理由により保証金の額が第二項の政令で定める額を超えることとなったとき。
11 内閣総理大臣は、前項の承認をするときは、保険契約の締結の媒介に関して生じた債権の弁済を確保するために必要と認める限度において、取り戻すことができる時期及び取り戻すことができる保証金の額を指定することができる。
12 前各項に定めるもののほか、保証金に関し必要な事項は、内閣府令・法務省令で定める。

(保険仲立人賠償責任保険契約)
第二百九十二条 保険仲立人は、政令で定めるところにより、保険仲立人賠償責任保険契約を締結し、内閣総理大臣の承認を受けたときは、当該契約の効力の存する間、当該契約の保険金の額に応じて前条第一項の保証金の一部の供託(同条第三項の契約の締結を含む。次項において同じ。)をしないことができる。
2 内閣総理大臣は、保険契約者等の保護のため必要があると認めるときは、前項の保険仲立人賠償責任保険契約を締結した保険仲立人に対し、前条第一項の保証金につき供託をしないことができるとされた金額の全部又は一部を供託すべき旨を命ずることができる。
3 前二項に定めるもののほか、保険仲立人賠償責任保険契約に関し必要な事項は、内閣府令で定める。

(商法の準用)
第二百九十三条 商法第五百四十三条、第五百四十四条及び第五百四十六条から第五百五十条まで(仲立営業)の規定は、保険仲立人が行う保険契約の締結の媒介であって相互会社(外国相互会社を含む。)が当該保険契約の保険者となるべきものについて準用する。

第四章 業務

(顧客に対する説明)
第二百九十四条 保険募集人は、保険募集を行おうとするときは、あらかじめ、顧客に対し次に掲げる事項を明らかにしなければならない。
 一 所属保険会社等の商号、名称又は氏名
 二 自己が所属保険会社等の代理人として保険契約を締結するか、又は保険契約の締結を媒介するかの別
 三 その他内閣府令で定める事項

(自己契約の禁止)
第二百九十五条 損害保険代理店及び保険仲立人は、その主たる目的として、自己又は自己を雇用している者を保険契約者又は被保険者とする保険契約(保険仲立人にあっては、内閣府令で定めるものに限る。次項において「自己契約」という。)の保険募集を行ってはならない。
2 前項の規定の適用については、損害保険代理店又は保険仲立人が保険募集を行った自己契約に係る保険料の合計額として内閣府令で定めるところにより計算した額が、当該損害保険代理店又は保険仲立人が保険募集を行った保険契約に係る保険料の合計額として内閣府令で定めるところにより計算した額の百分の五十を超えることとなったときは、当該損害保険代理店又は保険仲立人は、自己契約の保険募集を行うことをその主たる目的としたものとみなす。

(保険仲立人の氏名等の明示)
第二百九十六条 保険仲立人は、保険契約の締結の媒介を行おうとするときは、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面を顧客に交付しなければならない。
 一 保険仲立人の商号、名称又は氏名及び住所
 二 保険仲立人の権限に関する事項
 三 保険仲立人の損害賠償に関する事項
 四 前三号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
2 保険仲立人は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該顧客の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該保険仲立人は、当該書面を交付したものとみなす。

(保険仲立人の開示事項)
第二百九十七条 保険仲立人は、顧客から求められたときは、保険契約の締結の媒介に関して当該保険仲立人が受ける手数料、報酬その他の対価の額その他内閣府令で定める事項を、明らかにしなければならない。
(結約書の記載事項)
第二百九十八条 保険仲立人に対する商法第五百四十六条第一項(結約書作成及び交付義務)(第二百九十三条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、同項中「其要領」とあるのは、「内閣府令ニ定ムル事項」とする。

(保険仲立人の誠実義務)
第二百九十九条 保険仲立人は、顧客のため誠実に保険契約の締結の媒介を行わなければならない。

(指定保険仲立人保険募集紛争解決機関との契約締結義務等)
第二百九十九条の二 保険仲立人は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める措置を講じなければならない。
 一 指定保険仲立人保険募集紛争解決機関(指定紛争解決機関であってその紛争解決等業務の種別が保険仲立人保険募集であるものをいう。以下この条において同じ。)が存在する場合 一の指定保険仲立人保険募集紛争解決機関との間で保険仲立人保険募集に係る手続実施基本契約を締結する措置
 二 指定保険仲立人保険募集紛争解決機関が存在しない場合 保険仲立人保険募集に関する苦情処理措置及び紛争解決措置
2 保険仲立人は、前項の規定により手続実施基本契約を締結する措置を講じた場合には、当該手続実施基本契約の相手方である指定保険仲立人保険募集紛争解決機関の商号又は名称を公表しなければならない。
3 第一項の規定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間においては、適用しない。
 一 第一項第一号に掲げる場合に該当していた場合において、同項第二号に掲げる場合に該当することとなったとき 第三百八条の二十三第一項の規定による紛争解決等業務の廃止の認可又は第三百八条の二十四第一項の規定による指定の取消しの時に、同号に定める措置を講ずるために必要な期間として内閣総理大臣が定める期間
 二 第一項第一号に掲げる場合に該当していた場合において、同号の一の指定保険仲立人保険募集紛争解決機関の紛争解決等業務の廃止が第三百八条の二十三第一項の規定により認可されたとき、又は同号の一の指定保険仲立人保険募集紛争解決機関の第三百八条の二第一項の規定による指定が第三百八条の二十四第一項の規定により取り消されたとき(前号に掲げる場合を除く。) その認可又は取消しの時に、第一項第一号に定める措置を講ずるために必要な期間として内閣総理大臣が定める期間
 三 第一項第二号に掲げる場合に該当していた場合において、同項第一号に掲げる場合に該当することとなったとき 第三百八条の二第一項の規定による指定の時に、同号に定める措置を講ずるために必要な期間として内閣総理大臣が定める期間

(保険契約の締結又は保険募集に関する禁止行為)
第三百条 保険会社等若しくは外国保険会社等、これらの役員(保険募集人である者を除く。)、保険募集人又は保険仲立人若しくはその役員若しくは使用人は、保険契約の締結又は保険募集に関して、次に掲げる行為(次条に規定する特定保険契約の締結又はその代理若しくは媒介に関しては、第一号に規定する保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為及び第九号に掲げる行為を除く。)をしてはならない。
 一 保険契約者又は被保険者に対して、虚偽のことを告げ、又は保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為
 二 保険契約者又は被保険者が保険会社等又は外国保険会社等に対して重要な事項につき虚偽のことを告げることを勧める行為
 三 保険契約者又は被保険者が保険会社等又は外国保険会社等に対して重要な事実を告げるのを妨げ、又は告げないことを勧める行為
 四 保険契約者又は被保険者に対して、不利益となるべき事実を告げずに、既に成立している保険契約を消滅させて新たな保険契約の申込みをさせ、又は新たな保険契約の申込みをさせて既に成立している保険契約を消滅させる行為
 五 保険契約者又は被保険者に対して、保険料の割引、割戻しその他特別の利益の提供を約し、又は提供する行為
 六 保険契約者若しくは被保険者又は不特定の者に対して、一の保険契約の契約内容につき他の保険契約の契約内容と比較した事項であって誤解させるおそれのあるものを告げ、又は表示する行為
 七 保険契約者若しくは被保険者又は不特定の者に対して、将来における契約者配当又は社員に対する剰余金の分配その他将来における金額が不確実な事項として内閣府令で定めるものについて、断定的判断を示し、又は確実であると誤解されるおそれのあることを告げ、若しくは表示する行為
 八 保険契約者又は被保険者に対して、当該保険契約者又は被保険者に当該保険会社等又は外国保険会社等の特定関係者(第百条の三(第二百七十二条の十三第二項において準用する場合を含む。第三百一条において同じ。)に規定する特定関係者及び第百九十四条に規定する特殊関係者のうち、当該保険会社等又は外国保険会社等を子会社とする保険持株会社及び少額短期保険持株会社(以下この条及び第三百一条の二において「保険持株会社等」という。)、当該保険持株会社等の子会社(保険会社等及び外国保険会社等を除く。)並びに保険業を行う者以外の者をいう。)が特別の利益の供与を約し、又は提供していることを知りながら、当該保険契約の申込みをさせる行為
 九 前各号に定めるもののほか、保険契約者等の保護に欠けるおそれがあるものとして内閣府令で定める行為
2 前項第五号の規定は、保険会社等又は外国保険会社等が第四条第二項各号、第百八十七条第三項各号又は第二百七十二条の二第二項各号に掲げる書類に基づいて行う場合には、適用しない。

