道後温泉への道(その14)
日陰と安全な歩道を求め,追われるように海岸沿いの国道を走り,何か心の芯が抜けた頃には日が傾いていたのである。
松山の北,旧北条市街に入ると憎むべき太陽も恐るべき自動車とも決別し,延々と続く国道の細い歩道をシャカシャカと機械的に進んだ。
やがて青い標識に「道後」の文字が見えたとき「あそこに着けばどうなってもいいな」と思ったりしたが,徐々に下がる気温と薄暗さと共に元気が盛り返してきた。振り返れば基本的に「なにやってんだ」って感じだが。
じゃこじゃこ漕いで松山大と愛媛大を過ぎ,さらに東に進むと温泉街というか観光地っぽい雰囲気の一角にたどり着いた。目指すべき外湯の正確な場所は知らないが,勘を働かせて進むとなぜか風俗街に迷い込んだ。
さすが有名温泉地!温泉街と風俗の一体感なんて昭和以前のことだと思っていたがここでは需要と供給が保たれているのなあ。洞爺湖温泉街で見かけた朽ちかけのストリップ小屋の哀愁がふとよぎる。
そもそも迷い込むこともなく,大学のある通りをまーっすぐ行くと土産物街に突っ込み,その正面が外湯なのだ。結局,変な勘が働いただけなのか。
自転車を停め,おぼつかない足取りでチケットを買うとすぐさま脱衣場に突入した。ズバッとストリップしてズバッと体を洗い,ズバッと浴槽に浸かる。
と,「!!!」痛い!両手の甲が日焼けして,湯につけるとビリビリ来るのだ。おもわず両手を顔の前に掲げてみる。湯のせいでさらに真っ赤になった手の甲を見て嘆くが,バンザイして湯船に浸かっているのも不審すぎる。「どうにでもなれ!」と両手を沈めて我慢していると,次第になじんできた。
しかし湯船でぼんやりしている時間は無い。さっさと上がって,最終の広島行きフェリーに乗らねばならないのだ。十数分ほどで引き揚げ,外のベンチでほてりすぎた体を冷ます。既に暗闇だ。
それからちょうど1時間かけて松山観光港に移動し,19:55出航22:20広島港着,そして23:25某所に到着した。
わずか1泊2日で広島から松山まで行き戻ったわけだが,自虐的旅行的にはアリでも,一般にはお勧めしない。そもそも,しまなみ海道の走破という目的に限れば,尾道まで新幹線・鉄道,自動車で行き,レンタルサイクルですいすいと渡れば怖い思いも辛い思いもせずに終わって帰ることができる。
広島から尾道まで,そして今治から松山までの道のりさえ無ければ「うっひょう!たーのしい!」のだろう。
また一つバカな自己満足を築いたことに納得し,この記録を終える。
【来島海峡大橋 06.09.30】
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