細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律


細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約の実施に関する法律(公布当時)
細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律(平成13年法律第121号で改題)

公布:昭和57年6月8日法律第61号
施行:昭和57年6月8日
改正:平成13年11月16日法律第121号
施行:平成13年12月16日

(目的)
第一条 この法律は、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約(以下「生物兵器禁止条約」という。)及びテロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の適確な実施を確保するため、生物兵器及び毒素兵器の製造、所持、譲渡し及び譲受けを禁止するとともに、生物剤及び毒素を発散させる行為を規制する等の措置を講ずることを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「生物剤」とは、微生物であつて、人、動物若しくは植物の生体内で増殖する場合にこれらを発病させ、死亡させ、若しくは枯死させるもの又は毒素を産生するものをいう。
2 この法律において「毒素」とは、生物によつて産生される物質であつて、人、動物又は植物の生体内に入つた場合にこれらを発病させ、死亡させ、又は枯死させるものをいい、人工的に合成された物質で、その構造式がいずれかの毒素の構造式と同一であるものを含むものとする。
3 この法律において「生物兵器」とは、武力の行使の手段として使用される物で、生物剤又は生物剤を保有しかつ媒介する生物を充てんしたものをいう。
4 この法律において「毒素兵器」とは、武力の行使の手段として使用される物で、毒素を充てんしたものをいう。

(生物剤又は毒素の開発等の基本原則等)
第三条 生物剤又は毒素の開発、生産、貯蔵、取得又は保有(第五条において「開発等」という。)が認められるのは、防疫の目的、身体防護の目的その他の平和的目的をもつてする場合に限るものとする。
2 外務大臣及び主務大臣は、生物兵器禁止条約及びこの法律の要旨の周知を図るため、適当な措置をとるものとする。

(禁止行為)
第四条 何人も、生物兵器又は毒素兵器を製造してはならない。
2 何人も、生物兵器又は毒素兵器を所持し、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。

(報告徴収)
第五条 主務大臣は、防疫の目的、身体防護の目的その他の平和的目的以外の目的をもつてする生物剤又は毒素の開発等を防止するため必要な限度において、業として生物剤又は毒素を取り扱う者に対し、その業務に関して必要な報告を求めることができる。
2 前項の場合において必要な事項は、政令で定める。

(外務大臣の協力要請)
第六条 外務大臣は、生物兵器禁止条約を実施するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料又は情報の提供その他必要な協力を求めることができる。

(主務大臣)
第七条 この法律における主務大臣は、政令で定める。

(国等に対する適用除外)
第八条 第五条の規定は、国及び地方公共団体に適用しない。

(罰則)
第九条 生物兵器又は毒素兵器を使用して、当該生物兵器又は当該毒素兵器に充てんされた生物剤又は毒素を発散させた者は、無期若しくは二年以上の懲役又は千万円以下の罰金に処する。
2 生物剤又は毒素をみだりに発散させて人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者は、十年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。

第十条 第四条第一項の規定に違反した者は、一年以上の有期懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
2 第四条第二項の規定に違反した者は、十年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
3 第一項の罪の未遂は、罰する。

第十一条 第九条の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第四条の二の例に従う。

第十二条 第五条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第九条の罪を犯し、又は第十条若しくは前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

   附 則

 この法律は、条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

   附 則 [平成13年11月16日法律第121号]

(施行期日)
第一条 この法律は、テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

(経過措置)
第二条 改正後の爆発物取締罰則第十条の規定、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律第五十一条の二の規定、火炎びんの使用等の処罰に関する法律第四条の規定、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律第十一条の規定、化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第四十二条(刑法(明治四十年法律第四十五号)第四条の二に係る部分に限る。)の規定及びサリン等による人身被害の防止に関する法律第八条の規定は、この法律の施行の日以後に日本国について効力を生ずる条約により日本国外において犯したときであっても罰すべきものとされる罪に限り適用する。
2 改正後の核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第七十六条の二(特定核燃料物質に係る部分を除く。)に係る同法第八十条の五第一項の規定についても、前項と同様とする。

以上

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