第一編〜第二編第六章  第二編第七章〜第九章  第二編第十章〜第五編  第六編・附則

保険業法


目次

 第二編 保険会社等
  第七章 保険契約の包括移転、事業の譲渡又は譲受け並びに業務及び財産の管理の委託
   第一節 保険契約の包括移転(第百三十五条−第百四十一条)
  第二節 事業の譲渡又は譲受け(第百四十二条・第百四十三条)
  第三節 業務及び財産の管理の委託(第百四十四条−第百五十条)
  第八章 解散、合併、会社分割及び清算
   第一節 解散(第百五十二条−第百五十八条)
   第二節 第二節 合併
    第一款 通則(第百五十九条)
    第二款 合併契約(第百六十条−第百六十五条)
    第三款 合併の手続
     第一目 消滅株式会社の手続(第百六十五条の二−第百六十五条の八)
     第二目 吸収合併存続株式会社の手続(第百六十五条の九−第百六十五条の十三)
     第三目 新設合併設立株式会社の手続(第百六十五条の十四)
     第四目 消滅相互会社の手続(第百六十五条の十五−第百六十五条の十八)
     第五目 吸収合併存続相互会社の手続(第百六十五条の十九−第百六十五条の二十一)
     第六目 新設合併設立相互会社の手続(第百六十五条の二十二)
     第七目 株式会社の合併に関する特則(第百六十五条の二十三・第百六十五条の二十四)
     第八目 合併後の公告等(第百六十六条)
    第四款 合併の効力の発生等(第百六十七条−第百七十三条)
   第三節 会社分割(第百七十三条の二−第百七十三条の八)
   第四節 清算(第百七十四条−第百八十四条)
  第九章 外国保険業者
   第一節 通則(第百八十五条−第百九十三条)
   第二節 業務、経理等(第百九十三条の二−第百九十九条)
   第三節 監督(第二百条−第二百七条)
   第四節 保険業の廃止等(第二百八条−第二百十三条)
   第五節 雑則(第二百十四条−第二百十八条)
   第六節 特定法人に対する特則(第二百十九条−第二百四十条)


第七章 保険契約の包括移転、事業の譲渡又は譲受け並びに業務及び財産の管理の委託

第一節 保険契約の包括移転

(保険契約の包括移転)
第百三十五条 保険会社は、この法律の定めるところに従い、他の保険会社(外国保険会社等を含む。以下この項において同じ。)との契約により保険契約を当該他の保険会社(以下この節において「移転先会社」という。)に移転することができる。
2 保険契約の移転は、責任準備金の算出の基礎が同一である保険契約(第百三十七条第一項の公告の時において既に保険事故が発生している保険契約(当該保険事故に係る保険金の支払により消滅することとなるものに限る。)その他の政令で定める保険契約を除く。)の全部を包括してしなければならない。
3 第一項の契約には、保険契約の移転とともにする保険会社の財産の移転に関する事項を定めなければならない。この場合においては、保険契約の移転をしようとする保険会社(以下この節において「移転会社」という。)は、同項の契約により移転するものとされる保険契約に係る保険契約者(以下この節において「移転対象契約者」という。)以外の当該移転会社の債権者の利益を保護するために必要と認められる財産を留保しなければならない。
4 移転会社は、第一項の契約において、当該契約により移転するものとされる保険契約について、契約条項の軽微な変更で保険契約者の不利益とならないものを定めることができる。

(保険契約の移転の決議)
第百三十六条 前条第一項の保険契約の移転をするには、移転会社及び移転先会社(外国保険会社等を除く。)において株主総会又は社員総会(総代会を設けているときは、総代会)(以下この章、次章及び第十章において「株主総会等」という。)の決議を必要とする。
2 前項の場合には、会社法第三百九条第二項(株主総会の決議)に定める決議又は第六十二条第二項に定める決議によらなければならない。
3 移転会社及び移転先会社は、第一項の決議をする場合には、会社法第二百九十九条第一項(株主総会の招集の通知)(第四十一条第一項及び第四十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による通知において、前条第一項の契約の要旨を示さなければならない。

(保険契約の移転に係る書類の備置き等)
第百三十六条の二 移転会社の取締役(委員会設置会社にあっては、執行役)は、前条第一項の株主総会等の会日の二週間前から次条第二項の規定により同条第一項の公告に付記した期間の最終日まで、第百三十五条第一項の契約に係る契約書その他の内閣府令・財務省令で定める書類を各営業所又は各事務所に備え置かなければならない。
2 移転会社の株主又は保険契約者は、その営業時間又は事業時間内に限り、前項の書類の閲覧を求め、又は移転会社の定める費用を支払ってその謄本若しくは抄本の交付を求めることができる。

(保険契約の移転の公告及び異議申立て)
第百三十七条 移転会社は、第百三十六条第一項の決議をした日から二週間以内に、第百三十五条第一項の契約の要旨並びに移転会社及び移転先会社の貸借対照表(外国保険会社等の場合にあっては、日本における保険業の貸借対照表)その他内閣府令・財務省令で定める事項を公告しなければならない。
2 前項の公告には、移転対象契約者で異議がある者は、一定の期間内に異議を述べるべき旨を付記しなければならない。
3 前項の期間は、一月を下ってはならない。
4 第二項の期間内に異議を述べた移転対象契約者の数が移転対象契約者の総数の五分の一を超え、かつ、当該異議を述べた移転対象契約者の保険契約に係る債権(当該保険契約について、第一項の規定による公告の時において既に生じている保険金請求権等(第十七条第五項に規定する保険金請求権等をいう。)がある場合には、当該保険金請求権等を除く。)の額に相当する金額として内閣府令で定める金額が移転対象契約者の当該金額の総額の五分の一を超えるときは、保険契約の移転をしてはならない。
5 第二項の期間内に異議を述べた移転対象契約者の数又はその者の前項の内閣府令で定める金額が、同項に定める割合を超えないときは、当該移転対象契約者全員が当該保険契約の移転を承認したものとみなす。

(保険契約の締結の停止)
第百三十八条 移転会社は、第百三十六条第一項の決議があった時から保険契約の移転をし、又はしないこととなった時まで、その移転をしようとする保険契約と同種の保険契約を締結してはならない。

(保険契約の移転の認可)
第百三十九条 保険契約の移転は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 内閣総理大臣は、前項の認可の申請があったときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
 一 当該保険契約の移転が、保険契約者等の保護に照らして、適当なものであること。
 二 移転先会社が、当該保険契約の移転を受けた後に、その業務を的確、公正かつ効率的に遂行する見込みが確実であること。
 三 移転対象契約者以外の移転会社の債権者の利益を不当に害するおそれがないものであること。

(保険契約の移転の公告等)
第百四十条 移転会社は、保険契約の移転後、遅滞なく、保険契約の移転をしたこと及び内閣府令で定める事項を公告しなければならない。保険契約の移転をしないこととなったときも、同様とする。
2 移転先会社は、保険契約の移転を受けたときは、当該保険契約の移転後三月以内に、当該保険契約の移転に係る保険契約者に対し、その旨(第百三十五条第一項の契約において、当該保険契約の移転に係る保険契約について同条第四項に規定する軽微な変更を定めたときは、保険契約の移転を受けたこと及び当該軽微な変更の内容)を通知しなければならない。
3 移転会社が保険契約者に対して貸付金その他の債権を有しており、かつ、当該債権が第百三十五条第一項の契約により保険契約とともに移転先会社に移転することとされている場合において、第一項前段の規定による公告が当該会社の公告方法として定める時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法によりされたときは、当該保険契約者に対して民法第四百六十七条(指名債権の譲渡の対抗要件)の規定による確定日付のある証書による通知があったものとみなす。この場合においては、当該公告の日付をもって確定日付とする。

(保険契約の移転による入社)
第百四十一条 保険契約の移転がされた場合において、移転先会社が相互会社であるときは、当該保険契約の移転に係る移転対象契約者は、当該相互会社に入社する。ただし、移転先会社の定款において当該保険契約の移転に係る保険契約と同種の保険契約に係る保険契約者が社員とされていない場合は、この限りでない。

第二節 事業の譲渡又は譲受け

(事業の譲渡又は譲受けの認可)
第百四十二条 保険会社を全部又は一部の当事者とする事業の譲渡又は譲受けは、内閣府令で定めるものを除き、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

(保険金信託業務を行う保険会社の特例)
第百四十三条 保険金信託業務を行う相互会社が保険契約の全部に係る保険契約の移転の決議をした場合で、当該保険金信託業務に係る事業の譲渡について社員総会(総代会を設けているときは、総代会)又は取締役会の決議をしたときは、当該相互会社は、当該決議をした日から二週間以内に、当該決議の要旨及び当該事業の譲渡に異議のある金銭信託の受益者(以下この条において「受益者」という。)は一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告しなければならない。
2 前項の期間は、一月を下ってはならない。
3 受益者が第一項の期間内に異議を述べなかったときは、当該受益者は、当該事業の譲渡を承認したものとみなす。

第三節 業務及び財産の管理の委託

(業務及び財産の管理の委託)
第百四十四条 保険会社は、この法律の定めるところに従い、他の保険会社(外国保険会社等(内閣府令で定めるものを除く。)を含む。以下この項において同じ。)との契約により当該他の保険会社(以下この節において「受託会社」という。)にその業務及び財産の管理の委託をすることができる。
2 前項の管理の委託をするには、当該管理の委託をする保険会社(以下この節において「委託会社」という。)及び受託会社(外国保険会社等を除く。)において株主総会等の決議を必要とする。
3 前項の場合には、会社法第三百九条第二項(株主総会の決議)に定める決議又は第六十二条第二項に定める決議によらなければならない。
4 第百三十六条第三項の規定は、第二項の決議をする場合について準用する。

(業務及び財産の管理の委託の認可)
第百四十五条 前条第一項の管理の委託は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 内閣総理大臣は、前項の認可の申請があったときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
 一 当該管理の委託が、保険契約者等の保護に照らして、必要かつ適当なものであること。
 二 受託会社が、当該管理の委託に係る業務を的確、公正かつ効率的に遂行する見込みが確実であること。

(公告及び登記)
第百四十六条 委託会社は、前条第一項の認可を受けたときは、遅滞なく、第百四十四条第一項の契約(以下この節において「管理委託契約」という。)の要旨を公告し、かつ、当該管理の委託をした旨並びに受託会社の商号、名称又は氏名及びその本店若しくは主たる事務所又は日本における主たる店舗(第百八十七条第一項第四号に規定する日本における主たる店舗をいう。)を登記しなければならない。
2 前項の登記は、委託会社の本店又は主たる事務所の所在地において行わなければならない。
3 第一項の登記の申請書には、商業登記法第十八条、第十九条(申請書の添付書面)及び第四十六条(添付書面の通則)(これらの規定を第六十七条において準用する場合を含む。)に定める書類のほか、次に掲げる書類を添付しなければならない。
 一 管理委託契約に係る契約書
 二 受託会社(外国保険会社等を除く。)の株主総会等の議事録

(内部関係)
第百四十七条 この法律に別段の定めがある場合を除くほか、委託会社と受託会社との間の関係は、委任に関する規定に従う。

(外部関係)
第百四十八条 受託会社が委託会社のために保険契約の締結その他の行為をするときは、委託会社のためにすることを表示しなければならない。
2 前項の表示をしないでした行為は、受託会社が自己のためにしたものとみなす。
3 会社法第十一条第一項及び第三項(支配人の代理権)の規定は、受託会社について準用する。この場合において、同条第一項中「会社」とあるのは「保険業法第百四十四条第二項に規定する委託会社」と、「事業」とあるのは「業務及び財産」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
4 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十八条(代表者の行為についての損害賠償責任)の規定は、委託会社について準用する。この場合において、同条中「代表理事その他の代表者」とあるのは、「保険業法第百四十四条第一項に規定する受託会社」と読み替えるものとする。

(管理委託契約の変更又は解除)
第百四十九条 管理委託契約に定めた事項の変更又は管理委託契約の解除をするには、委託会社及び受託会社(外国保険会社等を除く。)において株主総会等の決議を必要とする。
2 前項の変更又は解除は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
 第百四十四条第三項及び第四項の規定は、第一項の決議をする場合について準用する。

(管理委託契約の変更又は終了の公告等)
第百五十条 委託会社は、前条第二項の認可を受けたときは、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。管理委託契約が同条第一項の解除以外の原因によって終了したときも、同様とする。
2 第百四十六条第三項の規定は、管理委託契約に定める事項の変更又は管理委託契約の終了の登記をする場合について準用する。この場合において、同項中「次に掲げる書類」とあるのは「次に掲げる書類(解除以外の原因による終了の場合にあっては、第一号に掲げる書類及びその終了の事由の発生を証する書面)」と、同項第一号中「管理委託契約」とあるのは「管理委託契約(変更の場合にあっては、変更後の管理委託契約)」と読み替えるものとする。

第百五十一条 削除

第八章 解散、合併、会社分割及び清算

第一節 解散

(解散の原因)
第百五十二条 保険業を営む株式会社に対する会社法第四百七十一条(解散の事由)の規定の適用については、同条中「次に」とあるのは、「第三号から第六号までに」とする。
2 前項の規定により読み替えて適用する会社法第四百七十一条の規定は、相互会社について準用する。この場合において、同条第三号中「株主総会」とあるのは「社員総会(総代会を設けているときは、総代会)」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
3 保険会社等は、第一項の規定により読み替えて適用する会社法第四百七十一条第三号から第六号まで(前項において準用する場合を含む。)に掲げる事由のほか、次に掲げる事由(保険業を営む株式会社にあっては、第二号に掲げる事由)により解散する。
 一 保険契約の全部に係る保険契約の移転
 二 第三条第一項の免許又は第二百七十二条第一項の登録の取消し

(解散等の認可)
第百五十三条 次に掲げる事項は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
 一 保険会社等の解散についての株主総会等の決議
 二 保険業の廃止についての株主総会の決議
 三 保険業を営む株式会社を全部又は一部の当事者とする合併(第百六十七条第一項の合併を除く。次項において同じ。)
2 内閣総理大臣は、前項の認可の申請があったときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
 一 保険会社による認可の申請にあっては、当該決議に係る解散若しくは保険業の廃止又は当該合併が、当該保険会社の業務及び財産の状況に照らして、やむを得ないものであること。
 二 当該決議に係る解散若しくは保険業の廃止又は当該合併が、保険契約者等の保護に欠けるおそれのないものであること。
3 内閣総理大臣は、第一項の認可の申請をした保険会社等(株式会社及び第六十三条第一項の定款の定めをしている相互会社に限る。)を保険者とする保険契約(当該申請の日において既に保険事故が発生している保険契約(当該保険事故に係る保険金の支払により消滅することとなるものに限る。)その他の政令で定める保険契約を除く。)がある場合には、第一項の認可をしないものとする。

(解散等の公告)
第百五十四条 保険会社等は、前条第一項の認可を受けたときは、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨及び当該認可を受けた事項の内容を公告しなければならない。

(保険契約の移転による解散の登記)
第百五十五条 第百五十二条第三項第一号に掲げる事由による解散の登記の申請書には、第六十七条において準用する商業登記法第十八条、第十九条及び第四十六条並びに第百五十八条において準用する同法第七十一条第三項に定める書類のほか、次に掲げる書類を添付しなければならない。
 一 第百三十五条第一項(第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。)に規定する移転先会社(外国保険会社等を除く。)の株主総会等の議事録
 二 第百三十七条第一項(第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。)の規定による公告をしたことを証する書面
 三 第百三十七条第二項(第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。)の期間内に異議を述べた同項に規定する移転対象契約者の数又はその者の第百三十七条第四項(第二百五十一条第二項の規定により読み替えて適用する場合及び第二百七十二条の二十九において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の内閣府令で定める金額が、第百三十七条第四項に定める割合を超えなかったことを証する書面
 四 第二百五十条第四項の公告をしたときは、これを証する書面

(相互会社の解散の手続等)
第百五十六条 相互会社が解散の決議をする場合には、第六十二条第二項に定める決議によらなければならない。

(解散に係る書面の備置き等)
第百五十六条の二 相互会社は、解散の決議に係る社員総会(総代会を設けているときは、総代会)の会日の二週間前から当該決議の日(総代会において解散の決議をしたときは、次条第一項の規定による公告の日後一月を経過する日)まで、解散に関する議案その他の内閣府令・財務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を各事務所に備え置かなければならない。
2 相互会社の社員は、相互会社の事業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該相互会社の定めた費用を支払わなければならない。
 一 前項の書面の閲覧の請求
 二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 前項の電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって相互会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

第百五十七条 相互会社は、総代会において解散の決議をしたときは、当該決議の日から二週間以内に、当該決議の要旨及び貸借対照表その他内閣府令・財務省令で定める事項を公告しなければならない。
2 前項の場合には、社員総数の千分の五以上に相当する数の社員(特定相互会社にあっては、第五十条第一項に規定する政令で定める数以上の社員)で六月前から引き続き社員である者は、取締役に対し、当該決議に係る事項を会議の目的として、当該会議の目的たる事項及び招集の理由を示して、社員総会の招集を請求することができる。この場合において、当該請求は、同項の規定による公告の日から、一月以内にしなければならない。
3 前項の場合において、同項の規定による請求があった日から六週間を経過する日までに総代会がした解散の決議を承認する旨の社員総会の決議がない場合には、当該総代会の決議は、その効力を失う。
4 第百五十六条の規定は、前項の社員総会の決議について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第百五十八条 会社法第九百二十六条(解散の登記)並びに商業登記法第七十一条第一項及び第三項(解散の登記)の規定は、相互会社について準用する。この場合において、同項中「会社法第四百七十八条第一項第一号」とあるのは「保険業法第百八十条の四第一項第一号」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第二節 合併

第一款 通則

第百五十九条 相互会社は、他の相互会社又は保険業を営む株式会社と合併をすることができる。この場合においては、合併をする相互会社又は株式会社は、合併契約を締結しなければならない。
2 前項の場合において、合併後存続する会社又は合併により設立する会社は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める会社でなければならない。
 一 相互会社と相互会社とが合併をする場合 相互会社
 二 相互会社と保険業を営む株式会社とが合併をする場合 相互会社又は保険業を営む株式会社

第二款 合併契約

(相互会社と相互会社との吸収合併契約)
第百六十条 相互会社と相互会社とが吸収合併(相互会社が他の相互会社又は株式会社とする合併であって、合併により消滅する相互会社又は株式会社の権利義務の全部を合併後存続する相互会社又は株式会社に承継させるものをいう。以下同じ。)をする場合には、吸収合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 吸収合併後存続する相互会社(以下この節において「吸収合併存続相互会社」という。)及び吸収合併により消滅する相互会社(以下この節において「吸収合併消滅相互会社」という。)の名称及び住所
 二 吸収合併消滅相互会社の社員に対して交付すべき金銭の額を定めたときは、その定め
 三 吸収合併消滅相互会社の保険契約者の吸収合併後における権利に関する事項
 四 吸収合併がその効力を生ずる日
 五 その他内閣府令で定める事項