(金融商品取引法の準用)
第三百条の二 金融商品取引法第三章第一節第五款(第三十四条の二第六項から第八項まで(特定投資家が特定投資家以外の顧客とみなされる場合)並びに第三十四条の三第五項及び第六項(特定投資家以外の顧客である法人が特定投資家とみなされる場合)を除く。)(特定投資家)及び第四十五条(第三号及び第四号を除く。)(雑則)の規定は保険会社等若しくは外国保険会社等又は保険仲立人が行う特定保険契約(金利、通貨の価格、同法第二条第十四項に規定する金融商品市場における相場その他の指標に係る変動により損失が生ずるおそれ(当該保険契約が締結されることにより顧客の支払うこととなる保険料の合計額が、当該保険契約が締結されることにより当該顧客の取得することとなる保険金、返戻金その他の給付金の合計額を上回ることとなるおそれをいう。)がある保険契約として内閣府令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)又は顧客のために特定保険契約の締結の媒介を行うことを内容とする契約の締結について、同章第二節第一款(第三十五条から第三十六条の四まで(第一種金融商品取引業又は投資運用業を行う者の業務の範囲、第二種金融商品取引業又は投資助言・代理業のみを行う者の兼業の範囲、顧客に対する誠実義務、標識の掲示、名義貸しの禁止、社債の管理の禁止等)、第三十七条第一項第二号(広告等の規制)、第三十七条の二(取引態様の事前明示義務)、第三十七条の三第一項第二号及び第六号並びに第三項(契約締結前の書面の交付)、第三十七条の五から第三十七条の七まで(保証金の受領に係る書面の交付、書面による解除、指定紛争解決機関との契約締結義務等)、第三十八条第一号及び第二号並びに第三十八条の二(禁止行為)、第三十九条第三項ただし書及び第五項(損失補てん等の禁止)並びに第四十条の二から第四十条の五まで(最良執行方針等、分別管理が確保されていない場合の売買等の禁止、特定投資家向け有価証券の売買等の制限、特定投資家向け有価証券に関する告知義務)を除く。)(通則)の規定は保険会社等、外国保険会社等、保険募集人又は保険仲立人が行う特定保険契約の締結又はその代理若しくは媒介について、それぞれ準用する。この場合において、これらの規定中「金融商品取引契約」とあるのは「特定保険契約等」と、「金融商品取引業」とあるのは「特定保険契約の締結又はその代理若しくは媒介の業務」と、同法第三十四条中「顧客を相手方とし、又は顧客のために金融商品取引行為(第二条第八項各号に掲げる行為をいう。以下同じ。)」とあるのは「特定保険契約(保険業法第三百条の二に規定する特定保険契約をいう。以下同じ。)又は顧客のために特定保険契約の締結の媒介」と、同法第三十七条第二項中「金融商品取引行為」とあるのは「特定保険契約の締結」と、同法第三十七条の三第一項中「締結しようとするとき」とあるのは「締結しようとするとき、又は特定保険契約の締結の代理若しくは媒介を行うとき」と、「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項その他保険業法第三百条第一項第一号に規定する保険契約の契約条項のうち重要な事項」と、同項第一号中「金融商品取引業者等」とあるのは「特定保険契約等を締結する保険会社等(保険業法第二条の二第一項に規定する保険会社等をいう。)、外国保険会社等(同法第二条第七項に規定する外国保険会社等をいう。)又は保険仲立人(同条第二十五項に規定する保険仲立人をいう。)」と、同項第五号中「金融商品取引行為」とあるのは「特定保険契約の締結」と、同法第三十八条第一項中「使用人」とあるのは「使用人(保険募集人(保険業法第二条第二十三項に規定する保険募集人をいう。)を除く。第三十九条第三項において同じ。)」と、同法第三十九条第一項第一号中「有価証券の売買その他の取引(買戻価格があらかじめ定められている買戻条件付売買その他の政令で定める取引を除く。)又はデリバティブ取引(以下この条において「有価証券売買取引等」という。)」とあるのは「特定保険契約の締結」と、「有価証券又はデリバティブ取引(以下この条において「有価証券等」という。)」とあるのは「特定保険契約」と、「顧客(信託会社等(信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。以下同じ。)が、信託契約に基づいて信託をする者の計算において、有価証券の売買又はデリバティブ取引を行う場合にあつては、当該信託をする者を含む。以下この条において同じ。)」とあるのは「顧客」と、「損失」とあるのは「損失(当該特定保険契約が締結されることにより顧客の支払う保険料の合計額が当該特定保険契約が締結されることにより当該顧客の取得する保険金、返戻金その他の給付金の合計額を上回る場合における当該保険料の合計額から当該保険金、返戻金その他の給付金の合計額を控除した金額をいう。以下この条において同じ。)」と、「補足するため」とあるのは「補足するため、当該特定保険契約によらないで」と、同項第二号及び第三号中「有価証券売買取引等」とあるのは「特定保険契約の締結」と、「有価証券等」とあるのは「特定保険契約」と、同項第二号中「追加するため」とあるのは「追加するため、当該特定保険契約によらないで」と、同項第三号中「追加するため、」とあるのは「追加するため、当該特定保険契約によらないで」と、同条第二項中「有価証券売買取引等」とあるのは「特定保険契約の締結」と、同条第三項中「原因となるものとして内閣府令で定めるもの」とあるのは「原因となるもの」と、同法第四十条第一号中「金融商品取引行為」とあるのは「特定保険契約等の締結」と、同法第四十五条第二号中「第三十七条の二から第三十七条の六まで、第四十条の二第四項及び第四十三条の四」とあるのは「第三十七条の三(第一項各号に掲げる事項に係る部分に限り、同項第二号及び第六号並びに第三項を除く。)及び第三十七条の四」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第三百一条 保険会社等又は外国保険会社等は、その特定関係者(第百条の三に規定する特定関係者(保険業を行う者に限る。)をいい、外国保険会社等の場合にあっては、第百九十四条に規定する特殊関係者(保険業を行う者に限る。)をいう。以下この条において同じ。)が行う保険契約の締結又はその特定関係者に係る保険募集に関して、次に掲げる行為又は取引をしてはならない。
 一 当該特定関係者を保険者とする保険契約の保険契約者又は被保険者に対して、特別の利益の提供を約し、又は提供する行為
 二 当該特定関係者との間又は当該特定関係者を保険者とする保険契約の保険契約者若しくは被保険者との間で行う行為又は取引のうち前号に掲げるものに準ずる行為又は取引で、保険募集の公正を害するおそれのあるものとして内閣府令で定める行為又は取引

