国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律


公布:平成19年5月23日法律第56号
施行:平成19年11月22日

(目的)
第一条 この法律は、国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関し、国等の責務を明らかにするとともに、基本方針の策定その他必要な事項を定めることにより、国等が排出する温室効果ガス等の削減を図り、もって環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築に資することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「温室効果ガス等」とは、温室効果ガスその他環境への負荷(環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第一項に規定する環境への負荷をいう。以下同じ。)の原因となる物質をいう。
2 この法律において「国等」とは、国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人をいう。
3 この法律において「独立行政法人等」とは、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)又は特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号の規定の適用を受けるものをいう。以下同じ。)のうち、その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によって得ている法人であって、政令で定めるものをいう。
4 この法律において「地方独立行政法人」とは、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。
5 この法律において「各省各庁の長」とは、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいう。

(国及び独立行政法人等の責務)
第三条 国及び独立行政法人等は、その温室効果ガス等の排出の削減を図るため、エネルギーの合理的かつ適切な使用等に努めるとともに、経済性に留意しつつ価格以外の多様な要素をも考慮して、国及び当該独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に努めなければならない。

(地方公共団体及び地方独立行政法人の責務)
第四条 地方公共団体及び地方独立行政法人は、その温室効果ガス等の排出の削減を図るため、エネルギーの合理的かつ適切な使用等に努めるとともに、地方公共団体にあってはその区域の自然的社会的条件に応じて、地方独立行政法人にあってはその事務及び事業に応じて、経済性に留意しつつ価格以外の多様な要素をも考慮して、当該地方公共団体及び地方独立行政法人における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に努めるものとする。

(基本方針)
第五条 国は、国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本的方向
 二 温室効果ガス等の排出の削減に重点的に配慮すべき次に掲げる契約における温室効果ガス等の排出の削減に関する基本的事項
  イ 電気の供給を受ける契約
  ロ 使用に伴い温室効果ガス等を排出する物品の購入に係る契約
 三 省エネルギー改修事業(事業者が、省エネルギーを目的として、庁舎の供用に伴う電気、燃料等に係る費用について当該庁舎の構造、設備等の改修に係る設計、施工、維持保全等(以下この号において「設計等」という。)に要する費用の額以上の額の削減を保証して、当該設計等を包括的に行う事業をいう。第七条において同じ。)に係る契約に関する基本的事項
 四 建築物に関する契約その他国及び独立行政法人等の契約であって、前二号に掲げる契約以外のものにおける温室効果ガス等の排出の削減に関する基本的事項
 五 その他温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する重要事項
3 基本方針を定めるに当たっては、地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)第二十条の二第一項に規定する政府実行計画の実施の効果的な推進に資するようにするとともに、エネルギーの安定的な供給に配慮するものとする。
4 環境大臣は、あらかじめ各省各庁の長等(国にあっては各省各庁の長、独立行政法人等にあってはその主務大臣をいう。以下同じ。)と協議して基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
5 前項の規定による各省各庁の長等との協議に当たっては、環境大臣が基本方針に定められる契約に係る事業を所管する大臣と共同して作成する案に基づいて、これを行うものとする。
6 環境大臣は、第四項の閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。
7 前三項の規定は、基本方針の変更について準用する。

(基本方針に基づく温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進)
第六条 各省各庁の長及び独立行政法人等の長(当該独立行政法人等が特殊法人である場合にあっては、その代表者。以下同じ。)は、基本方針に定めるところに従い、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(国の債務負担)
第七条 国が省エネルギー改修事業について債務を負担する場合には、当該債務を負担する行為により支出すべき年限は、当該会計年度以降十箇年度以内とする。

(締結実績の概要の公表等)
第八条 各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、毎会計年度又は毎事業年度の終了後、遅滞なく、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の締結の実績の概要を取りまとめ、公表するとともに、環境大臣に通知するものとする。
2 前項の規定による環境大臣への通知は、独立行政法人等の長にあっては、当該独立行政法人等の主務大臣を通じて行うものとする。

(環境大臣の要請)
第九条 環境大臣は、各省各庁の長等に対し、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進を図るため特に必要があると認められる措置をとるべきことを要請することができる。

(国による情報の整理等)
第十条 国は、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に資するため、国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の締結に関する状況等について整理及び分析を行い、その結果を広く提供するものとする。

(地方公共団体及び地方独立行政法人における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進)
第十一条 地方公共団体及び地方独立行政法人は、当該地方公共団体及び地方独立行政法人における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する方針を作成するよう努めるものとする。
2 前項の方針は、地方公共団体にあってはその区域の自然的社会的条件に応じて、地方独立行政法人にあってはその事務及び事業に応じて、温室効果ガス等の排出の削減に配慮する契約の種類について定めるものとする。
3 地方公共団体及び地方独立行政法人は、第一項の方針を作成したときは、当該方針に基づき、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進を図るために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
4 地方公共団体及び地方独立行政法人は、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の締結の実績の概要を取りまとめ、公表するよう努めるものとする。

(公正な競争の確保)
第十二条 国等は、国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する施策の策定及び実施に当たっては、中小企業者が不当に不利にならないようにする等公正な競争の確保に留意するものとする。

(他の施策との調和)
第十三条 国等は、国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する施策の策定及び実施に当たっては、他の国等の契約に関する施策との調和を確保するものとする。
2 国等は、国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する施策の策定及び実施に当たっては、エネルギー政策基本法(平成十四年法律第七十一号)第十二条第一項に規定するエネルギー基本計画に基づく施策その他の国等の温室効果ガス等の排出の削減等に関係のある施策との調和を確保するものとする。

   附 則

(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(検討等)
2 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
3 政府は、国及び独立行政法人等が締結する電気の供給を受ける契約における電気の価格並びに温室効果ガス等の排出の程度を示す係数及び環境への負荷の低減に関する取組の状況(次項において「温室効果ガス等の排出の程度を示す係数等」という。)を総合的に評価して落札者を決定する方式等について、電気事業者の温室効果ガス等の排出の削減等のための技術開発及び電源構成の変更に相当の期間を要すること等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
4 国及び独立行政法人等が締結する電気の供給を受ける契約については、当分の間、入札に参加する者に必要な資格として温室効果ガス等の排出の程度を示す係数等を定めた上で、当該入札に係る申込みをした者のうちから当該申込みに係る価格に基づき落札者を決定する方式によるものとする。

以上

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