(相互会社と相互会社との新設合併契約)
第百六十一条 相互会社と相互会社とが新設合併(二以上の相互会社又は二以上の相互会社及び株式会社がする合併であって、合併により消滅する相互会社又は株式会社の権利義務の全部を合併により設立する相互会社又は株式会社に承継させるものをいう。以下同じ。)をする場合には、新設合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 新設合併により消滅する相互会社(以下この節において「新設合併消滅相互会社」という。)の名称及び住所
 二 新設合併により設立する相互会社(以下この節において「新設合併設立相互会社」という。)の目的、名称及び主たる事務所の所在地
 三 前号に掲げるもののほか、新設合併設立相互会社の定款で定める事項
 四 新設合併設立相互会社の設立時取締役の氏名
 五 次に掲げる場合の区分に応じ、次に定める事項
  イ 新設合併設立相互会社が会計参与設置会社である場合 新設合併設立相互会社の設立時会計参与の氏名又は名称
  ロ 新設合併設立相互会社が監査役設置会社である場合 新設合併設立相互会社の設立時監査役の氏名
  ハ 新設合併設立相互会社が会計監査人設置会社である場合 新設合併設立相互会社の設立時会計監査人の氏名又は名称
 六 新設合併消滅相互会社の社員に対して交付すべき金銭の額を定めたときは、その定め
 七 新設合併後における保険契約者の権利に関する事項
 八 その他内閣府令で定める事項

(相互会社が存続するときの株式会社と相互会社との吸収合併契約)
第百六十二条 株式会社と相互会社とが吸収合併をする場合において、吸収合併後存続する保険会社等が相互会社であるときは、吸収合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 吸収合併により消滅する株式会社(以下この節において「吸収合併消滅株式会社」という。)及び吸収合併存続相互会社の商号及び名称並びに住所
 二 吸収合併消滅株式会社の株主及び新株予約権者に対する補償の方法
 三 吸収合併存続相互会社の準備金に関する事項
 四 吸収合併消滅株式会社の保険契約者の吸収合併後における権利に関する事項
 五 吸収合併がその効力を生ずる日
 六 その他内閣府令で定める事項
2 第六十八条第六項の規定は、前項の吸収合併の場合について準用する。この場合において、同条第六項中「第四項の準備金のほか、損失てん補準備金」とあるのは「損失てん補準備金」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
3 第七十二条第一項の規定は、第一項第一号の吸収合併消滅株式会社について準用する。この場合において、同条第一項中「第七十条第二項」とあるのは「第百六十五条の七第二項」と、「組織変更」とあるのは「吸収合併」と、「通知し、その承諾を得なければならない」とあるのは「通知しなければならない」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
4 第八十三条の規定は、第一項の吸収合併について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(相互会社を設立するときの株式会社と相互会社との新設合併契約)
第百六十三条 株式会社と相互会社とが新設合併をする場合において、新設合併により設立する保険会社等が相互会社であるときは、新設合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 新設合併により消滅する株式会社(以下この節において「新設合併消滅株式会社」という。)及び新設合併消滅相互会社の商号及び名称並びに住所
 二 新設合併設立相互会社の目的、名称及び主たる事務所の所在地
 三 前号に掲げるもののほか、新設合併設立相互会社の定款で定める事項
 四 新設合併設立相互会社の設立時取締役の氏名
 五 次に掲げる場合の区分に応じ、次に定める事項
  イ 新設合併設立相互会社が会計参与設置会社である場合 新設合併設立相互会社の設立時会計参与の氏名又は名称
  ロ 新設合併設立相互会社が監査役設置会社である場合 新設合併設立相互会社の設立時監査役の氏名
  ハ 新設合併設立相互会社が会計監査人設置会社である場合 新設合併設立相互会社の設立時会計監査人の氏名又は名称
 六 新設合併消滅株式会社の株主及び新株予約権者に対する補償の方法
 七 新設合併消滅相互会社の社員に対して交付すべき金銭の額を定めたときは、その定め
 八 新設合併設立相互会社の準備金に関する事項
 九 新設合併後における保険契約者の権利に関する事項
 十 その他内閣府令で定める事項
2 前条第二項の規定は前項の新設合併の場合について、同条第三項の規定は新設合併消滅株式会社について、それぞれ準用する。この場合において、同項中「吸収合併」とあるのは「新設合併」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
3 第八十三条の規定は、第一項の新設合併について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(株式会社が存続するときの株式会社と相互会社との吸収合併契約)
第百六十四条 株式会社と相互会社とが吸収合併をする場合において、吸収合併後存続する保険会社等が株式会社であるときは、吸収合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 吸収合併後存続する株式会社(以下この節において「吸収合併存続株式会社」という。)及び吸収合併消滅相互会社の商号及び名称並びに住所
 二 吸収合併存続株式会社が吸収合併に際して吸収合併消滅相互会社の社員に対して株式等(株式又は金銭をいう。以下この節において同じ。)を交付するときは、当該株式等についての次に掲げる事項
  イ 当該株式等が吸収合併存続株式会社の株式であるときは、当該株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに当該吸収合併存続株式会社の資本金及び準備金の額に関する事項
  ロ 当該株式等が金銭であるときは、当該金銭の額又はその算定方法
 三 前号に規定する場合には、吸収合併消滅相互会社の社員(吸収合併存続株式会社を除く。)に対する同号の株式等の割当てに関する事項
 四 吸収合併消滅相互会社の社員に対する株式の割当てにより生ずる一株に満たない端数に係る部分につき新たに発行する株式の売却の方法その他売却に関し内閣府令で定める事項
 五 前号の株式を買い受けるときは、買受けの方法その他当該買受けに関し内閣府令で定める事項
 六 吸収合併消滅相互会社の基金の拠出者に対して交付すべき金銭の額を定めたときは、その定め
 七 吸収合併消滅相互会社の保険契約者の吸収合併後における権利に関する事項
 八 合併剰余金額に関する事項
 九 吸収合併がその効力を生ずる日
 十 その他内閣府令で定める事項
2 第八十九条第一項本文及び第二項の規定は、前項の吸収合併の場合について準用する。この場合において、同条第一項中「組織変更をする相互会社」とあるのは「吸収合併消滅相互会社」と、「効力発生日」とあるのは「第百六十四条第一項第九号の日」と、「組織変更計画」とあるのは「同項の吸収合併契約」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
3 第九十条の規定は第一項の吸収合併について、第百六十二条第三項の規定は吸収合併消滅相互会社について、それぞれ準用する。この場合において、第九十条第一項中「組織変更をする相互会社の社員は、組織変更計画」とあるのは「吸収合併消滅相互会社の社員は、第百六十四条第一項の吸収合併契約」と、「組織変更後株式会社」とあるのは「吸収合併存続株式会社」と、第百六十二条第三項中「第百六十五条の七第二項」とあるのは「第百六十五条の十七第二項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
4 第九十一条の規定は、吸収合併存続株式会社について準用する。この場合において、同条中「組織変更剰余金額」とあるのは「合併剰余金額」と、同条第一項中「第八十六条第四項第二号の定款で定める事項として、」とあるのは「定款で」と、同条第三項中「前条第二項」とあるのは「第百六十四条第三項において準用する前条第二項」と、同条第四項中「、組織変更」とあるのは「、第百六十四条第一項の吸収合併」と、「その他組織変更」とあるのは「その他当該吸収合併」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(株式会社を設立するときの株式会社と相互会社との新設合併契約)
第百六十五条 株式会社と相互会社とが新設合併をする場合において、新設合併により設立する保険会社等が株式会社であるときは、新設合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 新設合併消滅会社(新設合併消滅株式会社及び新設合併消滅相互会社をいう。以下この節において同じ。)の商号及び名称並びに住所
 二 新設合併により設立する株式会社(以下この節において「新設合併設立株式会社」という。)の目的、商号、本店の所在地及び発行可能株式総数
 三 前号に掲げるもののほか、新設合併設立株式会社の定款で定める事項
 四 新設合併設立株式会社の設立に際して取締役となる者の氏名
 五 次に掲げる場合の区分に応じ、次に定める事項
  イ 新設合併設立株式会社が会計参与設置会社である場合 新設合併設立株式会社の設立に際して会計参与となる者の氏名又は名称
  ロ 新設合併設立株式会社が監査役設置会社である場合 新設合併設立株式会社の設立に際して監査役となる者の氏名
  ハ 新設合併設立株式会社が会計監査人設置会社である場合 新設合併設立株式会社の設立に際して会計監査人となる者の氏名又は名称
 六 新設合併設立株式会社が新設合併に際して新設合併消滅株式会社の株主に対して交付するその株式に代わる当該新設合併設立株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法
 七 新設合併設立株式会社が新設合併に際して新設合併消滅相互会社の社員に対して交付する当該新設合併設立株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法
 八 新設合併設立株式会社の資本金及び準備金の額に関する事項
 九 新設合併消滅株式会社の株主(新設合併消滅株式会社及び新設合併消滅相互会社を除く。)又は新設合併消滅相互会社の社員(新設合併消滅株式会社及び新設合併消滅相互会社を除く。)に対する第六号又は第七号の株式の割当てに関する事項
 十 新設合併消滅相互会社の社員に対する株式の割当てにより生ずる一株に満たない端数に係る部分につき新たに発行する株式の売却の方法その他売却に関し内閣府令で定める事項
 十一 前号の株式を買い受けるときは、買受けの方法その他当該買受けに関し内閣府令で定める事項
 十二 新設合併消滅株式会社が新株予約権を発行しているときは、新設合併設立株式会社が新設合併に際して当該新株予約権の新株予約権者に対して交付する当該新株予約権に代わる当該新設合併設立株式会社の新株予約権又は金銭についての次に掲げる事項
  イ 当該新設合併消滅株式会社の新株予約権の新株予約権者に対して新設合併設立株式会社の新株予約権を交付するときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
  ロ イに規定する場合において、イの新設合併消滅株式会社の新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは、新設合併設立株式会社が当該新株予約権付社債についての社債(会社法第二条第二十三号(定義)に規定する社債をいう。ロにおいて同じ。)に係る債務を承継する旨並びにその承継に係る社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
  ハ イの新設合併消滅株式会社の新株予約権以外の当該新設合併消滅株式会社の新株予約権の新株予約権者に対して金銭を交付するときは、当該金銭の額又はその算定方法
 十三 前号に規定する場合には、新設合併消滅株式会社の新株予約権の新株予約権者に対する同号の新設合併設立株式会社の新株予約権又は金銭の割当てに関する事項
 十四 新設合併消滅株式会社の株主又は新設合併消滅相互会社の基金の拠出者若しくは社員に対して交付すべき金額を定めたときは、その定め
 十五 新設合併後における保険契約者の権利に関する事項
 十六 合併剰余金額に関する事項
 十七 その他内閣府令で定める事項
2 前項に規定する場合において、新設合併消滅株式会社の全部又は一部が種類株式発行会社であるときは、新設合併消滅会社は、新設合併消滅株式会社の発行する種類の株式の内容に応じ、同項第六号に掲げる事項として次に掲げる事項を定めることができる。
 一 ある種類の株式の株主に対して新設合併設立株式会社の株式の割当てをしないこととするときは、その旨及び当該株式の種類
 二 前号に掲げる事項のほか、新設合併設立株式会社の株式の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨及び当該異なる取扱いの内容
3 第一項に規定する場合には、同項第六号に掲げる事項についての定めは、新設合併消滅株式会社の株主(新設合併消滅株式会社、新設合併消滅相互会社及び前項第一号の種類の株式の株主を除く。)の有する株式の数(前項第二号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、各種類の株式の数)に応じて新設合併設立株式会社の株式を交付することを内容とするものでなければならない。
4 第八十九条第一項本文及び第二項の規定は、第一項の新設合併の場合について準用する。この場合において、同条第一項中「組織変更をする相互会社」とあるのは「新設合併消滅相互会社」と、「効力発生日」とあるのは「新設合併設立株式会社の成立の日」と、「組織変更計画」とあるのは「第百六十五条第一項の新設合併契約」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
5 第九十条の規定は第一項の新設合併について、第百六十二条第三項の規定は新設合併消滅相互会社について、それぞれ準用する。この場合において、第九十条第一項中「組織変更をする相互会社の社員は、組織変更計画」とあるのは「新設合併消滅相互会社の社員は、第百六十五条第一項の新設合併契約」と、「組織変更後株式会社」とあるのは「新設合併設立株式会社」と、第百六十二条第三項中「第百六十五条の七第二項」とあるのは「第百六十五条の十七第二項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
6 第九十一条の規定は、新設合併設立株式会社について準用する。この場合において、同条中「組織変更剰余金額」とあるのは「合併剰余金額」と、同条第一項中「第八十六条第四項第二号」とあるのは「第百六十五条第一項第三号」と、同条第三項中「前条第二項」とあるのは「第百六十五条第五項において準用する前条第二項」と、同条第四項中「、組織変更」とあるのは「、第百六十五条第一項の新設合併」と、「その他組織変更」とあるのは「その他当該新設合併」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第三款 合併の手続

第一目 消滅株式会社の手続

(合併契約に関する書面等の備置き及び閲覧等)
第百六十五条の二 消滅株式会社(吸収合併消滅株式会社及び新設合併消滅株式会社をいう。以下この節において同じ。)は、次に掲げる日のいずれか早い日から合併がその効力を生ずる日(以下この節において「効力発生日」という。)までの間、合併契約の内容その他内閣府令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を各営業所に備え置かなければならない。
 一 次条第一項の株主総会又は同条第五項の種類株主総会の日の二週間前の日
 二 第百六十五条の四第一項の規定による通知の日又は同条第二項の公告の日のいずれか早い日
 三 第百六十五条の七第二項の規定による公告の日
2 消滅株式会社の株主及び保険契約者その他の債権者は、消滅株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該消滅株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
 一 前項の書面の閲覧の請求
 二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 前項の電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって消滅株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(合併契約の承認)
第百六十五条の三 消滅株式会社は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、合併契約の承認を受けなければならない。
2 消滅株式会社が前項の規定による決議をする場合には、会社法第三百九条第二項(株主総会の決議)の規定による決議によらなければならない。
3 消滅株式会社は、第一項の規定による決議をする場合には、会社法第二百九十九条第一項(株主総会の招集の通知)の通知において、合併契約の要領を示さなければならない。
4 第二項の規定にかかわらず、消滅株式会社が公開会社(会社法第二条第五号(定義)に規定する公開会社をいう。以下この節において同じ。)である場合において、消滅株式会社の株主に対して交付する株式等の全部又は一部が譲渡制限株式であるときは、第一項の決議は、同法第三百九条第三項に定める決議によらなければならない。ただし、当該消滅株式会社が種類株式発行会社である場合は、この限りでない。
5 新設合併消滅株式会社が種類株式発行会社である場合において、新設合併消滅株式会社の株主に対して交付する新設合併設立株式会社の株式の全部又は一部が譲渡制限株式であるときは、当該新設合併は、当該譲渡制限株式の割当てを受ける種類の株式(譲渡制限株式を除く。)の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存しない場合は、この限りでない。
6 新設合併消滅株式会社が前項の規定による決議をする場合には、会社法第三百二十四条第三項(種類株主総会の決議)の規定による決議によらなければならない。

(株主等に対する通知等)
第百六十五条の四 消滅株式会社は、効力発生日の二十日前までに、その株主及び登録株式質権者並びにその新株予約権者及び登録新株予約権質権者に対し、合併をする旨並びに吸収合併存続相互会社又は合併により設立する保険業を営む株式会社若しくは相互会社(以下この節において「新設合併設立会社」という。)の商号又は名称及び住所を通知しなければならない。
2 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
3 会社法第二百十九条第一項(第六号に係る部分に限る。)、第二項及び第三項(株券の提出に関する公告等)、第二百二十条(株券の提出をすることができない場合)並びに第二百九十三条第一項(第三号に係る部分に限る。)(新株予約権証券の提出に関する公告等)の規定は、消滅株式会社について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(株式買取請求権)
第百六十五条の五 次に掲げる株主は、消滅株式会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
 一 合併契約を承認するための株主総会(種類株主総会を含む。以下この号において同じ。)に先立って当該合併に反対する旨を当該消滅株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該合併に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
 二 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
2 会社法第七百八十五条第五項から第七項まで(反対株主の株式買取請求)、第七百八十六条(株式の価格の決定等)、第八百六十八条第一項(非訟事件の管轄)、第八百七十条(第四号に係る部分に限る。)(陳述の聴取)、第八百七十一条本文(理由の付記)、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)(即時抗告)、第八百七十三条本文(原裁判の執行停止)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)及び第八百七十六条(最高裁判所規則)の規定は、前項の規定による請求について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(新株予約権買取請求)
第百六十五条の六 消滅株式会社の新株予約権者は、消滅株式会社に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
2 会社法第七百八十七条第五項から第七項まで(新株予約権買取請求)、第七百八十八条(新株予約権の価格の決定等)、第八百六十八条第一項(非訟事件の管轄)、第八百七十条(第四号に係る部分に限る。)(陳述の聴取)、第八百七十一条本文(理由の付記)、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)(即時抗告)、第八百七十三条本文(原裁判の執行停止)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)及び第八百七十六条(最高裁判所規則)の規定は、前項の規定による請求について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(債権者の異議)
第百六十五条の七 消滅株式会社の保険契約者その他の債権者は、消滅株式会社に対し、合併について異議を述べることができる。
2 消滅株式会社は、次に掲げる事項を官報及び当該消滅株式会社の定款で定めた公告方法により公告しなければならない。ただし、第四号の期間は、一月を下ることができない。
 一 合併をする旨
 二 吸収合併存続相互会社又は他の新設合併消滅会社(新設合併消滅株式会社及び新設合併消滅相互会社をいう。第百六十五条の十七第二項において同じ。)及び新設合併設立会社の商号又は名称及び住所
 三 消滅株式会社の計算書類に関する事項として内閣府令で定めるもの
 四 消滅株式会社の保険契約者その他の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
 五 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
3 保険契約者その他の債権者が前項第四号の期間内に異議を述べなかったときは、当該保険契約者その他の債権者は、当該合併について承認をしたものとみなす。
4 第七十条第四項から第八項までの規定は、第一項の規定による債権者の異議について準用する。この場合において、同条第四項及び第六項中「第二項第四号」とあるのは「第百六十五条の七第二項第四号」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(吸収合併の効力発生日の変更)
第百六十五条の八 吸収合併消滅株式会社は、吸収合併存続相互会社との合意により、効力発生日を変更することができる。
2 前項の場合には、吸収合併消滅株式会社は、変更前の効力発生日(変更後の効力発生日が変更前の効力発生日前の日である場合にあっては、当該変更後の効力発生日)の前日までに、変更後の効力発生日を公告しなければならない。
3 第一項の規定により効力発生日を変更したときは、変更後の効力発生日を効力発生日とみなして、この節の規定を適用する。

第二目 吸収合併存続株式会社の手続

(吸収合併契約に関する書面等の備置き及び閲覧等)
第百六十五条の九 吸収合併存続株式会社は、次に掲げる日のいずれか早い日から効力発生日後六月を経過する日までの間、吸収合併契約の内容その他内閣府令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を各営業所に備え置かなければならない。
 一 吸収合併契約について株主総会(種類株主総会を含む。)の決議によってその承認を受けなければならないときは、当該株主総会の日の二週間前の日
 二 第百六十五条の十二において準用する第百六十五条の四第一項の規定による通知の日又は第百六十五条の十二において準用する第百六十五条の四第二項の公告の日のいずれか早い日
 三 第百六十五条の十二において準用する第百六十五条の七第二項の規定による公告の日
2 吸収合併存続株式会社の株主及び保険契約者その他の債権者は、吸収合併存続株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該吸収合併存続株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
 一 前項の書面の閲覧の請求
 二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 前項の電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって吸収合併存続株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(吸収合併契約の承認等)
第百六十五条の十 吸収合併存続株式会社は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約の承認を受けなければならない。
2 吸収合併存続株式会社が前項の規定による決議をする場合には、会社法第三百九条第二項(株主総会の決議)の規定による決議によらなければならない。
3 吸収合併存続株式会社は、第一項の規定による決議をする場合には、会社法第二百九十九条第一項(株主総会の招集の通知)の通知において、吸収合併契約の要領を示さなければならない。
4 承継する吸収合併消滅相互会社の資産に吸収合併存続株式会社の株式が含まれる場合には、取締役は、第一項の株主総会において、当該株式に関する事項を説明しなければならない。
5 吸収合併存続会社が種類株式発行会社である場合において、吸収合併消滅相互会社の社員に交付する株式等が吸収合併存続株式会社の株式である場合には、吸収合併は、第百六十四条第一項第二号イの種類の株式(譲渡制限株式であって、会社法第百九十九条第四項(募集事項の決定)の定款の定めがないものに限る。)の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存しない場合は、この限りでない。
6 吸収合併存続株式会社が前項の規定による決議をする場合には、会社法第三百二十四条第三項(種類株主総会の決議)の規定による決議によらなければならない。