第三百一条の二 保険持株会社等及びその子会社(保険会社等及び外国保険会社等を除く。)は、当該保険持株会社等の子会社である保険会社等若しくは外国保険会社等が行う保険契約の締結又は当該保険会社等若しくは外国保険会社等に係る保険募集に関して、次に掲げる行為又は取引をしてはならない。
 一 当該保険会社等又は外国保険会社等を保険者とする保険契約の保険契約者又は被保険者に対して、特別の利益の提供を約し、又は提供する行為
 二 当該保険会社等又は外国保険会社等を保険者とする保険契約の保険契約者若しくは被保険者との間で行う行為又は取引のうち前号に掲げるものに準ずる行為又は取引で、保険募集の公正を害するおそれのあるものとして内閣府令で定める行為又は取引

第五章 監督

(役員又は使用人の届出)
第三百二条 損害保険代理店、少額短期保険募集人又は保険仲立人は、その役員又は使用人(少額短期保険募集人の役員又は使用人にあっては、特定少額短期保険募集人に限る。)に保険募集を行わせようとするときは、その者の氏名及び生年月日を内閣総理大臣に届け出なければならない。届け出た事項について変更を生じたとき、又は届出に係る役員若しくは使用人が保険募集を行わないこととなったとき、若しくはこれらの者が死亡したときも、同様とする。

(帳簿書類の備付け)
第三百三条 保険仲立人は、内閣府令で定めるところにより、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿書類を備え、保険契約者ごとに保険契約の締結の年月日その他の内閣府令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

(事業報告書の提出)
第三百四条 保険仲立人は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、事業報告書を作成し、毎事業年度経過後三月以内に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。

(立入検査等)
第三百五条 内閣総理大臣は、この法律の施行に必要な限度において、特定保険募集人又は保険仲立人に対し、その業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に、当該特定保険募集人若しくは保険仲立人の事務所に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

(業務改善命令)
第三百六条 内閣総理大臣は、特定保険募集人又は保険仲立人の業務の運営に関し、保険契約者等の利益を害する事実があると認めるときは、保険契約者等の保護のため必要な限度において、当該特定保険募集人又は保険仲立人に対し、業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(登録の取消し等)
第三百七条 内閣総理大臣は、特定保険募集人又は保険仲立人が次の各号のいずれかに該当するときは、第二百七十六条若しくは第二百八十六条の登録を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
 一 特定保険募集人が第二百七十九条第一項第一号から第三号まで、第四号(この法律に相当する外国の法令の規定に係る部分に限る。)、第五号、第七号、第八号(同項第六号に係る部分を除く。)、第九号(同項第六号に係る部分を除く。)、第十号若しくは第十一号のいずれかに該当することとなったとき、又は保険仲立人が第二百八十九条第一項第一号から第三号まで、第四号(この法律に相当する外国の法令の規定に係る部分に限る。)、第五号、第七号、第八号(同項第六号に係る部分を除く。)、第九号(同項第六号に係る部分を除く。)若しくは第十号のいずれかに該当することとなったとき。
 二 不正の手段により第二百七十六条又は第二百八十六条の登録を受けたとき。
 三 この法律又はこの法律に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき、その他保険募集に関し著しく不適当な行為をしたと認められるとき。
2 内閣総理大臣は、特定保険募集人若しくは保険仲立人の事務所の所在地を確知できないとき、又は特定保険募集人若しくは保険仲立人の所在(法人である場合にあっては、その法人を代表する役員の所在)を確知できないときは、内閣府令で定めるところにより、その事実を公告し、その公告の日から三十日を経過しても当該特定保険募集人又は保険仲立人から申出がないときは、当該特定保険募集人又は保険仲立人の登録を取り消すことができる。
3 前項の規定による処分については、行政手続法第三章(不利益処分)の規定は、適用しない。

(登録の抹消等)
第三百八条 内閣総理大臣は、次に掲げる場合には、特定保険募集人又は保険仲立人の登録を抹消しなければならない。
 一 前条第一項又は第二項の規定により第二百七十六条又は第二百八十六条の登録を取り消したとき。
 二 第二百八十条第三項の規定により第二百七十六条の登録がその効力を失ったとき、又は第二百九十条第三項の規定により第二百八十六条の登録がその効力を失ったとき。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により特定保険募集人に関する登録を抹消したときは、当該生命保険募集人又は損害保険代理店に係る所属保険会社等にその旨を通知しなければならない。この場合において、当該所属保険会社等は、第二百八十五条第一項に規定する原簿から当該特定保険募集人に係る記載を消除しなければならない。

第四編 指定紛争解決機関

第一章 通則

(紛争解決等業務を行う者の指定)
第三百八条の二 内閣総理大臣は、次に掲げる要件を備える者を、その申請により、紛争解決等業務を行う者として、指定することができる。
 一 法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含み、外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体を除く。第四号ニにおいて同じ。)であること。
 二 第三百八条の二十四第一項の規定によりこの項の規定による指定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者又は他の法律の規定による指定であって紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるものを取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者でないこと。
 三 この法律若しくは弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者でないこと。
 四 役員のうちに、次のいずれかに該当する者がないこと。
  イ 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
  ロ 破産者で復権を得ないもの又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
  ハ 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
  ニ 第三百八条の二十四第一項の規定によりこの項の規定による指定を取り消された場合若しくはこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前一月以内にその法人の役員(外国の法令上これと同様に取り扱われている者を含む。ニにおいて同じ。)であった者でその取消しの日から五年を経過しない者又は他の法律の規定による指定であって紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるもの若しくは当該他の法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該政令で定める指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前一月以内にその法人の役員であった者でその取消しの日から五年を経過しない者
  ホ この法律若しくは弁護士法又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
 五 紛争解決等業務を的確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すること。
 六 役員又は職員の構成が紛争解決等業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
 七 紛争解決等業務の実施に関する規程(以下「業務規程」という。)が法令に適合し、かつ、この法律の定めるところにより紛争解決等業務を公正かつ的確に実施するために十分であると認められること。
 八 次項の規定により意見を聴取した結果、手続実施基本契約の解除に関する事項その他の手続実施基本契約の内容(第三百八条の七第二項各号に掲げる事項を除く。)その他の業務規程の内容(同条第三項の規定によりその内容とするものでなければならないこととされる事項並びに同条第四項各号及び第五項第一号に掲げる基準に適合するために必要な事項を除く。)について異議(合理的な理由が付されたものに限る。)を述べた保険業関係業者の数の保険業関係業者の総数に占める割合が政令で定める割合以下の割合となったこと。
2 前項の申請をしようとする者は、あらかじめ、内閣府令で定めるところにより、保険業関係業者に対し、業務規程の内容を説明し、これについて異議がないかどうかの意見(異議がある場合には、その理由を含む。)を聴取し、及びその結果を記載した書類を作成しなければならない。
3 内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしようとするときは、同項第五号から第七号までに掲げる要件(紛争解決手続の業務に係る部分に限り、同号に掲げる要件にあっては、第三百八条の七第四項各号及び第五項各号に掲げる基準に係るものに限る。)に該当していることについて、あらかじめ、法務大臣に協議しなければならない。
4 第一項の規定による指定は、紛争解決等業務の種別ごとに行うものとし、同項第八号の割合は、当該紛争解決等業務の種別ごとに算定するものとする。
5 内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしたときは、指定紛争解決機関の商号又は名称及び主たる営業所又は事務所の所在地、当該指定に係る紛争解決等業務の種別並びに当該指定をした日を官報で告示しなければならない。