(吸収合併契約の承認を要しない場合等)
第百六十五条の十一 前条第一項から第四項までの規定は、第一号に掲げる額の第二号に掲げる額に対する割合が五分の一(これを下回る割合を吸収合併存続株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合には、適用しない。ただし、吸収合併消滅相互会社の社員に対して交付する株式等の全部又は一部が吸収合併存続株式会社の譲渡制限株式である場合であって、吸収合併存続株式会社が公開会社でないときは、この限りでない。
 一 次に掲げる額の合計額
  イ 吸収合併消滅相互会社の社員に対して交付する吸収合併存続株式会社の株式の数に一株当たり純資産額(会社法第百四十一条第二項(株式会社による買取りの通知)に規定する一株当たり純資産額をいう。)を乗じて得た額
  ロ 吸収合併消滅相互会社の社員に対して交付する金銭の額
 二 吸収合併存続株式会社の純資産額として内閣府令で定める方法により算定される額
2 前項本文に規定する場合において、内閣府令で定める数の株式(前条第一項の株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)を有する株主が次条において準用する第百六十五条の四第一項の規定による通知又は次条において準用する第百六十五条の四第二項の公告の日から二週間以内に吸収合併に反対する旨を吸収合併存続株式会社に対し通知したときは、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約の承認を受けなければならない。

(準用規定)
第百六十五条の十二 第百六十五条の四、第百六十五条の五第二項及び第百六十五条の七並びに会社法第七百九十七条第一項及び第二項(反対株主の株式買取請求)の規定は、吸収合併存続株式会社について準用する。この場合において、第百六十五条の四第一項中「及び住所」とあるのは「、住所及び第百六十五条の十第四項に規定する場合にあっては同項の株式に関する事項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(吸収合併に関する書面等の備置き及び閲覧等)
第百六十五条の十三 吸収合併存続株式会社は、効力発生日後遅滞なく、吸収合併により吸収合併存続株式会社が承継した吸収合併消滅相互会社の権利義務その他の吸収合併に関する事項として内閣府令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を作成しなければならない。
2 吸収合併存続株式会社は、効力発生日から六月間、前項の書面又は電磁的記録を各営業所に備え置かなければならない。
3 吸収合併存続株式会社の株主及び保険契約者その他の債権者は、吸収合併存続株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該吸収合併存続株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
 一 前項の書面の閲覧の請求
 二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 前項の電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって吸収合併存続株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

第三目 新設合併設立株式会社の手続

第百六十五条の十四 会社法第二編第一章(第二十七条(第四号及び第五号を除く。)、第二十九条、第三十一条、第三十九条、第六節及び第四十九条を除く。)(設立)の規定は、新設合併設立株式会社の設立については、適用しない。
2 新設合併設立株式会社の定款は、新設合併消滅会社が作成する。
3 前条の規定は、新設合併設立株式会社について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第四目 消滅相互会社の手続

(合併契約に関する書面等の備置き及び閲覧等)
第百六十五条の十五 消滅相互会社(吸収合併消滅相互会社及び新設合併消滅相互会社をいう。以下この節において同じ。)は、次に掲げる日のいずれか早い日から効力発生日までの間、合併契約の内容その他内閣府令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を各事務所に備え置かなければならない。
 一 次条第一項の社員総会(総代会を設けているときは、総代会。以下この款において同じ。)の日の二週間前の日
 二 第百六十五条の十七第二項の規定による公告の日
2 消滅相互会社の保険契約者その他の債権者は、消滅相互会社に対して、その事業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該消滅相互会社の定めた費用を支払わなければならない。
 一 前項の書面の閲覧の請求
 二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 前項の電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって消滅相互会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(合併契約の承認)
第百六十五条の十六 消滅相互会社は、効力発生日の前日までに、社員総会の決議によって、合併契約の承認を受けなければならない。
2 消滅相互会社が前項の規定による決議をする場合には、第六十二条第二項の規定による決議によらなければならない。

(債権者の異議)
第百六十五条の十七 消滅相互会社の保険契約者その他の債権者は、消滅相互会社に対し、合併について異議を述べることができる。
2 消滅相互会社は、次に掲げる事項を官報及び当該消滅相互会社の定款で定めた公告方法により公告しなければならない。ただし、第三号の期間は、一月を下ることができない。
 一 合併をする旨
 二 吸収合併存続会社(吸収合併存続相互会社及び吸収合併存続株式会社をいう。以下この節において同じ。)又は他の新設合併消滅会社及び新設合併設立会社の商号又は名称及び住所
 三 消滅相互会社の保険契約者その他の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
 四 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
3 保険契約者その他の債権者が前項第三号の期間内に異議を述べなかったときは、当該保険契約者その他の債権者は、当該合併について承認をしたものとみなす。
4 第八十八条第四項から第七項まで及び第九項の規定は、第一項の規定による債権者の異議について準用する。この場合において、同条第四項及び第六項中「第二項第三号」とあるのは「第百六十五条の十七第二項第三号」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(吸収合併の効力発生日の変更)
第百六十五条の十八 吸収合併消滅相互会社は、吸収合併存続会社との合意により、効力発生日を変更することができる。
2 前項の場合には、吸収合併消滅相互会社は、変更前の効力発生日(変更後の効力発生日が変更前の効力発生日前の日である場合にあっては、当該変更後の効力発生日)の前日までに、変更後の効力発生日を公告しなければならない。
3 第一項の規定により効力発生日を変更したときは、変更後の効力発生日を効力発生日とみなして、この節の規定を適用する。

第五目 吸収合併存続相互会社の手続

(吸収合併契約に関する書面等の備置き及び閲覧等)
第百六十五条の十九 吸収合併存続相互会社は、次に掲げる日のいずれか早い日から効力発生日後六月を経過する日までの間、吸収合併契約の内容その他内閣府令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を各事務所に備え置かなければならない。
 一 次条において準用する第百六十五条の十六第一項の社員総会の日の二週間前の日
 二 次条において準用する第百六十五条の十七第二項の規定による公告の日
2 吸収合併存続相互会社の保険契約者その他の債権者は、吸収合併存続相互会社に対して、その事業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該吸収合併存続相互会社の定めた費用を支払わなければならない。
 一 前項の書面の閲覧の請求
 二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 前項の電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって吸収合併存続相互会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(準用規定)
第百六十五条の二十 第百六十五条の十六及び第百六十五条の十七の規定は、吸収合併存続相互会社について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(吸収合併に関する書面等の備置き及び閲覧等)
第百六十五条の二十一 吸収合併存続相互会社は、効力発生日後遅滞なく、吸収合併により吸収合併存続相互会社が承継した吸収合併消滅相互会社又は吸収合併消滅株式会社の権利義務その他の吸収合併に関する事項として内閣府令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を作成しなければならない。
2 吸収合併存続相互会社は、効力発生日から六月間、前項の書面又は電磁的記録を各事務所に備え置かなければならない。
3 吸収合併存続相互会社の保険契約者その他の債権者は、吸収合併存続相互会社に対して、その事業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該吸収合併存続相互会社の定めた費用を支払わなければならない。
 一 前項の書面の閲覧の請求
 二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 前項の電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって吸収合併存続相互会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

第六目 新設合併設立相互会社の手続

第百六十五条の二十二 第二章第二節第二款(第二十三条(第一項第九号及び第四項を除く。)、第二十五条、第二十六条、第三十条の十第二項から第四項まで及び第六項並びに第三十条の十三第一項を除く。)の規定は、新設合併設立相互会社の設立については、適用しない。
2 新設合併設立相互会社の定款は、新設合併消滅会社が作成する。
3 前条の規定は、新設合併設立相互会社について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第七目 株式会社の合併に関する特則

(合併契約に関する書面等の備置き及び閲覧等に関する特則)
第百六十五条の二十三 保険業を営む株式会社が会社法第七百四十八条(合併契約の締結)の合併をする場合(合併後存続する会社又は合併により設立する会社が保険業を営む株式会社である場合に限る。)における同法第七百八十二条第一項、第七百九十四条第一項(吸収合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等)及び第八百三条第一項(新設合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等)の規定の適用については、これらの規定中「事項」とあるのは「事項及び内閣府令で定める事項」と、「その本店」とあるのは「各営業所」とする。

(債権者の異議に関する特則)
第百六十五条の二十四 会社法第七百四十八条(合併契約の締結)の合併(合併後存続する会社又は合併により設立する会社が保険業を営む株式会社である場合に限る。)をする保険業を営む株式会社(以下この節において「会社法合併会社」という。)の保険契約者その他の債権者は、会社法合併会社に対し、合併について異議を述べることができる。
2 前項の場合には、会社法合併会社は、次に掲げる事項を官報及び当該会社法合併会社の定款で定めた公告方法により公告しなければならない。ただし、第四号の期間は、一月を下ることができない。
 一 合併をする旨
 二 合併をする会社及び合併後存続する会社又は合併により設立する会社の商号及び住所
 三 前号に規定する会社の計算書類に関する事項として内閣府令で定めるもの
 四 会社法合併会社の保険契約者その他の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
 五 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
3 保険契約者その他の債権者が前項第四号の期間内に異議を述べなかったときは、当該保険契約者その他の債権者は、当該合併について承認をしたものとみなす。
4 保険契約者その他の債権者が第二項第四号の期間内に異議を述べたときは、会社法合併会社は、当該保険契約者その他の債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該保険契約者その他の債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該合併をしても当該保険契約者その他の債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
5 前項の規定は、保険契約者その他保険契約に係る権利を有する者の当該権利(保険金請求権等を除く。)については、適用しない。
6 第二項第四号の期間内に異議を述べた保険契約者(同項の規定による公告の時において既に保険金請求権等が生じている保険契約(当該保険金請求権等に係る支払により消滅することとなるものに限る。)に係る保険契約者を除く。以下この項及び次項において同じ。)の数が保険契約者の総数の五分の一を超え、かつ、当該異議を述べた保険契約者の保険契約に係る債権(保険金請求権等を除く。)の額に相当する金額として内閣府令で定める金額が保険契約者の当該金額の総額の五分の一を超えるときは、合併の承認の決議は、効力を有しない。
7 前各項の規定によりされた合併は、前項の異議を述べた保険契約者及び保険契約者に係る保険契約に係る権利(保険金請求権等を除く。)を有する者についても、その効力を生ずる。
8 前各項に定めるもののほか、これらの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
9 会社法第七百八十九条、第七百九十九条及び第八百十条(債権者の異議)の規定は、会社法合併会社については、適用しない。

第八目 合併後の公告等

第百六十六条 合併後存続する保険会社等又は合併により設立する保険会社等は、合併後、遅滞なく、合併がされたこと及び内閣府令で定める事項を公告しなければならない。第百六十五条の七第二項(第百六十五条の十二において準用する場合を含む。)、第百六十五条の十七第二項(第百六十五条の二十において準用する場合を含む。)又は前条第二項の規定による公告をした保険会社等が合併をしないこととなったときも、同様とする。
2 合併後存続する保険会社又は合併により設立する保険会社は、合併の日から六月間、第百六十五条の七(第百六十五条の十二において準用する場合を含む。)、第百六十五条の十七(第百六十五条の二十において準用する場合を含む。)又は前条に規定する手続の経過その他の合併に関する事項として内閣府令・財務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を各営業所又は各事務所に備え置かなければならない。
3 合併後存続する保険会社等又は合併により設立する保険会社等の株主及び保険契約者その他の債権者は、その営業時間内又は事業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該合併後存続する保険会社等又は合併により設立する保険会社等の定めた費用を支払わなければならない。
 一 前項の書面の閲覧の請求
 二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 前項の電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって合併後存続する保険会社等又は合併により設立する保険会社等の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

第四款 合併の効力の発生等

(合併の認可)
第百六十七条 保険会社等の合併(保険会社等が合併後存続する場合又は保険会社等を合併により設立する場合に限る。)は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 内閣総理大臣は、前項の認可の申請があったときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
 一 当該合併が、保険契約者等の保護に照らして、適当なものであること。
 二 保険会社による認可の申請にあっては、当該合併が、保険会社相互の適正な競争関係を阻害するおそれのないものであること。
 三 当該合併後存続する保険会社等又は当該合併により設立する保険会社等が、合併後に、その業務を的確、公正かつ効率的に遂行する見込みが確実であること。
3 内閣総理大臣は、第一項の認可の申請が保険会社と少額短期保険業者との合併に係るものであるときは、合併後存続する会社又は合併により設立される会社が保険会社でなければ、同項の認可をしてはならない。

(みなし免許等)
第百六十八条 前条第一項の認可を受けて合併により設立される株式会社又は相互会社は、当該設立の時に、保険会社を当事者とする合併にあっては第三条第一項の内閣総理大臣の免許を受けたものとみなし、保険会社を当事者としない合併にあっては第二百七十二条第一項の登録を受けたものとみなす。
2 前項の免許は、合併により消滅する保険会社が受けていた第三条第一項の免許に係る同条第二項の免許の種類と同一の種類の免許とする。

(合併の効力の発生等)
第百六十九条 吸収合併存続相互会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社(吸収合併消滅相互会社又は吸収合併消滅株式会社をいう。以下この節において同じ。)の権利義務を承継する。
2 吸収合併消滅会社の吸収合併による解散は、吸収合併の登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
3 吸収合併消滅株式会社の株式及び新株予約権は、効力発生日に、消滅する。
4 吸収合併消滅会社の保険契約者は、効力発生日に、吸収合併存続相互会社に入社する。ただし、吸収合併存続相互会社の定款で当該保険契約者の保険契約と同種の保険契約に係る保険契約者が社員とされていない場合は、この限りでない。
5 前各項の規定は、第百六十五条の七若しくは第百六十五条の十七(第百六十五条の二十において準用する場合を含む。)の規定による手続が終了していない場合又は吸収合併を中止した場合には、適用しない。

第百六十九条の二 新設合併設立相互会社は、その成立の日に、新設合併消滅会社の権利義務を承継する。
2 新設合併消滅会社の保険契約者は、新設合併設立相互会社の成立の日に、新設合併設立相互会社に入社する。ただし、新設合併設立相互会社の定款で当該保険契約者の保険契約と同種の保険契約に係る保険契約者が社員とされていない場合は、この限りでない。
3 新設合併消滅株式会社の株式及び新株予約権は、新設合併設立相互会社の成立の日に、消滅する。

第百六十九条の三 吸収合併存続株式会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する。
2 吸収合併消滅会社の吸収合併による解散は、吸収合併の登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
3 第百六十四条第一項第二号イに掲げる事項についての定めがある場合には、吸収合併消滅相互会社の社員は、効力発生日に、同項第三号に掲げる事項についての定めに従い、同項第二号イの株式の株主となる。
4 前三項の規定は、第百六十五条の十二において準用する第百六十五条の七若しくは第百六十五条の十七の規定による手続が終了していない場合又は吸収合併を中止した場合には、適用しない。

第百六十九条の四 新設合併設立株式会社は、その成立の日に、新設合併消滅会社の権利義務を承継する。
2 新設合併消滅会社の株主又は社員は、新設合併設立株式会社の成立の日に、第百六十五条第一項第九号に掲げる事項についての定めに従い、同項第六号又は第七号の株式の株主となる。
3 新設合併消滅株式会社の新株予約権は、新設合併設立株式会社の成立の日に、消滅する。
4 第百六十五条第一項第十二号イに規定する場合には、新設合併消滅株式会社の新株予約権の新株予約権者は、新設合併設立株式会社の成立の日に、同項第十三号に掲げる事項についての定めに従い、同項第十二号イの新設合併設立株式会社の新株予約権の新株予約権者となる。

(合併の登記)
第百六十九条の五 相互会社又は株式会社が吸収合併をしたときは、その効力が生じた日から二週間以内に、その主たる事務所又は本店の所在地において、吸収合併消滅会社については解散の登記をし、吸収合併存続会社については変更の登記をしなければならない。
2 二以上の相互会社又は株式会社が新設合併をする場合には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める日から二週間以内に、その主たる事務所又は本店の所在地において、新設合併消滅会社については解散の登記をし、新設合併設立会社については設立の登記をしなければならない。
 一 新設合併消滅会社が株式会社のみである場合 次に掲げる日のいずれか遅い日
  イ 第百六十五条の三第一項の株主総会の決議の日
  ロ 新設合併をするために種類株主総会の決議を要するときは、当該決議の日
  ハ 第百六十五条の四第一項の規定による通知又は同条第二項の公告をした日から二十日を経過した日
  ニ 第百六十五条の七の規定による手続が終了した日
  ホ 新設合併消滅会社が合意により定めた日
 二 新設合併消滅会社が相互会社のみである場合 次に掲げる日のいずれか遅い日
  イ 第百六十五条の十六第一項の社員総会の決議の日
  ロ 第百六十五条の十七の規定による手続が終了した日
  ハ 新設合併消滅会社が合意により定めた日
 三 新設合併消滅会社が株式会社及び相互会社である場合 前二号に定める日のいずれか遅い日
3 前二項に規定する場合には、当該相互会社又は株式会社は、これらの規定に規定する日から三週間以内に、支店又は従たる事務所の所在地においても、これらの規定に規定する登記をしなければならない。ただし、第一項に規定する変更の登記は、会社法第九百三十条第二項各号(支店の所在地における登記)(第六十四条第三項において準用する場合を含む。)に掲げる事項に変更が生じた場合に限り、するものとする。

(合併の登記の申請等)
第百七十条 第百五十九条第一項及び第百六十五条の二十三の合併による変更の登記の申請書には、商業登記法第十八条、第十九条(申請書の添付書面)及び第四十六条(添付書面の通則)(これらの規定を第六十七条において準用する場合を含む。)並びに同法第八十条(吸収合併の登記)(第三項において準用する場合を含む。)に定める書類のほか、次に掲げる書類を添付しなければならない。
 一 第百六十五条の七第二項(第百六十五条の十二において準用する場合を含む。)、第百六十五条の十七第二項(第百六十五条の二十において準用する場合を含む。)又は第百六十五条の二十四第二項の規定による公告をしたことを証する書面
 二 消滅株式会社又は吸収合併存続株式会社にあっては、第百六十五条の七第二項第四号(第百六十五条の十二において準用する場合を含む。)の期間内に異議を述べた保険契約者の数が第百六十五条の七第四項(第百六十五条の十二において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)において準用する第七十条第六項(第二百五十五条第二項の規定により読み替えて適用する場合(以下この号において単に「第二百五十五条第二項の規定により読み替えて適用する場合」という。)を含む。以下この号において同じ。)の保険契約者の総数の五分の一(第二百五十五条第二項の規定により読み替えて適用する場合にあっては、十分の一)を超えなかったことを証する書面又はその者の第百六十五条の七第四項において準用する第七十条第六項の内閣府令で定める金額が第百六十五条の七第四項において準用する第七十条第六項の金額の総額の五分の一(第二百五十五条第二項の規定により読み替えて適用する場合にあっては、十分の一)を超えなかったことを証する書面
 三 消滅相互会社又は吸収合併存続相互会社にあっては、第百六十五条の十七第二項第三号(第百六十五条の二十において準用する場合を含む。)の期間内に異議を述べた保険契約者の数が第百六十五条の十七第四項(第百六十五条の二十において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)において準用する第八十八条第六項(第二百五十五条第二項の規定により読み替えて適用する場合(以下この号において単に「第二百五十五条第二項の規定により読み替えて適用する場合」という。)を含む。以下この号において同じ。)の保険契約者の総数の五分の一(第二百五十五条第二項の規定により読み替えて適用する場合にあっては、十分の一)を超えなかったことを証する書面又はその者の第百六十五条の十七第四項において準用する第八十八条第六項の内閣府令で定める金額が第百六十五条の十七第四項において準用する第八十八条第六項の金額の総額の五分の一(第二百五十五条第二項の規定により読み替えて適用する場合にあっては、十分の一)を超えなかったことを証する書面
 四 会社法合併会社にあっては、第百六十五条の二十四第二項第四号の期間内に異議を述べた保険契約者の数が同条第六項(第二百五十五条第二項の規定により読み替えて適用する場合(以下この号において単に「第二百五十五条第二項の規定により読み替えて適用する場合」という。)を含む。以下この号において同じ。)の保険契約者の総数の五分の一(第二百五十五条第二項の規定により読み替えて適用する場合にあっては、十分の一)を超えなかったことを証する書面又はその者の第百六十五条の二十四第六項の内閣府令で定める金額が同項の金額の総額の五分の一(第二百五十五条第二項の規定により読み替えて適用する場合にあっては、十分の一)を超えなかったことを証する書面
 五 第二百五十四条第三項の規定による公告をしたときは、これを証する書面
2 第百五十九条第一項及び第百六十五条の二十三の合併による設立の登記の申請書には、商業登記法第十八条、第十九条及び第四十六条(これらの規定を第六十七条において準用する場合を含む。)並びに同法第八十一条(新設合併の登記)(次項において準用する場合を含む。)に定める書類のほか、前項各号に掲げる書類を添付しなければならない。
3 商業登記法第七十九条から第八十三条まで(合併の登記)の規定は、相互会社に関する登記について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(合併の無効の訴え)
第百七十一条 会社法第八百二十八条第一項(第七号及び第八号に係る部分に限る。)及び第二項(第七号及び第八号に係る部分に限る。)(会社の組織に関する行為の無効の訴え)、第八百三十四条(第七号及び第八号に係る部分に限る。)(被告)、第八百三十五条第一項(訴えの管轄)、第八百三十六条から第八百三十九条まで(担保提供命令、弁論等の必要的併合、認容判決の効力が及ぶ者の範囲、無効又は取消しの判決の効力)、第八百四十三条(第一項第三号及び第四号並びに第二項ただし書を除く。)(合併の無効判決の効力)、第八百四十六条(原告が敗訴した場合の損害賠償責任)並びに第九百三十七条第三項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)及び第四項(裁判による登記の嘱託)の規定は第百五十九条第一項の合併の無効の訴えについて、同法第八百六十八条第五項(非訟事件の管轄)、第八百七十条(第十五号に係る部分に限る。)(陳述の聴取)、第八百七十一条本文(理由の付記)、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)(即時抗告)、第八百七十三条本文(原裁判の執行停止)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)及び第八百七十六条(最高裁判所規則)の規定はこの条において準用する同法第八百四十三条第四項の申立てについて、それぞれ準用する。この場合において、同法第八百二十八条第二項第七号及び第八号中「社員等」とあるのは「相互会社の社員、取締役、監査役若しくは清算人(委員会設置会社にあっては、社員、取締役、執行役又は清算人)」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第百七十二条及び第百七十三条 削除

第三節 会社分割

(保険業を営む株式会社の分割)
第百七十三条の二 保険業を営む株式会社(以下この節において「保険株式会社」という。)がその会社分割(以下この節において「分割」という。)によりその保険契約を承継させる場合においては、責任準備金の算出の基礎が同一である保険契約(第百七十三条の四第二項の公告の時において既に保険事故が発生している保険契約(当該保険事故に係る保険金の支払により消滅することとなるものに限る。)その他の政令で定める保険契約を除く。)の全部を包括して承継させなければならない。
2 分割により保険契約を承継させる保険株式会社は、新設分割計画又は吸収分割契約(以下「分割計画等」という。)において、当該分割により承継させるものとする保険契約について、契約条項の軽微な変更で保険契約者の不利益とならないものを定めることができる。

(分割に関する書面等の備置き及び閲覧等)
第百七十三条の三 分割の当事者である保険株式会社についての会社法第七百八十二条第一項(吸収合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等)、第七百九十四条第一項(吸収合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等)及び第八百三条第一項(新設合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等)の規定の適用については、これらの規定中「事項」とあるのは「事項及び内閣府令で定める事項」と、「その本店」とあるのは「各営業所」とする。

(債権者の異議)
第百七十三条の四 保険株式会社が分割の当事者となる場合には、次の各号に掲げる者は、当該各号に定める保険株式会社に対し、分割について異議を述べることができる。
 一 保険株式会社である吸収分割会社(吸収分割をする株式会社又は合同会社をいう。以下この条において同じ。)の保険契約者その他の債権者(会社法第七百八十九条第一項第二号(債権者の異議)に定める債権者であるものに限る。) 当該吸収分割会社
 二 保険株式会社である吸収分割承継会社(吸収分割会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該吸収分割会社から承継する株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。以下同じ。)の保険契約者その他の債権者 当該吸収分割承継会社
 三 保険株式会社である新設分割会社(新設分割をする株式会社又は合同会社をいう。以下この条において同じ。)の保険契約者その他の債権者(会社法第八百十条第一項第二号(債権者の異議)に定める債権者であるものに限る。) 当該新設分割会社
2 前項の場合には、同項各号に定める保険株式会社(以下この条において「分割当事会社」という。)は、次に掲げる事項を官報及び当該分割当事会社が定款で定めた公告方法により公告し、かつ、知れている債権者(会社法第七百八十九条第三項又は第八百十条第三項の債権者に限る。)には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第四号の期間は、一月を下ることができない。
 一 分割をする旨
 二 次のイ又はロに掲げる分割の区分に応じ、当該イ又はロに定める会社の商号及び住所
  イ 吸収分割 吸収分割会社及び吸収分割承継会社
  ロ 新設分割 新設分割会社及び新設分割により設立する株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社
 三 前号イ又はロに定める株式会社の計算書類に関する事項として内閣府令で定めるもの
 四 分割当事会社の保険契約者その他の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
 五 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
3 保険契約者その他の債権者が前項第四号の期間内に異議を述べなかったときは、当該保険契約者その他の債権者は、当該分割について承認をしたものとみなす。
4 保険契約者その他の債権者が第二項第四号の期間内に異議を述べたときは、分割当事会社は、当該保険契約者その他の債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該保険契約者その他の債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該分割をしても当該保険契約者その他の債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
5 前項の規定は、保険契約者その他保険契約に係る権利を有する者の当該権利(保険金請求権等を除く。)については、適用しない。
6 第二項第四号の期間内に異議を述べた保険契約者(同項の規定による公告の時において既に保険金請求権等が生じている保険契約(当該保険金請求権等に係る支払により消滅することとなるものに限る。)に係る保険契約者を除く。以下この項及び次項において同じ。)の数が保険契約者(第一項の規定により異議を述べることができるものに限る。)の総数の五分の一を超え、かつ、当該異議を述べた保険契約者の保険契約に係る債権(保険金請求権等を除く。)の額に相当する金額として内閣府令で定める金額が保険契約者(同項の規定により異議を述べることができるものに限る。)の当該金額の総額の五分の一を超えるときは、分割は、その効力を有しない。
7 前各項の規定によりされた分割は、前項の異議を述べた保険契約者及び保険契約者に係る保険契約に係る権利(保険金請求権等を除く。)を有する者についても、その効力を生ずる。
8 前各項に定めるもののほか、これらの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
9 会社法第七百八十九条、第七百九十九条(債権者の異議)及び第八百十条の規定は、第一項各号に定める保険株式会社については、適用しない。
10 第一項に規定する場合における会社法第七百五十九条第二項及び第三項(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)、第七百六十一条第二項及び第三項(持分会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)、第七百六十四条第二項及び第三項(株式会社を設立する新設分割の効力の発生等)、第七百六十六条第二項及び第三項(持分会社を設立する新設分割の効力の発生等)、第七百九十一条第一項第一号(吸収分割又は株式交換に関する書面等の備置き及び閲覧等)、第八百一条第二項(吸収合併等に関する書面等の備置き及び閲覧等)並びに第八百十一条第一項第一号(新設分割又は株式移転に関する書面等の備置き及び閲覧等)の規定の適用については、同法第七百五十九条第二項、第七百六十一条第二項、第七百六十四条第二項及び第七百六十六条第二項中「の規定により異議」とあるのは「又は保険業法第百七十三条の四第一項の規定により異議」と、「)の各別の催告」とあるのは「)又は保険業法第百七十三条の四第二項の各別の催告」と、同法第七百五十九条第二項及び第七百六十一条第二項中「第七百八十九条第二項の各別の催告」とあるのは「第七百八十九条第二項又は保険業法第百七十三条の四第二項の各別の催告」と、同法第七百六十四条第二項及び第七百六十六条第二項中「第八百十条第二項の各別の催告」とあるのは「第八百十条第二項又は保険業法第百七十三条の四第二項の各別の催告」と、同法第七百五十九条第三項及び第七百六十一条第三項中「第七百八十九条第一項第二号」とあるのは「第七百八十九条第一項第二号又は保険業法第百七十三条の四第一項」と、「同条第二項」とあるのは「第七百八十九条第二項又は同法第百七十三条の四第二項」と、同法第七百六十四条第三項及び第七百六十六条第三項中「第八百十条第一項第二号」とあるのは「第八百十条第一項第二号又は保険業法第百七十三条の四第一項」と、「同条第二項」とあるのは「第八百十条第二項又は同法第百七十三条の四第二項」と、同法第七百九十一条第一項第一号、第八百一条第二項及び第八百十一条第一項第一号中「法務省令」とあるのは「内閣府令」とする。
11 会社法第七百五十九条第二項及び第三項、第七百六十一条第二項及び第三項、第七百六十四条第二項及び第三項並びに第七百六十六条第二項及び第三項の規定は、保険契約に係る権利を有する者、第九十九条第三項に規定する保険金信託業務に係る金銭信託の受益者その他の政令で定める債権者については、適用しない。

(保険契約の締結の停止)
第百七十三条の五 分割により保険契約を承継させる保険株式会社は、分割の決議があった時から分割をし、又はしないこととなった時まで、その分割により承継させようとする保険契約と同種の保険契約を締結してはならない。

(保険株式会社の分割の認可)
第百七十三条の六 保険株式会社の分割は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 内閣総理大臣は、前項の認可の申請があったときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
 一 当該分割が、保険契約者等の保護に照らして、適当なものであること。
 二 保険会社による認可の申請にあっては、当該分割が、保険会社相互の適正な競争関係を阻害するおそれのないものであること。
 三 当該認可の申請をした保険株式会社が、分割後に、その業務を的確、公正かつ効率的に遂行する見込みが確実であること。
3 内閣総理大臣は、第一項の認可の申請が保険会社の保険契約を承継させる分割に係るものであるときは、当該保険契約を承継する会社が保険会社でなければ、同項の認可をしてはならない。

(分割の公告等)
第百七十三条の七 分割により保険契約を承継させる保険株式会社は、当該分割後、遅滞なく、当該分割により保険契約を承継させたこと及び内閣府令で定める事項を公告しなければならない。分割をしないこととなったときも、同様とする。
2 分割により保険契約を承継した保険株式会社は、当該分割の日後三月以内に、当該分割による承継に係る保険契約者に対し、その旨(分割計画等において、当該分割による承継に係る保険契約について第百七十三条の二第二項に規定する軽微な変更を定めたときは、当該分割により保険契約を承継したこと及び当該軽微な変更の内容)を通知しなければならない。
3 分割により保険契約を承継させる保険株式会社が保険契約者に対して貸付金その他の債権を有しており、かつ、当該債権が分割計画等により保険契約を承継する会社に承継されることとされている場合において、第一項前段の規定による公告が時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法によりされたときは、当該保険契約者に対して民法第四百六十七条(指名債権の譲渡の対抗要件)の規定による確定日付のある証書による通知があったものとみなす。この場合においては、当該公告の日付をもって確定日付とする。

(分割の登記)
第百七十三条の八 新設分割による設立の登記の申請書には、商業登記法第十八条、第十九条(申請書の添付書面)、第四十六条(添付書面の通則)、第八十六条(第八号を除く。)(会社分割の登記)及び第百九条第二項(第三号中同法第八十六条第八号に掲げる書面に係る部分を除き、同法第百十六条第一項及び第百二十五条において準用する場合を含む。)(会社分割の登記)に規定する書類のほか、次に掲げる書類を添付しなければならない。
 一 第百七十三条の四第二項の規定による公告をしたことを証する書面
 二 第百七十三条の四第四項の異議を述べた保険契約者その他の債権者があるときは、当該保険契約者その他の債権者に対し、弁済し、相当の担保を提供し、若しくは当該保険契約者その他の債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託したこと又は当該分割をしても当該保険契約者その他の債権者を害するおそれがないことを証する書面
 三 第百七十三条の四第六項の異議を述べた保険契約者の数が同項の保険契約者の総数の五分の一を超えなかったことを証する書面又はその者の同項の内閣府令で定める金額が同項の金額の総額の五分の一を超えなかったことを証する書面
2 吸収分割承継会社である株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社がする吸収分割による変更の登記の申請書には、商業登記法第十八条、第十九条、第四十六条、第八十五条(保険株式会社に係る同条第三号又は第八号に掲げる書面に係る部分を除く。)(会社分割の登記)、第九十三条(添付書面の通則)(同法第百十一条及び第百十八条において準用する場合を含む。)及び第百九条第一項(第二号中同法第八十五条第八号に掲げる書面に係る部分を除き、同法第百十六条第一項及び第百二十五条において準用する場合を含む。)に規定する書類のほか、前項各号に掲げる書類を添付しなければならない。

第四節 清算

(内閣総理大臣による清算人の選任及び解任)
第百七十四条 内閣総理大臣は、保険会社等が第百五十二条第一項の規定により読み替えて適用する会社法第四百七十一条第六号(解散の事由)(第百五十二条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる事由によって解散したものであるときは利害関係人若しくは法務大臣の請求により又は職権で、第百八十条の四第一項又は同法第四百七十八条第一項(清算人の就任)の規定により清算人となる者がないとき、及び保険会社等が第百八十条第二号又は同法第四百七十五条第二号(清算の開始原因)に掲げる場合に該当することとなったものであるときは利害関係人の請求により又は職権で、清算人を選任する。
2 保険業を営む株式会社に対する会社法第四百七十七条第四項(株主総会以外の機関の設置)の規定の適用については、同項中「大会社」とあるのは、「保険会社若しくは保険業法第二百七十二条の四第一項第一号ロに掲げる株式会社」とする。
3 会社法第四百七十八条第二項から第四項までの規定は、保険業を営む株式会社については、適用しない。
4 保険会社等が第三条第一項の免許又は第二百七十二条第一項の登録の取消しによって解散したときは、第百八十条の四第一項又は会社法第四百七十八条第一項の規定にかかわらず、内閣総理大臣が清算人を選任する。
5 第八条の二第二項の規定は、保険業を営む株式会社の清算人について準用する。
6 保険業を営む株式会社に対する会社法第四百七十八条第六項において準用する同法第三百三十一条第一項第三号(取締役の資格等)の規定の適用については、同号中「この法律」とあるのは、「保険業法、この法律」とする。
7 内閣総理大臣は、第一項、第四項又は第九項の規定により清算人を選任する場合には、その清算人の中から清算に係る株式会社又は相互会社(以下この節において「清算保険会社等」という。)を代表する清算人(以下この節において「代表清算人」という。)を定めることができる。
8 清算人(内閣総理大臣が選任した者及び特別清算の場合の清算人を除く。)は、その就職の日から二週間以内に次に掲げる事項を内閣総理大臣に届け出なければならない。ただし、その間に特別清算が開始した場合は、この限りでない。
 一 解散の事由(第百八十条第二号又は会社法第四百七十五条第二号に掲げる場合に該当することとなった清算保険会社等にあっては、その旨)及びその年月日
 二 清算人の氏名及び住所
9 内閣総理大臣は、保険会社等の清算(特別清算を除く。)の場合において、重要な事由があると認めるときは、清算人を解任することができる。この場合において、内閣総理大臣は、清算人を選任することができる。
10 保険業を営む株式会社の清算の場合における会社法第四百七十九条(清算人の解任)の規定の適用については、同条第一項中「前条第二項から第四項までの規定により裁判所」とあるのは「内閣総理大臣」と、同条第二項中「清算人」とあるのは「清算人(内閣総理大臣が選任した者を除く。)」とする。
11 商業登記法第七十三条第一項及び第三項(清算人の登記)並びに第七十四条第一項(清算人に関する変更の登記)(第百八十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、内閣総理大臣が選任した清算人について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
12 第九項の規定により内閣総理大臣が清算人を解任する場合においては、内閣総理大臣は、清算保険会社等の本店又は主たる事務所の所在地の登記所にその旨の登記を嘱託しなければならない。

(内閣総理大臣の選任する清算人の報酬)
第百七十五条 前条第一項、第四項又は第九項の規定により選任された清算人は、清算保険会社等から報酬を受けることができる。
2 前項の報酬の額は、内閣総理大臣が定める。

(決算書類等の提出)
第百七十六条 清算保険会社等の清算人(特別清算の場合の清算人を除く。)は、会社法第四百九十二条第三項(財産目録等の作成等)若しくは第四百九十七条第二項(貸借対照表等の定時株主総会への提出等)(これらの規定を第百八十条の十七において準用する場合を含む。)又は第五百七条第三項(清算事務の終了等)(第百八十三条第一項において準用する場合を含む。)の規定により株主総会等においてこれらの規定に規定するものについて承認を得たときは、遅滞なく、これらの規定に規定するもの(電磁的記録で作成され、又はその作成に代えて電磁的記録の作成がされているときは、内閣府令で定める電磁的記録又は当該電磁的記録に記録された情報の内容を記載した書面)を内閣総理大臣に提出しなければならない。

(解散後の保険契約の解除)
第百七十七条 保険会社等が、第百五十二条第一項の規定により読み替えて適用する会社法第四百七十一条第三号若しくは第六号(解散の事由)(第百五十二条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる事由又は第百五十二条第三項第二号に掲げる事由によって解散したときは、保険契約者は、将来に向かって保険契約の解除をすることができる。
2 前項の場合において、保険契約者が同項の規定による保険契約の解除をしなかったときは、当該保険契約は、解散の日から三月を経過した日にその効力を失う。
3 前二項の場合においては、清算保険会社等は、被保険者のために積み立てた金額、未経過期間(保険契約に定めた保険期間のうち、当該保険契約が解除され、又は効力を失った時において、まだ経過していない期間をいう。)に対応する保険料その他内閣府令で定める金額を保険契約者に払い戻さなければならない。

(債権申出期間中の弁済の許可)
第百七十八条 保険業を営む株式会社の清算の場合における会社法第五百条(債務の弁済の制限)の規定の適用については、同条第二項中「裁判所」とあるのは、「内閣総理大臣」とする。

(清算の監督命令)
第百七十九条 内閣総理大臣は、保険会社等の清算(特別清算を除く。)の場合において、必要があると認めるときは、当該清算保険会社等に対し、財産の供託その他清算の監督上必要な措置を命ずることができる。
2 第百二十八条第一項、第百二十九条第一項、第二百七十二条の二十二第一項及び第二百七十二条の二十三第一項の規定は、前項の場合において、内閣総理大臣が清算保険会社等の清算の監督上必要があると認めるときについて準用する。