(指定の申請)
第三百八条の三 前条第一項の規定による指定を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した指定申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
 一 指定を受けようとする紛争解決等業務の種別
 二 商号又は名称
 三 主たる営業所又は事務所その他紛争解決等業務を行う営業所又は事務所の名称及び所在地
 四 役員の氏名又は商号若しくは名称
2 前項の指定申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
 一 前条第一項第三号及び第四号に掲げる要件に該当することを誓約する書面
 二 定款及び法人の登記事項証明書(これらに準ずるものを含む。)
 三 業務規程
 四 組織に関する事項を記載した書類
 五 財産目録、貸借対照表その他の紛争解決等業務を行うために必要な経理的な基礎を有することを明らかにする書類であって内閣府令で定めるもの
 六 前条第二項に規定する書類その他同条第一項第八号に掲げる要件に該当することを証する書類として内閣府令で定めるもの
 七 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める書類
3 前項の場合において、定款、財産目録又は貸借対照表が電磁的記録で作成されているときは、書類に代えて当該電磁的記録を添付することができる。

(秘密保持義務等)
第三百八条の四 指定紛争解決機関の紛争解決委員(第三百八条の十三第二項の規定により選任された紛争解決委員をいう。次項、次条第二項並びに第三百八条の七第二項及び第四項において同じ。)若しくは役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、紛争解決等業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用してはならない。
2 指定紛争解決機関の紛争解決委員又は役員若しくは職員で紛争解決等業務に従事する者は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

第二章 業務

(指定紛争解決機関の業務)
第三百八条の五 指定紛争解決機関は、この法律及び業務規程の定めるところにより、紛争解決等業務を行うものとする。
2 指定紛争解決機関(紛争解決委員を含む。)は、当事者である加入保険業関係業者(手続実施基本契約を締結した相手方である保険業関係業者をいう。以下この編において同じ。)若しくはその顧客(顧客以外の保険契約者等を含む。以下この編において同じ。)又はこれらの者以外の者との手続実施基本契約その他の契約で定めるところにより、紛争解決等業務を行うことに関し、負担金又は料金その他の報酬を受けることができる。

(苦情処理手続又は紛争解決手続の業務の委託)
第三百八条の六 指定紛争解決機関は、他の指定紛争解決機関又は他の法律の規定による指定であって紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるものを受けた者(第三百八条の十三第四項及び第五項において「受託紛争解決機関」という。)以外の者に対して、苦情処理手続又は紛争解決手続の業務を委託してはならない。

(業務規程)
第三百八条の七 指定紛争解決機関は、次に掲げる事項に関する業務規程を定めなければならない。
 一 手続実施基本契約の内容に関する事項
 二 手続実施基本契約の締結に関する事項
 三 紛争解決等業務の実施に関する事項
 四 紛争解決等業務に要する費用について加入保険業関係業者が負担する負担金に関する事項
 五 当事者である加入保険業関係業者又はその顧客(以下この編において単に「当事者」という。)から紛争解決等業務の実施に関する料金を徴収する場合にあっては、当該料金に関する事項
 六 他の指定紛争解決機関その他相談、苦情の処理又は紛争の解決を実施する国の機関、地方公共団体、民間事業者その他の者との連携に関する事項
 七 紛争解決等業務に関する苦情の処理に関する事項
 八 前各号に掲げるもののほか、紛争解決等業務の実施に必要な事項として内閣府令で定めるもの
2 前項第一号の手続実施基本契約は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
 一 指定紛争解決機関は、加入保険業関係業者の顧客からの保険業務等関連苦情の解決の申立て又は当事者からの紛争解決手続の申立てに基づき苦情処理手続又は紛争解決手続を開始すること。
 二 指定紛争解決機関又は紛争解決委員は、苦情処理手続を開始し、又は加入保険業関係業者の顧客からの申立てに基づき紛争解決手続を開始した場合において、加入保険業関係業者にこれらの手続に応じるよう求めることができ、当該加入保険業関係業者は、その求めがあったときは、正当な理由がないのに、これを拒んではならないこと。
 三 指定紛争解決機関又は紛争解決委員は、苦情処理手続又は紛争解決手続において、加入保険業関係業者に対し、報告又は帳簿書類その他の物件の提出を求めることができ、当該加入保険業関係業者は、その求めがあったときは、正当な理由がないのに、これを拒んではならないこと。
 四 紛争解決委員は、紛争解決手続において、保険業務等関連紛争の解決に必要な和解案を作成し、当事者に対し、その受諾を勧告することができること。
 五 紛争解決委員は、紛争解決手続において、前号の和解案の受諾の勧告によっては当事者間に和解が成立する見込みがない場合において、事案の性質、当事者の意向、当事者の手続追行の状況その他の事情に照らして相当であると認めるときは、保険業務等関連紛争の解決のために必要な特別調停案を作成し、理由を付して当事者に提示することができること。
 六 加入保険業関係業者は、訴訟が係属している請求を目的とする紛争解決手続が開始された場合には、当該訴訟が係属している旨、当該訴訟における請求の理由及び当該訴訟の程度を指定紛争解決機関に報告しなければならないこと。
 七 加入保険業関係業者は、紛争解決手続の目的となった請求に係る訴訟が提起された場合には、当該訴訟が提起された旨及び当該訴訟における請求の理由を指定紛争解決機関に報告しなければならないこと。
 八 前二号に規定する場合のほか、加入保険業関係業者は、紛争解決手続の目的となった請求に係る訴訟に関し、当該訴訟の程度その他の事項の報告を求められた場合には、当該事項を指定紛争解決機関に報告しなければならないこと。
 九 加入保険業関係業者は、第六号若しくは第七号の訴訟が裁判所に係属しなくなった場合又はその訴訟について裁判が確定した場合には、その旨及びその内容を指定紛争解決機関に報告しなければならないこと。
 十 加入保険業関係業者は、その顧客に対し指定紛争解決機関による紛争解決等業務の実施について周知するため、必要な情報の提供その他の措置を講じなければならないこと。
 十一 前各号に掲げるもののほか、保険業務等関連苦情の処理又は保険業務等関連紛争の解決の促進のために必要であるものとして内閣府令で定める事項
3 第一項第二号の手続実施基本契約の締結に関する事項に関する業務規程は、保険業関係業者から手続実施基本契約の締結の申込みがあった場合には、当該保険業関係業者が手続実施基本契約に係る債務その他の紛争解決等業務の実施に関する義務を履行することが確実でないと見込まれるときを除き、これを拒否してはならないことを内容とするものでなければならない。
4 第一項第三号に掲げる事項に関する業務規程は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
 一 苦情処理手続と紛争解決手続との連携を確保するための措置が講じられていること。
 二 紛争解決委員の選任の方法及び紛争解決委員が保険業務等関連紛争の当事者と利害関係を有することその他の紛争解決手続の公正な実施を妨げるおそれがある事由がある場合において、当該紛争解決委員を排除するための方法を定めていること。
 三 指定紛争解決機関の実質的支配者等(指定紛争解決機関の株式の所有、指定紛争解決機関に対する融資その他の事由を通じて指定紛争解決機関の事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にあるものとして内閣府令で定める者をいう。)又は指定紛争解決機関の子会社等(指定紛争解決機関が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配する関係にあるものとして内閣府令で定める者をいう。)を保険業務等関連紛争の当事者とする保険業務等関連紛争について紛争解決手続の業務を行うこととしている指定紛争解決機関にあっては、当該実質的支配者等若しくは当該子会社等又は指定紛争解決機関が紛争解決委員に対して不当な影響を及ぼすことを排除するための措置が講じられていること。
 四 紛争解決委員が弁護士でない場合(司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)第三条第一項第七号(業務)に規定する紛争について行う紛争解決手続において、紛争解決委員が同条第二項に規定する司法書士である場合を除く。)において、紛争解決手続の実施に当たり法令の解釈適用に関し専門的知識を必要とするときに、弁護士の助言を受けることができるようにするための措置を定めていること。
 五 紛争解決手続の実施に際して行う通知について相当な方法を定めていること。
 六 紛争解決手続の開始から終了に至るまでの標準的な手続の進行について定めていること。
 七 加入保険業関係業者の顧客が指定紛争解決機関に対し保険業務等関連苦情の解決の申立てをする場合又は保険業務等関連紛争の当事者が指定紛争解決機関に対し紛争解決手続の申立てをする場合の要件及び方式を定めていること。
 八 指定紛争解決機関が加入保険業関係業者から紛争解決手続の申立てを受けた場合において、保険業務等関連紛争の他方の当事者となる当該加入保険業関係業者の顧客に対し、速やかにその旨を通知するとともに、当該顧客がこれに応じて紛争解決手続の実施を依頼するか否かを確認するための手続を定めていること。
 九 指定紛争解決機関が加入保険業関係業者の顧客から第七号の紛争解決手続の申立てを受けた場合において、保険業務等関連紛争の他方の当事者となる当該加入保険業関係業者に対し、速やかにその旨を通知する手続を定めていること。
 十 紛争解決手続において提出された帳簿書類その他の物件の保管、返還その他の取扱いの方法を定めていること。
 十一 紛争解決手続において陳述される意見又は提出され、若しくは提示される帳簿書類その他の物件に含まれる保険業務等関連紛争の当事者又は第三者の秘密について、当該秘密の性質に応じてこれを適切に保持するための取扱いの方法を定めていること。第三百八条の十三第九項に規定する手続実施記録に記載されているこれらの秘密についても、同様とする。
 十二 保険業務等関連紛争の当事者が紛争解決手続を終了させるための要件及び方式を定めていること。
 十三 紛争解決委員が紛争解決手続によっては保険業務等関連紛争の当事者間に和解が成立する見込みがないと判断したときは、速やかに当該紛争解決手続を終了し、その旨を保険業務等関連紛争の当事者に通知することを定めていること。
 十四 指定紛争解決機関の紛争解決委員、役員及び職員について、これらの者が紛争解決等業務に関し知り得た秘密を確実に保持するための措置を定めていること。
5 第一項第四号及び第五号に掲げる事項に関する業務規程は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
 一 第一項第四号に規定する負担金及び同項第五号に規定する料金の額又は算定方法及び支払方法(次号において「負担金額等」という。)を定めていること。
 二 負担金額等が著しく不当なものでないこと。
6 第二項第五号の「特別調停案」とは、和解案であって、次に掲げる場合を除き、加入保険業関係業者が受諾しなければならないものをいう。
 一 当事者である加入保険業関係業者の顧客(以下この項において単に「顧客」という。)が当該和解案を受諾しないとき。
 二 当該和解案の提示の時において当該紛争解決手続の目的となった請求に係る訴訟が提起されていない場合において、顧客が当該和解案を受諾したことを加入保険業関係業者が知った日から一月を経過する日までに当該請求に係る訴訟が提起され、かつ、同日までに当該訴訟が取り下げられないとき。
 三 当該和解案の提示の時において当該紛争解決手続の目的となった請求に係る訴訟が提起されている場合において、顧客が当該和解案を受諾したことを加入保険業関係業者が知った日から一月を経過する日までに当該訴訟が取り下げられないとき。
 四 顧客が当該和解案を受諾したことを加入保険業関係業者が知った日から一月を経過する日までに、当該紛争解決手続が行われている保険業務等関連紛争について、当事者間において仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項(定義)に規定する仲裁合意がされ、又は当該和解案によらずに和解若しくは調停が成立したとき。
7 業務規程の変更は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
8 内閣総理大臣は、前項の規定による認可をしようとするときは、当該認可に係る業務規程が第四項各号及び第五項各号に掲げる基準(紛争解決手続の業務に係る部分に限る。)に適合していることについて、あらかじめ、法務大臣に協議しなければならない。