(相互会社の清算の開始原因)
第百八十条 相互会社は、次に掲げる場合には、この節の定めるところにより、清算をしなければならない。
 一 解散した場合(第百五十二条第二項において準用する会社法第四百七十一条第四号に掲げる事由によって解散した場合及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く。)
 二 設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合

(清算相互会社の能力)
第百八十条の二 前条の規定により清算をする相互会社(以下この節において「清算相互会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。

(清算相互会社の社員総会及び総代会以外の機関)
第百八十条の三 清算相互会社は、一人又は二人以上の清算人及び監査役を置かなければならない。
2 清算相互会社は、定款の定めによって、清算人会又は監査役会を置くことができる。
3 監査役会を置く旨の定款の定めがある清算相互会社は、清算人会を置かなければならない。
4 第百八十条各号に掲げる場合に該当することとなった時において委員会設置会社であった清算相互会社においては、監査委員が監査役となる。
5 第五十一条の規定は、清算相互会社については、適用しない。

(清算人の就任)
第百八十条の四 次に掲げる者は、清算相互会社の清算人となる。
 一 取締役(次号又は第三号に掲げる者がある場合を除く。)
 二 定款で定める者
 三 社員総会(総代会を設けているときは、総代会)の決議によって選任された者
2 第百八十条各号に掲げる場合に該当することとなった時において委員会設置会社であった清算相互会社における前項第一号及び第五十三条の五第三項の規定の適用については、前項第一号中「取締役」とあるのは「監査委員以外の取締役」と、同条第三項中「社外監査役(相互会社の監査役であって、過去に当該相互会社又はその実質子会社の取締役、執行役若しくは会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。以下同じ。)」とあるのは「過去に当該監査役会設置会社又はその実質子会社の取締役(社外取締役を除く。)、執行役若しくは会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)又は支配人その他の使用人となったことがないもの」とする。
3 第八条の二第二項、第五十三条及び第五十三条の二第一項の規定は清算相互会社の清算人について、同条第三項の規定は清算人会設置相互会社(清算人会を置く清算相互会社をいう。以下この節において同じ。)における清算人について、それぞれ準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(清算人の解任)
第百八十条の五 清算相互会社の清算人(第百七十四条第一項、第四項及び第九項の規定により内閣総理大臣が選任した者を除く。)は、いつでも、社員総会(総代会を設けているときは、総代会)の決議によって解任することができる。
2 重要な事由があるときは、裁判所は、社員総数の千分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上又は三千名(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その数)以上の社員(特定相互会社にあっては、第三十八条第一項に規定する政令で定める数以上の社員)であって六月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き社員である者(総代会を設けているときは、これらの者又は九名(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その数)以上の総代)の申立てにより、前項の清算人を解任することができる。
3 会社法第八百六十八条第一項(非訟事件の管轄)、第八百七十条(第三号に係る部分に限る。)(陳述の聴取)、第八百七十一条本文(理由の付記)、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)(即時抗告)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)及び第八百七十六条(最高裁判所規則)の規定は前項の規定による申立てについて、同法第九百三十七条第一項(第二号ホ及び第三号イに係る部分に限る。)(裁判による登記の嘱託)の規定は前項の規定による第一項の清算人の解任の裁判について、それぞれ準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
4 第五十三条の十二第一項から第三項までの規定並びに会社法第八百六十八条第一項、第八百七十条(第二号に係る部分に限る。)、第八百七十一条、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)、第八百七十四条(第一号に係る部分に限る。)(不服申立ての制限)、第八百七十五条、第八百七十六条及び第九百三十七条第一項(第二号ロ及びハに係る部分に限る。)の規定は、第一項の清算人について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(監査役の任期)
第百八十条の六 第五十三条の六の規定は、清算相互会社の監査役については、適用しない。

(清算人の職務)
第百八十条の七 清算相互会社の清算人は、次に掲げる職務を行う。
 一 現務の結了
 二 債権の取立て及び債務の弁済
 三 残余財産の分配

(業務の執行)
第百八十条の八 清算人は、清算相互会社(清算人会設置相互会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2 清算人が二人以上ある場合には、清算相互会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、清算人の過半数をもって決定する。
3 前項の場合には、清算人は、次に掲げる事項についての決定を各清算人に委任することができない。
 一 支配人の選任及び解任
 二 従たる事務所の設置、移転及び廃止
 三 第四十一条第一項又は第四十九条第一項において準用する会社法第二百九十八条第一項各号に掲げる事項
 四 清算人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他清算相互会社の業務の適正を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制の整備
4 会社法第三百五十三条から第三百五十七条まで(株式会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表、表見代表取締役、忠実義務、競業及び利益相反取引の制限、取締役の報告義務)、第三百六十条第一項(株主による取締役の行為の差止め)及び第三百六十一条(取締役の報酬等)の規定は、清算人(同条の規定については、第百七十四条第一項、第四項又は第九項の規定により内閣総理大臣が選任したものを除く。)について準用する。この場合において、同法第三百五十三条中「第三百四十九条第四項」とあるのは「保険業法第百八十条の九第五項において準用する第三百四十九条第四項」と、同法第三百五十四条中「代表取締役」とあるのは「代表清算人」と、同法第三百六十条第一項中「株式を有する株主」とあるのは「社員である者」と、「著しい損害」とあるのは「回復することができない損害」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(清算相互会社の代表)
第百八十条の九 清算人は、清算相互会社を代表する。ただし、他に代表清算人その他清算相互会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2 前項本文の清算人が二人以上ある場合には、清算人は、各自、清算相互会社を代表する。
3 清算相互会社(清算人会設置相互会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく清算人(第百七十四条第一項、第四項又は第九項の規定により内閣総理大臣が選任した者を除く。以下この項において同じ。)の互選又は社員総会(総代会を設けているときは、総代会)の決議によって、清算人の中から代表清算人を定めることができる。
4 第百八十条の四第一項第一号の規定により取締役が清算人となる場合において、代表取締役を定めていたときは、当該代表取締役が代表清算人となる。
5 会社法第三百四十九条第四項及び第五項(株式会社の代表)並びに第三百五十一条(代表取締役に欠員を生じた場合の措置)の規定は清算相互会社の代表清算人について、同法第三百五十二条(取締役の職務を代行する者の権限)の規定は民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十六条(法人の代表者の職務執行停止の仮処分等の登記の嘱託)に規定する仮処分命令により選任された清算相互会社の清算人又は代表清算人の職務を代行する者について、会社法第八百六十八条第一項(非訟事件の管轄)、第八百六十九条(疎明)、第八百七十条(第二号に係る部分に限る。)(陳述の聴取)、第八百七十一条(理由の付記)、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)(即時抗告)、第八百七十四条(第一号及び第四号に係る部分に限る。)(不服申立ての制限)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)及び第八百七十六条(最高裁判所規則)の規定は清算相互会社の清算人又は代表清算人について、同法第九百三十七条第一項(第二号ロ及びハに係る部分に限る。)(裁判による登記の嘱託)の規定は清算相互会社の一時代表清算人の職務を行うべき者について、それぞれ準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(清算相互会社についての破産手続の開始)
第百八十条の十 清算相互会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。
2 清算人は、清算相互会社が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
3 前項に規定する場合において、清算相互会社が既に債権者に支払ったものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。

(清算人の清算相互会社に対する損害賠償責任)
第百八十条の十一 清算人は、その任務を怠ったときは、清算相互会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2 清算人が第百八十条の八第四項において準用する会社法第三百五十六条第一項の規定に違反して同項第一号の取引をしたときは、当該取引により清算人又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。
3 第百八十条の八第四項において準用する会社法第三百五十六条第一項第二号又は第三号の取引によって清算相互会社に損害が生じたときは、次に掲げる清算人は、その任務を怠ったものと推定する。
 一 第百八十条の八第四項において準用する会社法第三百五十六条第一項の清算人
 二 清算相互会社が当該取引をすることを決定した清算人
 三 当該取引に関する清算人会の承認の決議に賛成した清算人
4 第五十三条の三十四及び会社法第四百二十八条第一項(取締役が自己のためにした取引に関する特則)の規定は、清算相互会社の清算人の第一項の責任について準用する。この場合において、同条第一項中「第三百五十六条第一項第二号(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)」とあるのは「保険業法第百八十条の八第四項において準用する第三百五十六条第一項第二号」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(清算人の第三者に対する損害賠償責任)
第百八十条の十二 清算相互会社の清算人がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該清算人は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
2 前項の清算人が、次に掲げる行為をしたときも、同項と同様とする。ただし、当該清算人が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
 一 社債(第六十一条に規定する社債をいう。)を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該清算相互会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
 二 第百八十条の十七において準用する会社法第四百九十二条第一項に規定する財産目録等並びに第百八十条の十七において準用する同法第四百九十四条第一項の貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
 三 虚偽の登記
 四 虚偽の公告

(清算人及び監査役の連帯責任)
第百八十条の十三 清算人又は監査役が清算相互会社又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の清算人又は監査役も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
2 前項の場合には、第五十三条の三十六において準用する会社法第四百三十条の規定は、適用しない。

(清算人会の権限等)
第百八十条の十四 清算相互会社の清算人会は、すべての清算人で組織する。
2 清算人会は、次に掲げる職務を行う。
 一 清算人会設置相互会社の業務執行の決定
 二 清算人の職務の執行の監督
 三 代表清算人の選定及び解職
3 清算人会は、清算人の中から代表清算人を選定しなければならない。ただし、他に代表清算人があるときは、この限りでない。
4 清算人会は、その選定した代表清算人及び第百八十条の九第四項の規定により代表清算人となった者を解職することができる。
5 第百七十四条第七項の規定により内閣総理大臣が清算相互会社の代表清算人を定めたときは、清算人会は、代表清算人を選定し、又は解職することができない。
6 清算人会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を清算人に委任することができない。
 一 重要な財産の処分及び譲受け
 二 多額の借財
 三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
 四 従たる事務所その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
 五 第六十一条第一号に掲げる事項その他の社債(同条に規定する社債をいう。)を引き受ける者の募集に関する重要な事項として内閣府令で定める事項
 六 清算人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他清算相互会社の業務の適正を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制の整備
7 次に掲げる清算人は、清算人会設置相互会社の業務を執行する。
 一 清算相互会社の代表清算人
 二 代表清算人以外の清算人であって、清算人会の決議によって清算人会設置相互会社の業務を執行する清算人として選定されたもの
8 前項各号に掲げる清算人は、三月に一回以上、自己の職務の執行の状況を清算人会に報告しなければならない。
9 会社法第三百六十四条(取締役会設置会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表)及び第三百六十五条(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限)の規定は、清算人会設置相互会社について準用する。この場合において、同法第三百六十四条中「第三百五十三条」とあるのは「保険業法第百八十条の八第四項において準用する第三百五十三条」と、同法第三百六十五条第一項中「第三百五十六条」とあるのは「保険業法第百八十条の八第四項において準用する第三百五十六条」と、同条第二項中「第三百五十六条第一項各号」とあるのは「保険業法第百八十条の八第四項において準用する第三百五十六条第一項各号」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(清算人会の運営)
第百八十条の十五 会社法第二編第四章第五節第二款(第三百六十七条、第三百七十一条第三項及び第五項、第三百七十二条第三項並びに第三百七十三条を除く。)(運営)の規定は清算人会設置相互会社の清算人会の運営について、同法第八百六十八条第一項(非訟事件の管轄)、第八百六十九条(疎明)、第八百七十条(第一号に係る部分に限る。)(陳述の聴取)、第八百七十一条本文(理由の付記)、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)(即時抗告)、第八百七十三条本文(原裁判の執行停止)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)及び第八百七十六条(最高裁判所規則)の規定はこの条において準用する同法第三百七十一条第二項又は第四項の規定による許可の申立てについて、それぞれ準用する。この場合において、同条第二項(議事録等)中「株主」とあるのは「社員(総代会を設けているときは、総代)」と、「株式会社の営業時間内は、いつでも」とあるのは「裁判所の許可を得て」と、同条第六項中「親会社若しくは子会社」とあるのは「保険業法第三十三条の二第一項に規定する実質子会社」と、同法第三百七十二条第二項(取締役会への報告の省略)中「第三百六十三条第二項」とあるのは「保険業法第百八十条の十四第八項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(取締役等に関する規定の適用)
第百八十条の十六 清算相互会社については、第二章第二節第三款、同節第四款第一目及び第二目、第五十三条の五第二項、第五十三条の十一において準用する会社法第三百四十三条第一項及び第二項、第五十三条の十一において準用する同法第三百四十五条第四項において準用する同条第三項、第五十三条の十五において準用する同法第三百五十九条、同款第六目並びに第六十二条の二の規定中取締役、代表取締役、取締役会又は相互会社に関する規定は、それぞれ清算人、代表清算人、清算人会又は清算人会設置相互会社に関する規定として清算人、代表清算人、清算人会又は清算人会設置相互会社に適用があるものとする。

(財産目録等)
第百八十条の十七 会社法第二編第九章第一節第三款(第四百九十六条第三項並びに第四百九十七条第一項第三号を除く。)(財産目録等)の規定は、清算相互会社について準用する。この場合において、同法第四百九十二条第一項(財産目録等の作成等)中「第四百八十九条第七項各号」とあるのは「保険業法第百八十条の十四第七項各号」と、「第四百七十五条各号」とあるのは「同法第百八十条各号」と、同法第四百九十四条第一項(貸借対照表等の作成及び保存)中「第四百七十五条各号」とあるのは「保険業法第百八十条各号」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(財産処分の順序)
第百八十一条 清算相互会社の清算人は、相互会社の債務の弁済及び基金の払戻しをしなければならない。
2 前項の場合において、基金の払戻しは、相互会社の債務の弁済をした後でなければ、してはならない。

(債務の弁済等)
第百八十一条の二 会社法第二編第九章第一節第四款(債務の弁済等)、第八百六十八条第一項(非訟事件の管轄)、第八百七十一条(理由の付記)、第八百七十四条(第一号に係る部分に限る。)(不服申立ての制限)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)及び第八百七十六条(最高裁判所規則)の規定は、清算相互会社について準用する。この場合において、同法第四百九十九条第一項(債権者に対する公告等)中「第四百七十五条各号」とあるのは「保険業法第百八十条各号」と、同法第五百条第二項中「裁判所」とあるのは「内閣総理大臣」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(残余財産の分配)
第百八十二条 清算相互会社の残余財産の処分については、定款に定めがない場合には、社員総会(総代会を設けているときは、総代会)の決議によらなければならない。
2 清算相互会社の残余財産は、社員に分配し、又は保険契約者等の保護に資するような方法により処分しなければならない。
3 清算相互会社の残余財産を社員に分配する場合には、社員の寄与分(社員の支払った保険料及び当該保険料として収受した金銭を運用することによって得られた収益のうち、保険金、返戻金その他の給付金の支払、事業費の支出その他の支出(第百七十七条第三項の規定による払戻しを含む。)に充てられていないものとして内閣府令で定めるところにより計算した金額をいう。)に応じて、しなければならない。
4 清算相互会社の残余財産を第二項に規定する保険契約者等の保護に資するような方法により処分する場合には、退社員の全体について前項の内閣府令に準じて内閣府令で定めるところにより計算した金額の総額を上限とする。
5 第一項の場合には、第六十二条第二項に定める決議によらなければならない。
6 第一項の決議は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

(清算事務の終了等)
第百八十三条 会社法第五百七条(清算事務の終了等)、第五百八条(帳簿資料の保存)、第八百六十八条第一項(非訟事件の管轄)、第八百七十一条(理由の付記)、第八百七十四条(第一号に係る部分に限る。)(不服申立ての制限)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)及び第八百七十六条(最高裁判所規則)の規定は、清算相互会社について準用する。この場合において、同法第五百八条第一項中「第四百八十九条第七項各号」とあるのは「保険業法第百八十条の十四第七項各号」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
2 会社法第九百二十八条(第二項を除く。)(清算人の登記)、第九百二十九条(第一号に係る部分に限る。)(清算結了の登記)及び第九百三十二条本文(支店における変更の登記等)並びに商業登記法第七十三条から第七十五条まで(清算人の登記、清算人に関する変更の登記、清算結了の登記)の規定は、相互会社の清算に関する登記について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(相互会社の特別清算に関する会社法の準用)
第百八十四条 会社法第二編第九章第二節(第五百二十二条第三項及び第五百四十一条を除く。)(特別清算)、第七編第二章第四節(特別清算に関する訴え)、同編第三章第一節(第八百六十八条第二項から第五項まで及び第八百七十条から第八百七十四条までを除く。)(総則)及び第三節(第八百七十九条、第八百八十条並びに第八百九十八条第一項第二号及び第五項を除く。)(特別清算の手続に関する特則)並びに第九百三十八条第一項から第五項まで(特別清算に関する裁判による登記の嘱託)の規定は、清算相互会社について準用する。この場合において、同法第五百二十二条第一項(調査命令)中「総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主若しくは発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主」とあるのは「社員総数の千分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に相当する数の社員若しくは三千名(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その数)以上の社員(特定相互会社にあっては、保険業法第三十八条第一項に規定する政令で定める数以上の社員)で六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続いて社員である者」と、同法第五百三十二条第二項(監督委員の報酬等)中「債権又は清算株式会社の株式」とあるのは「債権」と、同法第五百三十六条第三項(事業の譲渡の制限等)中「第七章(第四百六十七条第一項第五号を除く。)」とあるのは「保険業法第六十二条の二」と、同法第五百六十二条(清算人の調査結果等の債権者集会に対する報告)中「第四百九十二条第一項」とあるのは「保険業法第百八十条の十七において準用する第四百九十二条第一項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第九章 外国保険業者

第一節 通則

(免許)
第百八十五条 外国保険業者は、第三条第一項の規定にかかわらず、日本に支店等(外国保険業者の日本における支店、従たる事務所その他の事務所又は外国保険業者の委託を受けて当該外国保険業者の日本における保険業に係る保険の引受けの代理をする者の事務所をいう。以下この節から第五節までにおいて同じ。)を設けて内閣総理大臣の免許を受けた場合に限り、当該免許に係る保険業を当該支店等において行うことができる。
2 前項の免許は、外国生命保険業免許及び外国損害保険業免許の二種類とする。
3 外国生命保険業免許と外国損害保険業免許とは、同一の者が受けることはできない。
4 外国生命保険業免許は、第三条第四項第一号に掲げる保険の引受けを行い、又はこれに併せて同項第二号若しくは第三号に掲げる保険の引受けを行う事業に係る免許とする。
5 外国損害保険業免許は、第三条第五項第一号に掲げる保険の引受けを行い、又はこれに併せて同項第二号若しくは第三号に掲げる保険の引受けを行う事業に係る免許とする。
6 外国保険会社等は、日本に住所若しくは居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に係る保険契約については、内閣府令で定める場合を除くほか、日本国内において締結しなければならない。

(日本に支店等を設けない外国保険業者等)
第百八十六条 日本に支店等を設けない外国保険業者は、日本に住所若しくは居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に係る保険契約(政令で定める保険契約を除く。次項において同じ。)を締結してはならない。ただし、同項の許可に係る保険契約については、この限りでない。
2 日本に支店等を設けない外国保険業者に対して日本に住所若しくは居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に係る保険契約の申込みをしようとする者は、当該申込みを行う時までに、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。
3 内閣総理大臣は、次の各号のいずれかに該当すると認められる場合には、前項の許可をしてはならない。
 一 当該保険契約の内容が法令に違反し、又は不公正であること。
 二 当該保険契約の締結に代えて、保険会社又は外国保険会社等との間において当該契約と同等又は有利な条件で保険契約を締結することが容易であること。
 三 当該保険契約の条件が、保険会社又は外国保険会社等との間において当該契約と同種の保険契約を締結する場合に通常付されるべき条件に比して著しく権衡を失するものであること。
 四 当該保険契約を締結することにより、被保険者その他の関係者の利益が不当に侵害されるおそれがあること。
 五 当該保険契約を締結することにより、日本における保険業の健全な発展に悪影響を及ぼし、又は公益を害するおそれがあること。