(手続実施基本契約の不履行の事実の公表等) 
第三百八条の八 指定紛争解決機関は、手続実施基本契約により加入保険業関係業者が負担する義務の不履行が生じた場合において、当該加入保険業関係業者の意見を聴取し、当該不履行につき正当な理由がないと認めるときは、遅滞なく、当該加入保険業関係業者の商号、名称又は氏名及び当該不履行の事実を公表するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。
2 指定紛争解決機関は、保険業務等関連苦情及び保険業務等関連紛争を未然に防止し、並びに保険業務等関連苦情の処理及び保険業務等関連紛争の解決を促進するため、加入保険業関係業者その他の者に対し、情報の提供、相談その他の援助を行うよう努めなければならない。

(暴力団員等の使用の禁止)
第三百八条の九 指定紛争解決機関は、暴力団員等(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号(定義)に規定する暴力団員(以下この条において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者をいう。)を紛争解決等業務に従事させ、又は紛争解決等業務の補助者として使用してはならない。

(差別的取扱いの禁止)
第三百八条の十 指定紛争解決機関は、特定の加入保険業関係業者に対し不当な差別的取扱いをしてはならない。

(記録の保存)
第三百八条の十一 指定紛争解決機関は、第三百八条の十三第九項の規定によるもののほか、内閣府令で定めるところにより、紛争解決等業務に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

(指定紛争解決機関による苦情処理手続)
第三百八条の十二 指定紛争解決機関は、加入保険業関係業者の顧客から保険業務等関連苦情について解決の申立てがあったときは、その相談に応じ、当該顧客に必要な助言をし、当該保険業務等関連苦情に係る事情を調査するとともに、当該加入保険業関係業者に対し、当該保険業務等関連苦情の内容を通知してその迅速な処理を求めなければならない。

(指定紛争解決機関による紛争解決手続)
第三百八条の十三 加入保険業関係業者に係る保険業務等関連紛争の解決を図るため、当事者は、当該加入保険業関係業者が手続実施基本契約を締結した指定紛争解決機関に対し、紛争解決手続の申立てをすることができる。
2 指定紛争解決機関は、前項の申立てを受けたときは、紛争解決委員を選任するものとする。
3 紛争解決委員は、人格が高潔で識見の高い者であって、次の各号のいずれかに該当する者(第一項の申立てに係る当事者と利害関係を有する者を除く。)のうちから選任されるものとする。この場合において、紛争解決委員のうち少なくとも一人は、第一号又は第三号(当該申立てが司法書士法第三条第一項第七号(業務)に規定する紛争に係るものである場合にあっては、第一号、第三号又は第四号)のいずれかに該当する者でなければならない。
 一 弁護士であってその職務に従事した期間が通算して五年以上である者
 二 保険業務等に従事した期間が通算して十年以上である者
 三 消費生活に関する消費者と事業者との間に生じた苦情に係る相談その他の消費生活に関する事項について専門的な知識経験を有する者として内閣府令で定める者
 四 当該申立てが司法書士法第三条第一項第七号に規定する紛争に係るものである場合にあっては、同条第二項に規定する司法書士であって同項に規定する簡裁訴訟代理等関係業務に従事した期間が通算して五年以上である者
 五 前各号に掲げる者に準ずる者として内閣府令で定める者
4 指定紛争解決機関は、第一項の申立てを第二項の規定により選任した紛争解決委員(以下この条及び次条第一項において単に「紛争解決委員」という。)による紛争解決手続に付するものとする。ただし、紛争解決委員は、当該申立てに係る当事者である加入保険業関係業者の顧客が当該保険業務等関連紛争を適切に解決するに足りる能力を有する者であると認められることその他の事由により紛争解決手続を行うのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに第一項の申立てをしたと認めるときは、紛争解決手続を実施しないものとし、紛争解決委員が当該申立てを受託紛争解決機関における紛争解決手続に相当する手続に付することが適当と認めるときは、指定紛争解決機関は、受託紛争解決機関に紛争解決手続の業務を委託するものとする。
5 前項ただし書の規定により紛争解決委員が紛争解決手続を実施しないこととしたとき、又は受託紛争解決機関に業務を委託することとしたときは、指定紛争解決機関は、第一項の申立てをした者に対し、その旨を理由を付して通知するものとする。
6 紛争解決委員は、当事者若しくは参考人から意見を聴取し、若しくは報告書の提出を求め、又は当事者から参考となるべき帳簿書類その他の物件の提出を求め、和解案を作成して、その受諾を勧告し、又は特別調停(第三百八条の七第六項に規定する特別調停案を提示することをいう。)をすることができる。
7 紛争解決手続は、公開しない。ただし、紛争解決委員は、当事者の同意を得て、相当と認める者の傍聴を許すことができる。
8 指定紛争解決機関は、紛争解決手続の開始に先立ち、当事者である加入保険業関係業者の顧客に対し、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項について、これを記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供して説明をしなければならない。
 一 当該顧客が支払う料金に関する事項
 二 第三百八条の七第四項第六号に規定する紛争解決手続の開始から終了に至るまでの標準的な手続の進行
 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
9 指定紛争解決機関は、内閣府令で定めるところにより、その実施した紛争解決手続に関し、次に掲げる事項を記載した手続実施記録を作成し、保存しなければならない。
 一 保険業務等関連紛争の当事者が紛争解決手続の申立てをした年月日
 二 保険業務等関連紛争の当事者及びその代理人の氏名、商号又は名称
 三 紛争解決委員の氏名
 四 紛争解決手続の実施の経緯
 五 紛争解決手続の結果(紛争解決手続の終了の理由及びその年月日を含む。)
 六 前各号に掲げるもののほか、実施した紛争解決手続の内容を明らかにするために必要な事項であって内閣府令で定めるもの

(時効の中断)
第三百八条の十四 紛争解決手続によっては保険業務等関連紛争の当事者間に和解が成立する見込みがないことを理由に紛争解決委員が当該紛争解決手続を終了した場合において、当該紛争解決手続の申立てをした当該保険業務等関連紛争の当事者がその旨の通知を受けた日から一月以内に当該紛争解決手続の目的となった請求について訴えを提起したときは、時効の中断に関しては、当該紛争解決手続における請求の時に、訴えの提起があったものとみなす。
2 指定紛争解決機関の紛争解決等業務の廃止が第三百八条の二十三第一項の規定により認可され、又は第三百八条の二第一項の規定による指定が第三百八条の二十四第一項の規定により取り消され、かつ、その認可又は取消しの日に紛争解決手続が実施されていた保険業務等関連紛争がある場合において、当該紛争解決手続の申立てをした当該保険業務等関連紛争の当事者が第三百八条の二十三第三項若しくは第三百八条の二十四第四項の規定による通知を受けた日又は当該認可若しくは取消しを知った日のいずれか早い日から一月以内に当該紛争解決手続の目的となった請求について訴えを提起したときも、前項と同様とする。

(訴訟手続の中止)
第三百八条の十五 保険業務等関連紛争について当該保険業務等関連紛争の当事者間に訴訟が係属する場合において、次の各号のいずれかに掲げる事由があり、かつ、当該保険業務等関連紛争の当事者の共同の申立てがあるときは、受訴裁判所は、四月以内の期間を定めて訴訟手続を中止する旨の決定をすることができる。
 一 当該保険業務等関連紛争について、当該保険業務等関連紛争の当事者間において紛争解決手続が実施されていること。
 二 前号の場合のほか、当該保険業務等関連紛争の当事者間に紛争解決手続によって当該保険業務等関連紛争の解決を図る旨の合意があること。
2 受訴裁判所は、いつでも前項の決定を取り消すことができる。
3 第一項の申立てを却下する決定及び前項の規定により第一項の決定を取り消す決定に対しては、不服を申し立てることができない。

(加入保険業関係業者の名簿の縦覧)
第三百八条の十六 指定紛争解決機関は、加入保険業関係業者の名簿を公衆の縦覧に供しなければならない。

(名称の使用制限)
第三百八条の十七 指定紛争解決機関でない者(金融商品取引法第百五十六条の三十九第一項(紛争解決等業務を行う者の指定)の規定による指定を受けた者その他これに類する者として政令で定めるものを除く。)は、その名称又は商号中に指定紛争解決機関であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

第三章 監督

(変更の届出)
第三百八条の十八 指定紛争解決機関は、第三百八条の三第一項第二号から第四号までのいずれかに掲げる事項に変更があったときは、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により指定紛争解決機関の商号若しくは名称又は主たる営業所若しくは事務所の所在地の変更の届出があったときは、その旨を官報で告示しなければならない。

(手続実施基本契約の締結等の届出)
第三百八条の十九 指定紛争解決機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
 一 保険業関係業者と手続実施基本契約を締結したとき、又は当該手続実施基本契約を終了したとき。
 二 前号に掲げるもののほか、内閣府令で定めるとき。

(業務に関する報告書の提出)
第三百八条の二十 指定紛争解決機関は、事業年度ごとに、当該事業年度に係る紛争解決等業務に関する報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
2 前項の報告書に関する記載事項、提出期日その他必要な事項は、内閣府令で定める。

(報告徴収及び立入検査)
第三百八条の二十一 内閣総理大臣は、紛争解決等業務の公正かつ的確な遂行のため必要があると認めるときは、指定紛争解決機関に対し、その業務に関し報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に、指定紛争解決機関の営業所若しくは事務所その他の施設に立ち入らせ、当該指定紛争解決機関の業務の状況に関し質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 内閣総理大臣は、紛争解決等業務の公正かつ的確な遂行のため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、指定紛争解決機関の加入保険業関係業者若しくは当該指定紛争解決機関から業務の委託を受けた者に対し、当該指定紛争解決機関の業務に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に、これらの者の営業所若しくは事務所その他の施設に立ち入らせ、当該指定紛争解決機関の業務の状況に関し質問させ、若しくはこれらの者の帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

(業務改善命令)
第三百八条の二十二 内閣総理大臣は、指定紛争解決機関の紛争解決等業務の運営に関し、紛争解決等業務の公正かつ的確な遂行を確保するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該指定紛争解決機関に対して、その業務の運営の改善に必要な措置を命ずることができる。
2 内閣総理大臣は、指定紛争解決機関が次の各号のいずれかに該当する場合において、前項の規定による命令をしようとするときは、あらかじめ、法務大臣に協議しなければならない。
 一 第三百八条の二第一項第五号から第七号までに掲げる要件(紛争解決手続の業務に係る部分に限り、同号に掲げる要件にあっては、第三百八条の七第四項各号及び第五項各号に掲げる基準に係るものに限る。以下この号において同じ。)に該当しないこととなった場合又は第三百八条の二第一項第五号から第七号までに掲げる要件に該当しないこととなるおそれがあると認められる場合
 二 第三百八条の五、第三百八条の六、第三百八条の九又は第三百八条の十三の規定に違反した場合(その違反行為が紛争解決手続の業務に係るものである場合に限る。)