(免許申請手続等)
第百八十七条 第百八十五条第一項の免許を受けようとする外国保険業者は、次に掲げる事項を記載した免許申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
 一 当該外国保険業者の本国(当該外国保険業者が保険業の開始又は当該外国保険業者に係る法人の設立に当たって準拠した法令を制定した国をいう。以下この節から第四節までにおいて同じ。)の国名並びに当該外国保険業者の氏名又は商号若しくは名称、住所又は本店若しくは主たる事務所の所在地及び保険業の開始又は設立の年月日
 二 日本における代表者の氏名及び住所
 三 受けようとする免許の種類
 四 日本における主たる店舗(支店等のうち、外国保険業者がその日本における保険業の本拠として定めたものをいう。以下この節から第四節までにおいて同じ。)
2 前項の免許申請書には、次に掲げる事項を証する本国の権限のある機関の証明書を添付しなければならない。
 一 当該外国保険業者の保険業の開始又は当該外国保険業者に係る法人の設立が適法に行われたこと。
 二 当該免許を受けて行おうとする日本における保険業と同種類の保険業を本国において適法に行っていること。
3 前項に定めるもののほか、第一項の免許申請書には、次に掲げる書類その他内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
 一 定款又はこれに準ずる書類
 二 日本における事業の方法書
 三 日本において締結する保険契約の普通保険約款
 四 日本において締結する保険契約に係る保険料及び責任準備金の算出方法書
4 前項第二号から第四号までに掲げる書類には、内閣府令で定める事項を記載しなければならない。
5 第五条の規定は、第百八十五条第一項の免許の申請があった場合について準用する。この場合において、第五条第一項第一号及び第二号中「保険会社の業務」とあるのは「外国保険会社等の日本における業務」と、同項第三号中「前条第二項第二号及び第三号」とあるのは「第百八十七条第三項第二号及び第三号」と、同項第四号中「前条第二項第四号」とあるのは「第百八十七条第三項第四号」と読み替えるものとする。

(免許の条件)
第百八十八条 内閣総理大臣は、外国生命保険業免許の申請をした外国保険業者の行おうとする日本における保険業が、保険金額が外国通貨で表示された保険契約で政令で定める者を相手方とするものの引受けのみに係るものである場合には、当該保険契約に係る業務のみを行うことができる旨の条件を付して第百八十五条第一項の免許をすることができる。
2 前項の条件が付された第百八十五条第一項の免許を受けた外国生命保険会社等に対しては、第百九十六条その他の政令で定める規定は適用しないものとするほか、この法律の適用に関し必要な特例を政令で定めることができる。
3 第一項に規定する場合における外国保険業者の第百八十五条第一項の免許の申請手続の特例その他第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(内閣総理大臣の告示)
第百八十九条 内閣総理大臣は、第百八十五条第一項の免許をしたときは、その旨及び第百八十七条第一項各号に掲げる事項を、遅滞なく、官報で告示するものとする。同項第一号、第二号又は第四号に掲げる事項の変更について第二百九条の規定による届出があったときも、同様とする。

(供託)
第百九十条 外国保険会社等は、日本における保険契約者等の保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める額の金銭を、日本における主たる店舗の最寄りの供託所に供託しなければならない。
2 内閣総理大臣は、日本における保険契約者等の保護のため必要があると認めるときは、外国保険会社等に対し、その日本における保険業を開始する前に、前項の政令で定める額のほか、相当と認める額の金銭の供託を命ずることができる。
3 外国保険会社等は、政令で定めるところにより、当該外国保険会社等のために所要の供託金が内閣総理大臣の命令に応じて供託される旨の契約を締結し、その旨を内閣総理大臣に届け出たときは、当該契約の効力の存する間、当該契約において供託されることとなっている金額(以下この条において「契約金額」という。)につき前二項の供託金の全部又は一部の供託をしないことができる。
4 内閣総理大臣は、日本における保険契約者等の保護のため必要があると認めるときは、外国保険会社等と前項の契約を締結した者又は当該外国保険会社等に対し、契約金額に相当する金額の全部又は一部を供託すべき旨を命ずることができる。
5 外国保険会社等は、第一項の供託金(第二項の規定により同項の金銭の供託を命ぜられた場合には、その供託金を含む。)につき供託(第三項の契約の締結を含む。第八項において同じ。)を行い、その旨を内閣総理大臣に届け出た後でなければ、その免許に係る保険業を開始してはならない。
6 日本における保険契約に係る保険契約者、被保険者又は保険金額を受け取るべき者は、保険契約により生じた債権に関し、当該外国保険会社等に係る供託金について、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。
7 前項の権利の実行に関し必要な事項は、政令で定める。
8 外国保険会社等は、第六項の権利の実行その他の理由により、供託金の額(契約金額を含む。)が第一項の政令で定める額に不足することとなったときは、内閣府令で定める日から二週間以内にその不足額につき供託を行い、その旨を遅滞なく内閣総理大臣に届け出なければならない。
9 外国保険会社等は、国債証券、地方債証券その他の内閣府令で定める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律第二百七十八条第一項(振替債の供託)に規定する振替債を含む。第二百二十三条第十項、第二百七十二条の五第九項及び第二百九十一条第九項において同じ。)をもって、第一項、第二項又は前項の供託金に代えることができる。
10 第一項、第二項、第四項又は第八項の規定により供託した供託金は、次の各号のいずれかに該当する場合には、政令で定めるところにより、取り戻すことができる。
 一 当該外国保険会社等に係る第百八十五条第一項の免許が第二百五条又は第二百六条の規定により取り消されたとき。
 二 当該外国保険会社等に係る第百八十五条第一項の免許が第二百七十三条の規定によりその効力を失ったとき。
11 前各項に定めるもののほか、供託金に関し必要な事項は、内閣府令・法務省令で定める。

(外国保険会社等の商号又は名称)
第百九十一条 第七条第二項の規定は、外国保険会社等には適用しない。

(日本における代表者)
第百九十二条 外国保険会社等(会社法第二条第二号(定義)に規定する外国会社を除く。以下この項から第三項までにおいて同じ。)の日本における代表者は、当該外国保険会社等の日本における業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
2 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
3 外国保険会社等は、その日本における代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
4 外国保険会社等の日本における代表者は、その退任の後においても、これに代わるべき代表者の氏名及び住所その他の場所について商法第二十二条(支配人の登記)若しくは会社法第九百三十三条第二項(外国会社の登記)(第二百十五条において準用する場合を含む。)の登記又は第百八十九条後段の規定による告示があるまでは、なお日本における代表者としての権利義務を有する。
5 外国保険会社等の日本における代表者は、内閣総理大臣の認可を受けた場合を除き、他の会社の常務に従事してはならない。
6 内閣総理大臣は、前項の認可の申請があったときは、当該申請に係る事項が当該外国保険会社等の日本における業務の健全かつ適切な運営を妨げるおそれがないと認める場合でなければ、これを認可してはならない。 

(外国相互会社)
第百九十三条 外国相互会社は、日本において取引を継続してしようとするときは、日本における代表者を定めなければならない。この場合において、その日本における代表者のうち一人以上は、日本に住所を有する者でなければならない。
2 会社法第八百十八条(登記前の継続取引の禁止等)及び第八百十九条(貸借対照表に相当するものの公告)の規定は、外国相互会社について準用する。この場合において、同条第一項中「外国会社の登記をした外国会社(日本における同種の会社又は最も類似する会社が株式会社であるものに限る。)」とあるのは「外国相互会社の登記をした外国相互会社」と、「第四百三十八条第二項」とあるのは「保険業法第五十四条の六第二項」と、同条第二項中「第九百三十九条第一項第一号又は第二号」とあるのは「保険業法第二百十七条第一項第一号」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第二節 業務、経理等

(顧客の利益の保護のための体制整備)
第百九十三条の二 外国保険会社等は、当該外国保険会社等又はその親金融機関等若しくは子金融機関等が行う取引に伴い、当該外国保険会社等又はその子金融機関等が行う業務(保険業その他の内閣府令で定める業務に限る。)に係る顧客の利益が不当に害されることのないよう、内閣府令で定めるところにより、当該業務に関する情報を適正に管理し、かつ、当該業務の実施状況を適切に監視するための体制の整備その他必要な措置を講じなければならない。
2 前項の「親金融機関等」とは、外国保険会社等の総株主等の議決権の過半数を保有している者その他の当該外国保険会社等と密接な関係を有する者として政令で定める者のうち、保険会社、銀行、金融商品取引業者その他政令で定める金融業を行う者をいう。
3 第一項の「子金融機関等」とは、外国保険会社等が総株主等の議決権の過半数を保有している者その他の当該外国保険会社等と密接な関係を有する者として政令で定める者のうち、保険会社、銀行、金融商品取引業者その他政令で定める金融業を行う者をいう。

(特殊関係者との間の取引等)
第百九十四条 外国保険会社等は、当該外国保険会社等と政令で定める特殊の関係のある者(以下この条において「特殊関係者」という。)又は特殊関係者に係る顧客との間で、次に掲げる取引又は行為をしてはならない。ただし、当該取引又は行為をすることにつき内閣府令で定めるやむを得ない理由がある場合において、内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
 一 特殊関係者との間で当該外国保険会社等の支店等において行う取引で、当該外国保険会社等の取引の通常の条件と著しく異なる条件で行う資産の売買その他の取引
 二 特殊関係者との間又は特殊関係者に係る顧客との間で行う取引又は行為のうち前号に掲げるものに準ずる取引又は行為で、当該外国保険会社等の行う日本における保険業の健全かつ適切な運営に支障を及ぼすおそれのあるものとして内閣府令で定める取引又は行為

(本店又は主たる事務所の決算書類の提出)
第百九十五条 外国保険会社等は、事業年度ごとに、その本店又は主たる事務所において作成した財産目録、貸借対照表、損益計算書及び事業報告を、内閣府令で定めるところにより、当該事業年度終了後相当の期間内に、内閣総理大臣に提出しなければならない。

(定款等の備付け及び閲覧等)
第百九十六条 外国保険会社等の日本における代表者は、定款若しくはこれに準ずる書類(外国相互会社にあっては、これらの書類及び日本における社員の名簿)又はこれらの電磁的記録を、日本における主たる店舗に備え置かなければならない。
2 外国保険会社等の日本における代表者は、前条に規定する書類又は電磁的記録を、同条の規定により提出した日の翌日から起算して五年を経過する日まで、内閣府令で定めるところにより、日本における主たる店舗に備え置かなければならない。
3 外国保険会社等の日本における代表者は、内閣府令で定めるところにより、日本における事業年度に係る毎決算期に次に掲げる書類及び附属明細書を作成し、その計算の基礎となった日本における事業年度終了の日の翌日から起算して五年を経過する日まで、日本における主たる店舗に備え置かなければならない。
 一 日本における保険業の貸借対照表
 二 日本における保険業の損益計算書
 三 日本における保険業の事業報告
4 前項の書類は、電磁的記録をもって作成することができる。
5 外国保険会社等の保険契約者、保険金額を受け取るべき者その他の債権者及び被保険者は、外国保険会社等の業務を行うべき時間内は、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該外国保険会社等の定めた費用を支払わなければならない。
 一 第一項から第三項までの書類が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
 二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 第一項から第三項までの書類が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって外国保険会社等の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(資産の国内保有義務)
第百九十七条 外国保険会社等は、第百九十九条において準用する第百十六条第一項及び第百十七条第一項の規定により日本において積み立てた責任準備金及び支払備金の額を基礎として内閣府令で定めるところにより計算した金額と第百九十条の供託金その他の自己資本に相当するものとして内閣府令で定める金額との合計額に相当する資産を、内閣府令で定めるところにより、日本において保有しなければならない。

(会社法等の準用)
第百九十八条 会社法第八条(会社と誤認させる名称等の使用の禁止)の規定は外国相互会社であると誤認されるおそれのある商号又は名称の使用について、同法第九条(自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任)の規定は外国相互会社の名称について、同法第一編第三章第一節(会社の使用人)の規定は外国相互会社の使用人について、同章第二節(第十八条を除く。)(会社の代理商)の規定は外国相互会社のために取引の代理又は媒介をする者について、同編第四章(第二十四条を除く。)(事業の譲渡をした場合の競業の禁止等)の規定は外国相互会社が事業を譲渡し、又は事業若しくは営業を譲り受けた場合について、第五十四条、第五十四条の二並びに第五十四条の三第一項及び第四項の規定は外国相互会社の帳簿その他の資料について、それぞれ準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
2 商法第二編第一章(第五百一条から第五百三条まで及び第五百二十三条を除く。)(総則)の規定は外国相互会社の行う行為について、同編第二章(売買)の規定は外国相互会社が商人又は相互会社(外国相互会社を含む。)との間で行う売買について、同編第三章(交互計算)の規定は外国相互会社が平常取引をする者との間で行う相殺に係る契約について、同編第五章(第五百四十五条を除く。)(仲立営業)の規定は外国相互会社が行う他人間の商行為の媒介について、同編第六章(第五百五十八条を除く。)(問屋営業)並びに第五百九十三条(寄託)の規定は外国相互会社について、それぞれ準用する。

(業務等に関する規定の準用)
第百九十九条 第九十七条、第九十七条の二第一項及び第二項、九十八条、第九十九条第一項、第二項及び第四項から第六項まで、第百条並びに第百条の二の規定は外国保険会社等の支店等における業務について、第九十九条第三項及び第七項から第十項までの規定は外国生命保険会社等の支店等における業務について、第百一条から第百五条までの規定は外国損害保険会社等が他の損害保険会社(外国損害保険会社等を含む。)との間で行う共同行為について、第七条の二、第百九条、第百十条第一項及び第三項、第百十一条第一項及び第三項から第六項まで、第百十二条、第百十四条から第百十八条まで並びに第百二十条から第百二十二条までの規定は外国保険会社等について、第百五条の二の規定は外国生命保険会社等について、第百五条の三の規定は外国損害保険会社等について、それぞれ準用する。この場合において、第九十七条第一項中「第三条第二項」とあるのは「第百八十五条第二項」と、第九十九条第六項中「相互会社」とあるのは「外国相互会社」と、同条第八項中「第百三十三条若しくは第百三十四条の規定により同法第三条第一項の免許が取り消された場合若しくは同法第二百七十三条の規定により同法第三条第一項」とあるのは「第二百五条若しくは第二百六条の規定により同法第百八十五条第一項の免許が取り消された場合若しくは同法第二百七十三条の規定により同法第百八十五条第一項」と、「第百三十三条又は第百三十四条の規定により同法第三条第一項」とあるのは「第二百五条又は第二百六条の規定により同法第百八十五条第一項」と、同条第九項中「第百十一条第一項及び第二項」とあるのは「第百九十九条において準用する第百十一条第一項」と、第百五条の二第一項各号並びに同条第二項及び第三項第二号中「指定生命保険業務紛争解決機関」とあるのは「指定外国生命保険業務紛争解決機関」と、同条第一項各号中「生命保険業務」とあるのは「外国生命保険業務」と、第百五条の三第一項各号並びに同条第二項及び第三項第二号中「指定損害保険業務紛争解決機関」とあるのは「指定外国損害保険業務紛争解決機関」と、同条第一項各号中「損害保険業務」とあるのは「外国損害保険業務」と、第百九条中「事業年度」とあるのは「日本における事業年度」と、第百十条第一項中「事業年度ごとに、業務」とあるのは「日本における事業年度ごとに、日本における業務」と、第百十一条第一項中「事業年度ごとに、業務」とあるのは「日本における事業年度ごとに、日本における業務」と、同項及び同条第四項中「本店又は主たる事務所及び支店又は従たる事務所その他これらに準ずる場所として内閣府令で定める場所」とあるのは「外国保険会社等の日本における支店その他これに準ずる場所として内閣府令で定める場所」と、同条第六項中「当該保険会社及びその子会社等の業務」とあるのは「当該外国保険会社等の日本における業務」と、第百十二条第一項中「所有する」とあるのは「日本において所有する」と、「内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣」とあるのは「内閣総理大臣」と、同条第二項中「内閣府令」とあるのは「日本において内閣府令」と、第百十四条第一項中「保険契約者」とあるのは「日本における保険契約者」と、第百十五条第一項中「所有する」とあるのは「日本において所有する」と、「価格変動準備金」とあるのは「日本において価格変動準備金」と、同条第二項中「株式等」とあるのは「日本における株式等」と、第百十六条第一項中「毎決算期」とあるのは「日本における事業年度に係る毎決算期」と、「保険契約」とあるのは「日本における保険契約」と、「責任準備金」とあるのは「日本において責任準備金」と、同条第二項中「長期の」とあるのは「日本における長期の」と、同条第三項中「保険契約」とあるのは「日本における保険契約」と、第百十七条第一項中「毎決算期」とあるのは「日本における事業年度に係る毎決算期」と、「保険契約」とあるのは「日本における保険契約」と、「支出として」とあるのは「支出として日本において」と、「支払備金」とあるのは「日本において支払備金」と、第百十八条第一項中「内閣府令で定める保険契約」とあるのは「日本における保険契約のうち内閣府令で定めるもの」と、「設けなければならない」とあるのは「日本において設けなければならない」と、第百二十条第一項中「生命保険会社及び内閣府令で定める要件に該当する損害保険会社」とあるのは「外国生命保険会社等及び内閣府令で定める要件に該当する外国損害保険会社等」と、「は、取締役会において保険計理人」とあるのは「の日本における代表者は、当該外国保険会社等の日本における保険計理人」と、「保険料の算出方法」とあるのは「日本において締結する保険契約に係る保険料の算出方法」と、同条第二項及び第三項中「保険計理人」とあるのは「外国保険会社等の日本における保険計理人」と、第百二十一条中「保険計理人」とあるのは「外国保険会社等の日本における保険計理人」と、「毎決算期」とあるのは「日本における事業年度に係る毎決算期」と、「取締役会」とあるのは「外国保険会社等の日本における代表者」と、第百二十二条中「保険計理人」とあるのは「外国保険会社等の日本における保険計理人」と、「当該保険会社」とあるのは「当該外国保険会社等」と読み替えるものとする。

第三節 監督

(報告又は資料の提出)
第二百条 再生委員会は、外国保険会社等の日本における業務の健全かつ適切な運営を確保し、日本における保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、外国保険会社等又は第百八十五条第一項に規定する保険の引受けの代理をする者に対し、当該外国保険会社等の日本における業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 内閣総理大臣は、外国保険会社等の日本における業務の健全かつ適切な運営を確保し、日本における保険契約者等の保護を図るため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該外国保険会社等の特殊関係者(第百九十四条に規定する特殊関係者をいう。次項及び次条において同じ。)又は当該外国保険会社等から日本における業務の委託を受けた者(前項の保険の引受けの代理をする者を除く。次項において同じ。)に対し、当該外国保険会社等の日本における業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。
3 外国保険会社等の特殊関係者又は当該外国保険会社等から日本における業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、前項の規定による報告又は資料の提出を拒むことができる。

(立入検査)
第二百一条 内閣総理大臣は、外国保険会社等の日本における業務の健全かつ適切な運営を確保し、日本における保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該職員に、外国保険会社等の支店等に立ち入らせ、当該外国保険会社等の日本における業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に、外国保険会社等の特殊関係者若しくは当該外国保険会社等から日本における業務の委託を受けた者の施設に立ち入らせ、当該外国保険会社等に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 外国保険会社等の特殊関係者又は当該外国保険会社等から日本における業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、前項の規定による質問及び検査を拒むことができる。

(健全性の基準)
第二百二条 内閣総理大臣は、外国保険会社等に係る次に掲げる額を用いて、外国保険会社等の日本における業務の運営の健全性を判断するための基準として保険金等の支払能力の充実の状況が適当であるかどうかの基準を定めることができる。
 一 第百九十条の供託金その他の内閣府令で定めるものの額の合計額
 二 日本において引き受けている保険に係る保険事故の発生その他の理由により発生し得る危険であって通常の予測を超えるものに対応する額として内閣府令で定めるところにより計算した額

(事業の方法書等に定めた事項の変更命令)
第二百三条 内閣総理大臣は、外国保険会社等の業務若しくは財産の状況に照らして、又は事情の変更により、外国保険会社等の日本における業務の健全かつ適切な運営を確保し、日本における保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該外国保険会社等に対し、その必要の限度において、第百八十七条第三項第二号から第四号までに掲げる書類に定めた事項の変更を命ずることができる。

(業務の停止等)
第二百四条 内閣総理大臣は、外国保険会社等の業務又は財産の状況に照らして、外国保険会社等の日本における業務の健全かつ適切な運営を確保し、日本における保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該外国保険会社等に対し措置を講ずべき事項及び期限を示して、当該外国保険会社等の日本における業務の運営の健全性を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその必要の限度において、期限を付して日本における業務の全部若しくは一部の停止を命じ、若しくは財産の供託その他監督上必要な措置を命ずることができる。
2 前項の規定による命令(改善計画の提出を求めることを含む。)であって、外国保険会社等の保険金等の支払能力の充実の状況によって必要があると認めるときにするものは、外国保険会社等の保険金等の支払能力の充実の状況に係る区分に応じ内閣府令・財務省令で定めるものでなければならない。

(免許の取消し等)
第二百五条 内閣総理大臣は、外国保険会社等が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該外国保険会社等の日本における業務の全部若しくは一部の停止若しくは日本における代表者の解任を命じ、又は第百八十五条第一項の免許を取り消すことができる。
 一 法令(外国の法令を含む。)、法令に基づく内閣総理大臣の処分又は第百八十七条第三項各号に掲げる書類に定めた事項のうち特に重要なものに違反したとき。
 二 第百八十五条第一項の免許又は本国において受けている保険業に係る免許(当該免許に類する許可、登録その他の行政処分を含む。第二百九条第七号において同じ。)に付された条件に違反したとき。
 三 公益を害する行為をしたとき。

第二百六条 内閣総理大臣は、外国保険会社等の財産の状況が著しく悪化し、日本における保険業を継続することが日本における保険契約者等の保護の見地から適当でないと認めるときは、当該外国保険会社等の第百八十五条第一項の免許を取り消すことができる。

(監督に関する規定の準用)
第二百七条 第百二十三条から第百二十五条までの規定は、外国保険会社等について準用する。この場合において、第百二十三条第一項中「第四条第二項第二号から第四号まで」とあるのは「第百八十七条第三項第二号から第四号まで」と、第百二十四条第一号中「第四条第二項第二号及び第三号」とあるのは「第百八十七条第三項第二号及び第三号」と、「第五条第一項第三号イからホまで」とあるのは「第百八十七条第五項において準用する第五条第一項第三号イからホまで」と、同条第二号中「第四条第二項第四号」とあるのは「第百八十七条第三項第四号」と、「第五条第一項第四号イからハまで」とあるのは「第百八十七条第五項において準用する第五条第一項第四号イからハまで」と、第百二十五条中「第五条第一項第三号イからホまで又は第四号イからハまで」とあるのは「第百八十七条第五項において準用する第五条第一項第三号イからホまで又は第四号イからハまで」と読み替えるものとする。

第四節 保険業の廃止等

(日本における保険業の廃止)
第二百八条 外国保険会社等は、日本における保険業を廃止しようとする場合(次条第六号に該当する場合を除く。)には、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。

(外国保険会社等の届出)
第二百九条 外国保険会社等は、次の各号のいずれかに該当するときは、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
 一 日本における保険業を開始したとき。
 二 第百八十七条第一項第一号、第二号若しくは第四号に掲げる事項又は同条第三項第一号に掲げる書類に定めた事項を変更したとき。
 三 資本金若しくは出資の額又は基金の総額を変更したとき。
 四 組織変更をしたとき。
 五 合併をし、会社分割により事業を承継させ、若しくは承継し、又は事業の全部若しくは重要な一部の譲渡若しくは譲受け(支店等のみに係るものを除く。)をしたとき。
 六 解散(合併によるものを除く。)をし、又は保険業の廃止をしたとき。
 七 本国において受けている保険業に係る免許を取り消されたとき。
 八 破産手続開始の決定があったとき。
 九 その他内閣府令で定める場合に該当するとき。

(保険契約の包括移転に関する規定の準用)
第二百十条 第七章第一節の規定は、外国保険会社等の日本における保険契約の移転について準用する。この場合において、第百三十五条第三項中「債権者」とあるのは「第百八十五条第一項に規定する支店等に係る債権者」と、第百三十六条第一項及び第三項中「移転会社及び移転先会社」とあるのは「移転先会社」と、第百三十六条の二第一項中「前条第一項の株主総会等の会日の二週間前」とあるのは「第百三十五条第一項の契約に係る契約書(以下この節において「移転契約書」という。)の作成日」と、「第百三十五条第一項の契約に係る契約書」とあるのは「移転契約書」と、「各営業所又は各事務所」とあるのは「支店等」と、同条第二項中「移転会社の株主又は保険契約者」とあるのは「移転対象契約者」と、第百三十七条第一項中「第百三十六条第一項の決議」とあるのは「移転契約書の作成」と、第百三十八条中「第百三十六条第一項の決議があった時」とあるのは「移転契約書を作成した時」と、「締結してはならない」とあるのは「日本において締結してはならない」と、第百三十九条第二項第三号中「債権者」とあるのは「第百八十五条第一項に規定する支店等に係る債権者」と読み替えるものとする。
2 外国保険会社等が日本における保険契約の全部を移転したときは、その日本における保険業を廃止したものとみなす。この場合においては、第二百八条の規定は、適用しない。

(事業の譲渡又は譲受け並びに業務及び財産の管理の委託に関する規定の準用)
第二百十一条 第百四十二条の規定は外国保険会社等を全部又は一部の当事者とする日本における事業の譲渡又は譲受けについて、第七章第三節の規定は外国保険会社等がその日本における業務及び財産の管理の委託をする場合について、それぞれ準用する。この場合において、第百四十四条第二項中「当該管理の委託をする保険会社(以下この節において「委託会社」という。)及び受託会社」とあるのは「受託会社」と、第百四十六条第二項中「本店又は主たる事務所」とあるのは「同項の日本における主たる店舗」と、同条第三項中「、第十九条」とあるのは「及び第十九条」と、「及び第四十六条(添付書面の通則)(これらの規定を第六十七条」とあるのは「(これらの規定を第二百十六条第一項」と、第百四十八条第三項中「保険業法第百四十四条第二項に規定する委託会社」とあるのは「日本における業務及び財産の管理の委託をした保険業法第二条第七項に規定する外国保険会社等」と、同条第四項中「保険業法第百四十四条第一項」とあるのは「保険業法第二百十一条ニ於テ準用スル同法第百四十四条第一項」と、第百四十九条第一項中「委託会社及び受託会社」とあるのは「受託会社」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(外国保険会社等の清算)
第二百十二条 外国保険会社等は、次の各号のいずれかに該当するときは、日本に所在する財産の全部について清算をしなければならない。
 一 当該外国保険会社等に係る第百八十五条第一項の免許が第二百五条又は第二百六条の規定により取り消されたとき。
 二 当該外国保険会社等に係る第百八十五条第一項の免許が第二百七十三条の規定によりその効力を失ったとき。
2 前項の規定により外国保険会社等が清算をする場合には、内閣総理大臣は、利害関係人の請求により又は職権で、清算人を選任する。当該清算人を解任する場合についても、同様とする。
3 内閣総理大臣は、前項の規定により清算人を解任する場合においては、当該清算に係る外国保険会社等の日本における主たる店舗の所在地の登記所にその旨の登記を嘱託しなければならない。
4 第百七十八条の規定により読み替えて適用する会社法第五百条(債務の弁済の制限)の規定並びに同法第四百七十六条(清算株式会社の能力)、第二編第九章第一節第二款(清算株式会社の機関)、第四百九十二条(財産目録等の作成等)、同節第四款(第五百条を除く。)(債務の弁済等)、第五百八条(帳簿資料の保存)、同章第二節(第五百十条、第五百十一条及び第五百十四条を除く。)(特別清算)、第七編第三章第一節(総則)及び第三節(特別清算の手続に関する特則)並びに第九百三十八条第一項から第五項まで(特別清算に関する裁判による登記の嘱託)の規定は、その性質上許されないものを除き、第一項の規定による日本にある外国保険会社等の財産についての清算について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
5 第百七十七条の規定は第一項の規定による外国保険会社等の清算の場合について、第百七十五条及び第百七十九条第一項の規定は第一項の規定による外国保険会社等の清算の場合(前項において準用する会社法第二編第九章第二節(第五百十条、第五百十一条及び第五百十四条を除く。)、第七編第三章第一節及び第三節並びに第九百三十八条第一項から第五項までの規定の適用がある場合を除く。以下この項において同じ。)について、第二百条第一項及び第二百一条第一項の規定は第一項の規定による外国保険会社等の清算の場合において内閣総理大臣が清算に係る外国保険会社等の清算の監督上必要があると認めるときについて、それぞれ準用する。この場合において、第百七十七条第二項中「解散の日」とあるのは「当該外国保険会社等に係る第百八十五条第一項の免許が取り消され、又はその効力を失った日」と、同条第三項中「清算保険会社等」とあるのは「清算に係る外国保険会社等」と、第百七十五条中「前条第一項、第四項又は第九項」とあるのは「第二百十二条第二項」と、「清算保険会社等」とあるのは「清算に係る外国保険会社等」と、第百七十九条第一項中「清算保険会社等」とあるのは「清算に係る外国保険会社等」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
6 第百八十五条第一項の内閣総理大臣の免許を受けた外国保険会社等(外国相互会社を除く。)については、会社法第八百二十条(日本に住所を有する日本における代表者の退任)の規定は、適用しない。

(会社法の準用)
第二百十三条 会社法第八百二十二条第一項から第三項まで(日本にある外国会社の財産についての清算)、第七編第一章第二節(外国会社の取引継続禁止又は営業所閉鎖の命令)、同編第三章第一節(総則)、第四節(外国会社の清算の手続に関する特則)及び第五節(会社の解散命令等の手続に関する特則)、第九百三十七条第二項(裁判による登記の嘱託)並びに第九百三十八条第六項(特別清算に関する裁判による登記の嘱託)の規定は、外国相互会社が日本国内に従たる事務所その他の事務所を設けた場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第五節 雑則

(登記簿)
第二百十四条 登記所に、外国相互会社登記簿を備える。

(会社法の準用)
第二百十五条 会社法第七編第四章第一節(第九百七条を除く。)(総則)並びに第九百三十三条(第一項第一号及び第二項第七号を除く。)(外国会社の登記)、第九百三十四条第二項(日本における代表者の選任の登記等)、第九百三十五条第二項(日本における代表者の住所の移転の登記等)及び第九百三十六条第二項(日本における営業所の設置の登記等)の規定は、外国相互会社の登記について準用する。この場合において、同法第七編第四章第一節(第九百七条を除く。)中「この法律」とあるのは「保険業法及びこの法律」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(商業登記法の準用)
第二百十六条 商業登記法第一条の三から第五条まで(登記所、事務の委任、事務の停止、登記官、登記官の除斥)、第七条から第十五条まで(登記簿等の持出禁止、登記簿の滅失と回復、登記簿等の滅失防止、登記事項証明書の交付等、登記事項の概要を記載した書面の交付、附属書類の閲覧、印鑑証明、電磁的記録の作成者を示す措置の確認に必要な事項等の証明、手数料、当事者申請主義、嘱託による登記)、第十七条第一項、第二項及び第四項(登記申請の方式)、第十八条から第十九条の二まで(申請書の添付書面、申請書に添付すべき電磁的記録)、第二十条第一項及び第二項(印鑑の提出)、第二十一条から第二十三条の二まで(受付、受領証、登記の順序、登記官による本人確認)、第二十四条(第十一号及び第十二号を除く。)(申請の却下)、第二十五条から第二十七条まで(提訴期間経過後の登記、行政区画等の変更、同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止)、第三十三条(商号の登記の抹消)、第四十四条、第四十五条(会社の支配人の登記)、第五十一条、第五十二条(本店移転の登記)、第百二十八条(申請人)、第百二十九条(外国会社の登記)、第百三十条第一項及び第三項(変更の登記)並びに第百三十二条から第百四十八条まで(更正、抹消の申請、職権抹消、行政手続法の適用除外、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の適用除外、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の適用除外、審査請求、審査請求事件の処理、行政不服審査法の適用除外、省令への委任)の規定は、外国相互会社に関する登記について準用する。この場合において、同法第十七条第四項中「事項又は前項の規定により申請書に記載すべき事項」とあるのは「事項」と、「前二項」とあるのは「同項」と、同法第五十一条第一項中「本店」とあるのは「日本国内の事務所」と、同法第百二十九条第一項中「会社法第九百三十三条第一項の規定による外国会社」とあるのは「外国相互会社の事務所の設置」と、同条第三項中「日本における代表者を定めた旨又は日本に営業所」とあるのは「日本国内に事務所」と、同法第百三十条第三項中「前二項の登記の」とあるのは「第一項の登記の」と、「既に前二項」とあるのは「既に同項」と、「、前二項」とあるのは「、同項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(外国保険会社等の公告方法)
第二百十七条 外国保険会社等(外国会社及び外国相互会社に限る。次項及び第三項において同じ。)の公告方法は、次に掲げる方法のいずれかを定めなければならない。
 一 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
 二 電子公告
2 外国保険会社等が前項第二号に掲げる方法を公告方法とする旨を定める場合には、電子公告を公告方法とする旨を定めれば足りる。この場合においては、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合の公告方法として、同項第一号に掲げる方法を定めることができる。
3 会社法第九百四十条第一項(第一号を除く。)及び第三項(電子公告の公告期間等)、第九百四十一条(電子公告調査)、第九百四十六条(調査の義務等)、第九百四十七条(電子公告調査を行うことができない場合)、第九百五十一条第二項(財務諸表等の備置き及び閲覧等)、第九百五十三条(改善命令)並びに第九百五十五条(調査記録簿等の記載等)の規定は、外国保険会社等が電子公告によりこの法律又は他の法律の規定による公告をする場合について準用する。この場合において、同法第九百四十条第一項第二号中「第四百四十条第一項」とあるのは「保険業法第百九十三条第二項において準用する第八百十九条第一項」と、「定時株主総会」とあるのは「手続」と、同条第三項中「前二項」とあるのは「第一項」と、同法第九百四十一条中「この法律又は他の法律の規定による公告(第四百四十条第一項の規定による公告を除く」とあるのは「保険業法の規定による公告(同法第百九十三条第二項において準用する第八百十九条第一項の規定による公告を除く」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
4 外国保険会社等(外国会社及び外国相互会社を除く。)の公告方法は、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法とする。

(駐在員事務所の設置の届出等)
第二百十八条 第百八十五条第一項の免許を有しない外国保険業者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、第一号に掲げる場合にあってはあらかじめ、その旨及び当該業務の内容、当該業務を行う施設の所在地その他内閣府令で定める事項を、第二号から第四号までに掲げる場合にあっては遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
 一 次に掲げる業務を行うため、日本国内に駐在員事務所その他の施設を設置しようとするとき(他の目的により設置している事務所その他の施設において当該業務を行おうとする場合を含む。)。
  イ 保険業に関する情報の収集又は提供
  ロ その他保険業に関連を有する業務
 二 前号の施設を廃止したとき。
 三 第一号の施設において行う同号イ又はロに掲げる業務を廃止したとき。
 四 第一号の場合において届け出た事項を変更したとき。
2 内閣総理大臣は、公益上必要があると認めるときは、前項の外国保険業者に対し、同項第一号の施設において行う同号イ又はロに掲げる業務に関し報告又は資料の提出を求めることができる。

第六節 特定法人に対する特則

(免許)
第二百十九条 次の各号のいずれにも該当する法人(以下この節において「特定法人」という。)は、保険の引受けを行う当該特定法人の社員(以下「引受社員」という。)の日本における保険業に係る引受けの代理並びに当該日本における保険業に係る当該特定法人及びその引受社員の業務の代理をする者(以下この節において「総代理店」という。)を定め、引受社員が日本において保険業を行うことについて、内閣総理大臣の免許を受けることができる。
 一 外国の特別の法令により設立された法人であること。
 二 その社員である者が、外国の法令の特別の規定により、当該外国において保険業の免許(当該免許に類する許可、登録その他の行政処分を含む。)を受けないで、保険業を行うことが認められていること。
2 前項の免許は、特定生命保険業免許及び特定損害保険業免許の二種類とする。
3 特定生命保険業免許と特定損害保険業免許とは、同一の特定法人が受けることはできない。
4 特定生命保険業免許は、引受社員が日本における事業として第三条第四項第一号に掲げる保険の引受けを行い、又はこれに併せて同項第二号若しくは第三号に掲げる保険の引受けを行うことに係る免許とする。
5 特定損害保険業免許は、引受社員が日本における事業として第三条第五項第一号に掲げる保険の引受けを行い、又はこれに併せて同項第二号若しくは第三号に掲げる保険の引受けを行うことに係る免許とする。
6 特定法人が第一項の免許を受けた場合には、当該特定法人の引受社員は、第三条第一項及び第百八十五条第一項の規定にかかわらず、第二項の免許の種類に従い、総代理店の事務所において日本における保険業を行うことができる。

(免許申請手続)
第二百二十条 前条第一項の免許を受けようとする特定法人は、次に掲げる事項を記載した免許申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
 一 当該特定法人の商号又は名称、本店又は主たる事務所の所在地及び設立の年月日
 二 当該特定法人の設立に当たって準拠した法令を制定した国(以下この節において「設立準拠法国」という。)の国名
 三 当該特定法人及び引受社員を日本において代表する者(以下この節において「日本における代表者」という。)の氏名及び住所
 四 受けようとする免許の種類
 五 当該特定法人及び引受社員の日本における主たる店舗(総代理店の本店をいう。以下この節において同じ。)
2 前項の免許申請書には、当該特定法人の設立が適法に行われたこと及び引受社員が設立準拠法国において適法に日本において行おうとする保険業と同種類の保険業を行っていることを証する設立準拠法国の権限のある機関の証明書を添付しなければならない。
3 前項に定めるもののほか、第一項の免許申請書には、次に掲げる書類その他内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
 一 特定法人の定款又はこれに準ずる書類
 二 引受社員の日本における事業に係る事業の方法書
 三 引受社員が日本において締結する保険契約に係る普通保険約款
 四 引受社員が日本において締結する保険契約に係る保険料及び責任準備金の算出方法書
 五 引受社員が日本において行う保険の引受けについて保険契約の内容を確定するための協議を行うことのある者で内閣府令で定めるものの氏名又は商号及び住所又は本店の所在地を記載した書類
4 前項第二号から第四号までに掲げる書類には、内閣府令で定める事項を記載しなければならない。