(紛争解決等業務の休廃止)
第三百八条の二十三 指定紛争解決機関は、紛争解決等業務の全部若しくは一部の休止(次項に規定する理由によるものを除く。)をし、又は廃止をしようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
2 指定紛争解決機関が、天災その他のやむを得ない理由により紛争解決等業務の全部又は一部の休止をした場合には、直ちにその旨を、理由を付して内閣総理大臣に届け出なければならない。指定紛争解決機関が当該休止をした当該紛争解決等業務の全部又は一部を再開するときも、同様とする。
3 第一項の規定による休止若しくは廃止の認可を受け、又は前項の休止をした指定紛争解決機関は、当該休止又は廃止の日から二週間以内に、当該休止又は廃止の日に苦情処理手続又は紛争解決手続(他の指定紛争解決機関又は他の法律の規定による指定であって紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるものを受けた者(以下この項において「委託紛争解決機関」という。)から業務の委託を受けている場合における当該委託に係る当該委託紛争解決機関の苦情を処理する手続又は紛争の解決を図る手続を含む。次条第四項において同じ。)が実施されていた当事者、当該当事者以外の加入保険業関係業者及び他の指定紛争解決機関に当該休止又は廃止をした旨を通知しなければならない。指定紛争解決機関が当該休止をした当該紛争解決等業務の全部又は一部を再開するときも、同様とする。

(指定の取消し等)
第三百八条の二十四 内閣総理大臣は、指定紛争解決機関が次の各号のいずれかに該当するときは、第三百八条の二第一項の規定による指定を取り消し、又は六月以内の期間を定めて、その業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
 一 第三百八条の二第一項第二号から第七号までに掲げる要件に該当しないこととなったとき、又は指定を受けた時点において同項各号のいずれかに該当していなかったことが判明したとき。
 二 不正の手段により第三百八条の二第一項の規定による指定を受けたとき。
 三 法令又は法令に基づく処分に違反したとき。
2 内閣総理大臣は、指定紛争解決機関が次の各号のいずれかに該当する場合において、前項の規定による処分又は命令をしようとするときは、あらかじめ、法務大臣に協議しなければならない。
 一 第三百八条の二第一項第五号から第七号までに掲げる要件(紛争解決手続の業務に係る部分に限り、同号に掲げる要件にあっては、第三百八条の七第四項各号及び第五項各号に掲げる基準に係るものに限る。以下この号において同じ。)に該当しないこととなった場合又は第三百八条の二第一項の規定による指定を受けた時点において同項第五号から第七号までに掲げる要件に該当していなかったことが判明した場合
 二 第三百八条の五、第三百八条の六、第三百八条の九又は第三百八条の十三の規定に違反した場合(その違反行為が紛争解決手続の業務に係るものである場合に限る。)
3 内閣総理大臣は、第一項の規定により第三百八条の二第一項の規定による指定を取り消したときは、その旨を官報で告示するものとする。
4 第一項の規定により第三百八条の二第一項の規定による指定の取消しの処分を受け、又はその業務の全部若しくは一部の停止の命令を受けた者は、当該処分又は命令の日から二週間以内に、当該処分又は命令の日に苦情処理手続又は紛争解決手続が実施されていた当事者、当該当事者以外の加入保険業関係業者及び他の指定紛争解決機関に当該処分又は命令を受けた旨を通知しなければならない。

第五編 雑則

(保険契約の申込みの撤回等)
第三百九条 保険会社等若しくは外国保険会社等に対し保険契約の申込みをした者又は保険契約者(以下この条において「申込者等」という。)は、次に掲げる場合を除き、書面によりその保険契約の申込みの撤回又は解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。
 一 申込者等が、内閣府令で定めるところにより、保険契約の申込みの撤回等に関する事項を記載した書面を交付された場合において、その交付をされた日と申込みをした日とのいずれか遅い日から起算して八日を経過したとき。
 二 申込者等が、営業若しくは事業のために、又は営業若しくは事業として締結する保険契約として申込みをしたとき。
 三 一般社団法人若しくは一般財団法人、特別の法律により設立された法人、法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定めのあるもの又は国若しくは地方公共団体が保険契約の申込みをしたとき。
 四 当該保険契約の保険期間が一年以下であるとき。
 五 当該保険契約が、法令により申込者等が加入を義務付けられているものであるとき。
 六 申込者等が保険会社等、外国保険会社等、特定保険募集人又は保険仲立人の営業所、事務所その他の場所において保険契約の申込みをした場合その他の場合で、申込者等の保護に欠けるおそれがないと認められるものとして政令で定める場合
2 前項第一号の場合において、保険会社等又は外国保険会社等は、同号の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該申込者等の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該保険会社等又は外国保険会社等は、当該書面を交付したものとみなす。
3 前項前段に規定する方法(内閣府令で定める方法を除く。)により第一項第一号の規定による書面の交付に代えて行われた当該書面に記載すべき事項の提供は、申込者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該申込者等に到達したものとみなす。
4 保険契約の申込みの撤回等は、当該保険契約の申込みの撤回等に係る書面を発した時に、その効力を生ずる。
5 保険会社等又は外国保険会社等は、保険契約の申込みの撤回等があった場合には、申込者等に対し、その申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金その他の金銭の支払を請求することができない。ただし、第一項の規定による保険契約の解除の場合における当該解除までの期間に相当する保険料として内閣府令で定める金額については、この限りでない。
6 保険会社等又は外国保険会社等は、保険契約の申込みの撤回等があった場合において、当該保険契約に関連して金銭を受領しているときは、申込者等に対し、速やかに、これを返還しなければならない。ただし、第一項の規定による保険契約の解除の場合における当該保険契約に係る保険料の前払として受領した金銭のうち前項の内閣府令で定める金額については、この限りでない。
7 特定保険募集人その他の保険募集を行う者は、保険契約につき申込みの撤回等があった場合において、当該保険契約に関連して金銭を受領しているときは、申込者等に対し、速やかに、これを返還しなければならない。
8 保険仲立人その他の保険募集を行う者は、保険会社等又は外国保険会社等に保険契約の申込みの撤回等に伴い損害賠償その他の金銭を支払った場合において、当該支払に伴う損害賠償その他の金銭の支払を、申込みの撤回等をした者に対し、請求することができない。
9 保険契約の申込みの撤回等の当時、既に保険金の支払の事由が生じているときは、当該申込みの撤回等は、その効力を生じない。ただし、申込みの撤回等を行った者が、申込みの撤回等の当時、既に保険金の支払の事由の生じたことを知っているときは、この限りでない。
10 第一項及び第四項から前項までの規定に反する特約で申込者等に不利なものは、無効とする。

(認可等の条件)
第三百十条 内閣総理大臣及び財務大臣は、この法律の規定による認可、許可又は承認(次項及び第三百十二条において「認可等」という。)に条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、認可等の趣旨に照らして、又は認可等に係る事項の確実な実施を図るため必要最小限のものでなければならない。

(検査職員の証票の携帯及び提示等)
第三百十一条 第百二十二条の二第四項、第百二十九条(第百七十九条第二項及び第二百七十一条第三項において準用する場合並びに第二百七十一条の二の四の規定により読み替えて適用する場合を含む。)、第二百一条(第二百十二条第六項及び第二百七十一条第三項において準用する場合を含む。)、第二百二十七条(第二百三十五条第五項及び第二百七十一条第三項において準用する場合を含む。)、第二百六十五条の四十六、第二百七十一条の九、第二百七十一条の十三(第二百七十二条の三十四第一項において準用する場合を含む。)、第二百七十一条の二十八(第二百七十二条の四十第二項において準用する場合を含む。)、第二百七十二条の二十三(第百七十九条第二項及び第二百七十一条第三項において準用する場合を含む。)、第三百五条又は第三百八条の二十一の規定による立入り、質問又は検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
2 前項に規定する各規定による立入り、質問又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(財務大臣への協議)
第三百十一条の二 内閣総理大臣は、保険会社等、外国保険会社等又は免許特定法人に対し次に掲げる処分をすることが保険業に対する信頼性の維持に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、あらかじめ、保険業に対する信頼性の維持を図るために必要な措置に関し、財務大臣に協議しなければならない。
 一 第百三十二条第一項、第百三十三条、第二百四条第一項、第二百五条、第二百三十条第一項、第二百三十一条、第二百四十一条第一項、第二百七十一条の三十第一項若しくは第四項(第二百七十二条の四十第二項において準用する場合を含む。)又は第二百七十二条の二十六第一項の規定による業務の全部又は一部の停止の命令
 二 第二百四十条の三の規定による業務の停止の命令
 三 第百三十三条、第百三十四条、第二百五条、第二百六条、第二百三十一条、第二百三十二条、第二百七十二条の二十六第一項又は第二百七十二条の二十七の規定による第三条第一項、第百八十五条第一項又は若しくは第二百十九条第一項の免許又は第二百七十二条第一項の登録の取消し
 四 第二百四十一条第一項の規定による保険管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分
2 内閣総理大臣は、その行おうとする次の各号に掲げる処分により当該各号に定める機構の業務が行われたならば、機構の利用可能な資金の状況が著しく悪化し保険業に対する信頼性の維持に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、あらかじめ、保険業に対する信頼性の維持を図るために必要な措置に関し、財務大臣に協議しなければならない。
 一 第二百六十八条第一項、第二百七十条第一項、第二百七十条の三の十二第一項若しくは第二百七十条の六の三第一項の認定又は第二百六十九条第一項、第二百七十条の三の十三第三項若しくは第二百七十条の六の四第三項の付記 保険契約の移転等(第二百六十条第一項に規定する保険契約の移転等をいう。)、保険契約の承継(同条第七項に規定する保険契約の承継をいう。)、保険契約の再承継(同条第八項に規定する保険契約の再承継をいう。)又は保険契約の再移転(同条第十一項に規定する保険契約の再移転をいう。)のための第二百六十五条の二十八第一項第三号に規定する資金援助
 二 第二百七十条第一項の認定 第二百六十五条の二十八第一項第五号に規定する保険契約の引受け

(財務大臣への通知)
第三百十一条の三 内閣総理大臣は、次に掲げる処分をしたときは、速やかに、その旨を財務大臣に通知するものとする。
 一 第三条第一項、第百八十五条第一項若しくは第二百十九条第一項の規定による免許又は第二百七十二条第一項の規定による登録
 二 第百六条第四項(第二百六十条第二項に規定する破綻保険会社に該当する保険会社その他の内閣府令・財務省令で定める保険会社を子会社としようとする場合に限る。)、第百三十九条第一項(第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。)、第百四十二条(第二百七十二条の三十第一項において準用する場合を含む。)、第百五十三条第一項、第百六十七条第一項、第二百八条又は第二百三十三条、第二百七十一条の十第一項若しくは第二項ただし書、第二百七十一条の十八第一項若しくは第三項ただし書、第二百七十一条の三十一第一項から第三項まで、第二百七十二条の三十一第一項若しくは第二項ただし書又は第二百七十二条の三十五第一項若しくは第三項ただし書の規定による認可又は承認
 三 第百三十二条第一項、第百三十三条、第二百四条第一項、第二百五条、第二百三十条第一項、第二百三十一条、第二百四十条の三、第二百四十一条第一項、第二百四十七条第五項、第二百五十八条第一項、第二百七十一条の六、第二百七十一条の七、第二百七十一条の十第四項、第二百七十一条の十四(第二百七十二条の三十四第一項において準用する場合を含む。)、第二百七十一条の十五、第二百七十一条の十六第一項(第二百七十二条の三十四第一項において準用する場合を含む。)、第二百七十一条の十八第五項、第二百七十一条の二十九第一項若しくは第三項若しくは第二百七十一条の三十第一項若しくは第四項(これらの規定を第二百七十二条の四十第二項において準用する場合を含む。)、第二百七十二条の二十五第一項、第二百七十二条の二十六第一項若しくは第二項、第二百七十二条の三十一第四項又は第二百七十二条の三十五第五項の規定による命令(改善計画の提出を求めることを含む。)
 四 第百三十三条、第百三十四条、第二百五条、第二百六条、第二百三十一条又は第二百三十二条の規定による第三条第一項、第百八十五条第一項若しくは第二百十九条第一項の免許の取消し又は第二百七十二条の二十六第一項若しくは第二百七十二条の二十七の規定による第二百七十二条第一項の登録の取消し
 五 第二百七十一条の十六第一項の規定による第二百七十一条の十第一項若しくは第二項 ただし書の認可の取消し、第二百七十一条の三十第一項の規定による第二百七十一条の十八第一項若しくは第三項ただし書の認可の取消し、第二百七十二条の三十四第一項において準用する第二百七十一条の十六第一項の規定による第二百七十二条の三十一第一項若しくは第二項ただし書の承認の取消し又は第二百七十二条の四十第二項において準用する第二百七十一条の三十第一項の規定による第二百七十二条の三十五第一項若しくは第三項ただし書の承認の取消し
 六 第二百四十一条第一項の規定による保険管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分
 七 第二百四十七条第二項又は第四項の規定による承認
2 内閣総理大臣は、次に掲げる規定による届出(第一号及び第四号に掲げる規定による届出にあっては、内閣府令・財務省令で定める場合に係るものに限る。)があったときは、速やかに、その旨を財務大臣に通知するものとする。
 一 第二百七十一条第一項(同項第八号に係る部分に限る。)
 二 第二百九条(同条第五号から第八号までに係る部分に限る。)
 三 第二百三十四条(同条第四号から第七号までに係る部分に限る。)
 四 第二百七十二条の二十一第一項(第六号に係る部分に限る。)

(財務大臣への資料提出等)
第三百十一条の四 財務大臣は、その所掌に係る金融破綻処理制度及び金融危機管理に関し、保険業に係る制度の企画又は立案をするため必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。
2 財務大臣は、保険業に係る制度の企画又は立案をするため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、保険会社等、外国保険会社等、免許特定法人の総代理店(第二百十九条第一項に規定する総代理店をいう。)、保険主要株主、保険持株会社、少額短期保険主要株主、少額短期保険持株会社その他の関係者に対し、資料の提出、説明その他の協力を求めることができる。

(内閣府令等への委任)
第三百十二条 この法律に定めるもののほか、この法律による認可等に関する申請の手続、書類の提出の手続その他この法律を実施するため必要な事項は、内閣府令(機構及びその行う業務に係るものにあっては、内閣府令・財務省令)で定める。

(権限の委任)
第三百十三条 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
2 金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。

(経過措置)
第三百十四条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に従い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

以上

第一編〜第二編第六章  第二編第七章〜第九章  第二編第十章〜第五編  第六編・附則

条文提供:☆組#10さん

誤植等を発見されましたら、お手数ですがこちらからお知らせ下さい。