(免許審査基準)
第二百二十一条 内閣総理大臣は、第二百十九条第一項の免許の申請があったときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
 一 当該申請をした者(以下この項において「申請者」という。)が、その人的構成等に照らして、引受社員の日本における業務の的確、公正かつ効率的な遂行を確保するために必要な知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること。
 二 申請者が、設立準拠法国の法令又は当該法人の規約により引受社員の保険契約上の債務の履行を確実にするための財産を保有していることその他保険契約者等の保護のための措置が十分に講じられていること。
 三 引受社員の行う日本における保険業に係る収支の見込みが良好であること。
 四 前条第三項第二号及び第三号に掲げる書類に記載された事項が、第五条第一項第三号イからホまでに掲げる基準に適合するものであること。
 五 前条第三項第四号に掲げる書類に記載された事項が、第五条第一項第四号イからハまでに掲げる基準に適合するものであること。
2 内閣総理大臣は、前項に定める審査の基準に照らし公益上必要があると認めるときは、その必要の限度において、第二百十九条第一項の免許に条件を付し、及びこれを変更することができる。

(内閣総理大臣の告示)
第二百二十二条 内閣総理大臣は、第二百十九条第一項の免許をしたときは、その旨及び第二百二十条第一項各号に掲げる事項を、遅滞なく、官報で告示するものとする。同項第一号、第二号、第三号又は第五号に掲げる事項の変更について第二百三十四条の規定による届出があったときも、同様とする。

(供託)
第二百二十三条 第二百十九条第一項の免許を受けた特定法人(以下「免許特定法人」という。)は、日本における保険契約者等の保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める額の金銭を、日本における主たる店舗の最寄りの供託所に供託しなければならない。
2 内閣総理大臣は、日本における保険契約者等の保護のため必要があると認めるときは、免許特定法人に対し、引受社員が日本における保険業を開始する前に、前項の政令で定める額のほか、相当と認める額の金銭の供託を命ずることができる。
3 免許特定法人は、政令で定めるところにより、当該免許特定法人のために所要の供託金が内閣総理大臣の命令に応じて供託される旨の契約を締結し、その旨を内閣総理大臣に届け出たときは、当該契約の効力の存する間、当該契約において供託されることとなっている金額(以下この条において「契約金額」という。)につき前二項の供託金の全部又は一部の供託をしないことができる。
4 内閣総理大臣は、日本における保険契約者等の保護のため必要があると認めるときは、免許特定法人と前項の契約を締結した者又は当該免許特定法人に対し、契約金額に相当する金額の全部又は一部を供託すべき旨を命ずることができる。
5 引受社員は、免許特定法人が第一項の供託金(第二項の規定により同項の金銭の供託を命ぜられた場合には、その供託金を含む。)につき供託(第三項の契約の締結を含む。第九項において同じ。)を行い、その旨を内閣総理大臣に届け出た後でなければ、第二百十九条第一項の免許に係る保険業を開始してはならない。
6 引受社員の日本における保険契約に係る保険契約者、被保険者又は保険金額を受け取るべき者は、保険契約により生じた債権に関し、免許特定法人に係る供託金について、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。
7 前項の規定の適用については、免許特定法人は、その引受社員が日本において引き受けた保険に係る保険契約について、当該保険契約に係る引受社員の債務を連帯して保証したものとみなす。
8 第六項の権利の実行に関し必要な事項は、政令で定める。
9 免許特定法人は、第六項の権利の実行その他の理由により、供託金の額(契約金額を含む。)が第一項の政令で定める額に不足することとなったときは、内閣府令で定める日から二週間以内にその不足額につき供託を行い、その旨を遅滞なく内閣総理大臣に届け出なければならない。
10 免許特定法人は、国債証券、地方債証券その他の内閣府令で定める有価証券をもって、第一項、第二項又は前項の供託金に代えることができる。
11 第一項、第二項、第四項又は第九項の規定により供託した供託金は、次の各号のいずれかに該当する場合には、政令で定めるところにより、取り戻すことができる。
 一 当該免許特定法人に係る第二百十九条第一項の免許が第二百三十一条又は第二百三十二条の規定により取り消されたとき。
 二 当該免許特定法人に係る第二百十九条第一項の免許が第二百三十六条の規定によりその効力を失ったとき。
12 前各項に定めるもののほか、供託金に関し必要な事項は、内閣府令・法務省令で定める。

(日本において保険業を行う引受社員の届出等)
第二百二十四条 日本における代表者は、日本において保険業を行う引受社員及び第二百二十条第三項第五号の内閣府令で定める者の氏名又は商号及び住所又は本店の所在地を、あらかじめ、内閣総理大臣に届け出なければならない。届け出た事項に変更があったときも、同様とする。
2 日本における代表者は、日本において保険業を行う引受社員の名簿を日本における主たる店舗に備え置かなければならない。
3 引受社員の日本における業務に係る保険契約者、保険金額を受け取るべき者その他の債権者及び被保険者は、総代理店に対して、その業務を行うべき時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該総代理店の定めた費用を支払わなければならない。
 一 前項の名簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
 二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 前項の名簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって総代理店の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(事業の方法書等に定めた事項の変更)
第二百二十五条 免許特定法人は、第二百二十条第三項第二号から第四号までに掲げる書類に定めた事項(日本における保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ないものとして内閣府令で定める事項を除く。)を変更しようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
2 免許特定法人は、前項に規定する書類に定めた事項を変更しようとする場合で、同項の内閣府令で定める事項を変更しようとするときは、あらかじめ、当該変更しようとする旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
3 第百二十四条及び第百二十五条の規定は、第一項の認可及び前項の届出について準用する。この場合において、第百二十四条第一号中「第四条第二項第二号及び第三号」とあるのは「第二百二十条第三項第二号及び第三号」と、同条第二号中「第四条第二項第四号」とあるのは「第二百二十条第三項第四号」と読み替えるものとする。

(報告又は資料の提出)
第二百二十六条 内閣総理大臣は、引受社員の日本における業務の健全かつ適切な運営を確保し、日本における保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、免許特定法人、引受社員又は総代理店に対し、当該免許特定法人又は引受社員の日本における業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 内閣総理大臣は、引受社員の日本における業務の健全かつ適切な運営を確保し、日本における保険契約者等の保護を図るため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該引受社員の属する免許特定法人又は当該引受社員から日本における業務の委託を受けた者(当該引受社員及び総代理店を除く。次項並びに次条第二項及び第三項において「免許特定法人等から業務の委託を受けた者」という。)に対し、当該免許特定法人又は引受社員の日本における業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。
3 免許特定法人等から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、前項の規定による報告又は資料の提出を拒むことができる。

(立入検査)
第二百二十七条 内閣総理大臣は、引受社員の日本における業務の健全かつ適切な運営を確保し、日本における保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該職員に、総代理店の事務所に立ち入らせ、当該免許特定法人又は引受社員の日本における業務又は財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に、免許特定法人等から業務の委託を受けた者の施設に立ち入らせ、その免許特定法人若しくは引受社員に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 免許特定法人等から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、前項の規定による質問及び検査を拒むことができる。

(健全性の基準)
第二百二十八条 内閣総理大臣および財務大臣は、免許特定法人に係る次に掲げる額を用いて、引受社員の日本における業務の運営の健全性を判断するための基準として引受社員の保険金等の支払能力の充実の状況が適当であるかどうかの基準を定めることができる。
 一 第二百二十三条の供託金その他の内閣府令で定めるものの額の合計額
 二 引受社員の日本において引き受けている保険に係る保険事故の発生その他の理由により発生し得る危険であって通常の予測を超えるものに対応する額として内閣府令で定めるところにより計算した額

(事業の方法書等に定めた事項の変更命令)
第二百二十九条 内閣総理大臣は、免許特定法人及び引受社員の業務若しくは財産の状況に照らして、又は事情の変更により、引受社員の日本における業務の健全かつ適切な運営を確保し、日本における保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該免許特定法人に対し、その必要の限度において、第二百二十条第三項第二号から第四号までに掲げる書類に定めた事項の変更を命ずることができる。

(業務の停止等)
第二百三十条 内閣総理大臣は、免許特定法人又は引受社員の業務又は財産の状況に照らして、引受社員の日本における業務の健全かつ適切な運営を確保し、日本における保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該免許特定法人又は引受社員に対し、措置を講ずべき事項および期限を示して、当該引受社員の日本における業務の運営の健全性を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその必要の限度において、期限を付して引受社員の日本における業務の全部若しくは一部の停止を命じ、若しくは財産の供託その他監督上必要な措置を命ずることができる。
2 前項の規定による命令(改善計画の提出を求めることを含む。)であって、引受社員の保険金等の支払能力の充実の状況によって必要があると認めるときにするものは、引受社員の保険金等の支払能力の充実の状況に係る区分に応じ内閣府令・財務省令で定めるものでなければならない。

(免許の取消し等)
第二百三十一条 内閣総理大臣は、免許特定法人又は引受社員が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、引受社員の日本における業務の全部若しくは一部の停止若しくは日本における代表者の解任を命じ、又は第二百十九条第一項の免許を取り消すことができる。
 一 法令(外国の法令を含む。)、法令に基づく内閣総理大臣の処分又は第二百二十条第三項第一号から第四号までに掲げる書類に定めた事項のうち特に重要なものに違反したとき。
 二 当該免許に付された条件に違反したとき。
 三 公益を害する行為をしたとき。

第二百三十二条 内閣総理大臣は、免許特定法人及び引受社員の財産の状況が著しく悪化し、引受社員が日本における保険業を継続することが日本における保険契約者等の保護の見地から適当でないと認めるときは、当該免許特定法人の第二百十九条第一項の免許を取り消すことができる。

(総代理店の廃止の認可)
第二百三十三条 免許特定法人は、総代理店を廃止しようとする場合には、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。

(免許特定法人の届出)
第二百三十四条 免許特定法人は、次の各号のいずれかに該当するときは、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
 一 当該免許特定法人の引受社員が日本における保険業を開始したとき。
 二 第二百二十条第一項第一号、第二号、第三号若しくは第五号に掲げる事項又は同条第三項第一号に掲げる書類に定めた事項を変更したとき。
 三 当該免許特定法人が組織変更をしたとき。
 四 当該免許特定法人が事業の全部の譲渡をしたとき。
 五 当該免許特定法人が解散(合併によるものを除く。)をしたとき。
 六 当該免許特定法人について破産手続開始の決定があったとき。
 七 日本において保険業を行う引受社員について破産手続開始の決定があったとき。
 八 その他内閣府令で定める場合に該当するとき。

(免許特定法人及び引受社員の清算)
第二百三十五条 免許特定法人及び引受社員は、次の各号のいずれかに該当するときは、日本に所在する財産の全部について清算をしなければならない。
 一 当該免許特定法人に係る第二百十九条第一項の免許が第二百三十一条又は第二百三十二条の規定により取り消されたとき。
 二 当該免許特定法人に係る第二百十九条第一項の免許が次条の規定によりその効力を失ったとき。
2 前項の規定により免許特定法人及び引受社員が清算をする場合には、内閣総理大臣は、利害関係人の請求により又は職権で、清算人を選任する。当該清算人を解任する場合についても、同様とする。
3 内閣総理大臣は、前項の規定により清算人を解任する場合においては、当該清算に係る免許特定法人及び引受社員の日本における主たる店舗の所在地の登記所にその旨の登記を嘱託しなければならない。
4 第百七十八条の規定により読み替えて適用する会社法第五百条(債務の弁済の制限)の規定並びに同法第四百七十六条(清算株式会社の能力)、第二編第九章第一節第二款(清算株式会社の機関)、第四百九十二条(財産目録等の作成等)、同節第四款(第五百条を除く。)(債務の弁済等)、第五百八条(帳簿資料の保存)、同章第二節(第五百十条、第五百十一条及び第五百十四条を除く。)(特別清算)、第七編第三章第一節(総則)及び第三節(特別清算の手続に関する特則)並びに第九百三十八条第一項から第五項まで(特別清算に関する裁判による登記の嘱託)の規定は、その性質上許されないものを除き、第一項の規定による免許特定法人及び引受社員の財産についての清算について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
5 第百七十七条の規定は第一項の規定による免許特定法人及び引受社員の清算の場合について、第百七十五条及び第百七十九条第一項の規定は第一項の規定による免許特定法人及び引受社員の清算の場合(前項において準用する会社法第二編第九章第二節(第五百十条、第五百十一条及び第五百十四条を除く。)、第七編第三章第一節及び第三節並びに第九百三十八条第一項から第五項までの規定の適用がある場合を除く。以下この項において同じ。)について、第二百二十六条第一項及び第二百二十七条第一項の規定は第一項の規定による免許特定法人及び引受社員の清算の場合において内閣総理大臣が清算に係る免許特定法人及び引受社員の清算の監督上必要があると認めるときについて、それぞれ準用する。この場合において、第百七十七条第二項中「解散の日」とあるのは「当該免許特定法人に係る第二百十九条第一項の免許が取り消され、又はその効力を失った日」と、同条第三項中「清算保険会社等」とあるのは「清算に係る引受社員」と、第百七十五条中「前条第一項、第四項又は第九項」とあるのは「第二百三十五条第二項」と、「清算保険会社等」とあるのは「当該清算に係る免許特定法人及び引受社員」と、第百七十九条第一項中「清算保険会社等」とあるのは「清算に係る免許特定法人及び引受社員」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(免許の失効)
第二百三十六条 免許特定法人が次の各号のいずれかに該当するときは、当該免許特定法人の第二百十九条第一項の内閣総理大臣の免許は、その効力を失う。
 一 日本における保険業をすべての引受社員が廃止したとき。
 二 当該免許を受けた日から六月を経過しても日本における保険業を開始した引受社員がないとき(やむを得ない理由がある場合において、あらかじめ、免許特定法人が内閣総理大臣の承認を受けたときを除く。)。
2 第二百三十四条第四号から第六号までのいずれかに該当して同条の規定による届出があったときは、当該届出をした免許特定法人に係る第二百十九条第一項の内閣総理大臣の免許は、その効力を失う。

(内閣総理大臣の告示)
第二百三十七条 次に掲げる場合には、内閣総理大臣は、その旨を官報で告示するものとする。
 一 第二百三十条第一項若しくは第二百三十一条の規定又は第二百四十条の規定により適用する第二百四十一条第一項の規定により引受社員の日本における業務の全部又は一部の停止を命じたとき。
 二 第二百三十一条又は第二百三十二条の規定により第二百十九条第一項の免許を取り消したとき。
 三 第二百四十条の規定により適用する第二百四十一条第一項の規定による保険管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分又は第二百四十条の規定により適用する第二百五十八条第一項の規定による命令をしたとき。
 四 前条の規定により第二百十九条第一項の免許がその効力を失ったとき。

(公告)
第二百三十八条 免許特定法人又は引受社員がこの法律の規定により行う公告は、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載しなければならない。

(総代理店の届出等)
第二百三十九条 第二百十九条第一項の免許を受けようとする特定法人及び当該特定法人の引受社員に係る総代理店になろうとする者は、当該免許の申請時までに、その旨、業務の内容、引受社員の日本に所在する財産の管理の方法その他の内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に届け出なければならない。届け出た事項に変更があったときも、同様とする。

(この法律の適用関係等)
第二百四十条 特定法人が第二百十九条第一項の免許を受けた場合におけるこの法律の適用については、次に定めるところによる。
 一 第百八十五条第六項、第百八十六条第三項、第百九十一条、第百九十七条、第百九十九条において準用する第九十七条、第九十七条の二第一項及び第二項、第九十八条から第百条の二まで、第百十二条並びに第百十四条から第百二十二条まで、第二百十条、第二編第十章(第二百六十二条、第二百六十五条の二、第二百六十五条の三、第二百六十五条の六及び第二百六十五条の四十二を除く。)、第三編並びに第四編の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、免許特定法人の引受社員を外国保険会社等又は第二百十九条第二項の免許の種類に応じ外国生命保険会社等若しくは外国損害保険会社等とみなす。この場合において、第百九十七条中「第百九十条」とあるのは「第二百二十三条」と、第百九十九条において準用する第九十七条第一項中「第百八十五条第二項」とあるのは「第二百十九条第二項」と、第百九十九条において準用する第九十九条第八項中「第二百五条若しくは第二百六条の規定により同法第百八十五条第一項の免許が取り消された場合若しくは同法第二百七十三条の規定により同法第百八十五条第一項」とあるのは「第二百三十一条若しくは第二百三十二条の規定により同法第二百十九条第一項の免許が取り消された場合若しくは同法第二百三十六条の規定により同法第二百十九条第一項」と、「第二百五条又は第二百六条の規定により同法第百八十五条第一項」とあるのは「第二百三十一条又は第二百三十二条の規定により同法第二百十九条第一項」とする。
 二 第百九十九条において準用する第百一条から第百五条までの規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、特定損害保険業免許を受けた特定法人の日本において保険業を行う引受社員を外国損害保険会社等とみなす。
 三 第百九十五条、第百九十九条において準用する第七条の二、第百十条第一項及び第三項並びに第百十一条第一項及び第三項から第六項まで、第二百六十二条、第二百六十五条の二、第二百六十五条の三、第二百六十五条の六並びに第二百六十五条の四十二の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、免許特定法人を外国保険会社等とみなす。この場合において、第百九十五条中「財産目録、貸借対照表」とあるのは「当該免許特定法人及び引受社員の貸借対照表」と、第百九十九条において準用する第百十条第一項中「日本における業務」とあるのは「免許特定法人及び引受社員の日本における業務」と、第百九十九条において準用する第百十一条第一項中「日本における業務」とあるのは「免許特定法人及び引受社員の日本における業務」と、同項及び同条第四項中「外国保険会社等の日本における支店その他これに準ずる場所として内閣府令で定める場所」とあるのは「第二百十九条第一項に規定する総代理店の本店及び支店その他これに準ずる場所として内閣府令で定める場所」と、同条第六項中「当該外国保険会社等の日本における業務」とあるのは「当該免許特定法人及び引受社員の日本における業務」とする。
 三の二 第百九十九条において準用する第百五条の二の規定の適用については、特定生命保険業免許を受けた特定法人を外国生命保険会社等とみなす。この場合において、第百九十九条において準用する第百五条の二第一項各号並びに同条第二項及び第三項第二号中「指定外国生命保険業務紛争解決機関」とあるのは「指定特定生命保険業務紛争解決機関」と、同条第一項各号中「外国生命保険業務」とあるのは「特定生命保険業務」とする。
 三の三 第百九十九条において準用する第百五条の三の規定の適用については、特定損害保険業免許を受けた特定法人を外国損害保険会社等とみなす。この場合において、第百九十九条において準用する第百五条の三第一項各号並びに同条第二項及び第三項第二号中「指定外国損害保険業務紛争解決機関」とあるのは「指定特定損害保険業務紛争解決機関」と、同条第一項各号中「外国損害保険業務」とあるのは「特定損害保険業務」とする。
 四 第百九十二条及び第百九十六条の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、日本における代表者を外国保険会社等の日本における代表者とみなす。この場合において、同条第五項中「外国保険会社等の保険契約者」とあるのは「引受社員の保険契約者」と、「外国保険会社等の業務」とあるのは「総代理店の業務」と、「当該外国保険会社等」とあるのは「当該総代理店」とする。
 五 第百九十九条において準用する第百九条並びに第二百十一条において準用する第百四十二条及び第七章第三節の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、免許特定法人及び引受社員を外国保険会社等とみなす。
 六 第二百十八条の規定は、免許特定法人の引受社員については、適用しない。
2 原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)その他の政令で定める法令の適用については、政令で定めるところにより、免許特定法人の引受社員を外国保険会社等又は第二百十九条第二項の免許の種類に応じ外国生命保険会社等若しくは外国損害保険会社等とみなす。

以上

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条文提供:☆組#10さん

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